NARUTO世界に転生してのほほんと暮らせると思うな 作:えむさいず
5歳も半ばも過ぎた頃、とうとう祖父母に脱獄がバレてしまった。まあ、脱獄の瞬間は見つからなくても頻繁に家の中から居なくなったらおかしいと思うよね。
何とかごまかして半年近く過ごしてきたのだが、とうとう怪しんだ祖母に家中に隠しカメラをつけられてあえなく御用だ。はあ、早く影分身覚えたい。
どうすんのよ影分身。チャクラコントロールばっかり上手くなっても仕方なくない?
おかげでリアルスパイダーマンできるようになったんだけど…手首からチャクラ糸をシュバっと出してターザンごっことか子供達の前でやったらバカうけだぜ。あの時の俺は間違いなくヒーローだったね。
そんなことより祖母よ、隠しカメラまで設置して監視するなんて孫に対してやることですかね。こちとら家事全般に内職までやっとんじゃ!
模範囚として少しの自由時間くらいいただけないものでしょうか。
今の家の収入の半分は俺の内職じゃないですか。
それを祖母が内職して稼いでることになってるじゃないですか。
何でこんなに苦しいんでしょうか。
前の人生でも思ったけど生きるって大変なんですね。早く独り立ちしたい。
「何をぶつぶつ言ってんだいこの餓鬼、遊ぶ時間があるなら仕事しな。おばあちゃんがとっても良い仕事を探してきてあげたから」
「かなり条件(給料)がいい仕事だからな、頑張って稼ぐんだ。お前みたいなガキでも雇ってくれるんだ。死ぬ気で働いて爺ちゃんたちを楽させておくれ」
このクソ祖父母がいつか復讐してやる、今決めた。
絶対やっちゃる。
脱獄がバレた翌日早速、仕事を見つけてきた祖母に言われた俺はある場所に向かっている。
ちなみに祖母が出かける俺に言い捨てた言葉は、
「絶対に逃げるんじゃないよ、逃げても見つけ出してもっとたくさん仕事をしてもらうことになるだけだからね、あんたみたいなガキは死ぬまで一生私たちに使われる人生だよ。諦めな」
労働意欲を一切合切奪っていく言葉だった。
10歳になったら出て行こうと決心した。
いくら世間の目が厳しくても一人で生きた方がマシだと思った。
そんな事を考えながら着いた先は一軒の古びた本屋だった。正面には年季の入った看板がデーンと置かれている。なんて書いてあるかは…読めない。字が崩され過ぎない読めないのだ。ネグレクトだからといって祖父母の会話と新聞等からある程度文字は読める。
「人の店の前にぼーっと立ってんな小僧、邪魔だからあっちいきな」
「あの、今日からここで働かせて頂くことになってる夕立アサツユと申します」
店の前で看板を見上げていると、50半ばほどの渋いおっさんが気怠そうに声をかけてきた。俺はおそらく雇用主になるおっさんに対して被雇用者として丁寧に頭を下げた。
人の印象は初対面で決まるっていうし、お金払ってこんな5歳児雇ってくれるなら頭ぐらいいくらでも下げますヨォ。
ついでに少し優しくしてくれると凄く嬉しいです。
「はぁ?こっちは十代半ばの可愛い子が来るって聞いて高い給料払って雇うつもりだったんだけど、お前俺のこと馬鹿にしてんの」
「いえ、そのようなことは決して…」
「…ちっ、とりあえず中に入れよ。やってもらうことはいくらでもあるんだ。流石にお前みたいな坊主に給料は満額ださんが、働き次第だ。俺に手を出させるなよ」
…ダメみたいですね。
一気におっさんの態度が厳しくなった。暴力的指導も示唆されております。
あの糞ども、詐称してまで5歳児を働かせたいのかよ。
てかこのおっさん従業員に何するつもりだったんだよ。
うわ、この本屋、汚っ、埃すごっ。こんなんで客はいるのかよ。
「坊主にやってもらうのは、全部だ。この書店の本の管理、清掃、販売、販促の作成、売上の管理。金ちょろまかしたら承知しねぇぞ。あとこれノルマな、下回るとお仕置きだから。あー美少女に言いたかったこのセリフ。あ、あと家事全般。俺、朝飯まだなんだよ適当に作れよ」
「えぇ…全部て、それは流石に…」
「…あぁん?こっちは経歴詐称されても雇ってやるんだぞ。それに仕事内容は契約と違ってねぇ。煮るなり焼くなり好きにしろって言われてんだ。辞めたいなら辞めろよ。出るとこ出るだけだからな、経歴の詐称で違約金踏んだくってやる。」
「…あーはい。わかりました。材料は冷蔵庫のものを使っても?」
「今回だけだ、次からお前が買ってこいよ」
死んだ。ほぼ人身売買じゃないこれ。奴隷だよ奴隷!給料高いの納得ですよ。頭で今後のことを考えながら、手では朝食を作っている。毎日作ってるからなれたもんだ。
逃げようと思っても逃げれないんだよな、5歳児では一人暮らしも出来るはずがないし、里の外で野宿生活も生き残れる気がしない。どっかで住み込みで働こうにも、あの祖父母がいたらこんなどブラックな職場になるわけだ。あの祖父母は外面はいいから、5歳児のいうことなんて信用されないだろうし。
ダメだ、現状打てる手はない(死んだ目)。
いいか夕立アサツユ。
忍者とは忍び耐える者のことなんだよ!
場所は変わって、里の郊外、夕立家の近くを歩く男がいた。
(なーんで俺がこんな任務しなきゃならないのよ、里の中で5歳児の身辺調査なんてどう考えても暗部の上忍にやらせる任務じゃないでしょ)
長身、白髪、額当てで片目を隠している男は内心文句を垂れながら、聞き込みを行なっていく。
「もし、そこのご婦人。この辺りに夕立さんのお宅があると伺ったのですが…なにぶんこの辺りには不慣れなもので」
「あらやだ、こんなおばさん捕まえて、ご婦人なんて。夕立さんの家ならあの角を曲がってすぐだよ。立派なお家だからすぐわかるはずさ。それより、夕立さんに何の用だい?あんたみたところ忍びでしょう?」
「ありがとうございます。なに、以前困っているとこを助けて頂いたものでして、お礼に伺っているのですよ」
「そうだったのね。立派な人だよあの人たちは。この辺の家の人はみんな夕立さんにはお世話になってるからね。たまに夕食のお裾分けを頂くんだけど信じられないくらい美味しいのなんの。娘夫婦が先立って残された病弱な孫を一生懸命育ててらっしゃるからね。その上お婆さんは家計を助けるために内職までしてる。その内職も評判がいいんだよ。とても几帳面で出来がいいってね」
「ほう、やはり立派な方だったのですね。病弱なお孫さんがいるのですか、それは心配ですね。今度お礼に忍に伝わる妙薬を持っていきましょう」
「それはいいわ!孫のアサツユちゃんもとっても可愛いのよ!病気がちで家からあんまり出てくることは無いみたいだけど、あったときはきちんと挨拶してくれて、うちの子供にも見習わせたいわ。でもちょっと体が小さくて痩せているのが心配よね。病気だから仕方ないことなのでしょうけど」
「そうですね、とりあえず今日はお礼のご挨拶だけでもさせて頂こうと思います。お忙しいところありがとうございました。ご婦人」
そう言って、男はよく喋るご婦人の元から移動する。
(しかし、都合よく知りたいことをベラベラと教えてくれたなあの婆さん。正直今日の成果としては充分なんだが、ついでに行っときますか)
男は夕立家の門の前まで来ると、控えめに声をかけた。
「あのー私、忍の鳥除と言うものなんですが、誰かおられますか?」
「はい、少々お待ちくださいな。忍のお方、どうされましたか?」
門から品の良さそうな婆さんが出てくると、ニコニコと微笑みながら、用件を聞いてくる。
(うーんこれは、何かあるね。忍びに対する嫌悪感か?珍しくはないが)
上品に微笑む婆さんだがその表情には微かに嫌悪感が浮かんでいた。
男は用件を伝えながらも相手の表情を読み取り思考していく。
(やはり妙だな、先ほど聞いた話は事前に名家の子ども連中に聞いた話と食い違いが多い。
夕立アサツユは活発で身体能力は忍一族の子らと遜色ないほどに高いはずだ。
それが病弱で家引き籠もっているだと…)
「おそらくお宅の子供さんだと思うんですが、アサツユ君に以前ちょっとした事で助けてもらいまして。今日はそのお礼ができればと伺った次第です。あのこれ良かったら皆さんでお食べください。虎屋の羊羹です」
「これはご親切にありがとうございます。ですがうちの子は今寝込んでしまっていて、申し訳ないのですが、お礼は伝えておきますので」
(かなり無理して取り繕っているな。おー怖い怖い。かなりはっきりとした怒りが浮かんでいる。これはかなり事情があるとみるべきかな。さてもう一押し)
「そうなのですか、あの時はあんなに元気だったのに。いろいろとお喋りもしたんですよ。楽しかったなあ。これでも私、医療忍術を学んでおりまして、助けになれるかもしれません。もしよろしければアサツユくんを診せて頂けませんか」
そこまで言うと男は、相手の反応を伺った。
婆さんは下を向き何かを考え込んでいるように見えた。よく見ると肩が微かに震えている。
次第に俯きながらブツブツと小さな声で独り言を言い始めた。
「なんでなんでなんでなんでいつもいつもしのびしのびしのびなんであのこもなんでしのびなんてつぎはうまくいくっておもってきびしくしつけたのになんでもっときびしくしないと…」
(これはかなり来てるな、ダンゾウ様のご依頼だからろくなもんじゃないと思っていたが…潮時だな)
「ご婦人、ご気分が優れないようです。今日はお休みになられては。またアサツユくんの体調が良い時にでも伺わせていただきます」
そう言って男がいつまでも俯いている婆さんに近づいて肩をそっと叩いた時だった。
婆さんは男の手を振り払うと血走った目を向けて歯をむき出しにして言った。
「私に触るんじゃない!2度とうちに近づくんじゃないよ!忍なんか死んでしまえあの子はずっと家の物だよ。どこにも行かせない家にずっとずっと」
それだけ言うと婆さんはブツブツと独り言を言いながら家に戻っていった。
「あの子はずっと家にいるから、だめ前はそれで失敗した。ずっと家にいてはダメ。外でももっともっと厳しくしないと、仕事もきつくして脱走なんてできないようにクタクタにしてもっともっと…」
「何だったんだいったい。もう一度夕立家について調べるか」
男は婆さんの狂態を見てもさして動揺せず調べ物をするために帰路についた。
なおこの男が婆さんの不安を煽ったことによって主人公への締め付けはさらに強くなることとなった。
今がどん底と思ってはいけない、まだまだ下がある…不幸は単独では来ないものだから。強く生きてくれ!!
何故かホラーっぽい展開に
エロまではまだ長そうです。
もう少々お待ち下さい。
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