※この作品はR-18です。

短編小説群   作:如月 朔

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うちの子小説その1


1.禁忌の味は蜜の味

あの熱を初めて覚えたのはいつの頃だっただろうか。あの思いを密かに抱き始めたのはいつの頃からだっただろうか。

幼い頃、同学年の1/2だけ集められた体育館、暗がりの中見せられたビデオ。語られた自ら素手で触ったことのないような場所に関する秘密、生命の神秘、命の責任、恋の情熱と愛の意味……。教えを守り、純真無垢を貫いた7年間。トキメキを持って異性に接した時も、さらなる触れ合いを求めて心が急いだ時も、決して破らなかった幼い頃の先生と母との約束。犯すべきでない禁忌

大学に進学し、初めての一人暮らしにも慣れた過ごしやすい春の夜。ベッドに寝転がり、まだ少し寒いからと羽毛の布団にくるまる一つの。月明かりと、スマホからの光だけが、その影が二十歳も超えていない少女だということを照らし出している。

彼女……雪白 凪はネットサーフィンをしていた時に見つけた怪しげなネットサイトを片手に、息を殺す。

画面に映し出さらているのは、明らかにピンク色成分が多い、18歳未満の回覧を禁止する情報サイト。

少女は画面の中に踊る「はじめて」「簡単」「安心」「気持ちいい」の言葉に従うようにゆっくりと手を動かしてゆく。そんなことをしてしまっている動機は……同級生の会話と、人間関係のストレス。

意地になって始めた一人遊び。胸を軽く触り、一休み。何も感じないな、と疑念を抱き画面をスクロールして、中身を読み込み、また触る。少しずつ手慣れてくる手つき、初めてじっくり手のひらで味わう胸の感触。回数を重ねるごとに蓄積されていく体の奥の熱。ただ触られて、揉まれているとしか感じなかった感覚が、次第に甘くこそばゆい刺激に変化してゆく。部屋の中には布団と手がかすれる音と、次第に強くなってゆく少女の吐息。スマホのスクロールは下端まで行き「次へ」の表記がピンク色の中に浮かんでいる。

少女は片手を動かし、「次へ」を押す。よりピンク色の濃いページが眼前に広がる。その内容を再び目で追い、少し葛藤をする。片手をするすると下腹部を通り、自らの下半身へ伸ばして行く。下着を触ると、少し湿っぽい。そのまま下着の中に手を入れて……手に独特な滑りを感じて、スマホと中身の情報のとおり、自らが「準備完了」であると理解する。一瞬これまで守ってきたものが頭にちらつき、母や先生に言われた禁忌がふと心の中に浮かび……体の奥からの熱に突き動かされる。

「……っ」

指を自らの濡れそぼった秘所に、ゆっくりと沈めさせる。下半身から与えられる未知の感覚に指先からどんどん絡めとられてゆく。第一関節まで入ったときには、既に押さえなど効かなくなっていた。指をどんどんと沈めさせ、しっかり奥底まで沈める。彼女の体は、彼女自身の体ではないように、一本の指をキュンと締め付け上げた。そして彼女が感じるのは、腹の下、下腹部から感じる強い疼き。

「んっ……っ……」

スマホの画面の案内の通りに指先を動かす。混ぜる、ひっかける、おしこむ……指先を動かすたびに、口からは声が漏れてしまう。いつしか下着は使い物にならなくなっていた。下腹部の疼きは強まるばかり。

「っ……ぁぁ……ぅ……」

次第に指先は激しさを増し、部屋の中には粘液がかき混ぜられる音が響き渡るようになる。今や疼きは彼女を過激に推し進めていた。口から漏れるのは、快楽の声と疼きを解放したい欲望。スマホをスクロールすると「フィニッシュ」の説明。

はやる指を落ち着かせて、スマホのサイトに書いてある場所に指を置き、おしこむ

「っっぁ……っぁ……」

それは女性の弱点。静的快楽を与える神経を束ねた場所。感じる快楽に脳をとろけさせ、疼きは限界まで膨れ上がり……

「ぁっ……ゃっ……ん……んーっ」

そして、弾け飛んだ。身体中から力が抜ける。肩で息をし、トロリととろけた瞳で宙を見つめる。ゾクゾクするような、余韻の中で、指を抜き取り、テッシュで拭う。

「癖に……なりそう……」

甘ったるい言い方をした呟きを、誰もいない虚空に投げかけて、そのまま彼女は瞳を閉じた。

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