※この作品はR-18です。

六三四の剣 母その後   作:佐助さん

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謝罪の始まり

 「抵抗するならまた電話しましょうか」とか「緑子! 旦那に電話してきなさきい」などと脅かされながら手際良く後ろ手に縛られてしまった。

 

 恥ずかしさで後ろを向く佳代を、三郎と緑子はあうんの呼吸で脅し、なだめながら前を向かせる事に成功する。

 

 素っ裸で手首を後ろで縛られている佳代、顔を真っ赤にして唇を口に丸め込む、鼻腔が下に引っ張られて縦に伸びている。

 

 鼻腔を縦に伸ばす、女が良くやる仕草である、この仕草は男を喜ばせる、佳代はもちろんそんな事は知らない、しかし、知らないながらも女性フェロモンを出してしまっているのだ。

 

「今から謝罪して頂きますが、その前に1つ質問があります」

 

「こ、こんな恥ずかしい格好で謝罪もなにもないですわ! 縄を解いて下さい」

 

「分かりました、質問に答えて頂ければ、あなたの要望も考えないではありません、どうですかな?」

 

 手を縛らせたのはどう考えても間違いであった、佳代は激しく後悔する、兎にも角にも、この状況を何とかせねばならない、帰りが余りに遅いと幹夫が心配するだろう。

 

 先ほどの電話でもかなり心配しているに違いない、お臍で謝罪しろと言うのなら、謝罪をして早く家に帰るのが懸命だと考えた。

 

 三郎の質問とやらにも答え、謝罪して帰る、それだけだ!

 

「し、質問はなんでしょうか、言って下さい」

 

「うむ、では質問させて頂きますよ、あなたの体はとても美しい、それに、なるほど自分で自慢するだけはあって、ヘソも縦長で美しいヘソだ」

 

 ヘソを褒めた後、更に体について追求する。

 

「しかし……あなたの体を見てまず真っ先に注目してしまうのが、美しいヘソではありません、股間の淡い茂みでもありません」

 

 質問すると言っておきながら、なかなか本題に入らない、三郎の質問がどのような物なのか佳代は皆目見当がつかなかった。

 

「形の良いお椀のような乳房……このお椀の頂点に陣取る突起物、つまり乳首、この乳首が異様に長いですな」

 

 ただでさえ裸で恥ずかしいのだ、それをコンプレックスである乳首の事を言われ、佳代は死にたい気分になる。

 

「あなたの長い乳首、生まれながらだとは思っていません、いつからですかな長くなってきたのは、再婚されたと聞いています、前のご主人ですかな? それとも現在のご主人ですかな?」

 

 三郎の質問とはこれの事だったのだ、何というハレンチな質問だろう、佳代は余りの侮辱、余りの情けなさに涙を浮かべる。

 

 実のところ、乳首が長くなったのは幹夫のせいである、前の夫、宗一郎の時は至って普通の乳首であった。

 

 幹夫は夜の営みのたびに乳首を舐めて吸う、その吸う力が尋常ではなく吸うのだ、しかも洗濯ばさみで挟んできたりもする。

 

 そんな事をこの場で白状できる訳がない、答えるのもバカバカしいが何か言わねば帰してくれそうもない、佳代は涙を浮かべながらも

 

「わ、私の……そこは昔からです、結婚前からです、最初の結婚前からですわ……」

 

 ウソを付いた、ブワッと涙が溢れ出る、言葉に出すと惨めさで溢れてきたのだ。

 

「泣きながらウソを付くんですな、実は私は知ってますよ、再婚してから乳首が長くなったんです、今のご主人はなかなかの変態ですな、はっは」

 

「な、何を言ってるんです、わ、私の事はともかく、主人をバカにするのは許しませんよ! そ、それに……結婚前からだと……い、言ってるでしょ……」

 

 三郎が本当の事を知っているハズがないのだ、ここはウソを突き通す。

 

 しかし三郎は本当の事を知っていたのだ……息子の六三四から聞いていたのだ、天真爛漫な佳代はよく六三四の前を下着で歩いたり、風呂上がりにバスタオル1枚でうろついたり……六三四は見ていたのだ。

 

「息子さんから聞いたんですよ、再婚してから乳首が長くなったとね」

 

「い、いい加減な事言わないで! 六三四がそんな事言う訳ないでしょ! 私の自慢の息子よ!」

 

 幹夫をバカにされた時以上に激しく言い放つ。

 

「父親が変態、息子も変態、あなたも変態」

 

「いい加減にしなさい! 縄を解きなさい、早く!」

 

「それがこれから謝罪をしようとする者の態度ですかな? 八重樫先生」

 

「……あ、あなたが私たち家族をバカにするからです、さあ謝りますから、主人が待っているんです」

 

「では息子の前に行って下さい」

 

 剛志は頭に包帯、手はギプスで固定と痛々しい姿である。

 

(落ち着いて落ち着いて……ここはとにかく誠心誠意謝る、それしかないわ)

 

 ふんぞり返って立って待つ剛志、股間を少しでも隠そうと内股で剛志に歩み寄る佳代。

 

「先生、乳首長いっすよねえ」

 

「ま、豆田くん、そ、そんな事言ってはいけません」

 

 自分より大きい生徒に、頰を染めた顔を上げて注意する。

 

「さあ息子に謝って下さい」

 

 この屈辱、教師が生徒に謝る、裸で。

 

(冷静に冷静に、謝って帰る、それだけよ)

 

「ま、豆田さん、こ、この度は……」

 

 剛志に心を込めて謝罪する佳代、最後は後ろ手に縛られているが腰を曲げて深々とお辞儀をした。

 

 

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