※この作品はR-18です。

鬼滅の刃 小話〔完結〕   作:のねむ

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もし自分が守ると誓った相手を守れなかったら――

もし自分の死をもって果たすとした復讐が、妹分が果たしてしまったら――

そんな「もし」のお話


遺された者達 ~歪愛・淫~

――戦いは終わった

 

 人々を脅かす脅威は去り、街には活気が戻り、人の往来が蘇っていく。もう鬼はこの世にいない。しかし失ったものは多く、犠牲も多かった。そしてその二人もその戦いで大事な人を失っていた――

 

 

 

 

 

 

 

 

 蝶屋敷近くの墓地。そこで手を合わせる胡蝶しのぶと竈門炭治郎の姿。その二人の前には、新しく建てられた墓。

 

――栗花落カナヲ ここに眠る

 

――竈門禰豆子 ここに眠る

 

 それは先刻の大戦で散っていった者の名。本当であれば、二人とも生きているはずだった。しかしやはり敵の力は強大で、彼女達は自分達を庇って敵の攻撃を受け、落命。守るはずだった者に守られ、生き延びてしまった彼女達は、強い喪失感と無力感に囚われ、無気力な日々を過ごしていた。

 

 嗚呼、どうしてこんなことに……。

 

(カナヲ……貴女の真意を見抜けなかったなんて、私もまだまだ未熟ね……)

 

 しのぶは、まさかカナヲが自分の策を見抜いているとは思わなかった。打ち明けた時に彼女が見せた反応はすべて演技で、彼女も自身と同様に毒を服用していたなど、予想できるはずもない。自身を拾ってくれた、救ってくれた恩を今返す時と、カナヲはしのぶの代わりになってしまったのだ。

 

 もっと力があれば、あの場で違う判断を下していれば、後悔しても後悔しきれない。守ると誓ったのに、それを破ってしまった。それをどんなに謝っても、涙を流しても、彼女達が戻ることはない。

 

「……炭治郎くん、戻りましょう」

「……はい」

 

 毎日の日課である墓参りを終え、二人は蝶屋敷へと戻っていく。その背中はあの激戦を生き抜いた戦士の面影はなく、今にも壊れてしまいそうな小さな灯のようだった――

 

 

 

 

 

 

「んっ……たんじろ、うく、ん……」

「ん、はぁ……しのぶ、さん……」

 

――あれからというもの、炭治郎としのぶは互いの傷を舐め合う様に寄り添っていた。蝶屋敷は今は病院として機能しており、日中は訪れる負傷者たちの対応。そして夜は、互いの身体を慰め合うのがもはや日常と化していた。二人を喪い、ぽっかりと欠けてしまった心の空間を埋め合うように。

 

 抱き合って唇を合わせる。その次は舌を絡ませ合い、深い接吻に没頭していく。思考を情欲一色に染め上げ、それに準ずる。ただそれだけ。

 

「んちゅっ、ちゅぅ、はぁ……んふぅ……、ふぱぁ……」

 

 卑猥に絡み合う舌が離れるとその間を唾液の虹が橋を作り、やがて重力に負けて崩れ落ちていく。眼前の相手の瞳は快楽で震えている。本当にそれだけだろうか――? いや、快楽だけでなく、悲観、億劫、怠惰……、複数の感情が複雑に絡み合い、解けなくなったそれをさらに複雑に絡ませていった。

 

「しのぶさん……いいですか……?」

「えぇ……来て……ください……」

 

 二人は生まれた時の姿となって寝台に寝転がり、身体を重ねる。伽藍洞になった心を埋める為に、埋まりもしない、埋まることなどないとわかっていながら。その関係を止められない。

 

「んっ……はぁぁっ……!」

 

 膣内に炭治郎の逸物が突き入れられた。狭い膣道を掻き分け、最奥の子宮口へとあっさりと到達する。その愛すべき侵入者に膣ヒダが絡みつき、強烈に締め上げていく。膣壁を擦って強い快楽を与えてくれるその雄を、ただただ感受する。

 

 身を焦がすような熱が、感覚が、その時だけ空白の心を満たしてくれる。例えそれがこの時だけしかもたないものだとしても、それを求めてしまったからには、溺れてしまったからには、もう止められなかった。

 

「しのぶっ、さんっ……! はぁっ、はぁっ! 熱いっ……! しのぶさんの中っ、すごく熱くてっ、狭くてっ……あぁぁ……!」

「炭治郎くんっ……! あなたもっ、大きくてっ、太くてっ……熱くて、すごいっ、気持ちいいっ……!」

 

 互いの肉体がもたらす快楽に魅了され、ずぶずぶとその沼に沈んでいく。這い出ようとすることなく、助けを求めることなく、脱出を試みることなく、自ら水底へと落ちる。

 

 締まる媚肉を逸物が掻き分け、擦り上げ、絡み合わせる。へばりつくヒダが肉竿を刺激する感覚もまた堪らない。相手の身体を抱きしめ、己を高ぶらせて昇っていく。

 

「ぐっ……出ますっ……! あぁぁぁっ……!」

「んはぁぁっっ!! あっ、あぁっ……熱いっ……炭治郎くんの、がっ……!」

 

 避妊や膣外射精など一切考えない、快楽優先の射精に、しのぶも絶頂を迎える。子宮口に押し付けられた亀頭にある鈴口から、大量の子種汁が吐き出され、子宮内部へと放たれていく。狂おしいほどの高温、それを胎内から感じ取り、しのぶは絶頂の余韻を味わいながらぼんやりと天井を見上げていた。

 

 子供がデキてしまったらどうしよう――それが酷く他人事のように思えた。もう幾度となく行われた膣内射精。それを咎めることも、責めることもせずに、ただ愛される女の喜びに浸る。もしデキてしまったら……その時は彼の妻になろうか。籍もいれないと。祝いは面倒だ、しなくていい。名前は――だめだ、何かを考えることさえ億劫で嫌になる。

 

「んぅ……はぁっ、はぁ……はぁ……」

「しのぶさん……俺……」

 

 申し訳なさそうに、涙を滲ませる炭治郎。しのぶは、彼の頬に手を添えた。彼のその表情は一体なんの感情からなのか。一体なんのことを申し訳ないと思っているのか、それすらもどうでもよかった。ただ自分は彼を慰め、抱きしめるだけ。

 

 昨日は自分が慰められ、抱きしめられていたが立場が逆になってしまった。その事に薄く苦笑いを浮かべながら、しのぶは炭治郎の頭を胸に抱き寄せる。

 

「いいんです、炭治郎くん……。だって……どうでもいいでしょう? そんなこと」

 

 そう。例え妊娠してしまった時は、それはそれだ。今はただ互いの身体に溺れていればそれでいい。

 

「まだ……夜は長いですよ? さぁ……」

 

 まだ夜は始まったばかり……終わるには早すぎるし、何よりお互いたかが一回で満足できるようなハラじゃない。この程度前準備でしかないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっ! はぁっ! しのぶさんっ! しのぶさんっ!」

「んくぅっ! ふぅっ! ふぅっ! 炭治郎っ……くんっ……!」

 

 熱帯夜のような熱い部屋で、二つの肉体が交わり続けている。対面座位の体位でお互いを高めていく。ほんの僅かな動きで、身体中を滝のように流れる汗が飛び散る。男根の抜き差しの度に愛液と中に出された精液が掻き出され、シーツに溺れ落ちて染みを広げていった。

 

 身体が破裂してしまいそうなほど熱い。何も考えられず、ただ快楽を求めて身体を動かす。

 

「中ぁっ、ゴリッゴリッってぇっ……!」

 

 長大な炭治郎の陰茎は、しのぶの浅い子宮位置にあっさり到達し、上方へと突き押し上げる。子宮の位置が変わり、内臓まで掻き混ぜられているような感覚により興奮し、更に愛液を分泌し続けていく。乳首はジンジンと疼いて痛みを感じさせながら、ぷるんぷるんと揺れ跳ねる。

 

「はぁぁぁっ……気持ちいいっ……! んはぅぅぅ……! んあぁぁっ……!」

 

 淫らに喘ぐしのぶの姿に、炭治郎の中の興奮が掻き立てられ、翻弄され続ける。いや、寧ろ自分から翻弄されていた。せり上がってくる射精感を抑えることなく、それを躊躇なく吐き出していく。

 

「ぐっ……! しのぶさんっ……出るっ……あぁぁぁっっ!!

 

 

どびゅびゅっ! びゅぅぅぅっっ!!

 

 

「んんっ……! 熱いっ……!」

 

 炭治郎が限界を迎え、しのぶの膣内に吐精し、灼熱の奔流を迸させる。自身を悩ますも心地よいその熱に思考は瞬く間に明滅し、しのぶは悦に浸った。どくりどくり、と流し込まれていく白濁の感覚にブルブルと身体を震わせて悶える。

 

「んっ……ふぅ……はぁ……」

「はぁ……はぁっ……、はぁっ……」

 

 二つの息使いだけが流れる。やがて心地よい余韻も消えていくと、どちらともなく抱きしめた。汗塗れの身体がなんとも心地良い。相手の大きくて早い鼓動を感じながら、その音に聞き入る。

 

「もう……炭治郎くんったら、出し過ぎですよ。お腹タプタプでもう一杯です……」

「はは……すいません。俺ももう打ち止めです」

 

 挿入したまま二人は横になる。情交の疲労でいい加減眠気が込み上げてきた。

 

「このまま……寝ちゃいましょう」

「……はい」

 

 空いた空間が満ちていくも、それは一時しのぎでしかない。心の中の幸せを入れる箱に穴が開いて、満ちたモノが零れ落ちていってしまう。その穴は何度塞いでもまた穴が空き、決して塞がることはない。故に満たされることもなく、そこは再び伽藍洞となる。

 

 それがわかっていても今の関係を止められなかった。互いの傷を慰め合うだけの関係。それに抗うことなく溺れ、墜ちていく――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(しのぶさん……やっぱりまだ……)

 

――翌朝

 

 しのぶより一足先に炭治郎は目覚めた。閉じた双瞳から涙が零れ落ちた跡が見える。あの日からというもの、彼女からは常に悲しい匂いを感じ取っていた。行為の時はそれが薄れるものの、それはいつの間にか元通りになっている。

 

 きっと自分も彼女と同じなのだろう。悔恨をいつまでも引きずり続ける。失ったものは戻らない、それがわかっていてもあの時の自身の無力さ、非力さを嘆かずにはいられない。

 

(禰豆子……、ごめん。俺が守るって誓ったのに……)

 

 今彼女がいたら自分に何と言うだろうか。慰めるだろうか、怒るだろうか――もうそれすらもわからない。ただ一言彼女の言葉が救われるだろうが、その一言を聞くことは二度とない。ただ生かされてしまった、生き残ってしまった命を繋ぐだけ。

 

 そういえば昔、誰かに言ったような気がする、"繋いでいかないのか"と。自分はいったい何を繋いでいけばいいのだろう。この命以外になにを繋いでいけばいいのかわからない。彼女もそれがわからない、だからこの関係から抜け出せない。

 

――これは罰なのか。力がなかったことへの、誓いを守れなかったことへの。

 

 その問いの解は得られず、問いかけようにも相手はいない。口に出しては虚空へと溶けて、霧散していく。ただ、今は……

 

「しのぶさん……俺がずっと傍にいます。俺が禰豆子とカナヲの分も……」

 

 悲しみを滲ませた寝顔を浮かべる彼女を優しく抱きしめる。いつかこの関係が変わることを信じて――




「ここで竈門炭治郎の大正コソコソ噂話――」





「このシリーズのしのぶさんはどうやら"嫉妬深い、重い女設定"らしいですよ」





「でもしのぶさんの嫉妬って結構可愛――」
「炭治郎~……!」
「あれ? 善逸?」
「なんだよお前ばっかり! 他作品でも嫁三人いるとかふざけんなよぉっ!」
「男の嫉妬は重くて醜いっ!」
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