※この作品はR-18です。

吸血鬼は淫魔の夢を見るか?   作:マスター冬雪(ぬんぬん)※休止中

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ワンクッション

後半エロ/DIO受け


第14話★

目を覚ますと手元には置いてきた筈の本と書類があった。

 

あの部屋に物を持ち込んでしまう時は実物を持って行っている訳ではなくあくまで複製であり、あの部屋の管理者が気を利かせた結果“装飾品として”持ち込めているだけ、と考えていい。装飾品、或いは服飾品の持ち込みが出来ないなら、あの部屋に行く度に全裸というある意味目も当てられないような光景が都度見られる事になるしな。

監視者が否と言えば勿論出来ないのだろうが。流石に対象外の生物は無理のようだが。つまりあの部屋に対象にされているのは俺と少年に他ならぬという事……。いや、そんな事とうに分かり切っている話か。

 

 

 

小さく欠伸を零しながら仮眠室から書斎へ。本をひとつひとつ棚に仕舞い、書類をシュレッダーに掛ける。根気のある人間ならこの程度では復元しかねないのだがそこまで重要でもなかったので。機密文書ともなれば相応に処理する為問題は無い。

 

時は丑三つ時、今回の滞在時間はこちらの時間でおおよそ30分程だったようだ。身体は気怠く、短過ぎる睡眠時間に駄々を捏ねている。だけど再びベッドで横になる気分でもなくなっていたのでゆったりとオフィスチェアに背を預けた。

煌々と照る灯りを見上げて。手持ち無沙汰に指がつつ、とデスクの上に山のように積まれた書簡を辿る。

 

「……フフ、」

 

酔狂だの、道楽だの、俺のやる事成す事全てを馬鹿にしていたその手の競合者が皆、掌を返したように俺を畏れ、褒め讃え、どうにか甘い汁を吸おうと他者を槍玉に挙げて善人ぶる。自分の犯した過ちを無かった事にしようと必死に尻尾を振るのだ。

 

彼奴は貴方の事をこう言っていた、其奴は貴方の足を引っ張ろうとこんな事をしていた、だから此奴は信用しちゃあいけないよ。その点私はこんなにも貴方に尽くしますよ、勿論貴方だけに……なんて。

 

可哀想で可愛らしい人間達だとぼんやり思う。此方は多少、いくらか、利益が上がった程度なのだが。マア、サポートしてくれた皆の御蔭で随分と早く場が整ったのも確かだけれど。

引き締めるところは引き締めて、弛めるところは弛めて。ルールは厳守させるのではなく、いつの間にか従っていた、かのように仕組み。態と騒ぎを起こす商売敵は何か一つでも長所があれば引き抜いて逆に利用してやって。迎合してくる人間は自分から全てを献上させるように引き込んで、取ってこいの出来る猟犬(ペット)に躾けて。

 

そうして根を張っていけば、後は坂から転がり落ちるようなものだ。俺はただナイフとフォークを手に椅子に座っていればいい。

何一つ手を下さないまま。勝手に集まって勝手に潰し合って勝手に畏れ、俺の目の前には美味しく調理された料理が並べられていく。

 

喰われるとは知らずに自ら火に飛び込んで、気付けば骨の髄まで喰い散らかされている。喰われていると自覚も無い者も多くいる。喰われる事こそが誉と勘違いして自分こそが選ばれたのだと盲目になる者もいる。

 

だがその人間性を馬鹿馬鹿しいと見限りはしない。それも人の個性の内と自らの常識の中に柔軟に受け入れて、ありのままを見詰め、愛で、同じように───同じ物を渡す事は難しいが、その分の対価を───返してやるのだ。

 

だって俺も同じ人間だから。

仲間はずれは良くないよな?

 

……戯言。

ぱらぱらと同じような内容ばかりの手紙を捲っては燃やしていく。残っていても碌な事にならない。共倒れは御免だろう、俺にしろ、彼らにしろ。

内容は兎も角、宛名は全て頭の中にある。

器の中で灰になっていく。その上から薪を次々に投下していき、炎が輪となって広がって黒く煤けていくのを眺める。

ああ。灰になっていく。無価値……いや、平等に、等しく同じ価値へ還っていくというのか。

 

コンコンコン。

……扉を叩く小さなノックの音。

 

「どうぞ」

 

扉の向こうの気配が返ってくると思っていなかった声に揺れる。まさかこんな時間に俺が起きているとは思っていなかったのだろう。此処は俺の執務室で、更に言えば鍵なんて取り付けている訳でもなく、……つまりはそういう事。

短い逡巡から、そこそこ順応性と柔軟性があると上方修正しておくが誤差程度だろう。今は紙屑となった資料を思い返しながら、俺は指を組んだ。

 

「起きていらっしゃったのですね」

「ああ。目が冴えてしまってね」

 

寝起きだというのは悟られているだろう。肩口に届きそうな程まで伸びた髪はいつものように束ねてはいないし、シャツは皺が寄って襟が緩んだまま。

目に毒だと言いたげに、写真より幾らか身嗜みを整えた男が目線を少しズラした。

 

「報告書を。急ぎではないんですが、早目に目を通して頂いた方が良いかと思いまして」

「ん、そう……ありがとう。遅くまですまないね……キミのような子がいてくれて助かるよ」

 

それでも無理はしてはいけない。明日はゆっくり休むんだ。いいね?

 

「……子、と呼ばれるような歳じゃあないんですがね」

「おや、嫌だったかな?」

「あー……いや、そうじゃないですけど」

 

吐息を零すように笑えば、男はぎゅっと眉を寄せる。

 

「帰る前に、ちょっと休憩していくといい……酷い面だ。ちょうど、ハーブティーでも淹れようと思っていたんだよ」

 

それを飲み終わるまででいい。話し相手になってはくれないかな。

 

 

 

*

 

 

 

その男はまるで悪魔のようなと喩えられるに相応しい。

 

 

 

“彼”は記者だった。それもスキャンダルやゴシップ記事を書く、他人に嫌われる類の。

好きでその仕事をしていた訳では無い。寧ろ不満ばかりだった。面白い記事が書けないが故に食うに困って渋々手を出した。妻と、腹の子のためにと……。

上からは叱責ばかり。今では普通のインタビューなんかを書けば叩かれる始末。やめられなくなっていた。やめた所で、飯のタネに出来るモノなんて転がってきやしないのだ。

何でもやった。どんな後ろ暗い事も。そんな彼を妻は見限り子と共に家を出た。

 

社会の闇に食われるならば、逆に食い物にしてしまえ。

裏の情報網を使う事すら手馴れたもので、高く売れるものはないかと安い酒を舐めながら耳を澄ませる。

そんな中でも多く囁かれたのが、その男の名前だった。

名前だけなら、随分前から噂されていたが。誰も彼もが下衆な笑みを浮かべ、その男に気に入られれば甘い蜜が吸えると喉を鳴らしている様は一種異様で。聞けば、表の世界でも若き敏腕経営者として名が知れてきているとか。

ともなれば状況を見計らってその男のスクープをすっぱ抜いて売れば、さぞ高値になる事だろう。失脚を恐れるなら相応の金額で売り付けてやっても構わない。そういう風にしてこの十数年生きてきた。

 

誰だって下世話なニュースは涎を垂らして喜ぶ。だって悪を晒しあげて正義を声高に叫ぶのは酷く気持ちがいい事だからだ。

それを知っているから、彼は真偽不明の煽り文を書き続ける。嘘は書いていない。少し誇張して、ちょっと捻じ曲げて、それを読めばそう考えるだろうという誘導をしているだけ。

今回もきっとイイ食い物(エサ)になる。

彼はより詳細な情報を手に、その男の元へと足を向ける。

その情報の中には何故か、顔写真だけは存在しなかったが。

 

 

 

駅前の一等地に構えられたビジネスマンから上流階級の人間まで幅広く対象にしたホテルは、老舗のそれと同格のようでありながらリーズナブルな価格でサービスを提供しているようだった。ホテルマン等の従業員は経営者であるその男自らが指導しているらしい。アミューズメントであったり細かなアメニティであったり食事であったり、このクオリティはどうすれば維持出来るのか、採算が取れているのかと疑わしいまでに洗練されていた。という事はやはり、何処か別口の稼ぎがあるという事ではないか?

確かに上流階級の人間に対するサービスはあるが、それでも程度がある。

それとなく従業員に声を掛けて経営者について聞くも、ぬらりくらりと躱される。そう、全員に、だ。普通なら口の緩い人間が1人2人いてもおかしくない筈だというのに。

 

……ならば直接探ってみる他あるまい。危険は承知の上だ。

そうして潜り込んで数ヶ月。完全実力主義であるのが幸いし、長年色々と培った潜入技術でどうにか秘書方の末席に座る事が出来た。

 

あんまりにも厳しい、厳し過ぎる道程だった。

何故かって、あの男の周りには才能のある人間が多く侍っていたのだ。経歴を調べれば有名大学の出であったりとか、外国からの引き抜きであったりとか、元某巨大企業の人間であったりとか。全て従業員職員の方からの申し出であるのが、恐ろしい所だ。

 

競争率と言えば皆鬼気迫る程で、追い縋るのさえ血反吐を吐く。裏に手を回し、引き摺り落とし。本来なら相手に警戒させないように自分の実力だけで暗躍するつもりだったのだが。どうやってもこのチャンスを“譲らない”と言う人間しかいなかったのだ、金にも、他の望むものをやると言っても、絶対に。

 

何故か、という疑問は直ぐに消えた。あの男が現れたその時に。

 

後ろで束ねられた緩く波のある豊かな黒髪と、見ているこちらが茫洋としてしまうような墨色の瞳。

彫りの深いどこか人外じみた整った相貌。

気崩さない正装(スーツ)の禁欲的さも裏腹に、性的にすら見られるスタイルの良さ。

そして何よりも、平伏してその足の爪先に口付けたくなる程の圧倒が、より近くに侍りたいと思わされる程の恍惚が、その男には存在していた。

 

「京一郎様」

「オーナー」

「おはようございます、オーナー」

「ん。おはようございます、皆さん」

 

放たれる言葉には隠しきれない傲慢が滲む。見下ろされている。下に見られている。丁寧で柔和な声音だったのにも関わらず、強く、それを感じた。

 

───ああ……なんと美しいのだろう───

 

やはり美しい人間は傲慢であればある程イイ。数々のモデルや女優を目にしたが、この男程それが似合う人間は見た事がない。

頭を振る。

しっかりしないか、自分が何の為に此処に来たのか忘れたのか。

 

「初めまして、オーナー。私は、」

「ああ……キミ、ーーーくんだったね」

「!お、ぼえて、」

「勿論。皆に働いてもらっている訳だから、顔と名前くらいは」

 

まさか、このホテルにどれだけの人数が勤めていると思っているのか。まだ怪しまれているからと言われた方が信憑性がある。

ぐっと奥歯を噛み締め、笑みを浮かべて光栄だと頭を下げる。

 

「何か困っている事はないかな?秘書部の業務マニュアル、もう少し効率良く出来るとは思うんだけれど……」

「いえ、大丈夫です。皆さん良くしてくれていますから。マニュアルも、後は個々人のやり方で応用するくらいなので充分ですし」

「そう言ってくれて助かる。これから私もキミを頼る事があるだろう。その時は是非とも宜しく頼むよ。同じ場所で働く人間としてね」

「はい……こちらこそ、よろしくお願い致します、オーナー」

 

「京一郎様、今日のご予定は───」

「水瀬さん、実は経理部で───」

「オーナー、本日のディナーの件ですが調理部の方で───」

 

……理想の上司像に目頭が熱くなったのは気の迷いだ。気を確かに持たなければ……。

 

 

 

*

 

 

 

「最近の趣味なんだ」

 

口に合うといいんだが。

京一郎が差し出したカップには琥珀色の液体が揺れている。

デスクを挟んで椅子に腰掛けて、“彼”は男の声に耳を傾ける。その声はするりと耳に入り、無条件にそれを聞いた者の心を蕩かせる。

毒に浸されるような。

痛みは伴わない、指先から徐々に溶かされていく感覚だ。

駄目なのに、危険だと分かっているのに、抵抗しようという気力が働かない。

 

……そうして出来たのが常より侍るあのハーレムなのだろう。

皆一様に熱に浮かされた目で、京一郎の視界に入りたい、出来るならその寵愛を賜りたいと囲む人の群れを、ハーレムと言わずしてなんと呼ぶのか。

もし今の状況を彼らに知られでもしたら、自分は文字通り日の目を見れないだろう。ぞわりと背筋が冷たくなるのを誤魔化すように彼はカップに口を付ける。

 

「!……美味しい、」

「フフ……それは良かった」

 

さらりと男の頬に髪が落ちる。それをそっと指で掬い、耳に掛けた。

 

……。

日中はいつ見ても隙のない恰好であるから、今の着崩れた京一郎は何処か気怠げで色っぽかった。僅かに伏せられた瞼。ふるりと揺れる長い睫毛。弧を描く色付いた唇。

そっと彼は目を逸らす。まるで吸い寄せられるように視線が向かってしまうのだ。何度逸らしても。どうしても。

 

京一郎はその様子を音もなく笑う。その振る舞い殆どが意図したものであるが故に。ふとした瞬間の無意識はグッとくるものがあると言うが、それすら演出出来る確信犯程恐ろしいものは無いとも言える。確実に京一郎はそのタイプだ。

 

「オーナーは、家に帰られたりとかはしないんですか?」

「偶に帰るけど殆ど隣の仮眠室で寝泊りしてるかな」

 

ベッドが此処のが良くてね、つい。ふふ、物臭がバレてしまった。少し恥ずかしいね……。

……、……ははは、そうなんですね。

 

どうにかこの男から情報を得たい彼は慎重に言葉を重ねていく。とはいえ内心では所々で系統の違う誘惑を掛けてくるのはやめて欲しいと悲鳴をあげているが。

 

「家より居心地がイイのも考えものだよ。ホラ、地下のプールも視察兼ねて入ったり、なんて」

「それは……ある意味騒ぎになりそうな……」

「そう。そうなんだよな。その時は流石に秘書長に叱られてしまった。今じゃあ人気のない時間帯にこっそり」

「それオープンしてる(お客がいる)時間帯に変わりないんですから絶対怒られますよ」

「えー」

 

あと確実にバレているだろ、あの秘書長だぞ。オーナーの予定を一分一秒全て把握しているという“信者”の中でも相当の。

……各所属長は個性というか、皆等しく我が強い。その分能力も桁違いなのだ。彼が早々に彼らにはついていけないと見切りをつけて短慮且つ直接的にトップの部屋に凸るくらいには。

 

それにしても、肝心な言葉が引き出せない。彼は内心歯噛みする。全くの世間話しか出来ないのだ。そのように誘導されていると言葉を操る職に勤めている彼は直様気が付いた。あまりに自然。あまりに巧み。この男ならば稀代の詐欺師としても名を馳せるであろう。

その笑みに歪む眦すらも憎たらしい。

気付けば用意されたハーブティーはおかわりまで全て飲み干され、茶請けにと広げられた色とりどりの菓子は袋だけが散らばっている。

 

「多少は腹の足しになっただろうし、帰ったらゆっくり風呂にでも入って休むんだよ?」

 

このまま締め出されてはかなわない。

焦りのあまり喉から飛び出した、あの!という言葉に、京一郎は不思議そうに、どこか無垢に首を傾げる。

 

「ん?」

「いや、その……」

 

続く言葉が出ない。はくり、はくりと魚のように口を開け閉めするばかり。

どうする?次にこんな機会が巡ってくるとは思えない。約束を取り付けたとして、それは徒に信者達の警戒を煽るだけだ。

ぐるぐると巡る思考に声が割り込んだ。

 

「んー……そうだね。このまま秘密のお茶会が終わるのも味気無いような気がするし。……良かったらまた来るかい」

「は……」

「皆にはナイショで、ふたりっきりで。ね?どうかな」

 

くすくすと空気を震わせるように滲む笑い声。

デスクに両肘を付いて指を絡め、それに顎を乗せたまま柔く微笑むその姿は。

 

仕事仲間にはよく回る口と皮肉られる程の饒舌はここで完全に錆びたように固まり、彼はぎこちなく頭を上下に動かすのが精一杯だった。

 

「日時はキミが決めるといい。場所は此処で良ければ此処で。入り口にご意見ボックスがあるだろう?アレ実は私が管理していてね。それに日付を書いた紙なり何なり入れておくれ。どうせ誰も見ないんだから丁度いいだろう」

 

……逃げ道を塞がれたような心地がしたのは何故だろう。

虎穴に入らずんば虎子を得ず、と云う。危険を冒さなければ成功は手に入らない。その危険とは企みが京一郎や京一郎のシンパに露呈する事の他に、京一郎へ傾倒してしまう可能性も含まれている。

 

 

彼はその覚悟を決めたまま、京一郎の手を取る(掌で踊る)のだ。

 

 

 

*

 

 

 

「ふは、やはり俺の見立て通りだっただろう?少年」

「……うるさい」

 

端的に言おう。

受け身に回った少年がセックス中に過呼吸起こした。

 

 

 

 

 

何かとつけて少年の身体に触れてはいたが。マッサージであったり、普段の振舞いひとつであったり、思い付きに巻き込んでやった時であったり。因みにマッサージという言葉の前には性感と付く。さもありなん。

それでも挿入はこの身体では初めての事だったのだ、少年の知らない所でこの身体が抱かれていなければ。反応や具合は初めてのものだったのでそれはないだろう。

 

「少年、そろそろ挿入れるよ」

「ん……。……ウ、ぁ、……?」

 

口で丸め込んで押し倒し、無抵抗に指を受け入れた少年は伝わる快感の違いと早くに昂り始めた身体に疑問を抱いてはいたものの、うつ伏せで枕に顔を埋めつつ挿入前までは身体を俺に預けていたのだが。

 

漸く先が入ったところで少年がストップを掛けた。

 

「ァ、あ……??や、待て、ナミセ、何か、ッ、!ぁ、……い、いや、っ、ふ、ああ……ッ?ひぁッ!!あ、だめだ、1回抜け、」

「えぇ……折角入ったのに?」

「ヒィ……ッ?!い、いいから、抜けよ……ッ!!ぅぐっ、!ふ、貴様、このおれに何か盛ったのかッ?!」

「吸血鬼に効果のある媚薬なんぞ記憶にねぇよ」

 

そもそもお前には薬も毒も意味がないのではないだろうか?効くとしたら血行を良くするとか、代謝を良くするくらいのものくらいだと思われる。少年の言う程に強い効果のある媚薬なんぞ、吸血鬼の身体が直様解毒というか、無効化してしまいそうだが。

瞬く間に首裏まで肌が真っ赤に染まったのには驚いたが、まあ戸惑っているだけで続行しても大丈夫だろうとゆっくりと突き入れる。此処でお預けはちょっと。先を挿入れただけでコレは気持ちいいぞと思えるくらいで、その癖締め付けが良く、唾液が溢れる程に美味そうだったので。

 

「アッ!?や、め、止まれ、ダメだやめろ、本当におかしいッ、んは……っ!!あ、や、だ、いやだ、いやだ……ッ!あ、ああ、ア、っ?!ナミセッ……」

「ふは、少年がこの程度で音を上げるなんて本当に珍しいな……」

「ぐ……ッ、」

 

俺を振り払おうと腕が持ち上がったが、その隙にぐちゅりと弱点を抉ればかくんと体がシーツに落ちた。

吸血鬼がちょっと腕を振るっただけで人間なんて容易く壊れてしまうので。マア、悪いようにはしないので許してもらおう。

 

ぎしりと掴まれた柵が軋む。血管が浮き出るくらいに握り締められたベッド柵はひしゃげそうでいてひしゃげない。この部屋の物はそもそも破損しないか、しても直様元に戻るのだ。

ぎちぎちに締められては身動きが取れなくなるので、背後から腕を回して少年の立派な胸筋に乗る乳首をぎゅっと摘む。

 

「んあああっ?!は、ああ、やめ、やだぁ……っ!や、めろ、って、ぇ、〜〜〜〜ッ!!」

 

興奮に尖る突起を指で弾き、乳輪から順に円を描くように指の腹で撫で回してぷくりと主張したそこを愛でていれば、少年は腰を震わせて少しずつ力を抜いた。

 

「はぁーーっ、はぁーーっ、!いやっ、ナミセッ……!今日は、もう終わりに、」

「ここまで来たんだ、痛い訳じゃあないんだろう?大人しく受け入れろよ」

「っこ、のやろ……ッ?!ッッい゙、ギッ……?!ひ、ゃ、や、あああ〜〜〜ッッ……!?」

 

がくん、と再度頭がシーツに落ちる。

丁度前立腺を抉ったらしい。半ばまでオレを呑み込んだ後孔はひくひくと収縮を繰り返している。

 

「ぁ、ぁ?っ?」

 

小さく声を漏らして困惑を露わにする少年は背後からでも目を白黒させている様が分かるくらいだった。まるで子供の頃に戻ったようだなと笑みが滲む。

 

「奥、いいな?」

「ァ、う、ャ、ィや……、まって、いま、だめ、」

 

多大な戸惑いと弱い拒絶は聞こえないフリをして、ずにゅ、と更に押し入れる。

 

「あッ!ア、!や!やぁぁ……ッ!ア、ガッッ!!?」

「……ふ、っはは、気持ちイ……」

 

息を詰めた音。どうにか快感を逃がそうと力なく悶える身体。

少年の足の指がシーツを搔いて、一際強く柵が軋んだ音を立てた。

 

「ふー……、入ったよ。……少年?」

「ァ、ッ、ッ、!ぅ、!ぁ、!」

「……おーい。ちゃんと息吐けよ」

「カ、ッ、……?ぅ、ひゅぅっ?ぜひゅっ!ぁ、ォ、っ、??」

 

……あまりの衝撃に呼吸の仕方も吹っ飛んだか。

上手く息を吐けず吸ってばかりのようで……要するに過呼吸である。

四肢は強ばったまま声が出ない事に混乱はしているが、苦しさは無いようで困惑しきっている。流石は吸血鬼、呼吸も必要ないのか。

 

「しょーぅねん。1度呼吸を止めて。ゆっくりと、息を吐くんだ」

「ァ、ぁ、……」

「……無理そう?じゃあ少しこっち向いて……」

 

だからといって抜かないけども。息を詰まらせる毎に後ろがきゅっきゅっと締まって気持ちがイイ。

片脚を上げさせて側臥位に返し、上から唇を合わせる。

 

「ん、ぉ……、んん、」

「ン」

 

腹部から胸部を腕で抱き締める形で少し圧迫しながら、鼻を指で塞いで少年の吐き出した薄い息を吸う。舌を舐め、絡め取って、唾液ごと。ふ、ふ、と小さく息が吐かれるのを吸い取って。

 

「ぅ、ん、」

「ふ……はい、さっきみたいに息吸って……、……ちゅぅ、」

「ちゅぷ……、ふ、ふ、ぅ、ンン……っ、」

「また吸って……ん、」

 

ゆっくりと息を吐かせ、吸わせを何度か繰り返し、気持ち良さそうに舌を絡めてくるようになって漸く口を離した。……キスに集中し過ぎて呼吸が疎かになっては意味が無いぜ、少年。

唾液が糸を引く。赤い口内は俺の体温が移って粘膜が熱く蕩けているようだった。舌が時折ひたひたと浮いては肉厚な唇にだらりと落ちる。

 

「大丈夫?息吐ける?」

「ふ、は……はぁ……、ア、」

「大丈夫だな」

 

まだ腹の中のペニスの所為で正気には戻れていないようだが。

案の定少年はトコロテンをキメていたらしく、ぴくぴくと震えるペニスからは精液がボタボタ滴っていた。

快楽に蕩けた目元に唇を落とす。

 

「続けるからな」

「は、ぁ……な、みせ、」

「ん、どした、」

「……」

「、!……ふはは!少年は相変わらずだな!」

「っ、んゥ、ッふ、ぁあっ!あ、や、んあぁ……っ!アガッ……?!」

「ほら、頑張って息吐けよ。また止まってるぞ」

 

立てられた中指に思わず笑った。

 

 

 

 

 

やはり途中途中で呼吸を止めてしまうので、声を出させたりキスして呼吸を操作してやったり、最終的に背面座位で無理矢理揺さぶっていた。

 

「ゥあ、ああッ♡!!ォご、おほ……っ♡おっ♡おおっ……♡んおぉっ♡あぉ……っ♡」

「大胆だなぁ、そんなに股開いて。気持ちよさそうな声出して。まるで女のようじゃあないか。どうなんだ少年?ん?」

「き、さま、黙ってできないのかっ、……ッ♡♡!!っ、ッア゙アっ!!ふぁ、あ、あッ……っ!?おく、そんな、突くな、ぁ、あつい、あづいぃ、ぃ゙んん゙っ……♡♡!ンあ゙あ゙あぁぁぁ……っ♡♡!!」

 

ここまでの乱れっぷりは例の血塗れセックスの時以来ではないだろうか。

背中を反らして腰を浮かせる少年を支えながら(彼の今の体重は体躯に見合うくらいには非常に重いので上手く重心をズラしつつ)、欲を煽るように言葉を囁き、身体に触れる。

揺さぶられて達し、中出しで達し、扱かれて射精し。身体中精液で濡れているのにそれでもまだ限界ではないのだ。精液だって体をなしたまま、多少色が薄まったがその程度。

ちゃんと理性は残っているし、要所要所では蕩けた目で俺を睨み、腰を揺らしてキスにも応えている。

握り締められたその手は口元に当てられたり、額を押し付けたり、最後に俺の太腿に置かれた。

内心は兎も角セックスは愉しんでいるようだ。じゃあなければ途中で俺を押し倒して騎乗位仕掛けたりしないだろう。

 

ばちゅばちゅと肌が合わさる音がする。少年は激しい抽送でナカを掻き回され、奥を串刺しにされるのも好みだ。陰嚢の裏をごりごりと抉られながら、一際感じる奥の肉壁をぐりぐりと嬲られるのが。強弱織り混ぜれば唇を震わせる。

思わず自分から腰を振って押し付けてくる程度にはもっともっとと強請るのだ。壊れるくらいに激しく犯せ、などと。

今イったばかりだというのに本当に良くやる。

 

「う、ぁ゙、あ、なみせ、あんっ♡!も、イク、イって、る、ゥゥッ!はぁ、ッ、ぁ、っ♡っ……ァ、あ゙ーーーーっっ♡♡!!あ゙〜〜〜〜〜っっ♡♡♡!!!」

「はは……!噴水みてぇ、イキっぱなしだなオイ」

「っ……!ん、は、ぁあ〜……ッ♡♡!!んおぉ、っ♡お、ぉっ♡!ぉ、お……っ♡」

 

扱き上げていたペニスからびゅるるる!と勢い良く精液が飛んだ。少年の身体が跳ね上がる。四肢を強ばらせたまま少年はびくびくと震えていて、ナカがぐねぐねと肉棒に纏わり付いてくる。快楽の波をなんとか受け流して笑った。限りのある此方は耐える他に選択肢は無い……のだが、中出しした時の彼の悶えっぷりは一入で此方は煽られるばかりで。

太腿に爪を立てられて皮膚が裂けるが、それもこれも極上の快楽の前には大した事でもない。

どうやら“コッチ”でも相性が良いらしい。理性を保つ為に食い縛った唇はぶつりと裂けて血が落ちる。

 

「ぁ、は……、は……、ぅ、っは、あ……ッ!くっ……フーーー……ッ、フーーーッ……!」

「ふは……っ、ああ、少年……血、吸うか?」

「ッ、んん……♡」

 

身震いしながら頷いた少年に手首を差し出す。舌で膚を舐め、鋭く尖った牙が這い、貫いた。

同時に俺もサイドテーブルから蓋が開いたままのペットボトルを手に取り口を付ける。小休止も挟まないと直ぐにバテるからな。汗がぼたぼたと滴る。噛み切った鉄錆の味がした。

掴まれている手に指が絡みつく。ひんやりと冷たい指先が俺の体温でじわじわと温くなっていく。

 

「はぁ……ッ♡!ひはっ……!?ぁ、ふ……ン゙ぅーーーっ……♡♡!!」

 

張り付く髪を掻き上げて少年の傷のある首を晒し、星型の痣のある首筋に歯を立てながら突き上げれば、少年は恍惚に染った啼き声を上げる。少年の開きっぱなしの口から血液混じりの唾液が垂れた。

感じ過ぎだなぁ。いいねぇ、最高。

やはり少年が少年であるからこそ輝くのだ。肉体は確かにとびきりだが、それは然したるものでは無い。元となった肉体の本来の持ち主がどんな人間だったか気になるがそれはそれ、これはこれ。

 

 

─────硝子に収められた血濡れの頭はあの時から少年の腕の中にあった。

よく手入れされていたらしい美しいブルネット。

凛々しい眉。閉じられた目。

口元は緩く弧を描く。

 

後悔のない死を迎えたのだと無関係である俺にすら分かる安らかな顔。

少しずつ白骨化していく頭蓋を少年は決して無碍にはしなかった。

 

 

「ァ、♡ぁ、♡……んは……、ナミセ、」

「続けるか」

「……ン、」

 

向かい合うように体勢を変え俺の首の裏に腕を回した少年は興奮で顔を赤くしたまま唇を寄せる。幾筋もの伝う汗を拭う事もせず、張り付く髪もそのままに。

少年とのキスは殆ど血の味がするから、俺まで吸血鬼になったと錯覚してしまいそうだった。遠慮容赦のない濃厚な口付けは彼の興奮を如実に表している。肉厚な舌が口腔を這う。それに重ねるようにして絡めた舌が鋭い牙に触れる。

逃がさないと言いたげな据わった目も、頭を固定するように回された腕も、もどかしげに揺れる下肢も。何もかもが俺の欲を誘う。

ぬちゅ、と舌が抜かれる頃には最早伝う唾液がどちらのものかも分からぬ程にどろどろだった。

 

「少年……血ィ吸いながらしたい?」

「あ……はぁ、っ、♡♡」

 

乱れた髪に手櫛を入れる。引っ掛かりのない流れるような美しい柔らかな金。その間から血のように紅い瞳が覗く。欲情しきった、獰猛な雄の目。明確にお前が欲しいと言う目だ。

ここまで強烈に性的な印象を持たせる人間はそう多くない。

 

少し荒々しく俺の上に腰を落とした少年に腕を回す。ハジメテでもあれだけ擦られて揺すられれば挿入れるのも慣れるか。きゅっきゅと締め付けながら根元まで咥え込んだ臀を柔く掌で愛でる。いい子だ。ぷちゃりと少年のペニスから液が散る。身体をくねらせ、陶然としながらも俺に回した腕からは力は抜けない。

どれだけヤっても緩む事無く締め付ける肉壺が、こちらを煽る獣のような甘い嬌声が、どれだけ快楽を注がれても全て飲み干してしまう精神力が、限界を超えても喰らい続ける貪欲さが。何より愛おしい。

 

「いいよ、吸って」

 

くらりと揺れた瞳、細まった瞳孔。唇から覗く白い牙。赤い舌。

首筋に鋭い痛みが走る。

ぎゅう、と頭が腕の中に抱え込まれ、存外柔らかな感触が身体に押し付けられる。胸筋と言うより最早乳だった。右手で柔い胸を優しく揉むと更に反応が顕著になる。

 

「ん、ふ、ふ……ぅゔ、♡」

「ふは……少年、そんなに抱き締められちゃ動けねぇよ」

「……黙って喰われてろ……んん……♡」

 

指から吸われるのはあんまり好きじゃないと言ったからか、少年は大人しく首筋に牙を突き立てる。少年からすれば派手に汚れるので口から吸うのは好きじゃなさそうだが。今だって白い頬や顎にまで赤い飛沫が飛び散っている。

ゆさゆさと揺さぶり突き上げて、少年の頭を地肌から撫でながら片手で少年のペニスを扱く。

 

「ぅ、あ゙……、ッは、くふ、ゥ……ッ!ぁ゙は……♡」

「たのしそうね、」

「ああ……?お前だって、おれのナカでガチガチに勃たせたままの癖に、」

「そりゃ少年がえっちだからなあ……」

「抜かせ……、っ♡!!」

「フフ、その身体でも気に入ったみたいだな?」

「っ、気に食わなかったら、とうに吸い殺している」

「おー怖。じゃあ今度は満足してもらえるように頑張らないとなあ」

「ッ!ア、あ゙っ……ふぁ、っ!!」

 

出が悪くなったらしい、じゅるりと最後に首筋を啜ると少年は自ら腰を浮かせて言葉なく続きを強請る。

ああ、抱かれ慣れてるなあ、などと。俺が言える事でもないか。

腰骨を掴んで無理やり引き寄せ、奥から腸壁を余すところなく舐り抉りながらぎりぎりまで抜いてやれば、少年は腿に力が入れながらぶるりと身を震わせて呻いた。

 

「ん゙、あ゙、あ゙……っ♡♡あ゙ぁ、イイ゙、これぇ゙……♡♡今のイイ……ッ♡♡」

「奥、突かれるのと今みたいに入口まで抜かれるの、どっちが好き?」

「ふ、ゥ゙ッ、ぅ、あ、!んん゙ッ♡!!どっち、も、イイがらぁ゙〜〜〜ッ……♡♡」

「なら次奥でイって、その後ゆっくりシようか」

「んはっ!ぁ、んん゙っ!ぁ゙、あっ……!ぅ、う、ッ♡♡っか、勝手に、すればい、ッんぉ゙お゙っっ……♡♡!!?」

 

体勢を入れ替えて押し倒し、どちゅんと奥に叩き付けた。奥のすぼまった行き止まりがくぱりと僅かに開いてしまうくらいに。

息を詰めてはくはくと口を開け閉めする様は魚か犬か。

まるで白痴のように目を白黒させていて、無様で可哀想で愛らしいと思った。

 

「ぁ、が……ッ?!ひぎ、ャ゙っ……♡♡!!んあ゙、あ……あ゙、ァ゙……♡!ヒュ、ァ、!ひぃふッ!ひゅふぅぅ……ッ!!ぅ、あ゙あ゙っっ!!あ、ィ、!ッん、は、は、あ゙、あォ、ッあ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ーーーーーっ♡♡!!!」

「また呼吸が引き攣ってるぜ」

「ひ、ぅあ……!ぁあんっ!!は、ぁ゙ぁっ……♡♡!!らっで、らっでぇ……♡♡!!あ゙あ゙、ッだめ、だめ、だめぇ゙っ……♡♡!い゙、ぐっ!あは、きもちイ゙……っ♡ッッいぐ、いぐぅっ♡♡♡!!!」

 

……俺もそろそろイきそうだ。

ばちゅ、ばちゅ、ばつん。ぐちゅん。小さく口を開けたそこが、亀頭を咥えて吸い付いているようだ。もっともっとと追い縋ってくるのを無理矢理引き剥がして、熱く蕩けた肉壺を抉りながら引き抜き、柳腰を掴んで奥に打ち付ける。見開かれた目からはぼろぼろと涙が溢れ、晒された喉に唾液が伝う。赤を彩る金の長い睫毛に雫がまるで宝石のように瞬く。ひくりひくりと痙攣する喉仏は男らしくも色っぽかった。鬼気迫るような顔が可愛らしい。

伸ばされた腕を逆に掴み取って更に激しく揺さぶった。

 

そろそろやめにしてあげないとな。あまり執拗いと却って機嫌を損ねる。足りないのも飽きられやすいので良くないが。八の字に下がった眉が可愛らしくてこめかみに唇を落とすと眉根を吊り上げて口にしろと強請られる。

 

あー滅茶苦茶気持ちイイ。止まんねぇわこれ。

 

 

その後中出しと同時に少年はまたも過呼吸になった。

 

 

 

 

 

 

で、今に到る、と。

 

「前の身体より感じやすそうだとは言っただろうに」

「……やめろと言ってもやめなかった」

「彼処でやめても不完全燃焼だったと思うぞ?他ならぬお前が」

 

それとこれとは別だと少年は俺の首元に噛み付きながら言外に言った。気分を害したというフリをしているだけで怒ってはいないが不機嫌ではある、と。正しく読み取って俺は笑みを含ませつつ彼の背中に腕を回す。

要は身体は初めての筈なのにあんなに感じてしまった事を屈辱と感じているのだ。

 

「脳が覚えていたんだろ、絶頂の感覚とか」

「……」

 

あるある。脳内麻薬が分泌される感覚って堪んねぇよな。

赤い目元を指で擽るように撫でると嫌そうに振り払われた。

牙が更に深く首元を抉る。口寂しくなってもセックス中でも無ければキスを強請れない少年が可愛らしい。

いっそ開き直ればいいのに。少年がそれを理解するのはいつになるだろうか。賢い彼の事だから、きっと直ぐに気付く筈だ。

代わりにと彼の頭頂部に唇を押し付ければ、彼はじろりとその赤い目で睨んだ。

 

「なあに、邪魔はしてないじゃあないか」

「鬱陶しい」

 

本当に鬱陶しかったら口より先に手が出る癖して。

俺はそれを知っていて、彼は俺が知っている事を知っている。

互いの性質や癖、好みなんかを口にせずとも理解する程度には濃い関係を築いている自覚があった。短期間だが、短期間なりに。だがそれは運命的ではなく、行き摺りのそれでしかない。

 

肝心な事は知らないけれど知らないままでイイ。知る必要はない。どうせ心の根っこから全て分かり合える事など、俺達のような唯の人間に出来る筈もないのだから。利己的で欲深。愚かで醜くも愛おしい人間の本性。

好きな時に好きなようにあればいいし、楽しみたい時に楽しい事をすればいい。

 

「フフ……可愛い」

「……お前の目は節穴か?」

 

ばちんと音を立てて大きな掌で口を塞がれる。

 

「……いふぁい(いたい)」

「戯言しか吐かないのならいっそ黙っていろ」

 

嘘は言っていないんだけど。まあ確かに、今の少年は可愛いと言うより美しい、逞しい、という言葉の方が相応しいかもしれないが。

 

顎を掴まれたままの為それ以上言うでもなく少年の髪に手櫛を通す。

 

「しょうねん、たばこすいたい」

「駄目だ」

「けち」

「ああ゙?」

「なんでもない」

 

すげぇドス効いてた。

これ以上言うと顎砕かれそうだからやめておいた方が賢いな。少年の事だから吸血が終わったら吸わせてくれるだろうし。

 

なんだかんだ言って、少年は割と俺に甘いのだ。諦めとも言う。

 

 

 

 

 

 

……まだ初めてだから手加減していたなんて言ったら流石に接触禁止令出されるだろうか。初めより慣れてからの方が感度が跳ね上がるなんて言ったら腐ったものでも見るような目で見られそうだな……。言わないでおこう。だってまだ味わい切ってないしな。

 




書き直ししつつ。

即落ち二コマかな?????
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