※この作品はR-18です。

犀の角のやうにただ独り歩め   作:公威

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5章

グロワーの壱分

 

畑に到着すると、既にトラクターや指定した肥料などが到着しており、早速土作りに取り掛かることができた。

レヴィとエダが交代しながらトラクターで耕し、俺が手作業で堆肥や肥料を撒き、またトラクターで耕す。

貧弱な土地だが水はけは良さそうなので、その分堆肥を多めに混ぜ腐葉土も追加した。

更に地中の生き物、つまりは蚯蚓や団子虫なんかも少ないので、彼等が生活しやすい環境も整える為、耕した土地に藁を敷き保湿と遮光をする。

これで土作りはほぼ終了。

後は蚯蚓や団子虫の働き次第だ。

彼等の糞がいい仕事をしてくれる。

ちょうど昼も回ったし、一仕事終えた俺たちはバーベキューで労をねぎらった。

酒も入り、ガンジャも吸っていい感じになったところでジョーが顔を出す。

「yo!昨日はハッチャケ過ぎてごめん!食い物持ってきたから楽しもうぜ!」

「私らは楽しむから、お前はポットに土入れてタネ仕込んどけ!」

にこやかにやってきたジョーの顔は一瞬で曇り、そんなことは御構い無しにレヴィは大量の種と500個のポットと芽出し用の土を指差してジョーに指示を飛ばした。

ジョーは無言で黙々と作業をこなす。

若干哀れに思った俺も手を貸し、日暮れ前にはなんとか作業を終えることができた。

この日は此処でキャンプ。

焚き火を囲んでガンジャを吸って、レヴィとエダとイチャイチャしながら眠りについた。

よく日は仕事も無いので近くをジョーと散策。

レヴィとエダは怠がってついてこなかった。

釣りができそうな川があったので、一旦街まで降りて釣り道具を買い、ジョイントを咥えながら釣り糸を垂れる。

虹鱒やブラウントラウトがそこそこ釣れたので、焚き火をして塩焼きにし、食べきれない分はソミュール液に浸けて燻製用にしてみた。

「レイ、お前めっちゃイキイキしてんなぁ。原始人みたいな生活の方が似合ってるんじゃねぇの?」

怠そうなレヴィが半分茶化しながら聞いてくる。

「前にも言ったかもしんないけど、俺の爺ちゃんが猟師だったからな。よく山とか川に連れてかれて獣獲ったり、魚獲ったり、山菜取ったり、とにかく自然界では不自由なく生きていけるくらいにはなったよ。」

「そーゆーことな。私にゃできねぇ生活だ。ちょっと感心したよ。」

少し寂しそうな顔でタバコを咥えるレヴィ。

俺も切ない気持ちになってしまうが、下手な言葉はかけられない。

「焼けたぜ。食うか?」

焼きあがった塩焼きを差し出し、俺も隣で同じものを食べる。

それが精一杯だった。

「まぁまぁだな…。ほんとお前といると調子狂うぜ。てかそろそろ帰ろうぜ。やっぱ爛れた夜の街が私にゃお似合いだ。」

レヴィはニカッと笑って立ち上がり、帰宅を急かす。

帰宅すると早速俺たちは夜の街へと繰り出した。

イエローフラッグで一杯引っ掛けて、露店で軽く腹ごしらえをしながら、セキュリティの仕事という程でクラブへ。

小さな小競り合いは多少あったが、ほぼ何事もなく最後まで楽しんだ。

だが、なかなか切れない小便みたいに気になっている事があり、そいつを解決したくて堪らない俺は心底楽しむ事ができなかった。

理由は大麻畑。

気になって気になって仕方がない。

先ずはレヴィとジョーに相談する。

「俺さぁ、収穫が終わるまであの畑にいたいんだけど、どう思う?」

「どうしたよ?心配事か?」

レヴィのレスポンスが早い。

「心配事だらけだよ。畑荒しに、お巡り、害獣、ちゃんと育つかどうか…。これだけ大規模に栽培するのは初めてなんだ。」

「決めるのは私じゃねぇんだ。ダッチに相談しろよ。まぁ仮にそうなったとして、ずっとあそこに篭ってるのは私は御免だが極力一緒にいてやるからよ。」

そうだよな、先ずはダッチに話を通さないと。

そのままオフィスに出向いて事の内容をダッチに話すと、鉄火場の発生した場合の緊急時と定例会には顔を出す事、畑の有事の際には人を回すという事で大筋の決着はついた。

移動手段のない俺に車と運転手もつけてくれるというのだが、レガーチだけは勘弁してくれと念を押す。

車はTOYOTAのハイラックストラック、運転手はまさかのレヴィだった。

その日から俺は畑に隣接する農機具小屋を改修し、ライフラインを整備、割と快適な山小屋のようなものが出来上がる。

折角なので囲炉裏も作り、土足禁止の和風に仕立ててみた。

この山小屋、ファミリーにはウケが良く、日本に来たみたいだとしょっちゅう誰かが遊びに来るのだが、土足禁止のルールが定着するまでには思いのほか時間を要した。

小屋が完成する頃には7割ほどのポットから芽が出て、成長の早いものはあのギザギザの葉っぱも出ている。

これがまたとてつもなく可愛く、我が子のように愛おしいのだ。

日を追うごとに成長していく大麻の苗は2週間もすると15cmくらいになり、皆さんがイメージする形の葉が生えてくる。

来週には植え替えができそうだ。

となると人手が欲しい。

500個のポットの内、芽が出てちゃんと成長したのが400株以上もあるからして、これを一人で植え替えるのはどう考えても難儀な話である。

一人100株としても大変だ。

5、6人は人手が欲しい。

早速ダッチに電話をかける。

「もしもし、ダッチ。急で申し訳ないんだが来週人手が欲しい。400株以上植え替えが可能なんだ。5、6人こっちに回してもらえないか?」

「は?400株?お前さんそれは数え間違えってぇやつじゃないのか?」

「すまんが本当なんだ。何なら見に来てもらってもいい。」

「ok、人は何とかしてやる。とりあえず暇だから見に行ってやるよ。そんな景色はそうそう拝めるもんじゃないからな。」

電話を切り、ちょっと一安心した俺は元気なマリファナの苗を愛でながら一服。

本当に可愛いなぁ。

気がつけば苗を優しく指で撫でながら「お前可愛いなぁ…。」などと声をかけている始末。

側から見たらソーヤーと同じ類の病気と思われても仕方ない。

レヴィはあきれた様子で黙って見ている。

ダッチが到着するまでまだ時間があるので、川へ釣りに行ってものの1時間程度で虹鱒やブラウントラウトを釣り、囲炉裏で塩焼きにし、ついでに鉄鍋も吊るして豚汁も用意しておく。

この際だ、ご飯も炊いて浅漬けも拵え、立派な一汁一菜。

武士の食卓の完成だ。

麓の町に日本の食材が揃っているスーパーがあって助かる。

「ほんとお前はマメなやつだな。飯なんて買ってくりゃあいいじゃねぇか。そのうち獣でも狩りだしそうだぜ。」

「あぁ、植え替えたら害獣対策で金網張るんだけど、ついでに罠も仕掛けようと思ってたんだ。」

「ったく…逞しいやつだぜ…。」

そんなことをしているうちにダッチが到着。

立派に育った苗を見せると「コイツはすげぇ!」としばらく微動だにしなかった。

「ヤベェだろ?まぁ立ち話も何だし、飯でも食ってってくれよ。」

3人で囲炉裏を囲んで飯を食べる。

「簡単なものですまないが、日本の食事だ。口に合うといいのだが。」

「美味いな。胃に優しくて素材の良さを巧みに引き出している…。これが日本の食事か。」

ダッチは感動しているようだ。

「最近こんなんばっかりなんだぜ?まぁ美味いんだけどよ、下拵えから何から何まで1からやりやがるから飯の準備にどんだけ時間かけるんだって話さ。」

「だが、そうでなきゃこの美味しさは作れない。そうだろ?」

レヴィは愚痴をこぼすが、ダッチの切り返しで黙りこくる。

ナイス、ダッチ。

「久々にちゃんとした食事だったよ。また食べにくるわ。」

そう言い残して帰っていった。

後片付けを済ませ、囲炉裏の火をいじりながらレヴィと一服していると、彼女の顔がまた寂しげになってくる。

「こんな生活してると自分が何者なのか忘れっちまいそうになってよ、ヤベェぜ。なぁレイ、私がこんな生活してていいのか?お前といるとわかんなくなっちまうよ。」

「レヴィ…。其れはお前がギャングの生活に拘ってるからだよ。拘るってぇことは其れ以外何もできなくなっちまうってこった。捨てちまえそんなもん。それと、こんな生活は長くは続かないってことくらい俺でも解る。だから今だけは楽しんでも良いんじゃないか?」

そう言ってレヴィを抱き寄せてキスをする。

彼女も其れに応じて、徐々にエスカレートしていく。

柔らかい唇、絡みつく舌、貪るような手、ハリのある綺麗な乳房、攻撃的な官能を携えた眼差し。

この刹那的とも言える情交が連日繰り広げられる違和感と溺れる俺。

この日もレヴィは俺の腕の中で安らかな眠りについている。

せめてここにいられる間は彼女に安らかな日々を過ごしてもらいたい、そう強く願った。

翌週、苗はさらにすくすくと育ち30cmを超えているものも目立っている。

流石にポットでは狭くて存分に根を張れず苦しそうだ。

いよいよ植え替えの運びとなり、集まった人員は俺とレヴィ、ジョー、エダ、レガーチ、そして珍しくダッチの6人。

早朝から植え替えの作業を始め、昼迄に何とか半分以上の苗を植え替えることができた。

昼飯はおにぎりと漬物、味噌汁、だし巻き卵、唐揚げを振る舞う。

これがまたウケが良く、ギャングが和気藹々とピクニックをしているような、何とも奇妙な光景を拝見することができた。

まぁ、彼らも俺も同じ人間であるからして、生い立ちや生き様は違えど、こうして心を通わせれば大差はないのだと思い知る。

良い時間だ。

腹も膨れ、取り敢えず皆んなで一服、と言っても作業前から既にキマっちゃっている6人は長めの昼休憩を満喫した。

「そろそろ始めねぇと日没までに終んねぇぞ!さっさとやっつけて、また美味い飯を食おうぜ!」

俺はなんとか気力を振り絞って、午後の作業開始の号令をかける。

ダラダラとやった割には2時間程度で終わりが見え、俺は夕食の準備に取り掛かり、鱒の塩焼き、海鮮鍋、味噌焼きおにぎり、ほうれん草のおひたし、冷奴、漬物を用意した。

酒も日本酒、焼酎、日本のビールと日本尽くしだ。

植え替えが終わったらしく、みんなが戻って来たので囲炉裏を囲んでの宴が始まる。

料理は好評で、酒もガンジャも進む進む。

「レイが女の子だったら絶対結婚したいわ!なんで女に生まれなっかったんだよ!」

とジョーが嘆く。

「私らの旦那奪おうとすんなよ、ジョー。そんなに鉛でカサ増ししてぇのか?」

ゲラゲラ下品な笑い声をあげてエダがからかう。

良い女なのに勿体ねぇなぁとつくづく思うのは俺だけじゃないはず。

「れい、ちょっと表出ないか?風に当たりたい気分なんだ。」

エダの毒に当てられたのか、レヴィが俺を誘って外に出る。

「ったく、あいつは…。ホントうんざりするぜ。」

ビールを片手にレヴィがボヤいた。

月明かりに浮かぶ彼女は妖のように艶を放っている。

「なんだよ?そんな所に突っ立って。こっちで一服つけようや。」

見とれている俺を呼び寄せるレヴィ。

「すまんすまん、月明かりに照らされてるお前が綺麗だったから。」

そう言ってレヴィの元へ行くと、彼女は照れ隠しの怒り顔をこちらの向ける。

「クセェこと言ってんじゃねぇ!」

一発頭を小突かれてからジョイントを回した。

「ぶっちゃけた話、お前は私とエダどっちが良いんだ?」

「唐突だな。両方俺のものになるって言い出したのはそっちじゃねぇか。」

「いや、まぁそうなんだけどよ…。」

バツが悪いのか言葉を濁す。

「正直言ってレヴィの方が好きだよ。粗野で乱暴で、儚くて力強いお前は美しい。嘘やお世辞じゃなくてマジで。」

率直な気持ちを打ち明けると、彼女は少女のような無垢な笑顔を見せる。

可愛い。

初めて見るレヴィの表情にここ数ヶ月の疲れが吹っ飛んだ気がした。

どちらともなくキスをしていると、それを阻むかのようなタイミングでエダが水を差しに来る。

「何だよ、2人で抜け駆けなんてずりぃじゃねぇかよぉ〜。私も混ぜろよなぁ〜。お前ばっかり寵愛を受けてるじゃん!レイは私らのもんだろぉ〜?」

ブリブリのエダが絡む。

「はぁ?勘違いもそこまで行くと勘繰りだぜ。シャブでもやってんじゃねぇのか?レイが私らのもんじゃなくて、私らがレイのもんだろ。頭とケツの区別もつかねぇのかよ。シラけちまった。飲み直すから後は宜しくやってくれよ。」

レヴィはそう言って戻って行った。

その直後、エダはニヤッと笑い俺の首に腕を絡めて濃厚なキスをしてくる。

「ったく、さっきのは演技かよ。」

「だって2人っきりの方がいいじゃねぇか。邪魔者も消えたし、楽しもうぜ!」

貪るようなキスをしながらエダは俺の愚息を弄る。

取り敢えずこいつの性欲を鎮めないとどうにもならないと判断した俺は正直そんな気分ではなかったが、半分ヤケクソになりながら少々乱暴にコトに及ぶ。

「ほら、欲しがってたのはエダだろ?しゃぶってよ。そう、全部飲み込むように、もっと吸って。」

俺の要求を従順に受け入れるエダはやっぱり可愛い。

「レイ、私もう我慢できないよぉ〜。」

涙目で懇願する彼女の要求には敢えて応えず、さらにフェラを続けさせ、更にはむしり取るように乳房を乱暴に揉みしだく。

そろそろ頃合いと思い、手摺に捕まらせ尻をこちらに向けさせるとエダの秘部は愛撫をせずとも良いくらいに熟れていた。

無言で愚息をぶち込むとガクガクと膝から崩れ落ちそうになりながら果ててしまったので、彼女の脇に手を入れもう一度手摺に捕まらせ、激しく突き上げる。

俺はイクまで速度を緩めることなく腰を振り、エダはその間幾度となく果てていた。

事が済むとエダはぐったりとテラスに転がり、放心状態だ。

俺はそそくさと何食わぬ顔でみんなのところに戻り、囲炉裏を囲んでの宴に浸透するかのように会話に入っていく。

しかしながらレヴィの表情は明らかに怒りを浮かべていて、俺を睨むが目が合うと視線を逸らし、素知らぬ顔で他のメンバーと会話を弾ませる。

何というツンデレだろうか。

結局その日はレヴィとの会話はなく、焼酎を煽りながら囲炉裏の火を弄ってガンジャを吸い、口寂しくなっては鱒の塩焼きで紛らわせるという寂しい夜を過ごしたのだった。

 

翌朝、けたたましいエンジン音で目が覚める。

何かと思い外に飛び出すと4tのユニックが10台ほど車列を成してやって来ていた。

そうだった、すっかり忘れていた。

害獣対策で購入した柵の取り付けもしないとだったんだ。

しかし人員の確保をしていない。

慌ててダッチを起こし訳を話したが、彼はマフィアの定例会に出席せねばならず、早々に引き上げて行ってしまった。

他のメンバーに話をすると渋々ながら倍の金額で請け負ってくれ、何とか事なきを得る。

感謝しかない。

今夜はうんとご馳走しよう。

麓のスーパーで刺身を大量購入し、寿司パーティーと行こうじゃないか。

キッチン、否、今夜だけはつけ場と呼ぼう。

つけ場に立ってお品書きを書いて、客であるレヴィ、ジョー、エダ、レガーチから注文を取って握る。

そのスタイルにみんな大はしゃぎだ。

しかしお品書きが読めない彼らと、ネタの英名が解らない俺は大いに苦労した。

マグロはツナ、これは大丈夫。

カツオは?ツナフレンド?

タコはオクトパス、イカは?なんだっけ?10フットオクトパス?

エビはシュリンプ、貝はシェルでいいんだっけ?

こんな調子であるから、折角の寿司パーティーが思うように盛り上がらない。

俺は黙って「Leave it to me」をお品書きに追加した。

それからは「タイショー!オマカセデ!」しか注文が来なかったのは言うまでもない。

寿司の作法をレクチャーしつつ、それぞれの好みのわさびの量やネタ、シャリの大きさを把握しながら握るのは少々骨は折れるものの、美味そうに食べてくれる顔を見ながら握るのは心底楽しいものだ。

ただ不便なのはつけ場でガンジャが吸えないということ。

ジョイントを持った手で握った寿司がどうなるか、日本人のマリファナユーザーならば容易に想像できるだろう。

察したレヴィがショットガンで吸わせてくれる。

そういうぶっきら棒な優しさ好きだわ。

それを見たエダが対抗して追い討ちのショットガンを浴びせ、がっつりブリブリになってしまった。

小腹も空いたのでわさび巻きを巻いて食べ、冷酒を煽る。

五臓六腑と涙腺に沁み渡る感覚、俺は俺ではなく、俺は日本人なんだと勝手に浸りながら食べていると、ジョーが食べたそうにこちらを見ているので、一本巻いて差し出す。

口に放り込む、噎せる、鼻水と涙が止まらないという完璧なコンボを決めて見せてくれた。

悶絶しているジョーを眺めて笑いながら、わさび巻きに興味を持ったレガーチとエダが食べる。

結果はジョーと同じだが、二番煎じはさほど笑いが取れないという現実を身を以て証明してくれただけだった。

寿司パーティーはネタが尽きるまで行われ、200貫はゆうに食べたはずのジョーがもっと無いのかと催促したのには驚いたが、他のみんなはもう食えないと満足してくれたようだ。

アガリを出して胃をスッキリさせたらまたガンジャを吸って、いつのまにか寝落ちする。

ここ数日のおきまりのパターンでこの日も幕を閉じた。

 

翌日から本格的に畑の管理に追われる。

基本は一人で十分なはずなのだが、レヴィやジョーならまだわかるにしても、どういうわけか毎日誰かしらが入れ替わり立ち替わり入り浸っていた。

レガーチは「こんな光景眺めながら一服するのサイコーじゃん。」と言いながら週に2、3回訪れ、シェンフォアとソーヤーは森林浴という名目で週1回ほど、ダッチはまともな飯が食べたくなるとやって来ては知的なジョークと愚痴をこぼして帰って行き、エダはファックしたくなると2、3泊して搾り取って行き、ジョーとレヴィは仕事がなければほぼ毎日釣りや狩をして、たまに畑を手伝いながら過ごしていた。

お陰で退屈する事なく、マリファナもすくすく育ち、もはや俺の身の丈を越えようかというところまで大きくなってしまった。

ここまで育つとオスとメスの区別がつくようになり、オス株を刈り取らないと受粉しシンセミアができなくなってしまう為、オス株の刈り取り作業が生じる。

400株以上のマリファナからオス株だけを見つけるのはなかなか大変な作業だ。

中にはまだ判断がつかないものもあるし、当然一人で作業をすれば見落としも生じる訳で、またもやみんなの力を借りなければならない。

今回は俺とレヴィとジョーの他にエダとロットン、ベニー、ダッチという顔ぶれが集まり、作業としては判別できなかった株にピンクの紐を結び、オス株は見つけ次第刈り取るという方法をとった。

更に見落しを無くすために各々持ち場を定め、チェックし終えたら他の人の持ち場をチェックし、最終的には全員が各持ち場、つまりは畑全体をチェックするという念の入れ方で作業を進める。

順調に作業は進み、昼になったので昼食をとりながら報告を聞いていると、誰もが判別できない株はあるが、オス株が見当たらないと言うではないか。

その時は絶対見落としがあると思い込んで、ローテーションを取り入れて良かったと思っていたが、後日判明するののだけれどこれは俺の完全な勉強不足でしかなかった。

午後は暑くなるし、集中力も途切れるので早めに作業を切り上げ、俺とレヴィとエダは夕飯の買い出し、ジョーとダッチは川で鱒を釣り、ロットンとベニーは畑の後片付けをしていた。

今日の夕飯はどうしよう?何時もの和食やBBQでも良いが、なんとなく飽きたしなぁ…などと考えつつ、レヴィとエダに意見を求める。

「なぁ二人とも、今日何食べたい?」

「そーだなー、暑かったし冷たいもんとか良いなー。」とエダ。

「私はキンキンのビールに合うやつだな!」とレヴィ。

俺はしばらく考え込むと、あ、良いのがあるじゃん!

「なぁ、この辺に竹が生えている場所ないか?」

二人に唐突に聞いてみるが、どちらも知らないと言う。

仕方なくホームセンターで雨樋を5、6本とタンカン、番線、杭を購入して、スーパーで食材を大量購入して帰宅。

御察しの通り今夜は流し素麺と焼き鳥、ジョーとダッチが釣った鱒、そして生ビール。

早速取り掛かろうと思ったら、ジョーがシュンとした顔で俺のところにやってきた。

「レイごめん。釣竿折れちゃってさ…。」

見事に折れた釣竿を差し出しながらジョーが謝る。

「気にすんなよ。怪我してねぇか?」

「ありがとう。怪我はないけど鱒は一匹しか獲れなかった。ごめん。」

と言って80cmはあろうかというブラウントラウトを差し出した。

「はぁ!?すげーなジョー!こんな大物よく釣り上げたぜ?あんなロッドじゃ折れて当然さ。プロアングラーもびっくりだぜ!?」

驚きと興奮を隠せない俺がそうまくし立てると、ジョーは更に申し訳なさそうな表情になり「違うんだ。竿は釣りする前に転んで折れたんだ…。それでムシャクシャして結構でかい岩をぶん投げたらさ、それが川の岩に当たっちゃってそいつが浮かんで来たから慌てて拾っただけなんだ。」

ジョーには悪いが堪えきれず笑ったね。

ファミリーですべらない話に認定されたのは言うまでもない。

さてさて、この見事な鱒はどうしてくれようか?

取り敢えず生ビールをセッティングしつつ焼き鳥の串打ちを済ませ、鱒を捌いて切り身にして塩をふって串に刺し、素麺を茹でてつゆを作って薬味を刻んでおいた。

その間に残った男手で流し素麺の準備をしてもらい、レヴィとエダはもはや飲み始めていたので諦めるしかない。

コンロに炭を起こして焼き鳥と鱒を焼き、ジョーに流し素麺のやり方をレクチャーしてそのまま押し付け、サーバーの前から動かないレヴィとエダにビールを注ぐように命じた。

流し素麺は好評で、暑い季節にはぴったりだとあっという間に売り切れてしまう。

思ったより早いなと思ったら、犯人はジョーだった。

流すのをサボって食べるという暴挙に出た結果、俺はほぼ食べられずじまい。

仕返しにジョーにはねぎ焼きしか食わせないと心に決めたのだった。

 

 

サツキ「それで?本当にねぎ焼きしか食べさせなかったの?」

俺「え?突っ込むところそこ?」

サツキ「だってなんかのほほんとしてて、ギャングが可愛く見えてきちゃったんだもん。」

俺「みんな同じだよ。ギャングとかマフィアとかどうでもいいの。次からはいよいよ収穫の話だね。」

サツキ「まじか?いよいよだね!なんかワクワクしてきた!」

俺はサツキの頬に手を当て顔を引き寄せて甘えるようにキスをして、ジョイントを巻くと一服つけて続きを話し始めた。

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