異種族えっち小説もっと増えろ 作:クリムくんシコ勢
「まったく…ここ最近毎日メイドリーに殴られてる気がするぜ」
「背中に羽のある有翼人は背筋が発達してますからね…爪でしっかりと軸保った状態のフルスイングはかなりの痛打になるんじゃないですか?」
「食酒亭の給仕は重労働だからな…アレを一人で捌ききってる時のメイドリーは正直恐ろしい…」
「一時期寝不足で足元がおぼつかない時もありましたよねぇ。クリムが食酒亭で働き始めてくれて大助かりってメイドリーさんが言ってたぞ。飲み込みも早いみたいだし、いい職場じゃん」
「どうもエリクさん。食酒亭に住まわせてもらってる身なので、これぐらいはしないとって」
レビュー騒ぎから数週間後、一行はいつものように異種混街の食酒亭に集まって話し合いをしていた。
日が暮れ始め、夜の光が街の中から生まれてくる頃こそ、彼らが目覚める時間。双眸を三日月のように歪めながら、男たちは自身の羅針盤を手掛かりに新たな楽園を目指す。
「まあ俺としては、クリムが来てからメイドリーが二階へ飛ぶ時のパンチラが見られなくなっちまったのが残念だがな」
「それ聞かれたらまた殴られますよ…そうだクリム、もう怪我は大丈夫なのか?」
「はい。スタンクさんとゼルさんの手当てとエリクさんの薬のおかげで、もう飛んでも痛くない程度には」
そんな男たちの中に新たに加わったのは、一人の天使。
腰まで届く透き通るとうなブロンドの髪と、何も知らない無垢な少女のような碧眼。暖かな光を放つ光翼と光輪を背負うその姿は、まるで一つの芸術作品のよう。
名はクリムヴェール。光輪が欠けたことによって地上に移らざるを得なくなった彼は、なんの因果かレビュアーズと行動を共にしていた。
「助けられた後、洗って包帯巻くだけの簡単な手当てでそのまま猫獣人のサキュバス店に行くんだもんなあ。スタンクさんやゼルさんと会う前から、結構なスケベだったんじゃないかクリム?」
「もう!あの時は二人ともなあなあで連れて行くし、何がなんだかわからないまま…その………シちゃったんですよ…!あんまり思い出したくないです!」
クリムは助けられた当初、スタンクとゼルに言われるがままサキュバス店に連れていかれた。初体験はサキュバス店、『ニャンニャン天国』で働くサキュ嬢。ありとあらゆることを一気に体験してしまった記憶は、忘れたくても忘れられない。むしろ、ふと思い出してしまった時は無意識に生唾を飲み込んでしまう。口に出したくはないが、それだけ甘美に満たされた時間だった。
「そ、それより!他の話をしましょう、他の話!」
「しゃあねえなあ。俺らはレビューの仕事でそこそこ金もらってるし、次に行く店でも探すか。前はダゴン行ったしどうするよ?」
「水族性は行ったばっかだし、森にある店がいいな。同族以外で」
「森なら行きたい所があるんですよ。前から友人におすすめされてて。そうだクリム、お前もどうだ?まだまだ初心者だし奢ってやるからさ」
「え!?…えっと………その…あの…」
「で、そのおすすめされた店ってどんなだ?」
スタンクがエリクにそう聞くと、彼はキョロキョロと周囲を確認してから、テーブルに身を乗り出した。
「メイドリーさんにはご内密に。ここだけの話、有翼人、とりわけ肉食や猛禽系とヤれる店があるらしくて」
「ほう?」
「ほほう」
「通常の有翼人専門店はそこそこ遠くて、行って戻ってくるまで二週間はかかるんですが、ここなら少し歩いて着く森の中にあるんです。のんびり行っても三日で着きますよ」
「まあそれぐらいなら…」
旅慣れている三人ならば、三日かけてサキュバス店に行くことなど日常茶飯事。希少種の専門店を目指して、一ヶ月を超える旅に出たことも過去にはあった。天使のクリムも光翼によって浮遊できるため悪路は問題にならない。
「有翼人でも色々あるだろ。ハーピーとか、セイレーンとか」
人間における腕部がそのまま翼となり、脚部も鳥が多くを占める種族、ハーピー。咽喉が発達し、その美声が船乗りを微睡へと誘うとされる魔性の歌い手、セイレーン。
これらの他にも、メイドリーのように背中に翼を持ち、膝から下が鳥類の足になっている種もいる。一概に有翼人といっても、身体的な差異は多岐に渡るということだ。
「セイレーンは…多分いないかもしれません。《華麗なる小大河》にそういう店ができたって噂は聞いてるんですが、それ以外は海の方になりますし」
「まあ希少種だもんな…」
「あっ…でも!ハーピーはもちろん在籍してますし、結構な大型店らしいので!」
エリクは捲し立てるようにセールストークを続けていく。
フクロウ系はありえない角度でキスをすることができるとか、羽での愛撫はむず痒さが快感になってたまらないとか。
最初はまあ聞いてみるか、といった様子のスタンクとゼルも、彼の熱弁が十分を超えた辺りで、着々と好奇心を胸に宿していた。
有翼人の魅力を饒舌に語っている間も、エリクは警戒を怠らない。メイドリーが席に近づく度に三人にハンドサインを示し、会話を中断する。この談合が彼女に聞かれた時点でゲームオーバーだ。メイドリーも彼らのただならぬ様子に疑問を抱いている。クリムの休憩時間が終わる前に決着をつけねばならない。
一息吸い込んでから、エリクは隠していた切り札を切った。
「んで、その友人によると、猛禽系だから背が高くてスレンダー系が多いんですが、ハーピー種ならその上…そう、おっぱいが大きい」
「ほう…!」
「いや待て………そうか!ハーピー種は飛行の関係上胸筋が発達している!まさに鳩胸!スレンダー巨乳!」
「スレンダーで巨乳だと!?」
男たちに電撃走る。彼らに着いていくか葛藤していたクリムも、いつのまにか頬を朱にしながら聞き入っている。
「鳴き声も艶っぽくて感度も良くって!コースや嬢は限られますが、空中で繋がることもできるとか!」
「こ…これは!」
「行くしかねえよなあ!」
男はいつだっておっぱい。スタンクとゼルがおっぱい星人だからこそ、巨乳の存在は、それだけで切り札になり得る。
決まった、とエリクはニヤリと笑う。
興奮に比例して段々と声も大きくなっていく。店は決まった。あとはそこに行ってイくだけだ。三人は残り少なくなったジョッキを再度打ち合わせる。
「ボ…ボクは…ボクは………!」
「クリム!」
手を胸にたぐり寄せ、苦悩するクリム。聞いた話だけでも有翼人の魅力はたっぷりだ。しかし、クリムには食酒亭の仕事がある。それを放り出してサキュバス店に行くなんて許されないと、心の中でせめぎ合う。
そんなクリムを見て、エリクは彼の目の前で手を伸ばす。
「行きたいか?」
「…はい」
覚悟の視線。おっぱいの大きいお姉さんと一緒に一夜を過ごすために、お前は犠牲を払えるか。そう問いかけるようにクリムの碧眼を見つめる。
「なら来い!一緒に愉しもう!俺たちがついてる!」
「………はい!」
(よし、よし!がんばるぞボク!おかみさんやメイドリーさんに休みをもらって、みんなと一緒に行くんだ!)
迷いは振り切れた。今宵の食酒亭は少し違う。天使の決意が、男の決意がそこにはあった。
「よし!出立は明日の朝!四人で行くぞその店に!」
「おう!」
「はい!」
「店名、《ミネルヴァ》!いざ、楽園へ!」
ミネルヴァは小説版異種族レビュアーズ2巻に登場しているサキュバス店です。スタンクの相手をするミミルはどうやら、産卵ショーの受付をしているミミズクハーピー、ミミロと双子の関係だとかなんとか。