※この作品はR-18です。

義妹達とのエッチな日々   作:黒糖バス

4 / 8
妹、痴漢される《終》

……ああ、これはもうダメだろう。

もしかしたら彼女(痴漢)の方には大して悪気は無いのかも知れないが、リリアちゃんが男達の見世物になってしまっている。流石にこれ以上は擁護出来ない。

「すまん!通してくれ」

俺は前にいる男性に声を掛けて道を譲って貰う。迷惑そうな顔をした彼だったが俺の顔を見た瞬間怯んだ様に横に避けてくれた。どうやら俺は相当怖い顔をしているらしい。別に彼らが悪く無い事は分かっている。俺だって全く知らない子が同じ事をしていたら眼福だと思って見てしまう筈だ。と言うか、今だって他の客が誰も気付いていなければ、何だかんだと心の中で理由を付けて最後まで楽しむつもりでいたのだ。だが、俺の妹の痴態を他人に見られるのは我慢ならなかった。

今俺が抱いている怒りは彼女(痴漢)に対してが1割で残りは周りの男達に対してだ。

 

その後も、リリアちゃんの痴態を眺めていた男達を押し退けて俺は彼女達に近付いていった。

「…え?」

最初に俺に気付いたのは彼女(痴漢)の方だった。

この電車にいる筈のない俺が現れた事に目を丸くして驚いている。全く。それは君も同じだろうに。

俺は声を出し掛けた彼女(痴漢)の口を手で無理矢理塞ぐ。いきなりの俺の暴挙に彼女(痴漢)は混乱した様子で「ん〜ん〜!」と唸り声を上げた。だが、悪いが今君の相手をしている暇はない。

「ごめんっ、リリアちゃん遅くなった」

俺は彼女(痴漢)と同じ様に俺の登場に驚いて固まっているリリアちゃんに声を掛けた。

「お兄さんっ!!」

ドンっとお腹に衝撃が走る。リリアちゃんが俺に飛び付いてきたのだとすぐに分かった。彼女は俺の背中に手を回して強く俺に抱き着いていた。

俺視点で見ると茶番でしか無かったが、彼女からすれば誰かもわからない相手から痴漢されイカされていたのだ。怖かったし、恥ずかしかったのだろう。その小さな身体を抱きしめ返してやるが、彼女の震えが止まる様子はなかった。

俺は先にもう1人の方を対処する事にする。

 

俺はスーッと息を吸うと、リリアちゃんの様子を見て更に混乱を深めている彼女(痴漢)に向かって言い放った。

「今すぐ何処かへ消えろ…」

いつもなら絶対に彼女(痴漢)には向けない様な冷たい声が出る。言った俺自身も予想以上に冷めたその声に内心驚く。だが効果は絶大だったらしい。言われた彼女(痴漢)の方はショックを受けた様に俺とリリアちゃんを見比べると顔を真っ青にして乗客の中に消えて言った。

……彼女(痴漢)の為だったとは言え、あんな顔をさせるのは俺としても不本意だ。だが、彼女(痴漢)が一言も発さずに去ったお陰でリリアちゃんは痴漢の正体を知らないままだ。これで彼女(痴漢)の話を聞いてから対応を考える事が出来る。

 

その後、俺はリリアちゃんを学校まで送り届け、自分も遅れて登校した。

 

 


 

 

放課後。

俺はリリアちゃんを学校まで迎えに行き、朝と同じ様に一緒に家路に着いた。すっかり元気になった彼女は、時折笑顔を見せてくれる。彼女の中で俺の好感度がいくらか上がった様子である。しかし、助けると約束しておいて、全てが終わった後からノコノコ現れた事についてはなんとも思っていないのだろうか。まあ、ずっと1人で耐えていたのだから、結果的に痴漢を撃退した俺が救世主に見えてもおかしくはないか。

 

家に着いてからもリリアちゃんは矢鱈と俺の近くにくっついて来た。いつもなら帰宅と同時に自室に引っ込んでいたのだが、今日はリビングでテレビを見ている俺の隣に座っている。しかもテレビではなく俺の顔をじーっと見てくるのでちょっと──いや、かなり気になる。

「えっと、何かな?」

「…な、なんでもありません」

「ふーん…」

そんな頬染めて人の顔を見られても困るのだが。

いや、てかこれ惚れてね?まさかリリアちゃん意外とチョロインだったのだろうか。少し試してみるか。

「リリアちゃん」

「…は、はいっ。なんでしょうか、お兄さん…」

「いや、今日改めて思ったんだけど────リリアちゃんってすっごい可愛いよね」

渾身のキメ顔で言ってみた。さて、どうだろうか。何気に面と向かって彼女の容姿を褒めるのは初めてである。思った以上に恥ずかしい。これで引かれでもしたら大分凹むぞ。

しかし、その心配はなかった様だ。

──俺の言葉を聞いたリリアちゃんは顔をそれはもう真っ赤に変えていた。今日一番の赤さである。なんなら頭からプシューッと吹き出す湯気まで見えてきそうなくらいだ。

「…あ、ありがとう、ございましゅ…」

リリアちゃんはそれだけ言うと慌てた様にリビングを出て行った。自室に戻ったみたいだ。最後に見えた彼女の口元が嬉しそうに歪んでいた。

…いいのかそれで。『今日改めて』って『痴漢されている君を見て』って事なんだけど。それに思い至らないくらい嬉しかったのだろうか。うーん、わからん。リリアちゃん誰に言われてもああ言う反応しそうだしな。

全く、今日1日でリリアちゃんの色んな一面を一気に見てしまった気がする。

 

──ガチャッ。

と、その時玄関のドアが開く音が聞こえた。

「た、ただいま…」

元気のない声でリビングに入って来たのはリリアちゃんの姉であるソフィアちゃんだ。彼女は俺達の中で唯一部活に所属している為、いつも帰宅が最後になる。

まあ(・・)、本当に部活をしているのか疑わしくなったが(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)。

 

「お兄ちゃん……そのぉ…」

彼女らしくなくオドオドとした様子で俺に声を掛けてくる。

その顔は伏せられ、視線が床と俺の顔を行き来していた。後ろめたい事をした時の彼女の癖だ。

ふーむ。リリアちゃんがここに居ないのは丁度いいな。

俺はソファから立ち上がるとソフィアちゃんの前に移動した。怒られるとでも思ったのだろう。彼女は顔を強張らせて今にも泣きそうになっていた。

俺はそんな彼女の頭に手を置く。

「え?」

「ソフィアちゃん。そんな泣きそうな顔をしないでくれ」

「あ…お兄ちゃん…?」

「あー…それと、朝はごめんな。『消えろ』とか言われて怖かったろ?色々考えがあってソフィアちゃんにあの場から離れて欲しかっただけなんだ」

俺は朝からずっと言いたかった事をソフィアちゃん──リリアちゃんを痴漢していた犯人──に告げた。そう、彼女こそリリアちゃんを悩ませた人物だ。そしてこれがアレ程堂々と痴漢紛いの事をしておいて他の乗客が傍観に徹した理由でもある。彼らからすれば仲の良い美人姉妹がちょっと過激なスキンシップを取っている様にしか見えていなかったのだ。

 

「…怒らないの?私リリィにあんな事してたのに…」

「うーん。それはリリアちゃんが怒る事であって俺が怒る事ではないよ。それに、何か理由があったんじゃないか?ソフィアちゃんがリリアちゃんの嫌がる事を積極的にしたがるとは思えないしね」

そうなのである。この姉妹は俺が嫉妬してしまうほど仲が良い。父親はいなくて、母親は仕事で中々帰ってこれない中、2人で助け合って生活してきたのだろう。だからこそ、彼女達に出来るだけ仲違いして欲しくなかった俺は、あの場でソフィアちゃんを問いただす事なく追い返したのだ。

 

その事を伝えると、彼女は安心した様に笑顔を見せてくれた。

どうやら俺に嫌われてしまったのではないかとずっと不安だった様だ。

その後、すっかりいつもの元気を取り戻したソフィアちゃんから事情を聞くのだった。

 

 

 

「最初はね、ちょっとした悪戯だったんだよ。ウチの高校もう直ぐテストだから部活が休みだったし、ちょーっと驚かしてみようかなーってリリィに痴漢のマネをしてみたの」

「痴漢のマネじゃなくて紛う事なき痴漢だったけどな」

電車の中で手マンしたらアウトだろ。

「でねー?リリィのおっぱいを揉み揉みしてみたんだよね。最初はそれだけだったんだよ?で、リリィが振り向いたら「じゃーん!私でしたー!」ってやるつもりだったの」

「なるほどな。そこで終わってればただの冗談で済んだ訳だ」

だけど実際はそうじゃなかった

「そ!リリィてば私にされるがままなの。2回目なんてスカートの中に手を入れたのに全く抵抗しないもんだから私心配になっちゃって」

確かに今日の一部始終を見て俺も心配に思ったな。ソフィアちゃんが犯人だったから良かったものの、これが変態のおっさんだったら、きっとリリアちゃんは美味しく頂かれていた筈だ。

「それで?」

「だから私さり気なくバス通学を勧めたんだけどリリィは「お金が掛かるからいい」って言って…。でもこのままじゃその内酷い目に遭わないか不安だし…。そこで私は閃いた訳ですよ。リリィが電車通勤が嫌になる様に仕向ければいいじゃん!って」

 

以下がソフィアちゃんの主張だ。

「3日目にはフード付きの服で顔を隠してリリィに近付いたんだけど、周りが怪しい人を見る目で見てくるから慌てて顔を出したんだよね。どうせリリィはコッチの顔見てこないからいいかなって」

「でも予想外だったのはリリィが私じゃなくてお兄ちゃんに相談したって事。本当なら私に相談してきた時点で無理矢理にでもバス通学にさせるつもりだったんだよ」

「ええ!?他のお客さん達に見られてたの!?皆んなケータイとか弄ってて全く気付いてなさそうだったのに…」

 

これを聞くとソフィアちゃんを責めるなんて選択肢はないな。

やり方はかなりアレだが妹の身を案じての行動だし。

──ただ一点気になる事が。

「ところでソフィアちゃん。痴漢してる時すっごいニヤニヤして楽しそうだったけど、アレは演技かな?」

「ギクッ!」

自分でギクッて言う奴がいるか!

ソフィアちゃんどうせアレだろ!?リリアちゃんの反応が可愛くて途中から楽しくなっちゃったんだろ。その気持ちは分かるけどね。でも自分の欲望丸出しの行動を良い話風にまとめようとした事は頂けないなぁ。

「ソフィアちゃん。一緒に謝ろうか」

「………はい」

 

 

 

 

☆

 

 

 

 

その後の話をしよう。

 

あの後、ソフィアちゃんは痴漢をした事を、俺は犯人がソフィアちゃんだと黙っていた事をそれぞれリリアちゃんに謝罪した。信頼していた2人のまさかの裏切りの事実にリリアちゃんは泣き出してしまい、その日は部屋から出てこなかった。しかし、一晩色々と考えて彼女も俺達の気持ちを察してくれたらしく、次の日には全てを許すと言ってくれた。天使である。

更に、痴態を多くの乗客に目撃されていた事を知って「もう二度とあの電車に乗れません!」と、バス通学をする事を決心してくれたのだった。結果オーライ?

アレから少しずつ俺とリリアちゃんとの距離も縮まって今では2人きりでも普通に会話が弾む様になってきた。ソフィアちゃんが引き起こした色々とお騒がせな事件だったが、俺達兄妹には得る事も多かった出来事でもある。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。