アライアンスセージ・銀蒼麗鬼 アヤメ
アライアンスセージ・流麗鬼士 シャガ
[集う聖剣]
[聖剣(せいけん)]ペイン (海騎士かいと)海の従兄
[海神(セレス)]マーレ(海うみ)海騎士の従妹
[神速(しんそく)]ドレッド(風真ふうま)風の従兄
[空神(ウィンダム)]ヴェント(風ふう)風真の従妹
[地割り(じわり)]ドラグ(光地こうじ)光の従兄
[炎神(レイアース)]ルーチェ(光ひかる)光地の従妹
~~~~~~~~~
12月の第1週、第5回イベントとしてフィールド
「12月の終わりまではこのままらしい」
4層のギルドホーム、その窓から外を眺めるヤイチがカエデに言う。
「
「だな。じゃあ僕は適当にイベントモンスターを倒してくるから」
「りょーかーい」
ヤイチは窓から顔を離すとギルドホームから出ていった。
ヤイチが出ていったところでカエデも窓から離れる。
「今回のイベントは.......モンスターごとに違うと」
今回のイベントでは、討伐対象となるモンスターが4種類いる。
その4種類は出現確率と得られるポイントが違っており、
「出会えたらそれだけ倒そうかな、低ポイントモンスターは足が速くて追いかけるのが大変だったし.......」
カエデはぶつぶつと
今回のイベントは、あくまでも通行許可証のクエストを達成する過程で見つけたら倒す、という程度にとどめておくことに決めていた。
カエデは扉を開けて雪の降る町へと繰り出していく。
雪が降っているというだけで
カエデは現在受けている【魂の
「到着!」
そうしていると青色の火の玉がふわりふわりと飛んでいる場面に遭遇することがあり、それがカエデの目的としているアイテムをドロップするのである。
「もーらった!」
大した戦闘能力をもたない火の玉に無慈悲な
「ふぅ.......良かった!今日は幸先がいいね」
この火の玉は出現率が高いとは言えず、さらにマイとユイと一緒に戦ったモンスターのように少しすると姿を消してしまうのである。
カエデはドロップしたアイテムを拾い上げると、運が良かったと
「ふふふ.........調子いいぞー!」
今までと比べて
「よーし!この調子であと1つ!」
そう
その
これには
カエデは
「はー........疲れた。むぅーん最後の鳥居までは遠いなあ」
カエデはカスミの攻略速度が
「イベントのモンスターはいるんだけどなあ........」
カエデは少し遠くに見える白い狼に右手を向け銃弾を次々に発射した。
「撃破っ!よーし......はぁ」
「よし、よしっ!ぱぱっと
カエデはばっと立ち上がると気を取り直して狩りを再開した。
目を細めて周りを
「いっ.....た!」
カエデは視界の端に火の玉がふわりと現れたのを捉えると、ガシャンと兵器を向けてどう見てもオーバーキルな量の銃弾をばら
「ふぅ.......やっと終わったよー」
カエデはドロップアイテムを回収するとインベントリの中身を見て、きっちり必要なだけの【
「よし!はぁ........結局、時間がかかっちゃったなあ。今日は運がいいと思ったのだけれどなあ......」
全体で見れば
カエデはぐっと背伸びをするとクエストの報告に向かうために
だがしかし、やはり確率とは
「ん?」
カエデは背後でズシンという音が聞こえたことで振り返った。
そこにいたのは、4メートル
石でできた口と目に、
木の枝の腕には袋を持っており、頭には赤色の帽子が乗っていた。
「おおっ!?」
カエデが遭遇したのは今回のイベントで
「よし、やるぞー!」
カエデはきっちりと雪だるまと向き合うと銃弾を撃ち込む。
銃弾は次々に雪だるまの胴体を
雪だるまは攻撃を全く気にすることなくカエデに近づくと、持っていた袋で殴りつけた。
「うぇ!?それで攻撃するの!?」
盾のない
「魔法しか効かない感じのモンスターなのかな?もうちょっと試して.........」
カエデは
カエデは雪だるまの体を【
いつも
「いろんなタイプのモンスターが増えてきたなあ........【
「あれ.......?へ、減らない?」
毒状態になることもなく、HPバーもほんの
このままひたすら削っていけば倒すことが出来るのは間違いないが、
「でも逃がすのはもったいないし.......もったいしなあ」
カエデは雪だるまが頭上に降らせてくる
結果、もみじと共にチクチクとHPを削ることにした。
「準備完了!」
カエデはもみじを【巨大化】させると上空に浮き上がらせて安全圏から【精霊砲】で攻撃させることにした。
カエデ自身はとりあえず【
「よーし、【
どばっと
「へ?.......あれ?」
光の粒となって雪だるまは消えていき、その場にぽとりと何かが落ちた。
「んー?んー.......あっ!即死か!」
初めて発動した【
カエデは雪の上に落ちていたアイテムの元へ走って近づいていく。
真っ白な雪に
カエデはそれを拾い上げるとアイテム
【プレゼントボックス】
12月25日以降、1週間、使用可能。中身はランダム。
「中身はなにかな?クリスマスっぽい物かな?」
元々の目的も達成しているカエデは満足して町へと戻っていった。
カエデとは
狩りが、
「ふー.........」
ヤイチが
頭の中でイメージするのは自分が誘った彼女の姿。
カエデが初めてこうして長い間、一緒にゲームをしてくれているのは
ただ、イメージの中でカエデと戦闘をしてみても、ギリギリ。
「あそこまで強くなるとは.......、ビギナーズラックとは、恐ろしいものだ♪負けてはいられないな......再開するかー」
ヤイチは足にぐっと力を入れると再び走り出した。
【
「カエデを
走り抜けた場所でダメージエフェクトが舞っていく。
「防御力が高いだけならカエデも何とかなっていたな」
考え事をしながらでも動きが
そうして、2~3時間ほどモンスターを倒して回っていると、少し先に大きな雪だるまが歩いているのが見えた。
「お、
ヤイチは雪だるまに接近すると腕を避けつつスキルを発動させる。
「【
カエデの苦戦が
「うん、ポイントはおいしい!」
イベントモンスターが終わるまでにドロップアイテムも回収したいと思っているヤイチは、すぐにまた、フィールドを駆け回る。
クリスマスが近づいて来た頃、カエデは手に入れたプレゼントボックスが開けられるようになる日を楽しみにしつつ、丁寧に包装されていたその箱をインベントリから出して眺めていた。
「何が入っているのかなあ」
しばらくそうしていたカエデは、イベントはいつまでだったのかと運営からのメッセージを確認していた。
その
そうしてとことこと歩いていった先は、イズがよくいる工房だった。
カエデが中を
「あら、カエデちゃん。どうかしたの?」
「えっと、すごく大事なことってわけじゃないのだけれど.......」
そう言ってカエデが提案したのは、クリスマスらしい料理を作ってもらえないかということである。
つまり、パーティーを開きたいというものだった。
「なるほど。でもクリスマスまでで、全員集まるのは確か、明日が最後じゃなかったかしら?」
「作るのに、時間がかかるかな?」
「それは大丈夫よ。それに、こういうことは私の腕の見せ所だもの!最近はカスミの武器も修理をする必要がなくなっていたから............こうやって
と、イズお姉さんは話を戻す。
「ほら、やるなら
「そうだね、
カエデは、
イズはそこに書かれていることを
「今回のイベントでプレゼントボックスとは別にドロップする、ハズレ?なるほど、今は当たりかしら。そのアイテムは使えるわね」
今回のイベントでは、ドロップするハズレアイテムを使えば、ケーキやチキンを用意用意することができるようになっている。アイテムとしての価値は高いわけではないが、
「ふふふ、すぐに取ってくるよ!」
「ただ、ドロップ率がいいわけじゃないらしいのと、量を用意する必要があるから頑張ってね」
「まっかせてくださーい!」
「いい返事ね。私は栽培している野菜と果物の
いってらっしゃいとイズお姉さんが手を振って見送る中、カエデはギルドホームから飛び出していった。
カエデは
「よーし、さくさくっと集めちゃおう!プレゼントも優れた手に入ったし!【
カエデを
そうして、しばらく走っていたカエデは
カエデは
「『雪のかけら』........お店で高く売れるけれど、食べられない。んー、これはまた売りに行こう!」
カエデはめげずに次のモンスターを探す。
「ヤイチの言っていた通り、炎を使えば簡単だね!」
カエデは駆け回って、どこかにモンスターはいないかと辺りを見渡すものの思っていた以上に見つからない。
しばらく走り続けたが、たまに出会う程度で、しかも目的のものを手に入れることが出来ないでいた。
「.......こんなにいなかったっけ!?うー、どうしよう......これじゃあ厳しいかも.......」
少し疲れてしまったカエデは、やる気を回復させるためにも、木の下に横たわって休み始める。
「.......雪、もっと積もったらいいのになあ」
雪は
「いつかそんな階層も追加されたりするのかな?」
そうしたらヤイチとまた探索しようと、2人で冒険するところを思い浮かべて、カエデは素材集めを再開するため体を起こそうとする.....ん?あれは.....」
カエデは遠くに見えた人が誰かを理解すると、そのまま走って近づいていく。
向こうも、
「ミィとミザリーも、ここら辺に居たんだね♪」
「カエデっ!どうしたんだ、その姿?」
「あまり、驚かさないでください。カエデ」
「ヤイチが炎を使えば簡単だって言うから、【
「ん?それは
「うぇっ!?そ.....そうなの、」
今回はイベントをほとんどやらないつもりだったカエデは、きっちりメッセージを読んだのもつい
「使う使わないは別として、情報をきちんと見るのはゲームの基本だぞ。覚えておくといい。」
「うん、そうだね。ゲーム
「同じギルドメンバーなんですから」
「なら、行こうか。カエデ、移動は?」
「この状態なら私は速いよ!まっかせて!」
カエデは
「ミィ、私たちも乗りましょう」
「カエデ、頼む♪」
「案内をするから.....そっちに走って」
「了解♪」
カエデはミザリーの指示通りにフィールドを駆け抜けていき、目的の場所へと
カエデは2人を降ろすと、【
「
ミザリーは、光攻撃のスペシャリスト。そして、ミィは、炎攻撃のスペシャリストである。
「さて、やろう。モンスターも
カエデがあれだけ探しても出てこなかったモンスターがわらわらと現れた。
カエデが攻撃をするより先に、ミィが【
「ミィ。私も、攻撃に加わります」
「ありがとう]
炎と光の
カエデは、のんびりしていると、欲しいだけの食材が手に入った。
「どうだ、カエデ?これで、足りるだろう」
「えへへ、十分だよ。ミィ!じゃあ、また背中に乗って」
ミィとミザリーは、【
町の前で、ミィとミザリーを降ろして、人の姿に戻ると、3人は駆け足でギルドホームの
翌日。
ギルドホームの
目の前のテーブルにはカエデとミィとミザリーが集めた食材でイズが作ったローストチキンや、アイスケーキ、サラダにスープなどが
「えーつと.......、ヤイチ?こ.....こういう時ってなんて言ったらいいんだっけ?」
「えっ!?何か言うつもりで立ったんだろ!?」
「うー......、このギルドを立ち上げるにあたり、ヤイチと私とユナで
「お......おい、カエデ?これが、パーティーの挨拶か?」
「........あっ!メッ.......メリークリスマス!来年も、
カエデの声に、グラスを持つ手を上げる。
目の前の料理がなくなる前に
そして、クリスマス当日。ようやくカエデが手に入れたプレゼントボックスを開けられるようになった日。
カエデとヤイチは一緒にギルドホームにやって来た。
「ヤイチと一緒にプレゼントを開けようかと♪」
そう言って、カエデはインベントリから赤い箱を取り出した。
「カエデも手に入れられたんだ」
「いくら、足が遅いからって、【
「ねっ、じゃないし♪」
そう言って、ヤイチは黄色の箱を取り出した。カエデの物とはまた別の包装がなされているがこれめまたプレゼントボックスとしてドロップしたものである。
「じゃあ、早速開けちゃおう!さてさて何が出るかなっ?」
リボンを
スキルを取得出来るアイテムである。
「スキルは......さてと、中身はどうかな?」
2人は自分の巻物からスキルの情報をまずは確認した。
両足合わせて、
自分を中心に、半径5メートル以内の敵プレイヤーまたはモンスターを5秒間
「ヤイチ、こんなスキルだったよ」
「俺のはこれだ」
「手に入れたスキル。私が持っているよりも、ヤイチなら使いこなせるから、交換しない?」
「なら、このスキルは、カエデなら使いこなせる♪」
ヤイチと彼女達の冬休みも終わり、1月も
ヤイチも強く待ち望んでいた
「おお、全員
「ん?いや、カエデが.....、あっ、いつもの.......」
「そう、この
「
「だな♪」
「そうなの、どうする?また別の日に全員で行こうか?」
そのクロの提案に対しての結論は、今いるメンバーでも、
これに反対する者はいなかった。
最悪、カエデならば1人でボスを倒してしまうことも出来るだろう。
こうしてカエデ抜きの【皇帝の彼女達】は5層へ続くダンジョンへと向かっていった。
ヤイチ達26人はダンジョンを目指して、モンスターをなぎ倒しながら突き進む。
「まぁ、見えてきたわ」
クロが指差した先には、
「さっさと、倒しに行こうか♪」
ダンジョン内には
俺たちのギルドメンバーは、物理と魔法、両方使えるから、問題はない。
ヤイチ達の進行は続き、苦もなくボス
「じゃあ、開ける」
ヤイチが振り返って言うと、全員が無言で
直後、扉は開け放たれ、全員が中へと飛び込んでいく。
部屋の奥にいたのはきゅうほんの尾を持つ大きな狐だった。
「皆、計画通りに!」
ヤイチが言うと、同時に彼女達は、散った。
こうして26人が無事、5層へと進出したその数日後、カエデの少し後にヤイチが4層のギルドホームにやって来た。
「皆は、もう5層へ?」
「うん、俺が見守っていようか♪」
カエデは、断る。
「あ、最後に........どうだった?強かった?」
「んー......まぁ、この層で出てくるモンスターとしては最強クラスなんじゃないか?」
「最強........うんうんなるほど。えっと........やっぱりヤイチは1人で戦ったんだよね?」
「.,....?いや、26人で行った。まあ、カエデなら1人でもなんとか.......」
「そっかそっか、そういうことも出来るようになったんだね」
カエデはその言葉に元気
「じゃあ、私は
「気をつけて」
カエデは、目的地へと真っ直ぐに走っていく。
「よーし、頑張るぞ......」
「たーのもーう!」
「おぉ......?まさか人間が来るとはな」
カエデの発言に答えたのは
カエデは、この4層の【最強】と
「ふふふっ、5層へと行かせてもらうよー!」
カエデは元気よく
「さあ、やろうか人間」
少し離れた場所にいる
「お手柔らかにお願いします........【
ガシャガシャと音が鳴り、カエデの体から大量の兵器が展開される。
左手に盾を、右手は巨大な機械の剣にして体を隠すように構えた。
「【攻撃開始】!」
カエデの周りな
きっちり狙いなどつけなくても当たるレベルの量の攻撃が鬼に向かう。
しかし、
ただ、カエデの攻撃は
「ヤイチみたいなことする.........モミジ!【巨大化】!」
カエデはモミジを【巨大化】させて宙に浮かせると、2体の
カエデが近づき着弾までの時間が短くなっても、
「モミジ、【
モミジの攻撃で
「うー.......【
カエデから
直後、自爆によって吹き飛んだカエデは全てを食らう盾と、鈍く輝く剣を突き出して自らが弾丸となり突っ込んだ。
ただ、それは同時に攻撃を止めるタイミングが出来るということでもある。
「吹き飛べ人間!」
その際にカエデの大盾と剣が
「うわっ!と....よっ!」
カエデはガシャガシャンと音を立てて跳ねて転がって、ようやく立ち上がった。
その視線に駆けてくる
「【
しかし、【
それでも
両者から
「【
【
カエデも多少なりともゲームに慣れてきて、1人の時とギルドのメンバーと共に戦う時とでは、戦闘方法が変わってきていた。カエデは壊れた兵器を再度展開すると
「【攻撃開始】!」
カエデは再び銃撃を開始し、一息つく。
「色々な攻撃をしてくると思うけれど.......今の所はダメージはなしだし、これを繰り返せば大丈夫かな?」
カエデは
「もう1回.........」
カエデがもう1度歩き出そうとしたところで
「うぇっ!?」
カエデが慌てて角度を修正しようとするが、それよりも
「全て返そうか」
カエデの使用したスキル全てをそのまま炎で再現しての反撃。
普通の大盾ならば接近攻撃を受けるくらいだろうこの反撃行動は、地面全域を炎で焦がし視界を奪っていく。
「うう!?ど.......どうなっているの、これ!」
カエデの攻撃に貫通能力はないためダメージはないものの、背丈より高く伸びる炎の中では
「と........とりあえずっ!」
カエデは兵器を地面に向けると、
目指すのは空に浮かんだままのモミジの所だ。
「【
兵器の中から天使の羽が伸び、カエデの髪の色が金に変わる。カエデは急いで減った
「モミジ!」
モミジの背中に刺さりにいくくらいの勢いで乗り込んだカエデを熱線が襲う。【
「コピー........?」
カエデの使う攻撃にはカエデ自身に有効打になるものが一切ない。
「とりあえずこれが終わるまではここにいよっと!」
カエデは熱線の中、モミジの背中に座り直した。
視線を照らす業火が止んだところで、カエデは【
「【攻撃開始】!」
再度カエデは射撃を開始する。
そうして攻撃を防ぐ一方となった
「ふぅっ.......!」
剣と盾を構え、カエデは三度突進する。
ただ、
しかもそうして壊した防具は再生し、
「よし、このまま!」
カエデはそう言いながら起き上がり、
その目に映ったのは、すぐ目の前で赤く光
「わっ!?」
「うっ.......く、【攻撃開始】!」
カエデは止まった場所で
その脇腹からは赤いダメージエフェクトが
「うぅ、貫通攻撃........ポーションポーション.....」
かえはインベントリから取り出して使用した。
半分を少し割るところまで減っていた
それなりに性能のいいポーションなら、カエデ程度の
「うーん.....遠距離攻撃は防がれちゃうし、どうしようかな」
カエデの近距離攻撃は意外にも少ない。特に効果を期待できるものと言えば【
「んー.......うん、よし」
カエデはもう1度、先程と同じように突進した。
同じように鬼と
「ここっ......でっ!」
少し遅れて振り抜かれた
「ふー......ありがとうモミジ!助かるよー!」
カエデはモミジを
カエデは地面に降りると即座に
突進した後、上空のモミジへの避難、そしてすぐに戻ってくる。この行動の繰り返しによって、カエデは攻撃を受けることなく主のHP
主はカエデの銃撃によって元々極度に行動を制限されている。さらにカエデが自らを砲弾とする、
カエデは削る。ただひたすらに
結果、一切の反撃を許さずに主のHPを半分まで減らすことに成功した。
「.......っ!」
「人間........中々やるな!」
そう言い放った
地面近くには風が吹き荒れ、カエデにもその暴風の音が聞こえていた。
明らかな変化にカエデが大盾を構え、モミジの背中から様子を
「さぁ.......行くぞ人間!」
響く声と同時、
そのまま白い光の尾を引いてカエデとの距離を詰めてくる。
「嘘っ!?」
さらに
「モミジ【休眠】っ!」
カエデの声に応じて、モミジの姿が指輪の中へと消えていく。
背に乗っていたカエデはそのまま重力に従って地面に落ちていく。
「【攻撃開始】!」
「うう.......くぅ.......っ!そうだ!」
方向を変える必要がないカエデはその状態でインベントリを開いた。
「これっ!」
カエデは光る何かを雨を降らすように
それはインベントリにしまい込んでいたポーションである。
「次は........
方向転換して再び
どんな場所にもポーションが落ちているように。
それをどこでも拾うことが出来るようにするために。
2時間だけはそこに残っていてくれる全回復が可能な休憩地点。
「いくよっ!」
カエデは意を決して
「やあっ!」
カエデは体を
「いつつ.......早めに終わらせないと.........!」
久しぶりのダメージ。
カエデとしては出来ることなら受けたくない痛みは、落ちていたポーションを拾ってすぐに消し去った。
相手に貫通攻撃があるならば、それはそうそう長くやっていたくない戦闘なのだ。
「もう1回っ!」
カエデが炎を上げて空を舞う。
2つの光は時折交差し、弾けて、赤い光りを散らしていく。
カエデは兵器を砕き割りながら地面を転がり、途中でポーションを拾い上げる。
「もう1回........ぅ?」
カエデに走る違和感。
「武器が.......出ない?」
空を飛ぶたびに使い捨ててきた兵器。
それは有限だ。
注ぎ込んだ素材が切れればもう出すことは出来ない。
「食らえ人間!」
銃撃による制限から解放された
「【
人の姿を包んでいく化物の姿。
ダメージエフェクトを散らしながらも、薙刀ごとその大きな拳を
「いっけぇっ!」
カエデの
互いにダメージを受けつつダメージを与える。
残り
「まだだ、人間........!」
先程までが技のぶつかり合いならば、今は力のぶつかり合いである。
そこに回避は存在せず、お互いが攻撃を攻撃で返し続けていく。
「負けないっ!」
カエデの右腕から放たれる
赤く輝く主の
そして主の
「うっ.........!」
カエデを覆っていた化物の姿が崩れ落ち、カエデが地面に落下する。
カエデの攻撃力は上がったとはいえ、
と、なると、貫通効果を持つ攻撃を受け続けたカエデの外皮が先に崩れることは当然であった。
「【
カエデは再度モミジを呼び出し、近づこうとする
回避をしなくなった主はそのままダメージを受けるもののそれでも拳を叩きつけてくる。
「【
立て続けに使えるスキルを吐き出して牽制を続ける。モミジに地面から巨大な
「急がないとっ!うわっ!?」
浮き上がったモミジの斜め下。
カエデがモミジに張ってもらった
「モミジっ!」
モミジに直撃したそれはモミジを一撃で打ち倒し、カエデを地面へと落とした。
落ちていくカエデに
落ちながらたまたま構えられていた大盾がそれを受け止めたものの、空中に浮いた状態ではその場にとどまってはいられない。
通常のノックバックの比ではないくらいに吹き飛ばされたカエデにはダメージはないが、もともとスキルに頼りがちなカエデはそこまでガードは
次もまた、防ぐことが出来るては限らない。
地面に伏せながら見た先には
追いつかれれば今度は離れる手段がない。
そして、目の前の地面にあるものを見つけたカエデは少しの後、
「【クイックチェンジ】!」
青い光がカエデを包み、一瞬でカエデの装備が
「これを.......っ!」
カエデの周りに落ちていた、ばら
その時にはもう
「【イージス】!」
10秒間の絶対防御領域。
カエデへの全ての攻撃は無効化される。
「早くっ........倒れてっ!」
少しでもダメージを稼ぐために打ち出せるスキルを限界まで使っていく。
カエデには【イージス】が終わった後に繰り出せる防御系スキルも、攻撃系スキルもないのだ。
速すぎる
耐えられない、そう思ったカエデの頭の奥、記憶の片鱗から忘れきっていたスキルが浮上してきた。
「そうだ.......あった!」
思い出すと同時に【イージス】も切れてしまい、
「【
前回のイベントで手に入れたスキル。自分の周囲にいる者の動きを止めるスキル。
延命。
忘れていたスキルがカエデの口から
「........【ブレイク・コア】」
カエデの心臓部分に穴が開いて赤い輝きを放つ小さな球体が飛び出る。
それはカエデから2メートル程離れると空中で止まった。
発動完了まで5秒。
より強力になった最後の貫通攻撃を【不屈の守護者】で耐えきると、カエデは今回の戦いの明暗を分ける役割を果たした、地面のポーションを使って悔しそうに少し笑った。
直後。カエデも、
「
【
唯一装備を対価としないスキル。
そう、カエデが忘れていたこのスキルは本当の意味での自爆スキルだった。
説明に書かれていた、対象範囲内を攻撃不可にし自爆。自他共に大ダメージ。という文、その中でも【自爆】という単語はカエデにこのスキルを忘れさせるのに十分だったのだ。
「じゃあねっ!」
カエデはきゅっと目を閉じるとその時を待った。数瞬の後、天を貫く爆炎がカエデごと
「ああー........もう、何か悔しいなあ」
倒れ込んで目を閉じたままカエデは
もうこのまま眠ってしまいたいには精神的に疲れており、カエデは思っていた以上に負けたことに落ち込んでいたのである。
「いいや........今日はログアウトしよ」
カエデは地面に手をつき立ち上がり目を開けた。
「あれ?なんで?」
目の前に広がるのは
そして足元で倒れているのは先程まで戦っていた
「んんん?んー?なんで?」
確かに自爆したはずだとカエデは疑問に思ったが、カエデは自分の
「私の防御力のせい.......?そうだ........うん!ふふっ!やっぱり防御力が大事だよね!」
カエデは自分の圧倒的なまでの防御力に助けられたと喜び、ようやく倒れたままの
「あの.......大丈夫ですか?」
しゃがんでつんつんとつつくと
「ははは.......!やるなぁ、人間」
座り込んだまま
「ついてこい」
そう言って歩き出した
「さて、人間。約束通り俺の後を継げ。そのつもりで来たんだろう?」
「まさか人間が継ぐとは思ってなくてな。
「あ、はい!」
『スキル【
それから少し
「行かなければならない所がいくらでもあるんだろう?また来いよ、歓迎するさ。俺が死ぬその時まで.........いつだって戦おう」
「えっと、もう1度戦うのは嫌ですけど。はい、また来ます!」
カエデは
「ふぅ。いたた.......もう、つかれたーっ!当分戦うのはいいや.......」
今回の戦闘でかなりの回数ダメージを受けたカエデは負けることはなかったものの疲弊していた。
カエデは大変な戦闘はもちろんしばらく楽な戦闘も避けたいと思っていた。
「そうだ。スキルは確認しておかないと。えっと.......」
【
1分間『
鬼のステータスはスキルレベルに依存。
その間、使用者が持つスキル全ては【封印】状態になる。装備のスキルは【封印】されない。
両方の鬼の今のステータスを確認したところでカエデはあることに気づいた。
「え、あー....
カエデには上げ方に心当たりが1つあった。
ならばスキルレベルの上げ方は1つ。もう1度、もう2度。何度も
カエデにはそう思えた。
「わー........、もういいやぁ.......。........でも、スキルレベルは上げておきたいしなぁ♪まぁ、今すぐ戦うんじゃないし。またね♪
カエデは建物から出て町へと戻るともう1度伸びをした。
それによって思考がリフレッシュされたのかカエデの頭の奥から1つ思い出されることがあった。
「..........次の層に行けてないーっ!?」
カエデの澄んだ高い叫び声が4層に響き渡った。
「5層。どうしようかなあ」
もう今日は戦いたくないカエデがベンチに座っていると町の中央部から『
「ペインさん?」
「カエデ?どうしたんだ?」
どうして5層へと行くことが出来なかったのかと不思議に思ったカエデはペインさんから知っているだろうと5層への
「うぅ.......勘違い......かんちがい........」
結果、真実を知ったカエデはベンチに体を投げ出して脱力する。
「俺たち3人は、もう、5層に到達しているんだけど、
「そっか.......そうなの?なら」
カエデはゆっくりと立ち上がって言葉を発する。
「私もついていっていいかな?ペインさん達の
カエデは多くのスキルが使えない状態たということを話した。
「ちょっと、待ってね。お兄ちゃん達も来て」
私達は、カエデから離れて、
(ねぇ、
(ああ。心配はない♪)
(あたしは、友達になれそう。年下だけど♪)
(
(.........これじゃあ、
(うん、
(はい、
話し合いが終わり、ペインさん達が、私のところに戻ってきた。
「
「
「わたし、ルーチェ♪現実では
「わたしはカエデ。現実でも
カエデを連れて、ペイン達[
と、いってもカエデの進行速度はまさに亀並み、いや、それ以下である。
「仕方がないから、俺が運ぼうか?お姫様抱っこで?」
「それは、ダメー!
「わかったよ、
ルーチェはしゃがみ、カエデに背中を向ける。
「防御は任せて.......」
「お願い」
いるだけで絶対の守護領域が生まれるのがカエデなのだ。
それは道中の危険を完全に排除する。
当然ながら、6人は1人も欠けることなくボス部屋へたどり着くことに成功した。
「固まって進んでー!」
ボス部屋に入った面々、ペインさんたち3人は後方。カエデの前には、マーレ達たち3人が立って進んでいく。
カエデの【
ターゲットを散らさずとも、およそ全ての攻撃はカエデのおかげで無力化されるので、3人は真っ直ぐにボスへ向かえばいい。
そうして
「速くなった!ヴェント、ルーチェ、気をつけて!」
「うん、マーレ♪」
「はい、マーレさん♪」
マーレさんの言うように、狐の速度が急に速くなった。
狐の
「ペインお兄さん。この狐、強すぎる!」
「ドレッドお兄さま。防御が
「ドラグ兄ちゃん。どうしよう?」
マーレさん達3人は、剣と魔法を駆使して、戦い続けながら
少しは当たるが、なかなか時間がかかるだろうことが誰にでも分かった。
狐が
「【
カエデの
入れ替わりに
カエデを背後から照らしあげる
その向こう側に
カエデを先頭として続く百鬼夜行、悪夢の列。
「行って」
向かってくる狐には回避する場所がない。
狐の巨体、それを討ち取らんとする鬼姫。
まだステータスの低い鬼達では狐を一撃で倒すことは
それでも次々と
マーレ達の目の前で赤い花が咲く。
吹き出る血のように狐からダメージエフェクトが
回避能力が上がろうと、回避出来るスペースがなくては意味がない。
生き残る場所がないのに回避を試みることなど、どこまでも無意味だった。
狐が倒れ伏していく姿を見守るマーレさん達の表情は、どこか悟り開いたかのようだった。
狐が完全に光となって消えた後で、
「ありがとうマーレさんとヴェントさんとルーチェさん。
「え......、ええ、その時はお願いね♪」
「はい。マーレさん」
それを聞いたカエデは
「カエデ、どこで?いや、あそこかー」
ルーチェがヴェントに話しかけた。
「どちらでしたか?あのスキルに見当でも.......」
「うん、多分
「弱体化させる方法が見つかったのかな........?」
私達3人も
「
カエデは【
少し弾力のあるふわっとした地面は1つの汚れもない白。
そこは一面、雲の国。天上の楽園だった。
「家のベッドよりもふかふかかも」
足から伝わる感触に癒されながら、カエデはギルドホームへと向かっていった。
「ここが5層の町かあ」
雲の壁を超えた先には
現実には存在出来ない濁りのない壁や道がそこにはあった。ただ、全てが柔らかい雲というわけではないようで、カエデも近くの家を見てそれに気づく。
「あれ、でもこれは雲じゃないんだね」
カエデが家の壁に触れるとつるつるとした感触が伝わってくる。
足下の雲とは違い、磨かれた
「そういえば私も雲の上に立っているし、この層でも探せばいろんな素材があるのかも」
カエデはこの層に存在するアイテムは一体どんな風だろうかと考えながら歩き、マップも確認しつつギルドホームへと
カエデは白い扉を開けて中へと入っていく。
「誰も.......いないね。うん、じゃあ私も今日はログアウトしよう。ああ、疲れたー!」
カエデは青いパネルを出すとしばらくはのんびりしようと決めて、トントンとタップしログアウトした。
数日後。
カエデはギルドホームでヤイチと話していた。
「ああ.......
「そうだよー。今までで1番疲れたよ.......」
「だろうな。なんだか
「確かに、今考えたら、そうだったかも」
カエデは鬼を倒した後、どうやって
そして、その途中でカエデはペインさんが
「疲れていて何も考えていなかったよー」
「まあ、いいだろう?もう、それくらいなら驚かないかもしれない」
ペインさんたちはカエデからもう何が出てもおかしくないと割り切っているプレイヤーに入るだろうと思っての発言だったが、連れていた3人の
と、ヤイチは思っていたが、
ヤイチが、この『NewWorld Online』を始めて、規格外の強さを発揮しているのを自覚していなかった。
「ならいいかなあ?ねえ、ヤイチはもう
カエデの質問にヤイチは少し間を置いて、何かを思い出すようにして答える。
「まだ全部ってわけじゃないけれどある程度は。立体構造になっている所が多くて、階段の
「あとは?」
「地面の材質が結構違うから走っていたりすると転びそうになるぞ」
「そうなの?気をつけたほうがいいかな」
「俺には、『
「それもそっか♪」
「カエデはこの後、探索にいくのか?」
「私はいいかな。この間、1週間分ぐらい戦った気分だから探索は、また今度」
「そっか.......自分のペースで楽しむのがいい。その
最初から変わらない、
(幼馴染みだったにも関わらず、
「うん、楽しんで遊んでいるよ」
「ならよかった。さてと、俺は探索に行ってくる。
ヤイチは座っていた椅子から立ち上がるとカエデに対して
「おー!
「カエデの分も探索してくるから期待していてくれよ?」
「するする!」
「じゃあいってくる」
「いってらっしゃい」
「そっか。勝ったかあ.......」
閉めた扉もたれて空を見上げる。
青く澄み渡った空がヤイチの目に映った。
ヤイチは目を閉じて、1度静かに深呼吸をすると扉から離れて歩き始めた。
「カエデが楽しくゲームを出来るように、俺は陰から支えられるように、装備やスキルを手に入れないと!」
真っ白な雲の地面は所々出っ張っていたりへこんでいたり、走るには適さない。俺は、走らないけれど♪
「さてと、とりあえず何かが見えてきたけれど」
ヤイチの視界に映っているのは、空高くまで伸びる雲だった。
夏空に浮かぶ入道雲のような存在感がある
「入るか.......うん、そうしよう」
ヤイチは
(今、ヤイチが装備しているのは、第1層で手に入れた【
狭い入口を抜けると、ある程度の高さのある道が何本も伸びていた。
さながら迷路といった構造にヤイチは出会い頭の事故を警戒して1歩1歩進んでいく。
「トラップ......なし。モンスターなし。オッケー」
壁や床をトントンと
「おっと」
通路にふわふわと浮かんでいたのは灰色の雲のモンスターだった。雨雲のような見た目である。
「エルレール、【
ヤイチはエルレールのスキルで姿を消して一気に近づくと、両手の
モンスターの上に浮かぶ
「そろそろ【
ヤイチが道なりに進んでいくと、今度はバチバチと音を立てて放電しているタイプの雲のモンスターを遠くに見つけた。
「なるほど......なら、さっきの攻撃は雷で攻撃してきたな?」
先程、姿を消して瞬殺した雲が
なら、[
「ちょっと攻撃範囲を確認しておくか」
ヤイチはいつでも反撃が出来るように構えつつ、
ある程度近づいたところで
「おっと!」
ヤイチは
空気中を何本も横切る雷の糸はしばらくすると消えていった。
「発動が遅いし」
カエデでも事前に準備をしていればかわせるのではないか、というくらいの攻撃発生速度である。
範囲がある程度広いとはいえ、今回ヤイチにとっての脅威とはなりえなかった。
ヤイチは道の中でも坂道になっているものを選んで歩いていた。
ゴールは入道雲の頂点ではないだろうかと考えていたからである。
そして、
「お?もう抜けた?」
ヤイチの視界に空の青が入ってくる。
「よっと!」
坂道を登りきったヤイチは雲の頂点に出てきた。
「難易度低めか」
モンスターにほとんど出会うことがなく、道のりも長くない。
ヤイチも過去の
花の中心からぽろっと白い球体が
ヤイチは
「【天まで届けシャボン玉】?」
もう1度取りに来ることは比較的容易と言えるため、ヤイチは
雲と同じ白の球体がぱちっと
「
ヤイチが手で表面を押すと
「続いている間は見ていようか.......
空からの光を受けてキラキラと光るシャボン玉を見上げながらヤイチは
1分ほどすると地面からシャボン玉が涌き出てこなくなり、空へと昇っていったシャボン玉も見えなくなってしまった。
有用なアイテムではなかったことを残念に思う気持ちもあったが、ヤイチは仕方がないと割り切った。
「まあ、攻略も簡単だったしこんなくらいだよね......あっ、カエデのためにもう何回か取りに来るのはありか」
カエデなら
カエデのために色々と探して来るというのもまた、ヤイチの目的の1つなのだ。
幸い町からもそう遠くない、敵の強さも
「よし、次の見所を探しにいこう」
ヤイチは入道雲の入口へと向かって雲の道を下り始めた。
ヤイチが新たな見所を探しているころ、クロとカスミはヤイチとは真逆の方向を探索していた。
クロが攻撃を受け止め、カスミが斬り倒す。
クロが
そうして、何度目かの戦闘を無事にやりきったところで、クロは武器を
「何というか、落ち着くね」
「ん?ああ......」
この2人での戦闘というのは【
平穏が、今、
「シリーズ装備を手に入れている私達2人だけでは、
「そうだろうね、強そうなら、また今度うちの誰かを呼べばいい」
「ヤイチは今日、
「そうだね。
そうして、2人が話しながら歩いていると雷の音が聞こえ始め、前方の空が暗い雲に覆われているのが見て取れるようになってくる。
2人がさらに近づいていくと、
「ほー......
クロは、
「次に行こうか。
くるっと方向転換して2人は文字通り雷雨の降るエリアを後にした。
雷地帯を避け、雲の坂を
雲には手を伸ばせば届きそうなほどに垂れ下がっているものもあり、地面の起伏と相まって見通しは
無重力空間かの
「避けた
「おそらく」
避けられないということもないが、落ちてくる量がなかなか多いため、当たった場合のデメリットを確認することとなった。
「私が行ってみる。ダメージ系なら生き残れる可能性も高いしね」
クロは盾を構えながら遅い雨が降るエリアに
次の瞬間。クロの真後ろで水の砲台がゴポゴポと音を立てながら組み上がり始めた。
「クロ、後ろだ!」
「ん?動け.......は?」
クロの体は動いているものの、
砲台が組上がるのも遅いが、真後ろでは間に合うかどうか怪しいくらいだった。
そうしているうちに隣の地面で跳ねた
何とか振り返りつつあったクロは、もしも自由に動けるならば額に手を当てて空を
「おいおいおいマジか......」
砲台から水の塊が撃ち出されクロの肩に命中し、砲台が崩れて消えていく。
「お?動ける!」
クロは体の自由が戻ってきていることに気づくと、体を
クロがエリアを抜け出したことで、組上がりつつあった2つ目の砲台はバシャッと音を立てて消滅した。
「
「そんなに動けないのか?」
「そうね、
「とりあえず
カスミの提案にクロも乗って、2人は
モンスターを倒しながら順調に歩みを進める2人だったが、突然背後から日陰に覆われて薄暗くなったことで立ち止まり空を見上げた。
「ただの雲.......じゃないね」
「私もそう思う」
空を覆う雲はフィールドを突っ切って通り過ぎていく。
特徴的な雲のオブジェクト。
「
「もみじはどうだろう?」
「
とりあえず今は、結論の出しようがないことだったため、2人は思考を切り上げてまた町へと歩き出した。
クロとカスミがギルドホームに帰ってくると、
今のカエデは探索に向かう気力がない状態だったため、2人は誰かを連れて再度探索に向かうということが出来ないということになる。
「ヤイチは
「他のメンバーは今はいないか。分かった、ならまた次の機会だね」
クロはカエデに今回見つけた
「......また、見に行ってみます」
口元に手を当てて何か考えているカエデの頭の中は2人には読めない。
たいしたことではないのか、
クロとカスミは色々な思いを飲み込んで、カエデに手を振ってギルドホームの奥へと姿を消した。
「ヤイチはなにしてるかな」
椅子の背もたれに体重を預け、天井を見つめるカエデに運営からのメッセージが届く。
カエデが
「ジャングルを探索せよ、かあ。うー......歩きにくそう」
カエデはメッセージを閉じると椅子から立ち上がってギルドホームの自分の部屋へと向かった。
「イベントまではゆっくりしてようかな」
そんなことを呟きながら。
カエデは1度立ち止まって休むことにした。
入道雲を下ってからも探索を続けていたヤイチは、クロとカスミよりもさらに長くフィールドを走り回った後、
「入道雲多っ.......」
探索していくうちに、ヤイチは入口のある入道雲が
何かあるかもしれないと
「当分シャボン玉には困らないかな」
「いや、今日は終わる?んー.......」
入道雲の攻略はいわば山登りのようなものである。
1つ目のものとは違って
今にも帰ろうとしていたヤイチの視線の先には堂々と浮かぶ、本当の意味での入道雲かあった。
「うわ......何
「もしかして......なら、【
ヤイチは浮かぶ雲を追い抜いてぐんぐんと先へと進んでいく。
そうしてたどり着いた場所でヤイチは自分の考えが正しかったと確信した。
キラキラと光る何かの真下までや
やってきたヤイチ。
そんなヤイチを取り囲むようにキラキラと光るシャボン玉が空へと浮かんでいく。
「何か.......何かあるはず」
ヤイチは1度探索した入道雲乱立エリアを走り回る。しかし、明確な変化はあれど
「おそらく
何も見つからないまま入道雲に追いつかれたヤイチは、今回は
「仕方がない.......っうわあっ!」
ちょうど目を伏せた
「お、おっ?え?」
ぐるんぐるんと体が回転し、ようやく止まったヤイチは今までで1番の想定外の出来事にゲーム内では珍しく、落ち着きなく辺りを見回した。
「よし、まず何が見えたっけ.......」
足下から吹き上がったものを思い出したヤイチは
「集中......焦らず、ゆっくり.....」
ヤイチはとりあえず見える道を歩き始める。
ヤイチは壁や床に気をつけながら細い通路を進んでいき、やがて
壁に張り付き、顔をほんの少しだけ出して左右の様子を窺う。
「っ!」
左側の通路の奥、空中にいくつも
直後、
突風と
「........大きな
小さい
「
エルレールのスキルでの麻痺状態は10秒。
「【
雷を
そして遂にヤイチは真っ白な通路の先に白以外の色を見た。
突き当たりの壁には
「うん、行こう」
ヤイチは
するとバチッと音がしてヤイチは別の場所に転移した。
ヤイチは別の場所へと到着すると、すぐに【
ヤイチがいたのは
「......来る!」
何かが動く気配を感じ、ヤイチは
「【ストーム ソルジャー】!【アースロック バンブー】!【サイバー シャイニング】!」
攻撃力と防御力と素早さを上げる。
そして、放たれた
「【
戦闘が終わり、ヤイチは伸びをする。
「まあまあ......いける、かな?」
ヤイチは1人
ヤイチは今回1つのスキルを得た。
「【
【雷霆領域】
雷系スキルを使用した後、10分間使用可能。
魔法、物体を麻痺させる。
プレイヤー、モンスターへ直接影響することは一切ない。
敵味方関係なく雷属性を付与する。
「ま、
ヤイチは【