※この作品はR-18です。

ジェノサイド・ストラトス   作:夢現図書館

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墟街航行

 

 

 

「……コレは植物、かしら? 此処まで大きくなるモノなのね」

 

「うにー」

 

 廃墟と化した街並み。その街では多種多様の植物が青々と生い茂っている。埼玉コミュニティ周辺では都市群であっても酷く荒れ果てていた為に荒野が広がっていたが、この近辺では雑草を始めとした植物が悠々と成長していた。

 

『あ、埼玉コミュニティ近辺はエインヘリヤルの戦闘が多くその影響か土地が痩せてしまい植物が育ち難い土壌と化していたので、植物は余り見た事が無いのですね』

 

「うん、土と瓦礫ばかり……」

 

 仕事で駆り出された時は戦闘でそんな余裕は無かったし、その傍で空腹に耐えかねて食糧(虫)を漁るか、それ以外では牢獄か私刑だけだった為に周りに気を配る暇は無かった。

 

『外の世界を知る事は貴方達にとって良い方向に向かう事でしょう。

 あ、くれぐれもエインヘリヤルに不意打ちされない様に気を付けてくださいね? 仮にもコミュニティ以外は危険地帯なのですから』

 

「ええ、そうね」

 

 アスファルトが割れ下の土が露出している道路の遊歩道を歩く。信号機は壊れて機能せず、標識等は錆び付いてしまっている。昔は人の往来があってであろうが、今となってはISやその配下であるエインヘリヤルが跋扈する世界故に、ゴーストタウンと化している。此処以外の都市や町もそうである。

 

「オト姉、オト姉。アレ、なーに?」

 

 探索が進む中、ウィキッドはあるモノに注目した。その視線の先には廃墟と道路を区切る崩れかけた塀の前に佇む赤いカラーリングの長方形の物体だ。窓硝子の先には様々なカラーリングの小物が並んでいるのが見える。その下には数字が書かれボタンらしきモノが配置されている。

 

——……小さいモノ? 爆弾?が並んでる。

 

「何かしら、コレ……?」

 

『あ、コレは自動販売機と呼ばれるモノです。投入口にお金の硬貨を入れて飲料水を購入出来る機械……と言えば良いでしょうか。『無限革命』が起こる以前ではありふれたモノです。しかし、今となっては大半が壊れています』

 

「ていッ‼︎」

 

 スピカの解説の最中にウィキッドは量子変換で自身の得物である鋸を展開するや否や振りかぶってのフルスイングで自動販売機に叩き付けた。長い間、風雨に晒され続け老朽化が続いていたのか、自動販売機はミキィと言う音を立てて挽き裂かれた。その破壊された箇所からポロポロと中に残されていた缶が次々と落ちて来る。外から見えていた色合いと同じモノばかりだ。

 

「出てきたー」

 

『……あはは、気になるモノは壊してみると言う認識なのでしょうか』

 

 ウィキッドの行動にスピカはやや呆れた様な声音で嘆息した。何かの拍子でエストレヤ内で壊さないか注意が必要と脳裏に過った。

 

「……中に液体が入っているのかしら? 見た事が無い形、ね」

 

 足元に転がってきた缶を拾い上げてオトゥールはその物体を観察する。表面には細かい字が多数書かれている(大半が漢字故にまだ読めない字が多い)。そして1番目立つのが『オレンジジュース100%』と言う文字が大きく書かれている。底の面にも数字らしき物が書かれており、上の面には奇妙な形の出っ張りが見えた。

 

『あ、それは缶と呼ばれる形状です。自動販売機にて販売されているモノは全て飲料水です。……しかし、お二方が見つけたソレらを口にするのはお勧めしません。既に賞味期限が切れており、飲めばお腹を壊してしまいます』

 

 製造されてから既に30年以上、経過している。エストレヤとしても2人をそんなくだらない理由で死亡するだなんて認められない。

 

「……そもそも如何やって飲めば良いのか自体、分からないのだけどね。ウィキ姫ちゃん、コレ、食べられないそうよ?」

 

「うー……」

 

『コミュニティ以外では食糧の調達は非常に困難です……こと、人の手で加工されたモノならば尚更です』

 

「…………それも、そうね」

 

 壊した自動販売機を後にして更に奥へと進む。時折、道路が派手に割れていて地下の排水管が露出していたり、塀や建物の壁が壊れて瓦礫の山と化している箇所も見受けられる。

 その程度の障害ならば普通に乗り越えられる為に気にせず直進して行く。

 

「……エインヘリヤルは居ないみたいね。……戦闘するつもりで進んでいるけれど」

 

 代わりに既に死んでから風雨に晒され白骨化した骸は時々見かける。エインヘリヤルやISに襲われて死亡したのか、或いは餓死したのかは分からないが。

 

「……うにー」

 

『エストレヤ周辺にもエインヘリヤルの出現は確認されていません。この近辺には居ないのかも知れませんね……。エンジントラブルの最中、不幸中の幸いでしょうか』

 

「……もっと、彼方此方に一杯居ると思ってた」

 

 埼玉コミュニティでは外に出される時は大体がエインヘリヤルとの戦闘だった。その為、外に出ればエインヘリヤルが犇めいているのだと考えていた。

 

『…………確かに世界はISとエインヘリヤルで溢れています。しかし、生命の生活圏には偏りが生まれてしまうのは歴史が証明しているのです。

 この日本と呼ばれた頃が久しいこの国でも地域によって人口に偏りが生まれていました。都市部には人が集中し、地方では過疎化が進む……。

 それらを踏まえて考えると……。ISは自己進化をし続けています。つまり……』

 

「……ISにとって価値のある場所に集まる、と言う事?」

 

『メサルの教育の賜物ですね。姉として鼻が高いです‼︎ はい、中央政府が発表した見解ではその可能性があると明言しています。つまり、この地域はISにとって価値が低い場所と言えるかも知れません』

 

「……なら、少なくとも今は安全、って事?」

 

『はい。……ですが、必ずしもそうは言い切れないのも実情です。安全……と言うのも今だけかも知れません』

 

「……そんなに都合良くはならない、か。気休め程度に考えておくわ」

 

「あ」

 

 ウィキッドが何かが動いたのを感知した。視界の隅、木の枝葉に紛れて何かが見えた。

 

「オト姉、居た」

 

「ッ‼︎ エインヘリヤル……‼︎」

 

 曲がり角から歩いて来たのはスパークした状態の機械腕で這いずる形で歩くエインヘリヤルだった。呻き声を上げながら徘徊している様にも見える。

 

『アレ⁉︎ もしかしなくてもフラグでした⁉︎』

 

 スピカは慌ててレーダーを確認。微弱な反応であり思わず見逃す所でもあった。

 

「倒す……‼︎」

 

 スピカの慌てた反応を他所に見つけるや否やウィキッドは跳び跳ねてノコギリを振りかぶってエインヘリヤルに襲撃をかけたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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