筆が乗ったので投稿いたします。
短めですが、どうぞお納めくださいませ
――深夜
蝶屋敷のベッドで浅い眠りから起きた炭治郎は、隣のベッドで寝ている善逸と伊之助を確認すると、そっと抜け出す。この二人は一度寝たら朝までぐっすりだ。余程でなければ起きることはない。
上着を羽織り、音を発てぬようにそろりそろりと部屋を出て、足を動かす。向かうは建物に隠れるように生えている外の大きな木。夜中ということもあって、ここへは身を隠しながら行けるのが利点だ。気配を消して、周囲を警戒して匂いを嗅ぎながら、その場所へと向かうと、その場所にはすでに待ち合わせをしていた人物が立っていた。
「……待ち合わせ五分前ですね、炭治郎君」
「はは……ちょっと待ちきれなくて……」
ふわりと蝶の羽織を身に纏った蟲柱 胡蝶しのぶが木に背を預けるようにして炭治郎を見据えていた。柔和な笑みを浮かべる彼女に炭治郎が近づくと、そのまま腕を引かれて抱きすくめられる。
――これはお忍びの特訓でもなんでもない、
いつしか互いに惹かれて通じ合った男と女の、恋仲となった二人の、人知れず一緒の刻を過ごす僅かな時間。周囲に騒がれたりといったことを嫌った二人は、時折時間を見つけてはこうして、二人っきりの短い時間を過ごすようになっていた。
「んっ……はぁっ……炭治郎君、んっ……」
「しのぶ……、さんっ……」
ぎゅぅと強く互いの身体を抱きしめる二人。柔らかい女の身体が、まだ少年ながらも鍛えられた身体に密着する。年上ながらも、炭治郎よりも小さく華奢な肩。ながらも、柱として多くの鬼を屠ってきた強者。そんな胡蝶しのぶと言えど、彼――竈門炭治郎の前では一人の少女に過ぎなかった。
やがて抱きしめるだけだった手は次第に激しく掻き抱くような動きへと変わっていく。より強く、自身が求めているということを相手に伝え、相手に求められているということを実感する。身体が狂おしいほどの熱を帯びていく。
「っ……、しのぶさ――んっ……!」
「んちゅっ、んふっ……! ふぅ……!」
顔を向かされ、唇を奪われる。桜色をした瑞々しく、麗しい、柔らかくてふっくらとした唇。それを割って出てきた舌が自身の口の中へと侵入を果たす。赤い舌が運んできたのは唾液だけではない。白い錠剤を乗せ、炭治郎の口内にねじ込み、それを嚥下させた。
それはしのぶに蓄積した藤の花の毒が、粘膜接触によって炭治郎に影響を及ぼさないように作りだした解毒薬。即効性のあるそれを呑み込んだのを確認すると、大人しかった舌同士が激しく絡み合い始める。
「んちゅっ、ちゅぱっ、んぢゅっ、れろぉ、んちゅぱっ……んっ、ふぅぁ……」
互いの唾液を吸いあい、送り合う濃密な口づけ。まだ年若き彼らがするには似つかわしくない激しく、深い接吻に、同年代の者ならば、その光景に思わず頬を赤らめて顔を反らしてしまうだろう。舌と舌を淫猥に絡め合わせ、ぺちゃぴちゃと水音を奏でさせる。
目を閉じ、舌先と身体の触感に全神経を集中させて互いの唇を、口内を貪り合う。歯列、歯肉、頬裏、舌裏、歯裏、口内すべてを余すところなく、舌で舐め取っていく。
「ちゅぱっ、ちゅぅぅ、んちゅるぅ、ちゅぅぅぅっ……!」
互いの口元が唾液でベトベトになり、炭治郎より身長の低いしのぶの喉を、飲み切れなかった唾液が伝い落ちる。白い喉を滑り落ち、隊服の下にある胸元へと流れていく。それさえも心地が良い。
背にある木と炭治郎の身体に挟まれるしのぶの身体。ぎゅぅぎゅぅと押し、胸板でと乳房を擦り潰されることが、より強く彼に求められていると実感し、臍の下にある部分が甘く、切ない疼きを帯び出す。しのぶも自ら乳房をぐりぐりと押し付け、下腹部をぐいぐいと擦り当てる。その動きは、まるで子種を欲する動物の牝のよう。
「んふぁ……炭治、ろ、うく、ん……んちゅぁ、ちゅぷっ」
「ぁぁ……し、のぶ、さ、ん……」
呼吸する暇も与えないほどの接吻をただただ交わし続ける。
「ぷはぁ……」
ようやく互いの唇が離れる。互いの唇の間に紡がれている数多の透明な糸が、さっきまでの接吻の激しさを察せさせた。蕩けた顔、虚ろな瞳で互いを見やる。紅潮した頬がなんとも色っぽい。
(炭治郎君の……凄い硬くて、熱い……)
身体に押し付けられる男根の逞しさを、強く感じさせられる。衣服越しでも伝わるその熱、これほどまでに胡蝶しのぶという雌を求めてくれているということに、高揚感と優越感が湧き上がっていく。魅力的な雄を前に、彼の意識を独り占めしているとうこの状況に、背筋がゾクゾクとしてくる。
――でもまだこちらに手を出せない
感じるその長大な肉の棒、それを突かれるのを幻視してしまうと興奮が止まらない。しかしこの場所で彼と繋がってはとてもではないが、声を抑えられる気がしない。接吻だって最初は時間すら忘れて交わしていた為に、あやうく起き掛けの隊士に目撃されるところだった。それほどまでに没頭していたことに、恥ずかしさに少しの間顔を見れなくなってしまったものだ。
まだ理性が焼き切れる寸前で持ちこたえているものの、ここで手放してしまえばもう止まらなくなってしまう。歯止めが効かなくなる。それは炭治郎もわかっている、その証拠にこれ以上の事を求めてこない。
「し、しのぶさんっ……!」
「あぁっ……炭治郎君っ……!」
力強く、たくましい腕に再び抱き締められると、思わず口から歓喜の熱い吐息が漏れた。女の幸福をこれでもかと感じ、満たされていくのをしのぶは実感する。
――これ以上彼にのめり込まないで。戻れなくなってしまう。
頭のどこかで警報が鳴り響いている。このままこのような日々を続けていけば、自分が今まで培ってきた何かを見失う。これまでの自分を否定してしまう。それをどこかでわかっているというのに、この行為をやめられない。
藤の花の毒に満たされているはずの身体が、
「炭治郎君……苦しい、ですよね?」
「あっ……ぅ……しのぶさん、お、俺は……」
理性と本能の狭間で揺らぐ炭治郎。そんな彼がなんとも愛おしい。……この場所の逢引も、そろそろ使えなくなる。次の場所を探さなくては。一目に付かずに、
「いずれ……その苦しみから解放させてあげます、から――」
――これ以上は今はまだ、我慢……ですよ?
耳元で優しく、色気をふんだんに含めた声色でそう呟く。あぁ――堪らない。年下の男の子を自分に溺れさせるのが。自身が彼に溺れていくのが。自身の中にある
「その分……こちらなら時間の許す限り、思う存分してあげますから――」
そういってしのぶは炭治郎の頭を抱き込んで、再び接吻を交わす。すると、彼の方からも舌が伸びて、再び身体を木に押し付けられる。その激しいまでの接吻は、まるで唇と唇の情交。それが人知れず、寝静まる夜の木の元で行われていた。
これまで復讐を誓い、その為に重ねてきた努力と時間が、憎悪の炎が――
――姉の遺した―それだけは聞けないとしたはずの―人並の、しのぶの幸せを願う言葉と彼への想いが雨となって降り渡る。
解けぬ糸に絡めとられていく自分。助けを請う自分と、このままでいることを良しとする自分という相反する思考にかき乱されながら、蝶は藻掻き、より蠱惑の糸に縛られ、囚われていく――
狂愛とか歪愛が書きたいところ
いや、もうネタは出来てるんですが、それが作品に出来るかどうか……