※この作品はR-18です。

天才兎に捧ぐファレノプシス <夜話版>   作:駄文書きの道化

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Extra Days:天才兎の初体験

「……ん」

 

 

 目覚めは随分と重たい覚醒だった。瞼が重い。それはいつもの事なのだが、それだけに留まらず全身が怠い。どうしてだろうか、と身を起こそうとして腰に痛みが走って顔を顰める。

 腰が発した痛みで束の意識は一気に目が覚める。自分がいる場所を確認する。ここは高天原の研究区画。ここにはかつてのラボの名残で、今は仮眠用となっているベッドがある。そこで横になっている自分は生まれたままの姿だ。

 

 

「……うにゃぁあ……!」

 

 

 束は思わず布団を被って頭から被った。僅かに布団の隙間から出した束の顔は真っ赤に染まっていて、妙な呻き声を上げて枕に顔を押しつける。辺りを見渡してみれば、丁重に畳まれている自分の服が見えた。

 一体誰が畳んでいったのかなんて愚問だ。それが尚更、昨夜何があったのかをまざまざと思い出させる。思い出してしまえば、昨夜の感覚がまざまざと蘇ってきて、束は再び顔を枕に埋めた。僅かに残る残り香がどうしても思い出させてしまう。

 

 

 

 ――昨日、ハルに抱かれた夜のことを。

 

 

 

 * * *

 

 

 

 最初は貪られるようなキスからだった。顎を手で押さえられ、顔が動かないように固定された状態で、もう片方の手は腰に回されて身じろぎをする事も許されない。

 重ね合わせるというよりは噛み付かれるように。なんとか呼吸をしようと僅かに開いた唇に舌をねじ込まれる。なんとも手早く蠢く舌は束の舌を捉えて、絡め取っていく。

 

 

「ふぅ……っ! ん……っ、や、ぁ……!」

 

 

 口内で舌が逃げ回ろうとすると、追いすがるようにハルの舌が絡まる。絡め取られる度に脳髄を刺激する快楽の波に束は力を失う。呼吸も覚束ないのも良くなかった。即座に思考が回らなくなって、ハルに身を寄せるように縋り付く。

 束の力が抜けたのを見計らったのか、ハルが更に深く口付ける。束の背がやや曲がり、仰け反るような体勢になる。絡め取った舌は絡め取るだけでは飽きたらず、吸い上げて束の舌を自らの口内へと招き入れる。

 

 

「ひゃ……ッ、あ、あ……ッ! んふ、んんっ……!」

 

 

 強引に舌を引っ張り出されて甘噛みされる。逃げだそうとすると歯が滑り、身体に痺れるように快楽の波が寄せて来る。涙が浮かんだ瞳を細め、束は呼吸をしようと喘ぐ。ハルは細めた瞳で束の姿を見た後、眉を寄せる。

 ハルに束の解放する意思はないようで、ひたすらに舌を蹂躙される。丁重でかつ丹念に、しかし荒々しく舌を貪られれば、束は苦しくも堪えられない快楽に身を痺れさせる事しか出来ない。

 一体どれだけ貪られたのかもわからない。ようやく離された舌は口内に戻すのも億劫だ。繋がれた唾液のアーチが艶やかで、束は思わず目を奪われる。

 

 

「はぁ……、はぁ……、ハル……」

 

 

 支えられていなければすぐに床にへたりこんでしまいそうだった。ハルの息もまた少し荒く、二人の吐息の音が重なって響く。ハルはどこか苦しげな表情を浮かべていて、どこか悔いるように束を見ていた。

 そっと束の体勢を崩すようにして、ハルは束を抱き上げた。お姫様抱っこの体勢で抱き上げられた束は縋るようにハルの首に手を回す。しっかりと束を抱き上げたハルは束の重さを物ともせず歩いていき、そのままベッドに束を腰掛けさせるように下ろす。ハルは片膝をベッドにかけた状態で束の顔を覗き込む。

 

 

「……ごめん」

 

 

 小さな呟きた1つ。再び束の唇に自らの唇を重ねる。今度は触れるだけの優しいキスを落として、そのままハルは束の肌をなぞるように唇を落としていく。頬から耳へ、耳たぶをなぞるように唇を這わせ、耳たぶを甘く噛む。

 吹き付ける熱い吐息と耳を甘噛みされる事で、束は身を竦ませて悲鳴を上げた。ぞくぞくと背筋を駆けめぐる快感に、堪えきれずに悶える事となる。反射的に逃れる為に身をよじると、肩に手を置かれて動きを制限される。

 

 

「あ、やぁ……! だめ……っ、だ、めぇ……!」

 

 

 いやいや、と束は首を振る。するとハルの唇が耳から離れる。それでも束が一息を吐くことが出来たのは一瞬だった。今度は束は束の肩口に顔を埋めて、首筋に噛み付くようにキスをしたからだ。

 首筋をなぞって鎖骨を走る舌の感覚に声が抑えられず、束はハルを押し留めようとハルの身体に手を伸ばす。しかしハルの身体はまったくびくともしない。普段の力を出す事も出来なければ、ハルがいつも以上に逞しく、揺るぎそうにもない事実に驚きを隠せない。

 

 

「ひ……ぃっ!? やぁ、やぁああっ!? だ、め……、ひっ、は、歯立てないでっ……! はにゃぁあああッ!?」

 

 

 ちくりと、刺すような痛みが走る程にハルは束の鎖骨に歯を立てて吸い上げる。藻掻くように束が首を振って身を捩ろうとするもしっかりと肩を抑える手が邪魔をする。震えるように束は天を仰いで悶絶する。

 ハルが唇を離せば、くっきりと赤い痕が残されている。ハルは愛おしげに残した痕に舌を這わせる。一度、強く吸い上げられた事で萎縮してしまった束はだらり、と手をベッドの腕に下げて、シーツを握りしめる事しか出来なかった。

 乱れる呼吸を正そうとしても、そもそも呼吸をする身体そのものが震えている以上、呼吸の乱れは早々に直らない。その間にもハルは止まらず、束の服に手をかける。いっそ鮮やかな程の手際でハルは束の服をはだけさせた。

 ぽろりと、束の服によって覆い隠されていた豊かな胸が零れるように露出される。更に手際よくブラまで外すものだから、束は困惑するようにハルを見た。

 

 

「え、え、ちょ、ハ、ハル……!?」

「この服、お気に入りだよね?」

「え?」

「昔はよく着替えさせてたでしょ? 服の構造知ってるから脱がせるの楽なんだよね」

 

 

 そうなんだ、なんて返せなかった。正直、ちょっと休ませて欲しいと思い、言葉を口にしようとした所でハルの手が束の胸を持ち上げるように触れる。ふにり、とハルの指によって束の胸の形が歪む。

 

 

「ふゃぁ! あ、ちょ、ハル、待って、辛い、から! 止まって……!」

「……大丈夫?」

「ちょっとだけ……ちょっと待って……?」

「結構、生殺しなんだけど……」

「っ! や、ちょ、胸……駄目っ! やだ、指、動かさないで、やだぁっ!?」

 

 

 ハルの指が形を変えようと束の胸を揉む。まるで蛇のようにハルの五指が束の胸の形を変えるように這い回り、束は悲鳴を上げながら身を捩る。かちかち、と歯が音を立てて、唇が震えた。

 ハルはそのまま片手で胸を揉みしだきながら顔を束の胸に寄せる。手で揉んでいる方とは逆の胸に顔をよせ、乳首へと口付けた。そのまま乳首を唇で挟むように抑え、もごもごと歯で唇を押し込むように噛む。

 

 

「ッぁ――!? や、ぁ、はぁっ……! だめ、だめだって、やだ、ちょ、ハル……ッ! あ、は、ゃぁああああああ!?」

 

 

 乳首を噛まれて束は背筋を仰け反らせて引き絞るように喘ぐ。ぱくぱくと唇がせわしなく開閉し、目が見開かれる。ハルは噛むだけでは飽きたらず、吸い上げる始めるのだからこれには堪らず束は再度、悲鳴を上げる事となる。

 与えられる快楽に反応してつん、と立った乳首を見つけたのか、もう片方の胸を弄んでいたハルの指がこねくり回すように束の乳首を挟む。そのまま抓り上げるように力を込められれば、痛みと快楽の二重の責め苦になる。

 

 

「や、ぁ、ぁあああああ――ッ!?」

 

 

 がくがく、と束の身体が震える。これまで性的な欲求が無かったとは言わない束だが、自分で慰めるといった経験も知識でしか知らない束には耐え難い感覚だった。脳の中でまるでスパークでも起きているのか、思考が断裂して真っ白になる。

 ぐったりと身体の力が抜けて、そのまま後ろへと倒れ込みそうになった所でハルの手が伸びて束を抱き留める。それだけでまた背筋にぞくりと感覚が走るものだから、束はただ震える事しか出来ない。

 

 

「……束?」

「……ふぇ……ハルの、馬鹿ぁ……!」

 

 

 ぼろぼろと涙を零しながら力なく束はハルを睨み付ける。止まってって言ったのに、と抗議するようにだ。それにはハルは申し訳なさそうに眉を寄せている。

 

 

「……ごめん」

「……うっ……」

 

 

 心底申し訳なさそうに謝られると、束も逆に自分が悪い事をしたような気持ちになって眉が寄る。それで少し冷静になったのか、束は自分を落ち着かせるように深呼吸する。

 呼吸が整った所でハルへと視線を向ける。ハルは所在が無さそうに視線を彷徨わせていて、束は強引にハルの頬に手を添えて自らの方へと向かせる。

 

 

「き、気持ちよかった」

「……え?」

「あ、頭が変になるくらい……気持ち良かったの。だから……その、怖くて……」

 

 

 ぼそぼそと、束は言葉を口にする度に小さくなっていく。自分で口にすると火照っている身体は再び熱を呼び覚ますようで、自分の醜態を思い出して束は頭を垂れてしまう。恥ずかしさで死にそうな思いだった。

 ここで束は1つの失敗を犯している。頭を下げてしまった為にハルの表情を見ていなかった事だ。束の下げた視線でハルの手が見える。その手は束の足に伸びて、スカートをたくし上げるようにしてふとももに滑り込む。

 

 

「ひっ!?」

 

 

 咄嗟に太ももを挟んで奥への侵入を留めようとしたが、時既に遅し。ハルの手は束の太ももの付け根へと滑り込み、束の下着に指を突き立てていた。下着越しに秘所を刺激され、束は再び身を縮ませる。

 力を込めすぎている所為か、ふるふると震えている束の耳にハルは唇を寄せる。吐息を吹きかけながらハルは甘えるような声で囁きかける。

 

 

「束……? 足、開いて?」

「や、だ……お願い、触らないで……! 少し、休ませてってばぁ……!」

「いやだ」

 

 

 子供のようにハルは囁きかけ、束の耳を甘噛みする。ハルの指が下着越しになぞるように触れ、指の感触にぞくり、と束の背筋に快楽が走って力が抜けそうになる。くちゅり、と粘性の水音が聞こえ、それがどこから聞こえたのか悟った束は涙を零して首を振る。

 

 

「おかしくなる……! おかしくなっちゃうから……! ハル、お願い……お願い……!」

「……わかったよ」

 

 

 明らかに渋々と言った様子でハルは束の耳から口を離した。手も動きを止めて束の太ももに挟まれたままだ。束は呼吸を整えるように深呼吸する。それでも呼吸は落ち着かないのか、束は吐息を震わせながらハルを見上げた。

 ハルは笑っていた。にこにこといつものように。ただ目だけがいつもと違い、束をじっ、と見ていた。瞳の奥に感じる情欲の色が見えて、束は思わず目を瞬かせる。今までこんな顔なんてした事無かったのに、と。

 

 

「……ハル?」

「……何?」

「えと……大丈夫?」

「結構、無理してるけど」

 

 

 ハルの笑う顔が一瞬引き攣る。一体どういう意味で無理をしているのか悟って束は申し訳なくなるが、同時に怖くもなる。どきどきと心臓の動悸が速くなるのがわかる。きっと彼はこの先に進みたいのだろう。

 そして行為の手を止めてしまっている自分にもどかしさを感じている事だろう。無理をしているというのはきっと、そういう事なのだろうと悟り、束は自然と頬が赤くなるのが自分でもわかった。

 嬉しくもあった。女である以上、愛した男に求められるという事は悪い気分じゃない。それにこんなにものめり込んでくれるのであれば尚の事だ。ごくり、と口の中に溜まった唾を飲み込んで束は力を込めていた足から力を抜いた。

 

 

「ハル、その……下着、脱ぐ、から、ちょっと離れて……」

「僕が脱がそうか?」

「いいの! 少し、束さんのペースで……」

 

 

 そう言って下着を脱ごうと手を伸ばした所で、ハルの視線がじっ、と自分を見ている事に束は気付いてしまう。その瞬間、束の動きは硬直する事となる。

 ハルの前で自ら下着を脱ぐ。あぁ、これが一昔、まだハルに色々と過剰なまでに世話をされていた頃ならばぱぱっ、と脱いでしまっていただろう。今考えれば、過去の自分がどれだけ阿呆な事をしていたか理解し、束は頭を抱えたくなった。

 

 

(は、恥ずかしい……!)

 

 

 背中に先ほどまでとは違う意味の汗が浮いて、束はただ動きを止める事しか出来なかった。まったく身体が動きそうにもない。そもそも動きたくない。だってハルが見ている。ハルが見ている中、自分で下着を脱ぐのは、この状況では辛すぎる。

 どうしよう、と束がパニックになりかけていると、はぁ、と飽きたようにハルの溜息が聞こえた。ハルの手が伸びて、束の肩を押すように力を込めた。動きを止めていた束に抗う術はなく、束は呆気なくベッドの上に転がされる事となる。

 

 

「え、えぇ!? は、ハル!?」

「時間切れ。もう我慢出来ない」

「や、ちょっと待って! あ、あと10秒! あと10秒頂戴!」

「受け付けません」

 

 

 束の足を押さえ込むように抱え、ハルは下着へと手を伸ばす。藻掻こうとする束と脱がそうとするハルとの間で争いが起きるのだが、ハルはまた手際よく下着を膝上まで上げきってしまう。

 ハルから言わせれば、抵抗は大きいけど昔やった事と何ら変わらない。後にこの話を聞いた束はタイムマシンを作れないかと、割と本気で考えたという。過去に戻れるならハルに着替えまで任せていた自分を咎める、と。

 

 

「あ、わ、わわわ、ちょ、ハル、待って! ストップ!」

「嫌です」

 

 

 茶化したように言うハルだったが、表情が真剣なのでまるで冗談になっていない。ジタバタと暴れる束の足をものともせずに下着を剥ぎ取って、それをベッドの上にそっと置く。

 せめてもの抵抗、と束は両足を畳むように折り曲げ、しっかりと閉じてしまった。上半身を起こして、スカートで足を隠すように被せ、両手でスカートを押さえる。上目遣いにハルを睨む瞳には涙が浮かんでいる。

 

 

「だ、駄目だって言ったのに……!」

「脱ぐって言うのに束が嘘吐くから」

「う、嘘じゃないもん!」

「嘘つきな兎にはお仕置きが必要だよね? 束?」

 

 

 ハルは束に顔を寄せて、無造作に束の唇を奪う。ねじ込んだ舌が再び束の舌を絡め取ってくる。突然の、しかも手早く責めてくるキスに束は目を見開かせるも、抵抗も禄に出来ないまま舌を絡め取られる。

 言い様に舌を蹂躙されれば束の身体から抵抗の力が弱まる。ハルはそのままゆっくりと束をベッドへと押し倒して自分の足を巧みに使って束の両足の間に割り込ませる。

 

 

「……ふぅ」

「やぁ……ちょ、ハル、こ、心の準備……! せめて、心の準備だけでも……!」

「ごめん。本当に我慢出来そうにない」

 

 

 ハルはそのまま束の両足に手を添えて開かせる。一気に足を広げられた事で束の隠していた秘所が明らかになる訳で、束は恥ずかしさに両手で顔を覆った。顔に一気に血が上って熱くなっていく。

 視界を隠してしまった束は気付かない。次の瞬間、束は今までと比ではない快楽に身を跳ねさせる事となる。ハルが顔を寄せて、束の秘所へと舌を這わせたからだ。

 

 

「あ、ひゃぁっ!? ハ、ハル、え、え、えっ!? どこ、舐め、てぇぇええっ!?」

 

 

 ハルの舌がまさぐるようにぷっくりと膨れあがった束の陰核に触れる。束は身を仰け反らせて悲鳴を上げた。目を限界にまで見開いて、ぱくぱくと口が開く。声が漏れ、抑えきれずに身体が震える。

 束の状態など意に介した様子もなく、ハルは舌を丹念に動かす。陰核をなぞり、束の秘所から漏れ出す蜜をすくい取るように舌を蠢かす。その度に束の腰が跳ねるも、ハルが両手でしっかりと固定してしまった為に仰け反る事でしか身を動かせなくなる。

 

 

「あはぁっ!? や、だ、ぁ……! ひぃ、へ、んに、なる、やだぁああああ!? 離して、ハル、やだ、離してぇぇええっ!?」

 

 

 ばたばたと束の足がハルの背を蹴るも、まったく止まる気配がない。陰核に唇を寄せ、歯で押し潰すように自らの唇ごと、陰核を押し潰す。

 

 

「ひぃ、っ、ぁ、ァア――――ッ!?」

 

 

 束の意識が真っ白に染まる。頭を抱えるように髪を掻き上げ、身を仰け反らせる。弓なりに絞り上げられた身体は快楽によって震える。どれだけ身を反っていたか、力なくベッドに身を横に倒した時、束は口の端からだらしなく涎を零して、焦点が定まらないまま虚空を見上げる。

 最早言葉がない。ただ快楽の余韻に浸る事しか出来ない。それで休めればまだ彼女もまだ持ち直せたのかも知れない。次にハルは唇を舌を離し、自らの指を秘所へと滑り込ませた。

 

 

「ひ、っ、あ、あああ、やぁああッ!?」

「すご……とろとろだね? 結構、吸い上げたと思ったんだけど」

「ばかぁ……っ! いじわる、さい、てぇ……! ゆび、……っ、や、だめ、奥……入れちゃ、だめぇ……っ!」

 

 

 ハルの指が蛇のように蠢いて、奥へ、奥へと突き進んでくる感触に束は暴れるように身を捩る。だが、ハルが拘束している為に逃れようもない。ぎゅっ、と目を閉じてしまうも、それが逆に良くない。

 鮮明にハルの指の感触が伝わり、更には自らの蜜が猥らな粘性の水音を立てるのが嫌でも聞こえてしまう。腰が跳ねて逃げようとするも、その度に指もまた奥へと滑り込もうと蠢くものだから逃げようもない。

 更に指は一本から二本へと増え、ばらばらに蠢いて束の秘所の中を弄る。今までにない快楽の波に呑まれて、束は溺れそうになる。このまま何も考えられずに沈んでいきそうになる。

 その最中、指が束の奥に潜り、指を折り曲げた時だ。こり、とハルの指が何かをひっかいたような感触を得たと同時に束が一際強く悲鳴を上げて身を仰け反らせた。

 

 

「ふぇぁああッ!? や……、な、に? なに、これっ!? やだ、そこ、だめ……っ!! ハル、そこ、触らないで……っ!?」

「ん……? どこ?」

「ひっ、ぃぃぃいっ!? そこ、だって、やっ、だ、めっ、にゃぁああ――ッ!?」

 

 

 こり、と。ハルが確かめるように触れた瞬間に束が頭を抱えて絶叫した。仰け反った身体が震え、幾度か跳ねた後にベッドに沈む。束が荒く呼吸をして、ハルを恨めしげに睨んだ。

 

 

「この、馬鹿ぁ……! 触らないでって……言ってる、でしょぉ……!?」

「ごめん。束が気持ちよさそうだったから、つい」

 

 

 まったく悪びれた様子がないハルに束は睨み続けるも、まったくハルは堪えた様子もない。束の秘所から抜き取った指の蜜を舐め取っている。まるで余裕に見えるハルに束は悔しげに視線を送る。

 こうも一方的に弄ばれてしまうのは悔しい。けれど言葉も絶え、呼吸もままならない状況で文句も言う事も億劫だ。このまま一方的なのは嫌なのに、身体が言う事を聞きそうにもない。

 

 

「……束」

「……なに……?」

「……その、アレある?」

「? アレ……?」

「その、ほら、避妊用の……」

 

 

 あ、と。束は思い出したように呟いた。ハルは気まずげな顔をしているが、ハルが持っている筈がない。持っているとすれば確かに束なのだが……。

 

 

「……ない」

「……そっか。じゃあここまでにする?」

「え?」

「え、じゃないよ。だって……出来ちゃったらどうするのさ」

 

 

 困った顔でハルは言う。そのまま身を離そうとするハルの手を束は素早く掴む。困惑した表情で束を見つめ返すも、ハルは驚いたように束を見る。束は今にも泣きそうな顔でハルを見ていた。

 

 

「きょ、今日は大丈夫。大丈夫な日だから……」

「いや、大丈夫って……」

「それに、最初は……そういうの嫌だ」

「……い、嫌だって言っても……!」

「全部、ハルが欲しいの……! それに私だけ気持ちよくなって嫌だ……!」

 

 

 ハルを我慢させたくなかったから言い出した事なのに、自分ばかりが気持ちよくさせられて、弄ばれて終わりだなんて束は絶対に嫌だった。だからこそ縋るようにハルに手を伸ばす。

 伸ばした手をハルが手に取る。困ったように束を見ているが、その瞳が不安定に揺れている。後一押し、何かあれば天秤は一気に傾く。だからこそ、束は精一杯の笑みを浮かべてハルに伝える。

 

 

「私の初めて……奪って?」

 

 

 ハルの顔が歪む。少し荒々しいまでにキスをして、束の唇を貪っていく。どこか安心したように束は微笑んでハルを受け入れる。

 荒々しかったキスが、労るようなキスに変わるまで時間はそんなにかからなかった。唇を離してハルは束を見つめている。

 

 

「……本当に止まれないからね?」

「うん。……いっぱい、シテ?」

 

 

 ハルに微笑みかけながら、束はなんとか身を起こしてハルの服を脱がしていく。少し拙い手つきではあったものの、ハルは束に任せるままに服を脱がさせる。

 そして束の手がハルのズボンへと至り、ベルトを外して脱がしていく。そこで束の目を引いたのは、下着の上でもわかるほどそそり立った逸物。わぁ、と声を漏らし、驚いたように束は目を見開く。

 

 

「……おっきい」

「……そんなじっくり見られても困るんだけど」

「さっきから私を良いように弄ぶ酷い人は誰だったかな? ……本当に入るかな? コレ」

「やっぱりやめる?」

「い・や・だ」

 

 

 ズボンに合わせて下着まで剥ぎ取ってしまえば隠すものはもうない。どこかグロテスクにも思える逸物は熱く脈を打っていた。ごくり、と自然と息を飲んでしまうのも仕方ない事だろう。

 ハルがゆっくりと束をベッドの上に押し倒す。宛がうように逸物を束の秘所に触れさせると、束の身が竦んだように跳ねる。

 

 

「……さ、最初は痛いって本当かな? ちょ、ちょっと未体験過ぎて……」

「……束」

「な、なに?」

「……すぐ気持ちよくさせられるよう頑張るから、痛くても我慢してね?」

 

 

 一瞬、ハルが申し訳なさそうな声で呟いた後、ずん、と。束の奥にハルが押し入った。

 痛みはあった。破られた感触と共に突き上げられた感覚に束は言葉を失い、あれ? と首を傾げた。ハルが不安げに束の顔を覗き込む。

 

 

「……束?」

「……えっと、痛かったけど、思ったより痛くなかった。ちょっと呆気ない、かな?」

「だ、大丈夫? 本当に痛くない?」

「う、うん……ただ、その、ハルのが、奥に入ってるのがわかってて……変な気持ちになる」

 

 

 とくん、とくんと。自分の中で脈打つ感覚に束は奇妙な安堵感を覚えた。圧迫されるような感覚も、触れ合う熱も急激に愛おしくなって、自然を笑みが零れ出た。涙が零れたのは明らかに痛みによるものではなく、歓喜によるもので。

 束はハルと繋がったまま、どうしようもなくキスがしたくて上半身を起こした。瞬間、ハルの逸物が束の奥へと更に滑り込む事となる。こつん、と奥まで届いた感覚に束は目を見開いた。

 

 

「あ、ひゃ……!」

「束?」

「あ、え、……なに、これ……ひ、や……!」

 

 

 失敗した、と束は悟った。一瞬で意識が真っ白になりかけた。キスしたい、なんて思っても身体が禄に動かない。再びベッドに倒れ込みそうになる。それを慌てた様子でハルが抱きかかえる。僅かに身じろぎをしただけで己の中で動くハルの感触に束は悲鳴を上げる。

 

 

「ふにゃぁ!? っ……うそ、なんで、こんな……!」

「束……もしかして」

「ひゃんっ!?」

 

 

 とん、とハルが僅かに腰を跳ねさせる。すると束は面白いように悲鳴を上げてハルにしがみついた。その身体が小刻みに震えていて、呼吸は荒れている。ぎゅっ、とハルに回された腕が痛いぐらいにハルを抱きしめてくる。

 

 

「……痛みは?」

「はにゃ……! 少し、でも、……や、だめ、だって! ハル、揺らさないで……! う、動いちゃうと……! ふぁ、声、抑えられないぃ……!」

 

 

 いやいや、とハルの肩口に顔を埋めながら束が首を振る。痛覚が無い訳では無さそうだけど、それよりも快感の方が勝っている事が見て取れた。それにハルはほっ、とするのと同時に欲望が首を擡げた。

 ハルは束の腰に手を回した。そのまま腰を引いて、そのまま勢いよく突き上げた。腕の中の束が背を仰け反らせて喘ぎ声を上げる。唇を震わせて、涎を零しながら縋るように見つめる束の表情がとても愛おしかった。

 

 

「はぁっ、だめ……っ、やぁッ!? ハル、まって……っ、まってぇ……っ!? 動かないでぇっ!? 死んじゃう、束さん、死んじゃうよぉっ!?」

「大丈夫だと思うよ? ほら」

「あひぃっ!? ひ、ぁ、やぁあああ!? あ、あ、ああぁあああっ!?」

 

 

 引いて、突き上げて。それをするだけで面白いように束は喘いでくれる。束の中に収まっている熱がくらくらと狂わせていくようで、ハルは自分の口元が歪に笑みを浮かべてる事すら気付かずに夢中で束を突き上げる。

 されるがままになっている束だが、それでも動く腰の動きがハルと同期して動いているのがわかって、ハルは束の身体を逃がさないようにしっかりと抱き留めながら、ただ束の奥へ、奥へと突き上げるように腰を動かす。

 次第に言葉は失われ、互いに名を呼び合う。苦しげに名前を呼び合いながら顔を見合わせて、自然と唇を重ねた。貪るようにハルは束を舌を絡め取り、逃さないように腰に回した手に力を込める。

 次第に上り詰める感覚にハルは苦しげに表情を歪める。限界だと悟る。最後まで快楽を貪り尽くすようにハルは打ち付ける動きを、叩き付けるような勢いに変えて束を突き上げる。

 

 

「束……! もう、無理……!」

「いいよ、いいよ、来て、来てぇぇっ!! もう、もう私も駄目、駄目駄目駄目ぇっ!!」

「……ッ……ァ――――ッ!!」

「ア、ひ、ッ……んぁ、ァ―――ッ!!!!」

 

 

 ごぷり、と。溜め込んだ精が束の膣内に吐き出される。精を吐き出す感覚が止まらず、束は濁流のように押し込まれる熱に身を仰け反らせて喘ぐ。達しても、達しても、注ぎ込まれる熱から逃れられずに何度も昇天する。

 ようやく昇天から逃れ、余韻に浸れるようになった頃にはハルの方も落ち着いたのか、束を強く抱きしめている。束も縋るように手を伸ばしてハルと目線を合わせる。お腹の中に残ったハルの熱が愛おしくて、震える手が腹を撫でた。

 

 

「いっぱい……出た……熱い……ハルの……熱い……よ……」

「束……」

 

 

 心地よい疲労感が襲ってくる。束はハルの熱を抱いたまま、この気怠い倦怠感に任せて眠ってしまいたかった。そのまま、ハルの身体に身を預けて瞳を閉じた時だった。

 むくり、と。束の中で熱を取り戻す感覚を感じた。こん、と再び奥を突かれる感覚に束は目を見開かせて、信じられない、と言うようにハルを見た。

 ハルは申し訳なさそうに微笑みながらも、目が笑っていないまま、束に声をかけた。

 

 

「あれ? どうしたの?」

「……えと、ハル? 束さん、結構限界なんだけど……」

「ふぅん。そっか。でも……ほら」

「ひゃんっ!?」

「いや、ごめん。長い事、溜めてたからさ」

「嘘、だよね?」

「……あと3回は付き合って貰っていいかな? せめて2回で良いから」

「そ、そんなの無理だって!? 束さん、本当に壊れちゃうって……んひぃっ!?」

「大丈夫、大丈夫。――ようやく捕まえたんだ。逃がさないよ?」

 

 

 耳元で囁かれた声に束はぞくり、と身を震わせて、最後に残っていた抵抗の力を根こそぎ奪われた。

 

 

 

 * * *

 

 

 

「3回どころじゃなかったよね! もう、もうっ!」

 

 

 回想から帰ってきた束は、ばしばし、と布団を叩きながらいつの間にか姿を消したハルへの不満を口にする。いや、不満はまったくない。むしろ強制的に満足させられた。気絶も何回したかわからず、その度に快楽に起こされて頭がおかしくなりそうだった。

 正直おかしくなっている自覚はある。ただ熱が残る頬を枕に押しつけて沈める。少し身じろぎをするだけで腰が痛い。股も何か感覚が残ったままで足を閉じたくない。正直、こんな調子で立てる筈もなかった。

 

 

「……ハルの、ばーか」

 

 

 

 ――捕まえたら最後まで捕まえてなよ、あのヘタレ。

 

 

 

 正直、目覚めたらそこにいて欲しかった温もりがない事に不満を抱きながら、束は枕に顔を埋めるのであった。

 

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