シノギ
ラグーン商会の一員となった翌日、激しい頭痛と共に目覚めた俺は混乱した。
充てがわれたマンションの一室に帰ってきたところまでは辛うじて覚えてはいる。
確かレヴィとジョーに引きずられて帰ってきて、ベットに放り込まれたはずだ。
しかし、何でだ?何故全裸なんだ?それだけならまだしも、何故全裸のエダがいる?思い出せない。
初めて酒を飲んで記憶を無くした。
ヤっちまったのか?それならば尚更記憶を無くしてしまったことが悔やまれる。
「エダ!エダ!起きて!」
エダを無理やり起こしてことの成り行きを聞き出さねば。
「何だい、レイ?もう起きちまったのかい?もっとゆっくり寝てようぜ。」
アンニュイな笑みを浮かべて、エダは起き上がった俺を再びベットに押し倒す。
「あ、いや、すまん。記憶がないんだ。何でお前が俺のベットにいるのか、察しはつくが記憶がない。その…ヤっちゃったの?」
「すごく良かったぜ。レイの息子。」
エダは恍惚と意地悪を混ぜた笑みを浮かべて、じっと俺の目を見ながら昨夜のことを話し始める。
「レイがベットに入ってすぐくらいに私もベットに入ったんだよ。約束したから相手してやろうと思ったんだけどさ、あんたが寝てるから止めようと思ったんだけど、一丁前に勃ってるじゃん?しかもなかなかいい形してんじゃないか。ついね、つい。…っておいおい、なんてツラして私を見てんのさ?そんなヤラシイ視線でおっぱいばっかり見つめちゃって…。記憶ないんならさ、再現してやるよ。」
ハッと我に帰えると既にエダは俺の上にいた。
「エ、エダ?ちょっ!んっ!」
そのままキスをされ、なし崩し的にことに及ぶ。
しかしなんていやらしいキスなんだ。
唇を舐めなわしたり舌を絡ませ合うにとどまらず、歯茎や歯も丁寧に舐められ、更には舌を吸われたり甘噛みされたり。
その間にもエダは俺の両手を自らの手で拘束し、俺の胸に自分の胸を押し付け、巧みな腰つきで秘部同士を擦り合わせている。
エダの秘部から溢れた蜜と熱くなった体温が俺の愚息を通して伝わり、ムズムズと射精の感覚が呼び起こされると次第にエダも余裕な表情の合間に切なそうな顔をのぞかせた。
「まだまだこれからだかんな!まだイくんじゃねぇぞ!」
今度は耳や首筋、鎖骨から乳首とくまなく舌を這わせつつ、拘束していた手を離し愚息をしごく。
俺は自由になった手でエダに髪を撫で、耳や豊満な乳房、腰から尻へと愛撫しする。
時々「んっ、あっ。」と声を漏らすエダ。
感じているのか?
エダは次第に下半身へ向かってねちっこく舌を這わせていく。
愚息付近に差し掛かるとさらに入念に、ねちっこく舐めまわされ、しごく手つきもいやらしさが増す。
「エダ…、もう限界…。イきそう…。」
「だーめ。お楽しみはこれからじゃないか。」
そう言って一切の愛撫を止めると、亀頭に優しく唇を付け、ゆっくりと愚息を飲み込んでいく。
上目づかいで、そう洋物ポルノでありがちなあの表情で、徐々に激しく深く愚息をしゃぶってくれる。
サラにもフェラチオはしてもらっていたが、レベルが、気持ち良さの次元が違う。
「うっ!あぁぁぁぁあぁぁっ!」
耐え切れずに喘いでしまった。
それでもエダからの執拗な攻めは止まず、裏筋から玉舐め、門渡り、アナルと責め立てられ、辺りはエダのよだれでビチャビチャになる。
「もうダメっ!エダ!イクッ!」
咄嗟にエダの頭を抑えて愚息を喉奥まで突っ込み、果ててしまった。
なかなか射精が止まず、快感のあまり頭から手を離さないものだから「おぐっ、うえっ!んぐっ!」っとエダは苦悶の表情で涙目になりながらも全て受け止めてくれる。
射精が止み、頭から手を離したにもかかわらず、エダは愚息を咥えたまま離さない。
それどころか搾り取るように吸い付きながらストロークが再開された。
すべて吸い出され綺麗になったところでやっと愚息は解放される。
「ったく!死ぬかと思ったじゃねぇか!頭はなさねぇ上にあんなに出しやがって!」
口調こそ酷いが、その表情は涙目のまま屈服したような顔で、無性に男心をくすぐるものだった。
「エダってこういう可愛らしい顔もするのな。ちょっと萌えるわ。」
「ふっふざけたこと言ってんじゃねぇ!もうしてやんねぇぞ!」
顔を真っ赤にして照れ隠しの捨て台詞を吐くエダにさらに萌える。
ごめんごめんと謝りつつ、エダの髪を撫でながら愚息を口元に近づけると黙ってまたしゃぶり出す。
一度満足して萎えた愚息だが、再び元気を取り戻したので「今度はエダのも見せてよ。」と69の体制に持ち込み、薄ピンクの蜜壺を拡げ優しく舌を這わせるとビクッと体躯を仰け反らせ、エダが俺にしたように徐々に激しく愛撫の範囲を広げていくと溢れてくる蜜の量も増えていった。
クリからアナルまで丹念に舐め上げ、こちらの我慢も限界に達したところでバックから挿入しようと蜜壺の入り口に愚息をあてがうと、エダが拒み俺を仰向けに押し倒す。
「昨日の再現って言ったのに、調子乗りやがって…。」
切なそうな表情と不敵な笑みを混ぜ合わせた顔はなんとも妖艶だ。
騎乗位で乱暴に挿入すると、そのまま乱れ狂ったという表現を体現したかのように腰を振る。
おそらく自分の一番感じるツボに当たるようにしていたのだろう。
ものの数分で絶叫のような声を上げ俺に覆いかぶさった。
絶頂に達したのか?思えば女をイかせたのは初めてだ。
なんとも妙な優越感に浸る。
「昨夜も今みたいに俺の上で果てたのか?」
耳元でボソッと呟く。
「な…んで…こん…なガキに…。」
と悔しそうにしながら体躯を痙攣させ、その痙攣に合わせて中に入ったままの愚息をギュッと締め付けてくる。
そのままエダを抱きしめながら窒息する程のキスをしながら下から突き上げた。
「ま、まだ動くなぁ…っ!あっ、またイクっ…。」
蜜壺の奥にあるコリコリしたところを執拗に責める。
エダも限界らしいが、俺も限界だ。
「俺もイきそう。このままだとまずい。向き変えよう。」
「このまま…で、いいから…あっ!もっ…」
エダが言い切る前にイってしまう俺。
余韻に浸る間も無く、二人は繋がったまま眠りに落ちた。
再び目が覚め時計を見ると昼を回っている。
こんなに激しく燃え上がったSEXはしたことがない。
程なくしてエダも目覚め、「やっべぇ、レイとやるのハマりそう…。勘違いすんなよ!彼女になるとかねーからな!」と可愛げなく、結構本気な口調で言い放つ。
まぁ俺もそのつもりはないから別段気に病む理由もないのだが、なんだろうか?少し複雑な気分だ。
「エダって歳幾つなの?なんか割と歳の近い年上って気がするけど?」
「あん?なんだい藪から棒に?17だよ。私もレヴィも。」
ん?なんで今レヴィの話が出てくる?
色んな憶測を思い浮かべていると、エダが着替えて帰り支度をはいじめていた。
「もう帰るの?」
「もうじゃねぇだろ?もうじゃ。そもそもこんな長居するつもりじゃなかったんだからよ。じゃーまたなー!」
さっぱり昨日の俺をからかっていたエダに戻って俺の部屋を出て言った。
こういう場面で寂しさを覚えてしまう俺はまだまだガキだからなのか?確かなことは一つ、順応できていないという事は痛感した。
エダが去った後、一人余韻に浸りつつマリファナを一服。
それから昨日預けられた携帯でジョーに電話。
「yoジョー。レイだけど、ちょっと買いたいものがあるんだけど都合がついたら連れてってくれないか?」
「ok、今から迎えにいくから待ってな!」
ものの数分でチャイムがなりジョーが現れた。
「早くない?近くにいたの?」
「近くも何も、俺もこのマンションの住人だし。てかダッチ以外みんな此処にいるよ。因みにレイの隣はレヴィだから音漏れ注意な!」
…。
そういう大事なことはもっと早く教えて欲しかった。
「あのさ、ここって一応鉄筋コンクリートだよね?音漏れってするの?」
「まぁ古いからな。よっぽどでかい音立てなきゃ大丈夫だとは思うけど?てか顔青いぜ。まさかマジでエダとやったとか?」
ジョーは笑いながら話しているが、俺は冷や汗が止まらない。
黙って俯いている事しかできなかった。
「因みにレヴィは今どこに?」
エダとのことは否定も肯定もしなかったが、ジョーは沈黙は肯定と捉え、笑いながらジョーなりに軽く肩パンしてくる。
「お前エダとやったのかよ!変態だな!でも初めてじゃないか?ラグーンの奴とやったの。随分気に入られたんだな。あ、良かったな、レヴィはレイをベットに放り込んでから仕事に行ってまだ帰ってきてないから!内緒にしといてやるよ。5gで。」
俺は黙ってマリファナ10gをジョーに渡した。
「で、レイ。何買いにいくの?」
早速ジョイントを巻きながらジョーが尋ねる。
「あぁ、芽出し用のポットと土。ダッチが用意するって言ってたけど、最初が肝心だからね。自分の目で見て気に入ったやつを買いたい。あと畑の用意もしてくれるって言ってたけど、ジョー場所知ってる?」
「勿論。買い物終わったら案内するよ。」
お目当ての物は流石アメリカ、ちゃんとグロウショップがあり、思っていた以上のものが難なく手に入った。
さて次は畑の確認。
LAの郊外に出て、更に車で3時間ほど走ったところにある古ぼけた農場が畑だ。
既に日は傾き、昼が眠りそうな時間になっていた。
耕作面積的にはおそらく300株以上は植えられるくらい。
1株から乾燥させて500gの収穫量と見積もり、300株のうち210株がメス株とするとおよそ105kgが収穫でき、20ドル/gだから210万ドル、日本円で約2億5千万…。
ざっくり皮算用をすると途方もない金額が叩き出され、ビビった俺はジョーにジョイント一本を催促した。
気持ちを落ち着かせ、もう一度間違いはないか算用する。
計算に間違いはなかった。
「なぁジョー、マリファナってこんなに儲かるの?大丈夫なの?」
不安をぶつけるとジョーはゲヘゲヘゲヘと不敵に笑う。
「レイ、お前勘違いしてるみたいだけど、その金は3人で割るんだぜ。」
「それでも一人70万ドルだろ?多くね?」
「そんなもんだろ。よく考えなレイ、確かに卸値で20ドル/gは破格すぎる。だけどそれくらいの価値があるとダッチは値踏みをした。それはそれでいいんだ。で、それをこの畑で莫大に作るってなるとお巡りは勿論、嗅ぎつけてやってくる泥棒や、畑ごといただこうとする他のギャングから守らなきゃだし、収穫や日々の管理にだって人手がいるから金はかかる。おれらの取り分はもっと減るだろうよ。危険に晒されたり、人手を雇うのは俺らなんだから、それ込みのペイならこんなもんさ。」
なるほどな。覚悟が甘かったと痛感した。そうか、これがギャングか。
自分勝手なイメージから、朧げながら見えてきた現実は恐ろしいほどに日本人の常識からかけ離れていた。
帰りの車内ではマリファナ談義からナチュラル系サイケデリックの話へと移行し、夕食はジョーの育てたキノコをオムレツにしようと提案され、恐る恐る了承する。
帰宅後、ジョーの部屋でキノコパーティーを開催。
嗅ぎつけたのかソーヤーとシェンフォア、レガーチも加わり出来立てのオムレツを食べた。
うーん、味は美味しいとは言えない。
ケチャップをどっさりかけて味を誤魔化しながら完食し、効いてくるまでしばらくかかるというので、ラグーン商会のショウビズ部門一押しのおバカ集団「ジャッカス」のDVDを爆笑しながら見ていた。
あれ?ここ笑うところじゃないのに笑いが止まらないぞ?違和感を感じた瞬間にソレはやってきた。
視界が歪み、眼に映るものが刻々と姿を変えていく。
持っていかれそうになる前に落ち着かないとと、パニックになりそうな自分を必死に制御しようとビールの入ったグラスを取ろうとするのだが、グラスが逃げる。いつまでたっても捕まえられない。
その様子を見てみんな笑っていることに気がついて顔を見ると、ジョーは亀に、シェンフォアはトカゲに、ソーヤーはコウモリに、レガーチは水パイプに変身してた。
恐怖心はなく、笑っていたと思う。
おかげでパニックからは解放され、効いている間歪んだ世界を楽しめた。
帰ってきて時計を見ると3時間ほど経過していた。
まだお開きには早いと、レガーチがマリファナを咥えながら白い塊を砕いてパウダー状にしている。
あっという間に幅5ミリ、長さ7センチ程のラインが5本出来上がった。
「これって…コカイン?」
「あ“ー?そーだよぉ〜。」
レガーチがグダグダになりながら答え、100ドル札を丸めたストローで一気に1ライン吸い込んだ。
途端にシャキッとして、慌ただしく訳のわからないことを元気に喋り出した。
よく聞き取れないが、「お前らなにヨレてんだよ!さぁ外に出ようぜ!太陽はあんなにも輝いているじゃないか!」といったようなことを叫んで、夜だがネオンで明るめな窓の外を指差してはしゃぎ出す。
続いてみんなが吸い、レガーチと同じような感じになっていく。
俺も残った最後の1ラインを吸ってみると、途端に世界がとても素晴らしく、輝いている感覚になった。
「あぁ、こんなに素晴らしい仲間に出会えた俺はなんて幸せ者なんだ…。」
クサイ台詞がベラベラと出てくる。
そしてなんでもやれそうな万能感。
今ならゴジラだって素手で倒せそうだ。
が、ものの20分もしないうちに元に戻ってしまい、その抜けぎわが辛かった。
「マリファナ吸うとずいぶん楽になるよ。」とソーヤーがジョイントを渡してくれる。
なるほど、高速回転でオーバーヒートした脳みそが回転数を落としていく。
脳が通常?営業を再開し、乾いた喉をビールで潤すとレガーチが2本目を吸い込んでいる。
大丈夫か?こいつ…。
「やっぱシャブとかヘロインやってる奴もいるの?」
好奇心丸出しで聞いてみた。
「レイ、私らのとこじゃヘロインとメス(シャブ)は売ってもよろしけど、自分で使う、これ禁止ですだよ。」
シェンフォアがおかしな英語で教えてくれる。
「レイ、絶対手ェ出すなよ。ODで死んだり帰ってこれなくなった奴もたくさんみたし、仲間を殺したり裏切った奴も沢山いた。お前にはそうなってほしくない。」
ジョーがマジになった顔で言うので、俺は真摯に受け止めた。
パーティーはお開きになり、みんなそれぞれの部屋へ戻っていく。
部屋の前でレヴィと鉢合わせた。
「どうした?そんなヘロヘロんなっちまって。」
「ジョーのとこでキノコご馳走になってたんだけど、レガーチがコカイン出したり、抜けぎわにマリファナ吸ったりで大変。」
「ハッチャケ過ぎだろ、お前。肝心の畑の準備はちゃんとやってんのか?」
「それなら日中にジョーと動いてた。明日種まきして、トラクターと堆肥とスプリンクラー手配してもらいにダッチのとこ行くよ。」
「ならいいけどよ。あーレイ、ジョイント一本くれよ。昂ぶっちまって寝れそうにないんだ。」
「良いけど巻かないと無いんだ。ちょっと待ってて、今巻いてくる。」
そう言って部屋に戻ろうとするとレヴィが、「私もいくよ。」と俺の部屋に転がり込んで、冷蔵庫からビールを取り出して飲み始めた。
エダのことがあったから、なんとなく気まずい。
さっさとジョイントを巻いてレヴィに渡すとすぐさま火を着ける。
ここで吸うのかよ…。
「やっぱ良いネタだな。」
2、3服吸い込んだレヴィがしみじみ言う。
「昂ぶってるって言ってたけど、なんかあったの?」
「あぁ、仕事だよ。ウチのシノギにアヤつけてきた連中がいてよ。全員ブラッドバスにしてやたんだが、何人か手練れがいて骨が折れたぜ。」
んん?
「あの、それってつまり…殺したってこと?」
「はぁ?今更んなこと聞くんじゃねぇよ。あったりめぇだろ?」
頭では解っているつもりだった。
俺たちはギャングだ。
殺すし、殺される。
生と死は常に隣り合わせだし、命の重さは一般人のそれとは比べ物にならないほど軽い。
ただ現実を目の当たりにすると実に重い。
目の前の、歳もいくらも変わらない女の子が、他人の命を奪い、ひと仕事終えたサラリーマンのような愚痴をこぼしている。
何とも簡単には受け入れ難い。
されど俺はこの現状に適応しなければ生き残れないんだ。
その葛藤は、今まで経験した何よりも腹いっぱい鉛を食わされたような気持ちにさせる。
「あのさ、レヴィ。人を殺すってどんな気分なんだ?どうやったらお前のように立ち振る舞えるようになるんだ?」
「あのなぁ、んなもん殺しまくって慣れるしかねぇだろ。私のカトラスだって、お前のウージーだって脅しの道具じゃねぇんだ。それにガンマンは稼業、気分で殺すのはアッパーシューターってね。そんぐらいは弁えてる。それからここで生きていく上で必要なことをおせぇておくよ。いいか、私らここの連中はな、歩く死人なのさ。勿論おめぇもな。早いとこ慣れちまいな。それが出来ねぇなら今すぐ出ていくんだな。」
「やってやるさ。俺だってもう行くところなんてないんだ!」
少し興奮気味に言葉が出てきた。
レヴィは少し優しい顔でクスッと微笑み、「そう気負うなよ。あーやっぱ今日は昂ぶっちまって頭がおかしいわ!」
そう言うとギュッと俺を抱きしめた。
「ほんっとおかしな奴がきたもんだぜ。お前みてると不思議と面倒見ちまいたくなるんだよな。ok baby。側にいてやるから安心しろよ。」
そう言ってしばらく見つめ合う。
何とも優しい眼差しの、だけどその瞳の奥には哀愁のある綺麗な瞳は、俺を魅了するのには破壊力があり過ぎる。
「レヴィ…、キス…。」
「何だよ、急に甘えやがって。早く頼もしくなってくれよ。私らはな、甘えは一切許されねぇ。甘えたらつけ込まれてthe endだ。だから今だけだからな。」
レヴィは俺の首に腕を回し、俺はレヴィの腰に腕を巻きつけ、体を密着させながらキスをする。
レヴィのキスはとても優しかった。
「レイ、シャワー借りるぜ。」
「え?あ…うん…。」
察した俺は黙ってタオルを用意し、脱衣所に置こうとしたら、「レイ、お前もシャワー浴びろよ。それとも覗く方が興奮するタチか?」
「タ、タオルを置きにきただけさ!覗いたりしねぇから気兼ね無く使ってくれ!」
「はぁーん?お前その隙に私の下着の匂いでも嗅いで一発抜くつもりか?飛んだ変態だな?」
「ちちちちげぇしっ!あまりからかうなよ、レヴィ…。」
「なーに狼狽えてんだよ、言っただろ?私らはそれくらいじゃないと生き残れない。鼻っから全てを疑ってないと足元をすくわれっちまうのさ。」
そう言い切るとガチャリと浴室の扉が開き、全裸のレヴィが膝を抱えて座っている俺の前に立ちはだかった。
俺は出来るだけ見ないようにタオルを差し出し、レヴィはそれをうけとると、「お前は気遣いはできるみてぇだが、今一歩足りてねぇんだよ。これじゃぁ身体は隠せても髪を拭けない。信頼を得るっていうのは難儀だな、baby…。」そう呟きながら背後から抱きしめてくる。
俺は振り返って、レヴィの唇を貪った。
「慌てんなよレイ。私は逃げねぇから。」
レヴィは優しくそう言って、前戯も何もないまま俺を受け入れる。
不思議な感覚だった。
さっきまで殺し合いをしていた女が、慈愛に満ちた顔で俺を優しく包み込んでいる。
人という生き物はみんな一筋縄ではなく、いろんな感情が一つの心の中で蠢く生き物で、ことこの街においては一般人とは比べ物にならないそれが絡み合っているのだと理解した。
レヴィはずっと俺が果てるまで赤子をあやすように抱きしめ、ことが終わるとそのまま眠りについた。
今度は俺がレヴィをずっと抱きしめる。
本当に甘えたかったのは、誰かに縋りたかったのは俺ではなく、レヴィだったのだろう。
だけどそうはせずに俺をあやして、更には大人になる、男になる後押しを文字通り身体を張ってやってくれたのだ。
自分を押し殺してまで。
早くお前を守れる男になってやる。
そう心に誓った。
翌朝、「いつまで寝てんだ!このタコっ!」と罵声と蹴りで目が覚めた。
そこにはいつもの調子のレヴィが腰に手を当てて立っている。
「ダッチのところに行くんだろ?早く支度しろ!」
俺は慌てて支度を済ませ、レヴィとダッチの元へ向かう。
ラグーン商会のオフィスに到着し、早速必要なものをダッチに報告して、これから種まきだと急いで戻ろうとすると、
「やる気があるのは素晴らしいが、今何月か知ってるか?」
「…。すまんダッチ、時差ボケどころじゃなかったな…。最近目まぐるしすぎておかしくなってるみたいだ…。」
「オーライ。しばらくゆっくり休んで、それから俺の仕事を手伝え。来年からグロウに取り掛かってくれ。それから今は9月だからな。忘れるなよ!」
飛んだ赤っ恥をかいて誰とも顔を合わせられなかった。
「なによ、最後のオチ。てかギャングの女の子とは何もなかったの?エダとかレヴィとか…。」
「何だよ?話すなって言ったり、話せって言ったり。」
サツキにはカラミの場面は省いて話した。
だから真実は俺と読者の皆さんとの内緒の話。
まぁいずれバレるんですけどね。