東方逃亡失敗談 作:みずねかつは
投稿を忘れたわけではないのですよ。シチュエーションが思いつかなかっただけなのです。なんか隠れ蓑の方が首絞めなんてなかなかアブノーマルなプレイを出してしまいましたし……
にしてもまだ見てくれてる人がいることに驚いてます。
この回は復活後ナズーリンに自宅まで連行された後のお話です。
鼠に四肢を拘束されて、私は仰向けになった。体の脇にナズーリンさんが座り、私の服をめくる。
「鼠ってさ、雑食なんだ」
ナズーリンさんは私のお腹を指でなぞりながら言う。
「鼠の前歯は生えかわらないんだ。何故かわかるかい?」
私は首を振った。おそらくいい意味ではないし、私はきっと不味い状況にあるのだと思う。
「相手を噛み殺す。食物を噛み切る。その過程で鼠の前歯は研磨され鋭くなっていく。折角磨き上げた歯を生えかわらせるなんて勿体無いだろう?」
「それ、は、わかります。でもなんで今」
ナズーリンさんは目を細めた。それにどう言う感情が込められているのかはわからない。
「説明だよ。予め知っておいた方が私にとっても君にとっても良いことさ。で、最後に。私の鼠は妖力で作られている真っ当な生物じゃないんだ」
きぃきぃと鳴きながら、一匹の鼠が私の胸の上に登ってきた。私が思っているより鋭い爪で、ぬらぬらと光る前歯が存在感を放つ。
「ここから先はやった方が早いね。君は言いたくないみたいだけど、口を割るなら早めにすることを忠告するよ」
ナズーリンさんが私の鼻を摘んだから、息ができなくなって思わず口を開いた。胸元にいた鼠が私の顔に、いや、これは──
「んぐぇっ、か、かはっ、ぐうぇ」
鼠は、口の中に入ってきた。喉を、食道を爪で引っ掻いて奥へ奥へと進んでいって、私は胸に激しい痛みを覚える。数秒か数分かわからなかったが、しばらくするとずるりと言う感触と共に痛みが治った。
「うん、胃まで入ったみたいだね。じゃあ質問だ。君は聖輦船について何処まで知っている?」
「…………実は」
「ああ、嘘は無しだ。胃を食い破られたくなければね」
どうしようもなかった。答えたら死ぬし、答えなくても死ぬだろう。この場合余計な知識を持っているのがバレないように「答えない」と言う選択がベストなのだろうが、それは当然この苦しみが長く続くことを意味する。私の胸元で這い回る鼠が嫌に気持ち悪い。
「うーん。返事しなくても良いけどさ、もっと酷いことになるよ。トガリネズミって知ってる?」
「知らない、です」
「体が小さいせいか、餌を食べないと数時間で餓死するのさ。君の胸中にいるのもそいつらがモチーフ、つまり……いつかは痺れを切らして餌を求めてしまうかもしれないね」
最悪だ。時間制限もあるらしい。どうしろと?
そもそも知識の出所が前世なんて怪しすぎるしその場凌ぎの言い訳にしか聞こえない。つまり私は鼠が我慢できなくなるまでに適度な言い訳を考えなくてはならないわけだ。
考えろ、考えろ、考え──
「ぎいっ」
「あのねぇ。この問答に考える必要があることなんて一つもないんだよ。君はただ知っている知識を口に出すだけでいい。それで解放されるんだ。逆に何か考えてるってことは……」
ナズーリンさんが新たに鼠を用意して私の胸の上に乗せた。
「私を騙そうと思ってる、ってことだ。やっぱり一度痛い目を見ないと分からないらしいね」
私の胸をゆっくりと下腹部の方へなぞる。すると痛みの源泉が徐々に下に向かって移動していった。
「何故わざわざ妖力で出来ている、なんて言ったかわからないだろうから教えてあげよう。生きていないと言うことはすなわち、増えるのに生殖する必要がないってことさ」
「いだぁっ……!」
下腹部の痛みが急激に激しくなった。内側から抉られ、切り裂かれ、引きちぎられる。お腹が張るような圧迫感。
「いだい、いっ!ぐぅぅ……」
「簡単に言えば、エネルギーさえあれば増える訳だ。ほら、早くしないと君の腹の中が鼠で一杯になるよ?」
下腹部が自分の意思に関係なく上下しているのが見えた。あまりの悍ましさと恐ろしさに、私は逃れたい一心で答えを口に出した。
「
……痛みが、止まった。ナズーリンさんは無表情だった。
「はぁ。もういいや。君からは碌な情報が得られなさそうだ」
「え、いや、まって」
「前世の記憶?聖輦船って名前がつく、なんて未来の話を?惚けるのもいい加減にしなよ」
「ちが、これはほんとうであああだががいいぃぃぃあがが」
▽▽▽▽▽▽▽
妖精の腹が孕んだように膨らむ。その肌の下は何かが多数犇めくかのようにに蠕動している……まあ、自分が妖力を餌に生み出した鼠なのだが。やがて一際大きな悲鳴と共に腹が食い破られ、小さな血濡れの鼠がわらわらとあふれ出た。
「かっ……は、ひゅう、ひゅう」
妖精が何か言おうとしている。腹を食い破られて声を出せるはずもない。うん、うるさくならないのはいいことだ。腹の中で増えた鼠も合わせると妖精の体を覆えるほどの頭数がいる。十分だろう。
「こんなとこ、星には見せられないな。証拠隠滅、と」
「はっ、はっ──ひぃ」
「最後に教えてあげよう。鼠は暗くて狭いところが好きなんだ。眼孔なんかもそうさ。君の体には──随分とそういった場所がありそうだね?」
しばらくの間、部屋には空気の抜けるような音と湿った音が響いた。やがてそれらの音は
カリカリコリカロコリコリコリカリコリカリコロカリ。ぐちゃ。
と一際耳障りな音を立てて、それから静寂が訪れた。
久しぶりに書けた。うれしい。
こうしてみると自分の性癖(カニバリズム)系の話ばっかりでどうにも、性癖の幅が狭いなと思ってしまいます。
他のキャラのが書けないわけではないですが、どうにもヴィーがすぐに死ぬんですよね。でもなぁ……そろそろリアル鬼ごっこするお話も書きたいし……