吸血鬼は淫魔の夢を見るか? 作:マスター冬雪(ぬんぬん)※休止中
短め。
潮吹き/連続絶頂
「ディオ様」
「……ああ」
……このディオが吸血鬼となって1週間が経った。
到底本調子とは言えないが、痛みは大分薄れてきた。アイツの……ナミセからのアレが無ければ、恐らく未だに車椅子から立てずにいただろう。人外の力を手にしたとしても、それを機能させる血肉が無ければ十全に発揮する事も出来ない。
……ジョースター邸での前後、白い部屋に呼ばれてしまったのは意図した事では無かった。
焦り、動揺し、実験と称して使った石仮面の真の力に高揚した結果が前日であり。思わぬ反撃に激しい怒りと憎悪を抱いたのがその後日の事である。
奴……ジョジョは、今後の為に消しておかなければならない。人智を超えた存在となったこのオレが警戒し、全力で排除するに足る存在である。
ジョナサン・ジョースター……。
きっと奴はオレの後を追うだろう。オレが大きく動き始めれば、あの大甘ちゃんは必ずオレを止めに来る。
奴はオレの障害となる。その確信があった。
感情が高ぶる時、その夜。意図せずあの白い部屋に呼ばれるのだとしたら。……その全てに、ジョジョが関わっていた。
町を渡り、血を吸い、夜の闇に紛れてまた渡る。
傷を癒し、下僕を増やし、然るべき時に向けて。
「ああ、来たか」
「……」
……気を昂らせ過ぎた。
2度同じ事をしてしまうとは、義兄の事に関してはどうにも、オレは自制が足りない。
どうにもこの部屋の所為かこいつの所為かは分からないが、此処では効率良く精気が摂取できるらしく、奴は男であるのに血の味は若い女の血よりも勝るとも劣らないものなのだ。少なくとも現実では精液を身に受ける事で傷が治ったりはしない。……と、思う。試した事は無い。こいつ程身体の相性がイイ男はそういないと思っているので態々他に手を出そうとは思えないのだ。
実際、学生時代にあれこれ漁ってみたがどれもこれもこんなものか、という程度でしかなかった。好き好んで不味いものを食おうとは誰も思わないだろう?食傷気味になれば女を抱けばいいというだけの話だ。
「傷は癒えたか?」
手にした書類を放り投げ、眼鏡を外しながらナミセは問う。
露出の無い隙のない格好。奴はまだ仕事中なのだと想像に難くなかった。転寝でもしているのか?その手は黒い革手袋に覆われている。
「……まだだ」
「ふぅん……」
手招きされ、渋々近寄って奴の前に立つ。
するりと服の裾にその手が差し込まれ、何処か官能的に服をたくしあげる。……やると思った。
「火傷はある程度治ったようだが……ああ、この腹の傷か」
「……このオレにこんな事をして殺されないのはお前くらいだぞ」
「フフ……それはイイな」
何とも思っていないような顔をして。
ちゅ、と感覚の鈍い腹の傷に唇が落とされる。
引き寄せられるのに任せてベッドに乗り上げれば調子に乗ってキスを重ねてくるので、その頭を極めて軽く叩いた。バガンと音を立てる。撫でる程度でなくては頭蓋が陥没し首が捥げるくらいには吸血鬼の膂力は凄まじい。……いや、人間が貧弱な生き物なのだ。
死体とセックスする趣味は無い。
「いってぇ」
「フン……惰弱な生き物め」
「……フ、もうすっかり吸血鬼だな」
頭を擦りながら読めない笑みを浮かべるナミセにその意を問う暇無く、奴に唇を塞がれた。
「ん、おい……それを付けたままオレを抱く気か」
「ああ……」
するりと手袋を外したその手には薄く包帯が巻かれている。
「それも」
「はいはい」
現れたのは哀れなくらいに青黒くなった痕の付いた手。
「お前が付けたんじゃあないか、あの夜に」
あの夜。
飛び掛けた意識。シーツに押し付けられた手。
─────もういやだ、
─────はやく、早く終わって、ああ、
─────きもち、いい……いやだ、あ、だめ、止めないで……
「……あれか」
「そうそう。お前が理性飛ばして自分から腰振って早く精気欲しいって泣きながら強請ングフっ!」
「喚くな下等生物が……!」
加減して掌を顔に叩き付ける。
堅苦しく留められたシャツの下、包帯とガーゼを取ったその身体は夥しい数の噛み跡と圧迫痕で埋め尽くされていた。
「気色悪……、」
「お前なァ」
少し力を入れただけで痣になるとは……人間とはやはり脆い。1日2日では消えないそれに不便だという印象を僅かに抱く。
首元の匂いを嗅いで違和を覚え試しに牙から血を吸えば、……どうやら“混ぜ物”をしたらしく色々と混じっていて顔を歪める。折角の血が台無しだ。
「不味くはないが美味くも無い」
「あー輸血……馴染むまでもう少し掛かるんじゃないか?」
「……ふん、趣味が悪いぞ。この匂いは……男か。歳は、」
「ああやめろやめろ皆まで言うんじゃあない」
そう言うならせめて若い女の血でも混ぜれば良かったものを。
選べるもんじゃあないんだよ医療現場では、とナミセは微妙な顔でそう口にする。
「人間が多量に出血した際別の人間の身体から血液を移せば極低確率で生還できる……と本で読んだ覚えがある。それか?」
「……、ああ。血液には大まかに4つ区分があってな。組み合わせが悪ければ血液中の抗原と抗体が反発を起こすんだと。極低確率とはそういう事だろう」
4つの区分以外にもRhにMNS、Lewis……血液型にも多くの種類がある。正しい者に正しい血液を輸血しなければならないのだ、と告げられて目を見開く。そんな学説は聞いた覚えがない。
だが、成程……同じ性別同じ位の年齢でも味に差があるのはそういう事か。
「今のお前にはそういう医療なんかは不要だろうが、生憎俺は唯の人間なんでな」
そのシニカルな笑みは何処か人を辞めたオレを揶揄っているようにも見えた。
─────いや。正しくは自分以外の全てを無意識に見下している、か。
「……」
「いッてェ!てめ、顔はやめろ顔は!」
「っ……」
ずぶり、とその長大な杭が肉を割り、体内へ収められていく。痛い筈なのに、しつこく慣らされた孔穴は容易くそれを呑み込んで。
圧迫感と、充足感と、期待。
───今日は初めから激しくしていいか?───
態々そんな事を言うなんて、どれだけの事をするというのか。
けれどオレも、今は昂った衝動を、快楽に叩き付けられて鎮めたいと思っていた。この前の、本能に支配された時の死ぬ程気持ちイイセックスが頭になかったとは……決して言えないが。
あの時。酷く甘やかされながら抱き潰された血の匂いの噎せ返るあの夜から、オレは少しおかしい。
「く、ふ……っ!ゥ、うぅっ……!ぁ、ああ……っ!っ、……っは、……はあ、はあ、」
「ん、入ったぜ」
「ふ……わかっ、てる、ンッ……!」
ごつりと最奥にまで届いた肉棒に目の前が白む。
「っ、?!ン、は……あああっ!!ぅあ、グ……いきなり、奥までなんてっ……、あは……っ」
うつ伏せの状態でシーツを握り、腰骨を掴まれて引き寄せられて身体を震わせる。
いつもよりも荒く激しい律動が酷く興奮を煽った。無遠慮で獣じみたまぐわいは頭が一気に茹で上がるくらいに気持ちが良い。
首元に擦り寄るナミセはオレの髪に顔を埋めながらギラギラとした目でオレに喰らいつく。
自分勝手に腰を振っているように見えて此方の弱い所を的確に抉ってくるからたまらないのだ。だから大人しくされるがままになっている。
項が晒されて噛み付かれ舌が這う。襟足の根元からぬるりとした感覚が絡みつくようで、思わず薄目を開けて快楽に打ち震えてしまった。
「アゥ……ん、んっ、んヴっ……っ!ふ、あっ!あっ、は……ァんっ!あ、っ、あ……」
「く……フフ、そんなに締めるなよ。直ぐに達してしまうだろ?」
「っ……るさ、いぞ貴様、っんッグぅ……?!っは、ああああァァァ……っ!!」
お前は唯腰を振っていればいい。ごりごりと内壁を抉りながら突き上げられて悲鳴のような悲痛な嬌声が零れ落ちる。
「ああ、ああっ!イイ、イイぃ……っ!もっと、それ、寄越せっ!」
「ふはっ!少年らしいオネダリだな……!いいぜ、くれてやる」
「ッふ……!ぅ、あ、ああっ!あ゙!ああ……っ!」
齧りつかれ、背中や腰に鬱血痕を散らされながら深く突き上げられる事の心地良さたるや。頭が白く染って快楽に支配されていく。
もっと。もっと。もっと。
「かはっ……!ああ、あああっ!も、イく!いく、いくいく!もうイかせて、イく、イ……っあああぁぁああぁぁっ……!!!あああ……っ、は、あ、あ!ん、ぁ……」
「んッ……くは、おいへばるなよ。まだ俺はイってねぇぞ」
「ッッ!!?ぅ、あああっ、あ、だめ、動く、な、まだ……!ああんっ!!あ、あ、イって、イってるぅ、!ぅ、あ、あ……ぁ♡くそぉ……、!あ、ああっ……」
気持ちいい。気持ちいい。……良過ぎる、だめだ、達したのに。ペニスから飛び出た精液がシーツに擦れてぐちゅりと微かに音を立てる。崩れ落ちた腰が持ち上げられ尻を突き出すような形で支えられた。
止まらない。止めて、くれない。
押し上げられた快楽の頂きに、無理矢理留まらせるのだ。
「ァはっ?!あ、あ、も、止ま、れぇっ!あああっ!!や、やァんっ!や、あはあアァッ!あああっ、あ、い、ぐっ!!?ゥゥ……!!っ……くぁんっ!あん、あんっ!ぐっ、こ、の猿ッ!遅漏ォ……!!」
「わざとだって失礼な」
続く快楽の波に溺れ掛けながら訴えるも押さえ付けられて揺さぶられて。
「やめ、やめて、やめろ、も、イッ……あぁっ!!イく、またイくっ!いっ……くぅうぅ……っ!!」
「脱力すんな、ホラ、っは……」
「ひゃめ、ゥ、あ……!!ま、て、アアンッ!!イ、イク、いくいくぅっ!?ァ!あ、は、げしぃ、っ!おねがっ、だめ、これ以上イったら……っ!」
「激しくするって言ったろ?」
「そ、だが、こんなぁ……っ!!〜〜ッッ!!?お゙っ、ぉ、お゙お……っ♡」
……イイ。強引に貪られるのも。
息を詰めて身悶えする。
何度も何度も続け様に頂きに押し上げられて、……押し上げられたままで。頭が真っ白になって、とめどなくイキっぱなしで。まるで何かを確認したいとでも言うような。
「あ、あ、や、だぁ……!あ、っ、ヒぎ、アア、きもち、い゙……ッ、くるし、やぁんっ!!」
「ん、く……はは、すげぇ痙攣してる」
「やら、やらぁぁ、も、っ、ひゃ、ァ゙っ、ゃ、めて、ぇぇーーっ!!まだしていいからっ、あ゙、や、とまって、すこしでいいから休ませ、っ!お、おねがいぃぃ、ッあ゙ああっ……!」
喉がかひゅかひゅとイカレた音を出し始めて、その甘ったるい快楽が苦痛になり始めた頃辺りから、ナミセが更に激しくソコを抉り抜いてきて。同時にシーツに擦り付けていたペニスが扱かれる。
「ひィっ?!ぃ゙、や、あ゙あ゙っ!も、おまえッ、!は、早く、イけ、も゙、早く、早くっ……ナカっ、出せよォ!!」
「くっふふ……かわい。出す」
「早くしろ、っ!あ、あっ!あ……〜〜〜っっ♡♡!!」
─────ぷしゅり。
「かハっ、ぁあ、ぁ、ぉ、おああぁぁああーーー……っっ♡♡♡ぁ、はー……っ♡あぁっ♡おぅぅ……っ♡♡んああぅ、ああ……♡♡」
ぷしゅ、ぷしゅ、びちゃ、ぷちゅり。
……ああ、また、潮吹きしてしまったのか。
下肢が濡れる感覚と、身体中を走る終わりのない快感。
ナカに溢れるどろりとした大量の精液。ごぼごぼと後孔から溢れる程のそれは、こいつがそれ程我慢したからだろうか。逆流し流れ出す精液がまた格別にきもちがいい。
脳髄がびりびりと凶悪な甘い刺激に痺れ、痴呆のように何も考えられなくなる。ただ、きもちいい、としかわからないのだ。
「ぐ、が……ぁあ、あっ、はあ♡……あぁ〜〜〜っ……♡♡」
「ん、上手にイけたね」
「ン……はっ、ァ、やっぱり、これ、すご……っはぁ……♡」
ぼんやりと霞む意識。
身体の中を暴れ回る電撃。
勝手に緩んだ涙腺がぼろぼろと涙を零して、あちこちが痙攣を起こしている。
触れられている全てが性感体であるかのような。
「ッや゙っ!やだ、いま、触るな……ぁあっ……」
「ココ、頑張れば入れそうだと思ってたんだよな」
「……、……あ?ッォごっ……?!」
ナカに入ったまま仰向けにされて悶絶した。……こいつ、なんて事を。
トン、トン、と腹に指を置く感覚にも悶えながら、ナカでビクつくペニスが突き刺したままの奥、比喩でもなく内臓が押し上げられているソコの“先”へするりと指をスライドさせる。
ぞわりと悪寒が走った。
「あっ、あっ、な、ん……、」
「結腸抜きと言う。“コッチ”としては申し分ないんだが、穿くと先ず相手側が快感でイカれるんだなこれが。ま、それは普通の人間の話だ」
「ァ、ま、さか、」
「吸血鬼になった少年なら耐えられるんじゃないかと思っ、」
「絶対にするな……!」
「気持ち良くするのに」
これ以上続けたら、コイツは必ず“それ”をするだろう。悪寒が背筋を走った。
口を尖らせるナミセの胸を押し、未だ硬さを失っていないペニスをナカから抜く。大人しくそれに従った男を睨め付けつつ。
結局、1度しか出していない。何をそこまで耐えてまで確かめたかったのか。にんまりと笑う男は口を開く。
「少年が素面の状態で可愛く喘いで盛大に潮吹くとこ見られたんでまあ満足、いってぇ!!」
脛を蹴り付けた。最低に下劣過ぎる。
「(……殺されるかと思った)」
死なない身であるのに。
指先が奴から触れられた場所を、無意識になぞった。
***
「もしもし?……ええそうですが。どうかされましたか。……はい。ええ。その案件の必要書類は既に畑中に渡しておりますよ……はい、……、……ああ、見つかりましたか。それは良かった。ええまあ、申しつかった案件は期日の3日前には処理しておくのが基本ですからねぇ。ああいえ、揶揄だなんて、そのような事はけして。ええ。……ああ、はい。お疲れ様です」
がちゃん、なんて激しい音に目を細めつつ携帯端末を放り投げる。
「なぁに、お仕事?」
「ン……ま、そんなトコ」
敬語に合わないわね、なんてケラケラと笑う女に笑みを繕って、女が横たわるベッドに腰を下ろす。
「吸ってい?」
「いいわよ」
口に煙草を咥えて煙りを吹かす。苦く、甘く、重い煙を肺に落とし込んで、ひと息に吐き出した。
「こう見えて上に忠実な社畜なんだが」
「ウソ」
「嘘じゃねぇよ」
「だってアナタ、いつか喰い殺してやるっていう顔してるもの。ぞくぞくしちゃうワ」
同僚?上司かしら。
……聡く賢い女は好ましい。目を向ければ追求はしないと赤いルージュを歪ませて艶美に笑った。
この女とは随分昔から関わりがあった。年の離れた女家庭教師と生徒。母からの愛を失う事を恐れた父の無駄な足掻きだった。息子である俺に女を宛がって、俺はその意味を理解し、女はそれを許容した。
ただ父の誤算は……それが裏目に出て母の俺への慕情を更に燃え上がらせてしまった事か。結果として、全てに見切りをつけた俺によって、家庭も自分自身の身も滅ぼしてしまった。
女とはそれ以来連絡を取っていなかったが、どこで嗅ぎ付けたのか、俺が開き直った直後にあの3ヶ月の続きをしないかと誘いに来た訳で。それからは成り行きだ。
この女とのセックスはイイ。後腐れのない所も、自分が相手の特別だと驕らない所も、技術も、具合も。仮に彼女は本職だと第三者に言われたとしても俺は驚かないし、恐らく信じる。
「アナタ最近お嬢ちゃんに絡まれてるわね」
「……お嬢ちゃん?」
「ほら、黒髪の」
「……、……ああ、アレか」
「アッハハ!“アレ”だって。酷い男」
「地位があるからってだけで脂ぎった太鼓腹親父の上に乗る阿婆擦れを、自分と同じ人扱いする奴がいるのか?理解しかねる」
あとアレはお嬢ちゃんという年齢ではない。
何にせよどうせ顔目当てで、この俺をアクセサリー扱いにでもしたいんだろうよ。
「“お嬢ちゃん”よ。一生懸命で可愛らしいじゃない。あれは精一杯背伸びしてるの。大人の遊びを楽しんでいて、一人前のレディみたいに男を手玉に取ってるのよ、って」
「ふは、嘲ってるじゃねぇか」
「やぁね。人聞きが悪いわ……ふふふ……」
女はあの時と変わらず……いや、それ以上に艶やかに笑った。女はとうに盛を過ぎているというのに、今も若々しく美しい。
「女に年齢は禁句よ、坊や」
「……アンタの“坊や達”とは違ってマザコンじゃねぇんで、そういう扱いされると萎えるんだが?」
「ふふ!ごめんなさいね、ついクセで……。怖い顔しないで?アナタにはとびきり甘やかして欲しいのよ、私……」
欲で潤む瞳。誘惑するように覗く赤い舌。ぬるりと身体に這う、赤く彩られた指。
ふと浅く溜息を吐いて、口角を吊り上げた。
「俺から言葉は必要か?」
「あら、口説き文句のひとつも吐けないなんて、アナタの口は何のためにあるのかしらねぇ」
「“アンタにキスする為さ”」
「!!……ッフフフっ!気障ったらしい。似合わないわよォ」
「だが、こういうのが好みだろう?」
「ふふ……ホント、狡い男……」