話が続かない……◯| ̄|__
「うにうに〜」
「……こうやって何も要件が無くて出歩くのは初めてね」
埼玉コミュニティ跡地の探索及び、初のIS撃破した日の翌日。ウィキッドとオトゥールはエストレヤ内の散策をしていた。武装の試作品の使った時の感想やらを聞かれたが思った事を告げるだけに留まった。感想を言うにしても主観でしか無いのも又、事実。
翌日の朝になって教育係を務めるメサルティムからは暫くは出撃とかは無いと言われた。何でも対IS用の武装の改良の為に紫が行動を始めてしまったと言う。元来、研究者気質でのめり込んだら止まらないタイプ……向こうからリアクションがある迄は周りの事などほったらかしにするらしい。度が過ぎた場合、メサルティム辺りが強引に軌道修正するとの事。そう考えると紫はメサルティムの尻に敷かれている様にも見える……。
「此処が食堂になります」
「ほえ〜、結構広いね」
そして現在、散策するにしても迷う可能性もあった所為かメサルティムの案内の元、2人は見て回る事にしていた(勢い余って変な所に首を突っ込みかねない為、特に好奇心が強そうなウィキッド)。まず、最初に食堂へと案内していた。
「………………」
「オトゥール様?どうされたのですか?」
「オト姉?どうしたの?」
食堂へ着くなりオトゥールは周囲を見渡した後に、難しい顔をしている。その表情に不安に思ったのかウィキッドが下から覗き込んでいた。
「いえ、色々考えて居たのよ。中規模……と言われても良く分からないけど、私から見たらこのコミュニティは大きく見えるわ。食堂……と呼ぶこの場所も充分広い……」
確かにエストレヤの食堂も大型コミュニティ程では無いが充分広い部類に入るだろう。だからこそ、オトゥールは、改めて考える事と疑問に思う感情が芽吹いている。故にその疑問をぶつけた。
「どうして、此処まで閑散としているの?このエストレヤと言うコミュニティ、規模にしては
食堂は閑古鳥が鳴いているかの様に閑散としているのだ。時刻は午前中とは言え、何人かは訪れていても不思議では無い。しかし、今現在のこの光景には自分達以外、皆無なのである。それに、昨日艦橋へ向かう際も誰1人としてすれ違う事も無かったし艦橋と言う場所にも紫以外の人間は居なかった。このコミュニティは人が少な過ぎる……オトゥールはそう考えていた。
「……お気付きになられましたか。はい……確かにこのコミュニティの構成員は数える程しか、居ません」
「何で?」
「……ご主人様から聞いたお話しですが、エストレヤの過去に、大きな事故が発生したそうです。私がご主人様へお仕えする以前のお話」
「事故……?」
「詳しいお話は私も良く存じません。知っている事は私がお仕えする時には御二方だけだった事と私が来る以前の状況を知るのはご主人様とカタナ様のみと言う事です」
「そうなんだ……」
メサルティムも規模に反して構成員が少ない事は気付いていたが、紫のプライバシーに関する事と見做して深くは追求しなかった。
「……私達にとっては関係無い事、か。変な事を聞いてごめんなさい。迂闊に踏み込んで良い話じゃないわ、忘れる」
オトゥールも気安く聞いて良い話題では無いと考えたのかこれ以上は聞かない事にした。事故が起きたのならば金が無いだの、修理だのと言っている事に説明が付く。このコミュニティは元々は私設故に紫とカタナで切り盛りしていたのかも知れない。真相は紫のみぞ知る事だろう。
「……気を取り直して、次へ参りましょうか」
本人が言わない以上、此方側からは特筆して何かを聞く必要は無い。誰とでも話したくは無い事もある。そして自分達も、誰にも聞かせたくない事情もあるのだから。
「あ……」
「ん……?」
食堂を後にしたウィキッド達は艦内の連絡通路にてある一団とバッタリ遭遇した。何処かで見覚えのある面々がいる。だが大半の者達が焦燥たる表情を浮かべている。
「アンタ達……」
「おや、何処かで会ったかしら?」
ツインテールの髪をした少女、鈴音がオトゥールの顔を見るなりその様な言葉を投げ掛けるも対するオトゥールは小首を傾げる。
「何処かって、アンタ‼︎ 同じ牢屋の中に居たじゃない‼︎」
「あ、思い出したわ。あの時の……新参AISだったわね……」
其処でオトゥールは目の前の鈴音の事を思い出した。埼玉コミュニティで起きたヴォルヴァの襲撃のイザコザでとっくに死んだのかと考えていたからだ。正直に言えば、半数以上は生き残れないだろうと考えていたし実際にあの時、見かけた人数より大幅に数を減らしている。
「……本当、性格悪いわね。アンタ……もう忘れているだなんて……‼︎」
「私達も余裕が無いのよ。自分達の事で一杯一杯なのだから、赤の他人の事なんて気に掛けて居られる余裕なんて無いわ」
売り言葉に買い言葉染みたやり取り。AIS同士ではあるのだが、置かれた状況は全く違う。そして鈴音達はオトゥール達が安全圏に居る事を知っているが見る限り、オトゥール達は鈴音達の置かれている状況を知らない様だとも受け取れた。
「……此方の事情を知らないで、良く言えるわ」
「事情?ああ、そう言う事」
「うに?どう言う事?」
その言葉でオトゥールは鈴音達の事情を察した。そして自分達も最悪、そうなる可能性もあったと言う事も思い出す。自分達は処刑前提だった故に死亡した扱いとなり契約は失効している。その為、その心配は無かったが鈴音達の場合、その契約は生きていると言う事を。
「ウィキ姫ちゃん。状況が違うと言う事よ。彼女達は元々いたコミュニティとの契約が続いている。私達は死亡した扱いとなっているから、エストレヤに移れたけど……彼女達は埼玉コミュニティに戻される。そう言う事なの」
「うに……そう、なんだ……」