※この作品はR-18です。

東方逃亡失敗談   作:みずねかつは

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ノーカン……!ノーカン……!!


にとりさん

くちゅくちゅ。

その無機質な部屋には粘膜が何かに触れるような、泡立つような音が響いている。

 

「さぁ、もっと。もっとほしいな」

 

返事は、なかった。

 

 

 

 

△△△△△△△△

 

にとりさんは難しい顔をして考え込んだ。

 

今日はにとりさんのところに雇ってもらえるかの判断の最終日。

紅魔館で培った家事スキルで胃袋をつかんだ私は、更に自分の前世の知識を活かしてポイントを稼ごうと思っていた。

そのために、わざわざ設計図まで書いたのだ。

身振り手振りを加え、頑張ってアピールしたのだが……

 

 

──もしかしてプレゼンダメだった?このスマホを基にした携帯型連絡装置、にとりさんのところで働く上で最高の手土産になると思ったんだけど……

 

「なぁ、そんな感じのやつって他にもアイデアがあるのかい?」

「え?あ、ありますよ。いくつかならすぐ言えます。閃く能力は伊達じゃないです!」

 

嘘だ。けれど、そうでも言わなきゃこんな突飛なアイデアが無から生まれるなんて誰も信じないだろう。

 

「ふーん。そうか。うん。決めた」

「それじゃ──」

 

 

「君は解剖しよう」

「───は?」

 

「いやね?別に君のままでも良いんだけど、効率が悪そうだからね?それならいっそ直接脳につなげて、情報を絞り出しちゃおうかと。その閃き……いやもはや発明の領域にあると言っても過言ではないそれ。あまりにも有用性が高すぎる。正直なところ、パワーバランスが崩れるレベルだよ。だからね──君は私が独占する」

 

 

 

「い、いやいやいや!私はどうなるんですか!?」

「君の体は無事だよ。用があるのは脳の中身だけ。魂はそっとしておいてあげるからさ」

 

そう言ってにとりさんは背中のリュックからマジックアームを伸ばし、私の腕を掴んだ。

 

 

「い……嫌だ!やめてください!離して!」

「静かにしてくれ」

 

そう言ってにとりさんはスイッチを押す。私の体に電流が流れた。

 

「ぐぅっ!」

「いったぁ!?………今、何したんだい?」

 

不味い。跳(・)ね(・)返(・)し(・)て(・)し(・)ま(・)っ(・)た(・)。

 

 

「なるほど。君の能力、閃くことなんかじゃないね?」

 

 

勘が鋭すぎる。誤魔化せそうにない……

 

「いや良いよ別に。むしろ知識だけがあるっていうならその方が楽だ」

 

 

 

そう言ってにとりさんは別のボタンを押し、自分はリュックからガスマスクを取り出し被った。

 

途端、あたりから煙が吹き出す。

 

どう考えても毒だよね、これ………反射できないじゃん。

そう思いつつ意識を失う。そのまま、堕ちてゆく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……よし!うまくいったみたいだね。どうも反射に近いことができるみたいだし……オペは全部アームにやらせようか」

 

 

 

 

そう言ってにとりは手元のレバーを操作する。

 

台に固定されたヴィーの頭の周りにはドリルやらノコギリやらおよそ生物相手に使うものではないと断言できるようなシロモノばかり。

 

 

「じゃ、まずは頭蓋骨落とそうか」

 

 

にとりは丸ノコを動かす。そのままヴィーのおでこに近づけて、

 

 

ガリガリガリガリ!!!

円を描くように削る。円形の骨が頭から外れて落ちた。奇妙なことに……それはどこか、河童じみていた。

 

「うん……うん。目立った損傷もなし。いいね。次の段階だ」

 

 

にとりは操作を続ける。次に動かしたのは細い金属の棒だった。

 

 

「妖精の脳って人と同じだっけ?多分同じだよな」

 

 

そう言いつつ剥き出しになった脳に棒を突き刺した。

 

 

「あっ、あー、あぅう」

 

ヴィーが口から言葉にもならない呻きを上げる。

 

 

 

くちゅくちゅ。みちみち。ぎし、ぎし、ぷつん。

 

 

「……よし!うまく摘出できた!あとはこれをこっちのコードにつないで……と。よし。脳を基盤にしたコンピュータ、試作で止めてたけど……よくとっておいた私!…………さて。体の方は……まあ外付けで人格でも埋め込めばいいかな。あの家事スキルは魅力的だよね……」

 

 

 

 

 

にとりの独り言は止まらなかった。

でも、この先。独り言になることは少なくなる。

そう思うと。少し、嬉しかった。

 

 

 

 

△△△△△△△

 

 

 

 

 

 

キーボードを操作する。

 

「うーん、やっぱり人工知能とかと違って考え方が柔軟だな。教えてないことを考えるのは今までの技術じゃどうにもならなかったし……ここまで高度な思考はわたしの力じゃ一から作るのは難しいな……うん。我ながらすごいものを作った……君もそう思うだろう?」

 

 

画面に向かって話す。返事はない。

 

 

 

「にとりさん?にとりさーん!ごはん、できましたよー!」

 

 

「あぁ、いまいくー。今日はなんだい?」

「りくえすとにおこたえして、きゅうりづくしです!」

「いいねぇ!いつもありがとね」

「いえいえ!これもしごとですから!」

 

 

にとりと笑い合うメイド服の少女。その頭には、未だに痛々しい傷跡が円を描くように残っていた。




でも脳姦じゃないんだって。
というか百合だもの。挿入するアレがない以上アブノーマルにならざるを得ないって感じ、しない?

そういえば。
この小説、思ったより見てる人がいて驚いてます。正直100人行けば万々歳くらいに思ってました。お気に入りしてくれる人もいりゃ隠れ蓑の方に感想で伝えてくれる方もいて、ちょっとテンション上がってます。


この回は隠れ蓑の方の幽々子様回を書いた後に書き上げています。プロ風にいうなら書き下ろし、ってやつですかね……?プロじゃないしアマチュアレベルでもないんでアレですが。
いやー。わたしもにとりにこき使われてその一生を終えたいですね
ぇ……では。また。
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