※この作品はR-18です。

タイマニン・アンド・ニンジャ・クロスストーリー   作:タッツー2号

7 / 9

おかしい。エロ小説を書くはずがいつの間にか、スギ花粉に対する憎しみが込められた小説になっていた。だから今回はエロが一切ないです。
次こそはちゃんとしたエロを書きます。




【スギ・ポレン・キルキルキル】

 

 

 

 草木も眠るウシミツ・アワー。昼の間は働く人々の喧騒に包まれている倉庫街も、この時間はハカバめいた静けさが満ちていた。時おり雲の切れ間からこぼれる月明かりと、まばらに設置された照明器具だけが、夜の暗闇を仄かに照らす。

 

 GING! GING! GING! 

 

 その静寂を切り裂くように、硬質なモノ同士かぶつかり合う音が辺りに響いた。

 

 倉庫街を駆け抜けるのは二つの人影。両者共に手に持つナニかを投げつけ合い、その度に硬質な音が幾度も鳴り響く。

 そして音が鳴るたびに暗闇の中で火花が飛び散り、地面や倉庫の壁に、投げつけ合うナニかが突き刺さる。

 

 GING! GING! GING! GING! GING! GING! 

 

 正体不明の影たちは暫くの間、音を響かせながら倉庫街を駆け続けるが、僅かに開いた雲の隙間から差し込む月光が、謎の二人の姿を照らし出した。月明かりに照らされて浮かび上がるその姿は、双方ともに特徴的であった。

 

 片方は血のような赤黒の装束を身に纏い、その目に浮かぶ殺意と憎悪、そして顔には【忍】【殺】と刻まれたメンポを装着。もう片方は頭にハンドサイズに加工された杉の木を一本突き立て、焦げ茶色と緑色のツートンカラーの装束を身に纏い、逆さにした三本杉めいたメンポを装着している。

 

 そしてよく見ていただきたい。双方が投げ合うものを! 月明かりに照らされて浮かび上がるそのシルエットは……スリケンだ! さらに、両者の顔にはメンポ! つまり……これはあからさまなニンジャである! であるならば、これはニンジャ同士のイクサに他ならない! 

 

 

 

「ええい、しつこいぞ! どこまで追いかけてくるのだニンジャスレイヤーめ!」

 走りながら悪態を吐くニンジャ、彼の名はシダーパラン。ニンジャ組織マルカジリ・グループに所属するニンジャである。

 彼はグループより与えられた仕事を終えた帰り道に、ニンジャを殺すニンジャ、ニンジャスレイヤーと遭遇したのだ。

 

 そして互いのアイサツ終了と同時に彼は逃げ出し、それからはニンジャスレイヤーと鬼ごっこをしているのである。当然、捕まったのなら命はない。惨たらしく殺されるであろう。

 

 それを理解しているからこそ、シダーパランは必死に逃げているのだが、ただ逃げているのではない。とある場所へと誘導しているのだ。

 

 そうして暫く追い回されていたシダーパランだが、目的の場所へとたどり着くと、そのまま倉庫の中へと駆け込んだ。それを追うニンジャスレイヤーは、先程から誘導されていることに気付いていた。だが例え何が待ち構えていようとも、カラテでもって殺すのみ。その気概のもと、入り口が開いていた倉庫へと入り込む。

 

 倉庫の中を一歩、一歩と歩く。中は暗く先を見通せないが、ニンジャスレイヤーはアンブッシュを警戒しながら先へと進む。

 

 そして暫くすると……FLASH!!! 唐突な閃光が部屋を照らす。「ヌウッ!」暗闇から急に明るくなった反動で、一瞬ニンジャスレイヤーの目が眩む。この状況に相手からのアンブッシュを警戒して周囲に神経を集中させるが……アンブッシュはこない。

 

 視界が回復したニンジャスレイヤーが、明るくなった倉庫内を見渡すと……倉庫内に立ち並ぶ大型の棚の上で、シダーパランがニンジャスレイヤーを不敵に見下ろしていた。

 

「鬼ごっこはここでお仕舞いだぞ、シダーパラン=サン。潔くジゴクへ行く準備は出来たか?」

 

「フハハハハハッ! 追い詰めたと思ったのか、違うなニンジャスレイヤー=サン! 私がこの場所まで誘い込んだのだ! そしてこの場所がお前のハカバとなるのだ!」

 

 ニンジャスレイヤーの言葉に罵声と嘲笑を響かせながら、カチリとシダーパランが手に持っているスイッチを押し込む。それと同時に、降りてきた合金性のシャッターによって出入口が封鎖される。これでシダーパランの対ニンジャスレイヤー用のキリング・フィールドが出来上がった。

 

「この状況こそ正に、【モスキート・ダイビング・トゥ・ベイルファイア】……つまりお前はノコノコと死地へとやって来た、マヌケな虫けらに過ぎんのだー!」

 そしてシダーパランのメンポには先ほどまで無かったガスマスクが装着されていた。

 

「イヤーッ!」シダーパランがスリケンを投げた! だがスリケンはニンジャスレイヤーに当たらない! なんたるアサッテ! ……いや違う! 

 

BAFUUUUUM! 

 

 先程の攻撃は部屋中に配置された、謎の袋に向けて放たれたものであった! スリケンで袋が破れて中にあった謎の粉が周囲に飛び散る! 

 

「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」シダーパランが投擲する大量のスリケンが次々と袋を引き裂き、中に詰め込まれた粉を周囲に撒き散らす! 

 

 それを危険とみたニンジャスレイヤーも、即座にシダーパランと距離を詰め、カラテを振るう! 「イヤーッ!」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーのジュー・ジツに対してシダーパランは愛用する武装、スギ・ボーを構えて突き出し……激突! 

 発生した衝撃波がぶちまけられた正体不明の粉を巻き上げる! 「クション?」同時に違和感! その正体は……自分の鼻だ! 「イヤーッ!」しかしシダーパランは悠長に思考する時間を与えない! イナズマめいた直線軌道のボーによる突きが迫る! 「イヤーッ!」ブリッジ体勢で回避! 「イヤーッ!」「イヤーッ!」蹴り上げでスギ・ボーの振り下ろしをはね飛ばす! 

 さらにタイドーバックフリップで距離を取ろうとして……「ハックション!?」突如として痙攣めいた生理反応が回避動作に挿入された。その隙を見逃すシダーパランではない! 「イヤーッ!」「グワーッ!」スギ・ボーによる横なぎの一撃! 身体がくの字に折られる! 「イヤーッ!」痛みを無視してニンジャスレイヤーはワーム・ムーブメントで距離を取る! 

 

「フッフッフッ」シダーパランは深追いせずにその場で構えを取っている。その間に体勢を整えるニンジャスレイヤー。マフラーできつく顔を覆うものの、鼻腔を苛む掻痒感は収まる様子を見せない。「ヌゥーッ……!」それどころか鼻を蝕む感覚は眼球と口内にまで広がりつつある。

 

「フフフ。眼も鼻も、爪を立てて掻きむしりたいほど苦しかろう?」長ヤリめいたスギ・ボーを振り回しながら嘲笑を浮かべる。そのカラテに満ちた流麗なボー回しは確かな実力をアッピールしている。

 

「私の使うバイオ汚染スギ花粉の味はどうだ? ニンジャスレイヤー=サン。そのまま我らマルカジリ・グループに楯突いたことを後悔して、涙と鼻水に溺れながらブザマに死ぬがいい」

 侮蔑の籠った声でニンジャスレイヤーを嘲笑う。これこそシダーパラン必勝のメソッド。閉鎖空間内に大量の危険物質たるバイオ汚染スギ花粉を散布して、相手のカラテを阻害しながら自分だけ優位に戦う。卑怯と思うかもしれないが、自らが優位となるキリング・フィールドを構築するのも、ニンジャのイクサにおけるフーリンカザンである。

 そしてこれは対策なく足を踏み入れたニンジャスレイヤーのウカツである! 

 

「たかが……スギ花粉一つで……そこまで誇れるとは……おめでたい頭をしているな。そんなにスギが好きならば……植林活動のボランティアにでも……なったらどうだ」

 生理反応を堪えるニンジャスレイヤーはコトダマを投げつけて相手の反応に耳を澄ます。

 

「フハハハ! 負け惜しみを言うものだ! グループ・ニンジャたちを殺し回る殺戮者も、こうなっては溺れた犬同然だな! このままなぶり殺しにしてやろう! イヤーッ!」

 

「イヤックションッ!」

 スギ・ボーを迎撃しようとするも、カラテシャウトが強制中断! 呼吸をするたびにチリチリと鼻の奥や目の痒みと共に、溢れる鼻水と止まらぬ涙で視界が滲む! 生理的反応の生み出した僅かな隙も、ニンジャ同士のイクサでは致命的だ! 「イヤーッ!」「グワーッ!」シダーパランの持つスギ・ボーがニンジャスレイヤーを打ち据える! 

 

「フハハハッ! 苦しいかニンジャスレイヤー=サン! 今の貴様なぞノロマなタートルに過ぎんのだ! そのまま苦痛に喘ぐがいい! イヤーッ!」

 

「ッ!」

 

 呼吸を止めて汚染スギ花粉を吸引しないようにするが、シダーパランはそうはさせじと、ニンジャスレイヤーへの攻撃の手を緩めない。ゆえに呼吸を止めたままカラテ迎撃! しかし、格闘技経験者にとっては常識だが、シャウト無しの攻撃は大きくその威力を減じてしまう。

 

「フハハ! まだまだ喰らえ!」カチリッ! スギ・ボーを振るう合間にスイッチを押し込む。それと同時に、壁から銃火器が顔を覗かせ……BLATATATATA! 銃弾のシャワーが降り注ぐ! 

 

「ッ! ッ! ッ!」

 呼吸を止めながら回避! 回避! 回避! 次々と放たれる銃弾がニンジャスレイヤーに当たることは無かった。しかし、至る所に設置された袋に当たると、大量のバイオ汚染スギ花粉を部屋中に撒き散らされ、汚染スギ花粉濃度が急上昇! 

「スウークションッ!」そして、いかにニンジャと言えど呼吸をしなければ死んでしまう。しかし息を吸えば体内に侵入したバイオ汚染スギ花粉に対する免疫反応で、眼からドバドバと涙が溢れ、鼻からは鼻水が滝のように流れて呼吸を阻害して、動きに精細を欠く。対して相手の動きに一切の衰え無し。

 

「ヒュー、ヒュー」時間の経過と共にバイオ汚染スギ花粉のアレルギー反応で上手く息が出来ずに涙と鼻水が止まらぬ! このままではアブナイ! 

「フハハハッ! どうしたニンジャスレイヤー=サン! 動きがどんどん鈍くなっているぞ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」

 さらなる加速を始めたスギ・ボーによる高速スピン運動が止まらぬ! 長大なスギ・ボーの間合いは撲殺暴風域と化した! これでは状況はジリープアー(徐々に不利)だ。このまま負けを待っての犬死にか!? だが彼はただのニンジャにあらず。ニンジャを殺すニンジャ。恐るべき赤黒の殺戮者にして死神! そして、ニンジャスレイヤーがいかに恐るべきニンジャであるかを! 今、知ることになる! 

 

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはインファイトボクサーめいた体勢で息を止めて打撃旋風の中へと突っ込んだ! 「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」肩が! 脇腹が! 太股に打撃! だが浅い! 手が届くほどの至近距離では、ボーの威力は恐れるに足らず! 

「イヤーッ!」故に危険を承知で更に踏み込む! 「ヌゥーッ!」シダーパランのニンジャ第六感が致死の未来に警鐘を鳴らす! だが回転は急に止まれない! 即座にボーを持つ位置を変えて撲殺半径を圧縮にかかる! が、時既に遅し! 「イヤーッ!」密着状態! 顔が近い! これはニンジャスレイヤーの間合いだ! 

「イヤーックション!?」「イヤーッ!」だが必殺のカラテを叩き込まんとした瞬間! 生理反応の生み出した瞬きの遅れが勝敗をぐるりと変える! 一瞬が産んだ隙はスギ・ボーに致命速度域への加速を許した!

「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」「グワーッ! グワーッ! グワーッ! グワーックション!」最早ニンジャスレイヤーはまな板の鯉に等しい! 「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」「グワーッ! グワーッ! グワーッ! グワーックション!」肩が! 脇腹が! 太股の肉が削られる! 十二分の回転速度があれば、ボーであろうとニンジャの肉を抉れるのだ! ニンジャスレイヤーはこのままヤスリにかけられるように、じりじりと削られてしまうのか!? 否! 撲殺台風の最中でもその目が怯むことはない! 

 

「イヤーッ!」「イヤーッ!」ガゴッ! ニンジャスレイヤーはクシャミをコンジョで押さえ込み、スギ・ボーにチョップを叩き込む! そのままカラテ反動を利用して高速カラテ回転! シダーパランから距離を取りながらカラテチョップで次々と棚にある袋を引き裂き、部屋中にさらなる大量のバイオ汚染スギ花粉をぶちまける! 「イヤーッ!」さらに高速カラテスピンが竜巻めいた暴風を引き起こし、倉庫内に大量のバイオ汚染スギ花粉を飛散させる! 

 

「フハハハッ! ヤバレカバレかニンジャスレイヤー=サン? 無駄な抵抗などせずに、涙と鼻水を垂れ流しながらブザマに死ぬがいい!」

 嘲り笑うシダーパランだが、ニンジャスレイヤーの目には諦めの色は欠片もない。しかし退路を絶たれ、アレルゲン反応でカラテを阻害されるこの状況下で一体どうするのか? …………こうするのだ! 

 

「イヤーッ!」ガチンッ! ニンジャスレイヤーがサークルガードを擦り合わせ、火花が散った瞬間! 

 

CABOOOOOM!!! 

 

「「グワーッ!」」

 爆発! 賢明なる読者の皆様なら即座に気付いたであろう。これは粉塵爆発だ! 出入口がシャッターで塞がれているため、逃げ場のない爆炎と衝撃が二忍を襲った! 

 

 なんたる皮肉か、確実にニンジャスレイヤーを抹殺するために築き上げたキリング・フィールドが、それを構築したシダーパランにも牙を向くとは。しかし、敵の用意したキリング・フィールドを利用する。これもまたニンジャのイクサにおけるフーリンカザンなのだ。

 

「グワッ! …………オノレー! ニンジャスレイヤー=サンはどこに……」

 

 粉塵爆発をなんとか耐え凌いだシダーパランだが、被害は甚大であった。倉庫は崩壊し、用意していたバイオ汚染スギ花粉入りの袋は爆炎に焼かれほとんどが焼失。さらに遠隔操作トラップも動作不良を引き起こしている。そして、爆発による炎と衝撃がシダーパランを痛め付けていた。だが、身体の損傷を無視して辺りを見渡しニンジャスレイヤーの姿を探すシダーパランだが、一向に見つからない。

 

「何処を探している? シダーパラン=サン」

 

 そんな彼の背後から声が掛けられた。そう背後である!? ……そこには装束の所々を焦がしたニンジャスレイヤーの姿が! 

 

「イヤーッ!」「グワーッ!」振り返ったシダーパランが頭から地面に叩きつけられる! 「イヤーッ!」「グワーッ!」さらにカラテチョップが両腕の骨を粉砕! 「イヤーッ!」「グワーッ!」もう一度繰り出されたカラテチョップが両脚の骨を粉砕した! 

 

 ミシリ! 「グワーッ!」そして、シダーパランを脚で押さえつけたニンジャスレイヤーの手には、今回のイクサで彼を苦しめた汚染スギ花粉入りの袋が握られていた。

 

「そんなにスギ花粉が好きか? ならば心ゆくまで吸うがいい。オヌシが用意した汚染スギ花粉をたっぷりとな! イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーの左カラテ・パンチがガスマスクとメンポを砕く! 「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーの右カラテ・パンチが、袋を引き裂いてシダーパランの顔面にバイオ汚染スギ花粉を叩き付ける! 

 

「ヌ、ヌヌヌウーッ! ………………スゥー……ハークション!」必死に息を止めるが、身体は窒息死回避のため呼吸! そして生理反応クシャミ! 「ヒークション! フークション! へークション! ホークション!」涙が溢れ、鼻水が止まらぬ! 体内に侵入したバイオ汚染スギ花粉に対して、シダーパランの免疫機構は一切の慈悲なく正常に機能して、彼自身を苦しめ始める。

 

「グワーックション! オボーックション! アバーックション!」アレルギー反応が止まらない! くしゃみをする度に口内を大量のバイオ汚染スギ花粉で塞がれ、涙と鼻水に溺れてブザマにのたうち回りながら、ニンジャスレイヤーの拘束から逃れようと必死にもがく。だが……「遠慮するな、オカワリもくれてやろう。たっぷり味わうと良い。イヤーッ!」「アバーッ!」ムジヒ! ニンジャスレイヤーはさらに追加でシダーパランの顔面へとバイオ汚染スギ花粉をまぶしていく! 

 

「アバックション! アバッ! アバ……ッ!」涙と鼻水にまみれた顔にべったりとバイオ汚染スギ花粉が張り付く! 空気を求めて身体をクネらせて必死にもがく姿はまるで、まな板の上のウナギめいて滑稽だ。「……ッッ!! ……ッ! ……!」ビククッ! ビクッ! ビクンッ! 陸に打ち上げられた魚めいて痙攣動作を続けるが、程なくして大きく痙攣したのを最後に、シダーパランはその動きを止めた。断末魔も爆発四散もなく、サヨナラの言葉すら言えなかったブザマすぎる最後であった。

 

 

 

【スギ・ポレン・キルキルキル】おわり

 

 

 

 




・登場人物

ニンジャスレイヤー
ニンジャを殺すニンジャであり赤黒の殺戮者。今回もまたニンジャが出たのでスレイした。あとエロもスレイされた。

シダーパラン
ニンジャ組織、マルカジリ・グループに所属するニンジャ。事前に構築したキリング・フィールドに誘い込むことにより、ニンジャスレイヤーを苦しめたが、機転を効かせたニンジャスレイヤーの手によって殺された。


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