——私は、名前が無かった。何処で生まれたのか、さえも分からなかった。母親と呼ぶ存在さえも分からなかった。でも、私に名前を付けてくれた人は、居た筈だった。
鋸状の大剣が量子となって消え去りその量子は少女の胸元に集まり『歯車』を模したネックレスへと姿を変える。
無線による通話の後、複数の車両が遠くから走って来るのが見えて来る。6台の装甲車であり、その車両が少女の近くに停車すると複数人の男性達が降車して来る。黒を基調とした軍服に近い屈強な男性達であった。
「U31。御苦労」
男性の1人が識別名で少女に短く言葉を下すと同時に左右にいた他の男性2人が少女の左右から近付き少女の腕を掴み二の腕と手首に付けられていた器具を……いや、拘束具を連結させ彼女自身が抵抗する術を奪う。後ろ手に拘束される形の為に何も出来ない状態となる。後ろ手の為に目の前にあるモノを掴み取る事すらも出来ず二の腕同士も連結されている為に肩付近か指の関節位しか動かせない。
その状態となる事を少女は何も感じない。それが自分達の現実、いや分かっていても享受するしか無い。自由が無い事は分かっている、自分は人間として扱われる事は無く兵器であるのだから。仮に逃げ出したとしても生きて行く術は無い。頭部に生体ナノマシンを入れられていて遠隔操作で爆破させられ命を落とすからだ。
「乗せろ。先に檻へと放り込んでおけ」
「歩け」
少女は装甲車の後部のトランクの中へと放り込まれた後に閉じられる。AISには人権など無いに等しく、モノの様に扱われる。兵器を座席に乗せるか?と言う常識に基づき荷台へ放り込むのは至極当たり前の感情と言えた。少女を荷台に放り込んだ車両は一足先に出発して走り出す。
「…………暑い」
この装甲車のトランクは閉鎖型であり密閉式の荷台。この中に閉じ込められた場合、窒息や熱中症になる危険性があった。だが、男性達はそんな危険性などその様な考慮はしない。する理由が無いからだ。故に車両が人間達が構築したコミュニティへと到着するまで、窒息の息苦しさと熱に苛まれ続ける事になる。時間が経てば経つ程に意識が朦朧として来る。
——こう言う時しか、眠れない。でも、暑い……から眠れない……。
車両は人間達が築いたコミュニティの1つに到着する。駐車場に到着するなり荷台の扉が開かれる。車両が到着する頃には熱量によって衰弱しており動く元気が無い。だが、自力で降りてこない少女を見た男性は少女は髪の毛を掴んで無造作に引っ張り出して地面に落とした。
「……ッ‼︎」
「何をしている。さっさと立って檻へ歩け」
硬い床に落とされて少女は顔面から激突して軽く出血し悶えていると頭上から命令口調の言葉が降ってくる。拘束されている為に腕が使えない状態で立ち上がろうとした瞬間に脚を蹴られて蹴り飛ばされて地面に倒れる。
「遅い、俺はさっさと立てと言った筈だ‼︎ 貴様は生まれたての赤ん坊かッ⁉︎」
「……が、ッ……ハッ‼︎」
「ハッ‼︎ 女は男よりも全てが勝ると謳っておきながらこのザマか。情けないな‼︎ ほら、さっさと立て‼︎ 俺は忙しいんだ、こんな所で寝るんじゃねぇ‼︎」
その後も立ち上がろうとした矢先に何度も蹴られ倒れる事を何度も繰り返す。上手く立ち上がったとしても又、蹴られて転ばされる。遅い、遅い、鈍いと罵倒を受けて暴行を加えられる。早い話がコレは唯の鬱憤晴らしの私刑である。
かつて女尊男卑により傲る女性達により男性達は虐げられて来た、そして国際IS法により拘束下に置かれる様になって『インフィニット・レボリューション』が起きた。その結果、逆転の現象が各地のコミュニティにて散見される様になった。かつて男性達が受けた屈辱は後世で女性達が受ける様になったのである。そしてそれは咎められる事は無い……各地でコミュニティが興ると言う事は国家政府の社会体制が機能していないと言う事になる。いや、寧ろ咎めるべき存在が率先として行なっているのだから咎める以前の問題と言える。
蹴られ続けた少女は心身共にボロボロの状態となりつつも覚束ない足取りで立ち上がる。男性は嬲り飽きたのか蹴り付けて来る事は無かった。
——大丈夫、この程度なら……まだ、耐えれる……。痛いのは、まだ我慢出来る。
顔をも蹴られた為に口の端から血が垂れて居る。口の中の何処かを切ったのかも知れない。しかし、どれだけ怪我をしようともこのコミュニティの男性達は誰も手当てをしてくれる筈が無い、その事は分かっていた。追い立てられる様に歩かされた先は錆び付いた鉄格子と剥き出しの地面のある牢獄。檻とは比喩表現では無く正しく牢屋の事を示していた。
その牢獄の中には他にも同じ様な後ろ手で拘束された少女が他にもいる、何人かは項垂れており生気らしきモノは感じられない。牢獄の扉が開かれると同時に背中から蹴り飛ばされて無造作に放り込まれる。後方で聴こえて来るのは無慈悲に閉じられる金属音であった。
「……ッ。痛たた……」
AIS達に取って閉じられた牢獄の中が唯一の休める場所。しかし、剥き出しの地面に壁以外は巨大な鉄格子故に牢獄の中は丸見えでありプライバシーの欠片も無い。トコトン自由が抑制された環境と言える。覚束ない足取りで立ち上がり壁に凭れようとふらついた足取りで歩き始める。牢獄の中には刑務所の様にベッドの類は無い。換気扇以外は何もない。地面に横たわって眠るしか無い、本当に何も無い。
「……お帰りなさい。ウィキ姫ちゃん。その様子だと……戦闘よりも、暴行の傷の方が目立つわね……幸い、痕が残る様な傷は無さそうだけど……」
壁際には壁に凭れる形で座っていた人物が声を掛けて来る。黒い髪をストレートに伸ばしているが牢獄の悪環境で髪質は荒れてしまっている事は分かる。彼女も例外なく両腕を後ろ手に拘束する拘束具を付けている為か胸を張る姿勢を余儀なくされている為にその豊満な胸が前に突き出す様にその存在を主張している。身長が高く落ち着いた雰囲気を纏っている事から少なくともウィキ姫と呼ばれた少女よりも年上に見える。
「うにー……」
「あ、あらあら……」
ウィキ姫ことウィキッド・ウェネーフィカはその豊満な胸を持つ人物へと倒れ込む様に飛び込み顔を埋める。そんな真似されても彼女は特に咎めたりせず慈愛に満ちた笑みを浮かべている。拘束具の所為で頭を撫でてやる事は出来ないのが心残りだった。
「うにゅ……」
胸の間に顔を埋めて幸せそうに目を閉じて其の儘、眠り始めた。本人も本人で疲れている為に意識を手放したのだ。
「……お休みなさい。ウィキ姫ちゃん」
その人物、オトゥール・エフェルリスは自身の胸を枕にして眠るウィキッドに対してそう告げて自身も静かに目を閉じる。牢獄の中では娯楽さえも存在しない、他に出来る事なんて誰かと会話する事する事しか無い。腕が使えないと言うのはそれ程、大きな障害と言える。コレで足さえも奪われたら本当に唯の置物と化すだろう。
だが、牢獄内で会話等で騒がしくすると牢獄の外で立っている看守に咎められ、騒がしいと言う理由で私刑として暴行を加えられる場合が多々ある。酷い時は拷問される恐れがある。その為に牢獄内にいるAIS達は誰も誰かと話す事は少なく静かに時が過ぎるのを待つしか無い。牢獄の外に出される時は戦闘行為と言う『任務』か憂さ晴らしの私刑か拷問の時位しか無い。
群衆の中の孤独、それさこの様なちっぽけな広さ程度にしか存在しない牢獄の中でも発生する事でもあった。
「……」
——首輪とナノマシンさえ、無ければ……或いは遠隔操作する制御装置さえ、機能停止に追い込めれば……でも、無理よね。このコミュニティ内で私達が動ける場所は牢獄以外に存在しない。出された時は外へ出る時か拷問の時、位しか無い。今は、機会を待つしか無い……その機会が何時来るか、分からないのだけど。
休める時に休む。こと、自由な時間が無い自分達にとってはそれが最善の選択であった。
キャラ設定要素の件
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ジョブストーリー風
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一般的(?)な説明文
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メタ的な説明込みの説明文
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情報を画像変換機能搭載済頭脳なので不要
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(/・ω・)/ ウニー(1と同じ)