※この作品はR-18です。

プロローグ   作:劉雪

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突如な始まりになります。
今回の話の展開は2074年のフライアに神機使いを派遣する前の話です。
閑話に主人公達の過去話などを書ければと思います。


第1話

始まりは一枚の写真と一冊の分厚い日記だった。

 

「これ、昔の先生の写真?」

 

雪のように真っ白な白銀の髪の少女が持ってきたのは、一枚の写真だ。

淡い金色(オフゴールド)の長い髪に表情はなくとも、強い意志を宿して見つめる薄紫色の双眸の少女と燃えるような赤毛の所々に跳ねっ毛がある快活そうに笑顔を向ける少女の間に挟まれている写真の少女達よりも一回り小さい水鏡色ーー氷のように透き通った白銀の髪が毛先かに近づくにつれて黒くなっている髪の少女が眼帯で隠れていない右目は怯えているような視線をこちらに向けている写真だ。

それを見た水鏡色の長い髪の女性はクスリと笑った。

 

「随分と懐かしい写真を掘り出してきましたね。それも入隊して間もない髪を切る前の拙と討伐班班長であった前任の二人との写真ですね」

 

「先生の前の班長?」

 

「ええ、一人は拙にこの世界の生き方と誰かを愛する事、もう一人は例えどんな状況であっても生きることを諦めない意志を教わりました…。今でも頭が上がらない大切な姉さんのような存在であり、恩人であり、憧れです」

 

もう随分も前の話であろう。写真の少女と自分が先生と呼び慕う女性を見比べ、共通点を探し始めた。

水鏡色の長い髪は毛先まで水鏡色で、右目が夜空のような黒に対して。左目は月影のような銀色で今は眼帯で隠していない。

浮世離れした容姿をしていることは変わりないが、写真よりも大人びて、怯えている様子もない。だが、写真の少女と同じく両腕に銀色の手枷がつけられていることから、同一人物だということがわかる。

 

「じゃあ、この日記も先生が?」

 

少女が持っているのは、一冊の分厚い本だった。本というよりは何枚もの紙の束を紐で綴った紙束である。

 

「ええ、拙の過去を記録したものです。もし、万が一忘れてしまった時に、この日記を見れば思い出せると思って。此処に保護される前の日付感覚は曖昧で大体のことしか書いていませんが、その時にどんな事をしていたのかを記録しています。あの時の私は…誰かに従うことしかできない人形で、二人と出会っていなかったら、今、こうして貴女と話すことはできていませんよ。シオン」

 

シオンことシオン・メイフィールドは、納得した。自分にも似たような過去がある。

それを先生もしていたから、自分を引き取り、“人”としての生き方を思い出させてくれたのだった。嘗て、自分にして貰ったことを別の誰かにすることで命を繋いでいくことを選んだのだ。

 

「おーい、何をしているんだ?二人して」

 

「タクマにイツキ」

 

タクマと呼ばれた黒髪の男ーー鬼月タクマ、そして、イツキと呼ばれたくすんだ金髪の男ーー風祭イツキは不思議そうにシオンの手の中にある写真と紙束を見た。

 

「あっ、それ。俺が写真撮ったやつか!もうあれから、十年以上経つんだな!」

 

「これが昔のルナに、両脇の二人が俺達二人の前任のジゼルとカサネか?」 

 

思い出したように笑うイツキにタクマは首を傾げながら確認した。

 

「ああ!この写真一枚撮るのにも大分苦労したんだぜ。ルナが嫌がったから、カサネとジゼルが両脇から捕獲してたんだ!」

 

ケラケラと軽く笑うイツキはふとすぐに表情を変えた。

 

「あの頃から色々ありすぎたな。ジゼルが死んで、この場所ができて、そのあとすぐにカサネが死んで、ルナが副長になったりしたり、俺も恋人(カサネ)の神機に適合したりな」

 

「ちょうど、その頃か。俺がルナに拾われたのは」

 

思い出していくうちに段々と表情を暗くするイツキに一同は静まり返った。

その暗くなる空気を察してか、タクマが話題をすり替えた。

 

「タクマも先生に拾われたの!?」

 

「ああ、ルナはあの頃からあまり性根が変わっていないぞ。お前の前では色々教える先生という印象だろうが、根本的は自虐的で内向的で救えるものは犬だろうが猫だろうが人だろうが拾ってくる、お頭直弟子の中ではまだまとも…ではなかったな。一番の曲者だったな」

 

先生ーールナと呼ばれた女性はむ、と顔を背けた。

 

「生憎と誰のことか覚えがありません」

 

「説明が必要か」

 

「いいえ、必要ありません。もうそろそろ任務の時間でしたか?」

 

「ああ、フライアという本部からの移動要塞の応援だ。榊殿つまりはフェンリル極東支部からの伝令だ」

 

「わかりました。すぐに出発しましょう。シオンも準備をしてください、貴女も一緒にですよ」

 

悪戯っぽく笑うルナにシオンは花を開くような満面の笑みを浮かべた。

 

「うん!すぐにしてくる!」

 

駆け足で部屋を出ていくシオンの背をルナ達はただ見送る。

 

「それにしても、あれから随分経つんですね」

 

「それはフェンリル極東支部との協力体制になったことか?」

 

「別のことです。拙が“咲守ルナ”という名を与えられ、そして、このエリュシオンの副長となった時のことをです。昔の拙なら、逃げ出していたでしょう。この現状から、それは沢山の人の想いによって阻止されましたが」

 

ルナは憂いを帯びた表情で写真の表面をなぞった。

 

「今の私を見たら、二人はどんな顔をするんでしょうね」

 

想像してみたが、からかわれる未来しか思い浮かばなかった。

ジゼルに至っては、妹だからと猫可愛がりして辱められる未来しかなく、カサネに至っては自分のことをからかいながら言いふらすだろう。表情に出しにくいだけで感情豊かであると、豪語するだろう。そうなる未来があってほしかったとほんの少しだけ思った。

そして、このエリュシオンができるまでに多くの出来事があった。

エリュシオンに来る前の自分が今は亡き彼女達以外の人間と交流を持つことはなかっただろう。

 

「昔話はあとにしようぜ。隊長、指揮を」

 

「エリュシオン討伐班、これよりフェンリル極致化技術開発局【フライア】へ合流します。各員、準備が完了出来次第、出撃します!」

 

「「了解!!」」

 

ルナの一声に、タクマとイツキも彼女に背を向けて、部屋を出ていった。

 

「拙が、あとどれくらい“拙”でいられるかわかりませんが、見守っていてください。ジゼル姉さん、カサネ」

 

写真に向かって微笑を浮かべると、ルナも出撃の準備をするために部屋をあとにした。

机に置かれた紙束の表紙にはこう書かれていた。

 

【新人類創成計画被験者第十三号の備忘録】と…。

 

これから綴られる物語は荒ぶる神を喰らう者達の物語。

彼らが前を向き続けるのは、それぞれの“絶望”に向き合い続けたからである。

 

 

 

此話に登場した人物簡易プロフィール

 

咲守ルナ(25)

数年前にフェンリル極東支部と協力体制を組む独立組織【エリュシオン】の神機使いである女性であり、副長の地位に就いている。エリュシオン最強と呼ばれる三人の神機使い【三鬼神】の一人であり、最古参。三人の中では心優しく寡黙。副長になってからは比較的に減ったが、自分に自身がなく、やや自虐的なところがあるが、戦場では普段とは打って変わって、普通の神機使いと比べて高い身体能力と状況判断能力、そして、自身に秘められている特殊能力を存分に発揮し、味方を勝利へと導く。

また、エリュシオン出身の神機使い達の教官でもあり、時に優しく、時に厳しく教え導く。咲守ルナは討伐班の隊長となった時に改めてつけられた名で、本名は別にある。

 

風祭イツキ(28)

ルナと同じくエリュシオンの神機使いである青年。【三鬼神】の一人。

一見、飄々としていい加減そうな色男だが、実は冷静且つ慎重な性格で、仲間を非常に大切にしている。ある事件で恋人を失っている。

 

鬼月タクマ(29)

ルナと同じくエリュシオンの神機使いである青年。【三鬼神】の一人。どんな窮地にあっても不敵な笑みを絶やさず仲間を勇気づける。

元フェンリル本部の特殊部隊の隊長であったが、ある事件で仲間を失い、瀕死となったところをルナに拾われ、命を救われる。以来、もらったすべての恩を返すことを心に誓っている。

 

シオン・メイフィールド(14)

エリュシオンの新人神機使い。3年前にとある組織のモルモットになっていたのをエリュシオンに壊滅され、行き場もないところをルナの教え子になった少女。最初期は感情を表に出すことが苦手で機械的な印象を受ける部分もある。だが、自分の気持ちに正直で素直であるため、時折、仲間を慌てふためかせる言動を取るが、本人は自覚していない。

 

 




話の構成すごくわかりづらくて申し訳ありません。
話として自分がやりたいように、やらせてもらいますので宜しくお願い致します。
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