アブラナたちと組んで、早くも2週間が経過した。
この2週間で分かったことは、二人とも騎士学校の中で既にかなり上位の実力を備えていることと、連携もかなり上手いということ。
そしてアブラナはツンが9割を超えてそうなことと、イチゴがアブラナに対して友人以上の感情を向けていそうだということだった。
アブラナのツンが9割を超えているのは全く問題ない。
というかまだ会ったばかりに近いのだから、早々にデレるようなチョロインである方が戸惑う。
そしてイチゴがアブラナに時折向ける、百合百合した視線と雰囲気は…………いいぞもっとやれ!
前にも言ったが、俺は百合百合しているところを横から眺めるだけでも満足できる勢である。
欲を言えば寝室で裸になってくんずほぐれつしているところを是非見学したいところだが、流石にそんなことはできないので、日常でツンツンキャッキャウフフしている光景で今は我慢している。
……原作でもアブラナとイチゴはかなり仲が良かったはずだが、こっちではどういう関係なんだろうか。
本当に裸で一緒に「寝る」ような関係だとするとそれはそれで美味しいのだが、
直接聞けるほど仲が良くなったわけでもないしな……まぁ、真実はいずれ明らかになるだろう。
とりあえず寮が同室なのと、一緒に風呂に入っていることだけは聞いた。めっちゃ覗いてみたい。
「お試し期間も終わったし、これであたし達は本格的に同じチームって事になるわね。 ま、卒業までよろしくね」
アブラナが言った通り、チームメンバー探しは昨日が締め切りだ。
最後までメンバーがなかなか決まらず四苦八苦している同期も何人か居たが、俺たちは互いに納得して組んでいるのと、何だかんだで相性が良かったのもあって、他のメンバーを増やすこともなく、初日に組んだ3人のままでチームメンバーを確定させたのだった。
「よろしくお願いしますね、ラティスさん、アブラナちゃん。
……それで、ラティスさん。メンバー確定ということですけどぉ……仮契約はどうします?」
そう。イチゴが言った通り、メンバーが確定したことで、俺は仮団長、アブラナたちは仮団員として扱われることになる。
そして、団長が花騎士を強化することができる「契約」……
お互いにまだ未熟なことと、卒業後別々の騎士団に入ることになれば簡単に解消されることから「仮契約」と呼ばれているが、内容自体は本物の契約と変わらない。
相手が花騎士として目覚めていなかろうと、団長である俺の魔力で強化することはできるし、「より濃厚な接触」で契約するほど強化できるのも変わらない。
まぁ「濃厚な接触」と言っても、知り合って間もない学生同士なら握手で済ませることが殆どだ。
どうしますと言われてもこれしかないよな、と言って右手を差し出す。
「はぁい、それじゃあ……んんっ❤」
差し出した手をイチゴが握る。
授業で教わっていた通りに、パスを通すイメージで魔力を流すと、喘ぐかのような小さな声が漏れた。
……この世界、本当に魔力と性感が密接に繋がってるんだよな。いろいろと股間に毒である。
さて、次はアブラナと……と思ってそちらに手を向けると、アブラナはその手をじっと見つめた後、振り払った。
……え? 何? もしかして嫌われた? よろしくねって言ってた直後にこれ?
アレか、おっぱい見るようなやつとは握手するのも嫌だってか? 嘘だと言ってよNZNァ!
「……握手よりも、もっと良い方法があるでしょ? さ、流石にエッチなコトするのはダメだけど、キスくらいなら……
あ、く、口にするのはダメだからね! 他の場所になら……その……して、良いから……」
顔を真っ赤にしてもじもじしながらそう伝えてくるアブラナ。天使か。
そしてここでどこにキスをするかは非常に重要な選択肢だ。
欲望の赴くままに股間に口づけてクンニでもしようものなら即死バッドエンド間違いなしである。
ここは頬にすべきか、気障に手の甲か、それとも額か……?と悩んでいる俺に閃きが走る。
口はダメだと言っているが、強力な契約が目的ならむしろ口にすべきなのではないだろうか。
別に舌を絡めるディープなやつをやろうと言っているわけではないのだ。軽く口づける程度なら……
「うえぇぇっ!? く、口の方が良いって……あ、あたし初めてなんだけど……」
ほう、ファーストキス。どんなに小さな呟きだろうとアブラナの声を聞き逃したりするものか。
そして思ったよりも拒否されないので、ここは押すべきだろうとあの手この手で説得を試みる。
「うぅぅぅ……じゃ、じゃあ、本当軽く、軽くだからね! 舌入れたら噛み千切るわよ!!」
果たして、顔を真っ赤にしたアブラナに唇をツンと突き出させることに成功した。
このまま写真を撮って毎日眺めたいところだが、とりあえず心に焼き付けるだけで済ませ、軽く口づける。
そして舌は入れられないが、魔力は入れてやらないと意味がないので、軽く流し込んでやると……
「んっ!? んっ❤ んっ❤ んんんんーーーーーっっ❤❤❤」
びくびくと体を大きく震わせ、アブラナはそのままへたり込んでしまった。
……もしかしてキスだけでイってしまったのだろうか。魔力本当やべーな、エロ魔法かよ。
「い、今の、何よぉ……。 舌じゃなかったみたいだけど、絶対何か変なのがあたしに入ってきて……」
変なのも何もただの魔力だ。契約に必要なものだからどうしようもないぞ。
まだうまく力が入らなさそうなアブラナに手を貸して立たせていると、アブラナに負けず劣らず顔を赤くしたイチゴが話しかけてきた。
「ふ、ふわぁ……ラティスさん、魔力も本当に凄い量だったんですねぇ。アブラナちゃん、こんなにえっちな顔になって……」
「な、なってない! そんな顔になんかなってないわよ!!」
「えぇ~? でも、シてる時もアブラナちゃんがここまでとろとろになってるの、見たことないよぉ~?」
……何か「シてる時」とか聞こえたが、アレか。やはりこの二人は部屋で百合百合してるのか。
気付かない振りをすべきなのか、突っ込んで聞いてみるべきなのか……。
「あははっ、アブラナちゃん。 ラティスさんが興味津々って顔してるよぉ?」
「うっ……へ、変な妄想すんじゃないわよ!? イチゴとしてるのは、魔力量を増やすための訓練! そう、訓練なんだから!!」
「うんうん、いっぱい気持ち良くなって、魔力をいっぱい生み出して、体に馴染ませるためのく・ん・れ・ん、だよねぇ♪」
是非その訓練に俺も参加……あ、ダメですかそうですか。
ヤバいな、妄想するなと言われてもこんなの妄想しまくるに決まってるじゃないか。
見た感じ主導権握ってそうなのはイチゴの方だよな。
とろっとろの表情を浮かべてイチゴにいろいろヤられるアブラナ……うむ、控えめに言って最高だ。
何はともあれ、無事に(?)仮契約を済ませた俺たちは、その効果を確かめるべく演習場へと向かった。
アブラナの乳首を拝めたのは結局初日だけだったが、その後も横乳とか、胸の谷間……谷間? まぁ、膨らみかけの曲線を眺めたりはできたので、早くも演習場は俺のお気に入りスポットと化している。
契約しても能力が変わらない俺と模擬戦をすることで能力の変化を掴むのが目的だが、最初に相手したイチゴの時点で、確かに一回り全能力が強化されている感じだった。
想像以上に素早く、力強く動けることに最初は戸惑いながらも、すぐに慣れていくイチゴ。
一方、アブラナの方にはちょっとした問題が発生していたのだった。
事件はアブラナとの模擬戦を開始した直後に起きた。
開始と同時にアブラナが目にも止まらぬ速さで突っ込んできて、そのまま俺に激突。
お互いに一発でダメージ限界を突破して全裸になり、アブラナに押し倒される形で俺は倒れこんでしまったのだ。
「い……ったぁ……な、何なのよ今……の…………きゃ、きゃあああぁぁっっ!!?」
全裸で密着していることに驚いたアブラナが俺に殴りかかってくる。
いや待て、今の状態で攻撃されたら……(どぴゅっ) あふん。
その後、俺が気を失うまでアブラナの攻撃は続き、下腹部を俺の精液でべとべとに汚したアブラナの姿をばっちりと目に焼き付けてから、俺は意識を失うのだった。
……ちなみにイチゴは途中で止めようとしてくれたらしいが、攻撃が早すぎて間に合わなかったらしい。
良いんだよ、お蔭で良いものが見れたし。
殴られて気持ち良いというのは字面が最悪だが、痛みゼロで無理やり気持ち良くされてしまうのだから仕方ない。
何よりアブラナに射精させて貰って、ぶっかけまくっている場面で今度は意識を保っていられたのだから、2週間前のリベンジはある意味成功したと言って良いだろう。
救護室で目を覚ました後、アブラナが人を殺せそうな視線を俺に向け、変態変態と叫び続けていたのはご愛敬だ。
イチゴがアブラナを何とか落ち着け、さて何が起こったのかと振り返る。
とりあえず、尋常では考えられないほどアブラナが強化されているのは間違いないようだ。
それだけ強化されていると日常生活にすら支障が出そうな気もするが、
「戦闘」を行おうとしなければ、普段通りの力しか出ないらしい。便利だな。
俺の魔力がぶっ飛んでいて、その分強化幅が激しいのではないかという意見がアブラナから出たが、イチゴの方は常識的な範囲だったし、そこまで魔力があるのなら俺は第二のカトレア的な幼少時代を送っていたはずだ。
つまり、強力すぎる魔力が常時漏れ出し、触れた者に魔力中毒なりを引き起こしていたはずである。
考えていても埒が明かないので、教師を捕まえて聞いてみた。
教師たちも心当たりがない様子だったが、年配の教師から「もしかして……」という話を聞くことができた。
『お互いに親密なほど加護は強力になりやすい、という話は授業で聞いていると思いますが、
たまにそれが限界を超えすぎているカップルが居るんです。
お互いのことしか見えていないと言えるほどの、所謂バカップルなんですが……』
なんてこった。まだデレてはいないようだったのに、アブラナは既に俺にぞっこんだったと言うのか。
「ハァ!? 誰が、誰に、ぞっこんですって!? 寝言は寝て言いなさいよ!!」
「あははは……じゃあ、これも違いますかねぇ。 ……あ、ちなみにラティスさんはアブラナちゃんの事、どう思ってるんですかぁ?」
どうも何も、世界で一番好きに決まってる。
伊達にアブラナが好きすぎて世界の壁を超えてきてはいない。これはまだ秘密だがな。
「…………はい?」
「わぁ……♪」
臆面もなく好きだと言い切った俺に、アブラナはぽかんと口を開け、イチゴはキラキラとした表情を浮かべる。
そして年配の教師は『あぁ、やっぱりそうでしたか。まぁ、ほどほどにして下さいね』と言い残して去って行った。
「え? あ、アンタ、あああああたしの事が……?」
うむ、好きだぞ。言ってしまえば一目惚れだ。
あの時は誤魔化したが、最初にアブラナを見て固まっていたのは見惚れていたからだし、挑発するかのようにちょっかいをかけたのはアブラナに意識してほしかったからだ。
あ、契約の時のキスだが、俺も初めてだぞ。好きな子にファーストキスを捧げられると思ってつい全力で説得してしまったが、まぁそっちも納得してくれたみたいだし問題ないよな!
「え、あ、う、や、ば…………馬鹿ああああぁぁぁぁっっ!!!!!」
そして俺は再びアブラナのパンチで全裸に剥かれながら吹き飛ばされ、救護室に逆戻りしたのだった。
Side. アブラナ
好き、って面と向かって言われたのは初めてだった。
あたしは自分で言うのも何だけど面倒くさい性格をしていると思うし、
騎士学校に入るまで友人と呼べる存在も居なかった。
寮で同室になったイチゴは、あたしが嫌味を言っても気にせず、親切にしてくれて……
気が付くと友人と呼べるような間柄になっていた。
……うん、まぁ、夜の"訓練"を一緒にするほどの仲ではある。
そんなイチゴと一緒に学生生活を送っていた時に現れた1人の男。
いきなり胸を見られたときはどうしようかと思ったけど、
イチゴと一緒で、あたしが嫌味を言っても気にしないどころか、むしろ喜んでる気がする。
……マゾってわけじゃないわよね? アイツ、あたしが殴ったときも喜んでた気がするんだけど。
あたしの素直じゃない言動は、多分「甘え」なんだと思う。
本音を隠して、わざと怒らせるようなことを言って……それでも受け入れてくれる、甘えさせてくれる人を探している。
そういう意味ではアイツは、イチゴ以上にあたしを受け入れてくれる人で……
強いし、まぁ見た目も悪くないし、ちょっとスケベだけど、男ならそれくらい普通なんだろうし……正直、気にはなっていた。
ファーストキスは好きな人と、って漠然と考えていたけど、契約の時にキスをしようって言われて拒否しなかった程度には、好きなんだと思う。
で、でも! 100点満点で言うところの20点……ううん、30点くらいなはずよ! マイナス行ってるって事は、まぁ、無いけど。
そんな奴と、あり得ないほどに好きあっているからお前は強くなったんだ、って言われても、戸惑うしかなかった。
実際にあれだけ強くなっているということは……アイツがあたしを好きだって言うのは本当なんだろう。
それも、通常では考えられないくらいに。
口だけじゃなくて、ある意味目に見える形で好意を示されて……
あたし、これからアイツにどんな顔すれば良いんだろう。
自己評価は30点なアブラナですが、実際の好感度は既に50を超えています。
なお、ラティスからアブラナへの好感度は好感度・咲の億を超えています。バグってます。
そして好感度ボーナスはお互いの好感度の「平均値」が参照されます。後は分かるな。