※この作品はR-18です。

ジェノサイド・ストラトス   作:夢現図書館

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それは初めて知る感情

 

 

 

 

——この世界に来てから本当に最悪な気分ばかり。人権さえもゴミ箱に捨てて腐らせた様な世界。挙げ句の果てに性処理道具にされるし、本当にクソッタレだ。

 

「…………」

 

——そして、今、私がやっている事も最低な事だって事も含めて最悪と言えた。どんな顔で一夏や箒達に会えば良いのよ……‼︎

 

 コード:R18はコード:S42、コード:F15と共に所有先の埼玉コミュニティの命令により作戦行動中だった。内容はコミュニティ外の人間達の拠点を制圧して繁殖している女性達を捕獲しろと言う、俗に言われる『AIS狩り』と呼ばれる任務。自分達がこの世界に来てあの2人がやった事と全く同じ内容だ。

 それに合わせて周辺にエインヘリヤルの掃討も命じられていた。

 AISスーツに身を包んだとしても、シールドバリアも無ければ絶対防御も無い。その中で戦場へと送られては精神的に疲弊する。自分は兎も角、今回参加させられた2人は元々は一般人でこの様な生死の狭間を彷徨う戦場は大きな苦痛が伴う。しかし、この世界でIS適性のある自分達に人権は無く、逆らえば処分される。故に従うしか道は無い。

 

「…………」

 

 幸い、エインヘリヤルは目撃されず、拠点にされていた地下鉄駅の場所も判明し、ラウラを介して報告した途端、多数の車両が地下鉄駅周辺に押し寄せて中で隠れ住んでいた人間達を片っ端から車両へ詰め込んでいた。

 その間、自分達は

 

『捕縛中にエインヘリヤルが湧くかも知れん。貴様らの様なゴミの目や耳で安全が確認されたとは到底信用出来んからな。作業が終わるまで見張れ、1匹たりともエインヘリヤルを俺達の視界に入れるな』

 

 暴言込みの見張りを命じられ、今に至っている。命令する癖に自分達の行動は信用されていない。何をしたとしても、認められはしない。

 こと、R18は人類に対してかなり反抗的な態度だった事も起因しているのだろう。

 

——ラウラ……。

 

 ラウラもコミュニティの人間達と交ざって、制圧された拠点の人間達を連行している様子が見えた。無表情を粧っているが内心、苦虫を噛み潰していそうである。

 

「おい、貴様ら」

 

——ッ‼︎

 

 その時、コミュニティの人間がR18達の前に来た。今度は何があると言うのか。

 

「その場で膝をつけ、そして腕を後ろに回せ」

 

「え、いきな、ガッ⁉︎」

 

 口答えしたF15は別の人間に後ろから頭を掴まれて其の儘、割れたアスファルトの地面に頭部を叩き付けられる。何度も、何度も、鈍く痛々しい音が響く。終わる頃にはその顔は血だらけとなっていた。

 

「ぃた、い……」

 

「言葉も理解出来なくなったか? 雌豚が、惚ける暇があるならやれ」

 

——気に入らないけど此処で暴れて何人か殺したとしても……結果は変わらない……。

 

 二の舞はごめん。それに此処で抵抗したとしても結果は変わらない、いや悪化するだけだ。R18とS42は腕を後ろに回すと同時に二の腕と手首、足首に枷を嵌められ、鎖で枷同士を連結され拘束される。口答えしたF15は頭を踏まれながら座らされて拘束された。鎖の長さの都合上、正座された体勢で立ち上がる事が出来ない状態にされる。

 

「顔を上げろ」

 

「ッむぐ⁉︎」

 

「んくぐっ⁉︎」

 

——ちょっ、コレって……まさかッ⁉︎

 

 顔を上げた瞬間、口に開口器の一種であるリングギャグを嵌められて口が閉じられない様にされる。R18はこの展開が読めたのか顔が青褪めた。

 

「今から貴様らには便器になってもらう。丁度、俺達もトイレがしたくなったしな、それに……貴様達も水分が欲しくなっただろう? こんな機会、数週間に1回あるか無いかだ。そう遠慮はするな、全部飲み干すが良い」

 

 そう言う男性はズボンのチャックを開き、息子を見せる。生まれて初めて見るソレをみたF15とS42はリングギャグで歪められた顔で嫌そうに言葉にならない叫びをあげる。

 

「んんっ⁉︎」

 

「んぁ⁉︎ んぁ‼︎」

 

「簡易便所を設置したぞ‼︎ ほら、早めにしないと後の仕事で痞える事になるぞ‼︎」

 

——うげぇッ⁉︎ う、臭い……‼︎

 

 そして数人の人間達が集まり、AISであるR18の口の中に変わり番で次々と突っ込んで行く。その光景は集団旅行のパーキングのトイレ休憩と称して公衆便所で小便を済ませて行く光景であった。

 一団が終われば交代して別の集団が用を済ませて行く。次々と注ぎ込まれ、頭が壊れそうであった。

 

「「「…………」」」

 

「では、警邏任務に戻れ」

 

 数十分後に拘束具を解かれて解放された。しかし、口の中は酷く臭くて気分は最悪だった。しかし、此処で倒れたままだと

 

「寝るな、雌塵がッ‼︎ 水分補給した程度で休めると思うなッ‼︎」

 

「ゲボッあッ⁉︎ ゲボッゲホッ‼︎」

 

 立ち上がるのが遅れたS42が腹を思い切り蹴られて地面に転ばされ吐いた。その後も何度も蹴られてその度に、唾液と注ぎ込まれた尿を吐き散らした。

 

「……ふん、所詮は威張って虚勢を張るしか能力が無い売女か」

 

 気が済んだのか其の儘、放置された。見ていて気分の良いモノでは無いのだが、庇えば纏めて被害を被る事になる。最低だと言う自覚はある。

 

「……うう、口の中気持ち悪い」

 

——コミュニティに戻れば私は肉便器生活……。早い所、抜け出さないと……。

 

 頭にナノマシンが打たれている為に此処で逃げ出したとしても爆破されれば終わりだ。

 他に手立てが思い付く筈も無く時間が過ぎて、拠点の人間達をほぼ車両に詰め込んだその矢先、遠くで爆発音と轟音が響いた。

 

「ッ⁉︎」

 

「本部、何が起きた⁉︎ 何……ヴァルキリーの出現が観測された、だと⁉︎ 合わせてエインヘリヤルが作戦区域に多数侵入⁉︎」

 

 リーダー格の男がコミュニティに通信を飛ばして状況の確認を取った。その結果、厄介な事態に陥ったと。

 

「諸君、良く聞け‼︎ 作戦区域近くにヴァルキリー、ネームド『甲龍』が出現した‼︎ 合わせて『甲龍』により多数のエインヘリヤルが呼び寄せられている‼︎ 諸君らも知っての通り、ヴァルキリー統率下のエインヘリヤルは極めて危険な存在と化す‼︎」

 

——甲、龍……⁉︎

 

 R18はその言葉に目を疑った。それは自身の専用機の名称と全く同じだった。他にこの名称を持つISは聞いた事が無い。

 

「コード:S42、F15。緊急事態だ、貴様ら2人はヴァルキリークラスのIS、『甲龍』とそのエインヘリヤルの軍勢を我々が作戦区域から脱出出来るまで足止めしろ」

 

——バカ、言ってんじゃ無いわよ……‼︎ そんなの、捨て駒と一緒じゃない……‼︎

 

 自分がISを搭乗していたから分かる。生身でISに敵う筈が無い。ISにはISにしか敵わない、と。既存の銃火器の火力でも仮にもロケットランチャーでもシールドバリアや絶対防御によって防がれる……。

 AISの装備は近接武器一辺倒、ISは飛行能力を有する故に制空権を握られ空から制圧されれば終わりだ。その癖、自分達の予想よりも遥かに進化しているのだ。

 それに加えてエインヘリヤルの軍勢も迫って来ている、数は不明だが『多数』の時点で不安しか無い。戦闘経験も殆ど無い元一般人では轢き殺されるのがオチだった。

 

「無論、貴様らに拒否権は無い。此処でAISを2匹失ったとしても、釣りが出る」

 

 『AIS狩り』で代わりの人員が補充出来たからだ。言う事を聞かないし成果も出ないのならば捨て駒として使うのが上等な扱いと言うモノだ。

 

「そ、そんな……‼︎」

 

「コード:R18は肉便器型AISだからな、折角用意したのにすぐに処分してしまっては部下達から不満が出る。上司としては部下達の不満要因を自分で作るのは本意では無いからな」

 

——そんな理由で生かされるなんて、屈辱でしか無いわ……‼︎

 

「貴様らは此処で足止めしろ。何、俺達が逃げ切れるまでで構わん。大した成果が出るとは思っていないからな、貴様らが世界を腐敗させ此処まで荒廃させるしか能力が無く責任すら取れん連中に期待する方がバカの考える事だからな」

 

 男性達はR18を持って車両に乗り込み、足止めを命令したAISの2人を現場に残して急いで出発して埼玉コミュニティへと向けて走り去って行った。

 

 

 

「こ、こんなの……こんな事ってアンマリよ……‼︎」

 

「逃げても……ナノマシンが爆破されて終わり……‼︎ 嫌、死にたく、ない」

 

 

 そんな2人の慟哭に応える為か、建物の陰や、壁を壊して多数のエインヘリヤルが群れを成して現れた。機械を乱雑に取り付けたその姿はもはや、2人の目には絶望の化身にしか映らなかった。

 

 

 

 

 

 

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