※この作品はR-18です。

ジェノサイド・ストラトス   作:夢現図書館

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未知との遭遇

 

 何時も通りに車内のトランクにウィキッドとオトゥールの2人は突っ込まれて荒廃した大地を移動。そして作戦開始地点にてコレまた何時も通りに投げ出される形で降ろされる。その時に腕を封じる拘束具が外される。戦闘中にしか腕は真面に使えないと言う環境である。

 

「ウィキ姫ちゃん。動ける?」

 

「ん。何とか……」

 

——頭が痛い……流石に殴られ過ぎたしお腹も物理的に痛い……吐きそう。

 

 車両は2人を降ろして拘束具を外した後に早々に立ち去って行った。この状態で放置しても所有しているAISが逃げ出す心配は無い。遠隔操作で爆殺すれば良いだけの事である。

 

「……うー」

 

「やっぱり、無理していない?」

 

 片手で頭を押さえながらウィキッドは呻く。牢獄内で何度も頭を叩き付けられた挙句に乱暴な形で洗浄された。コミュニティ内では暴力だらけで戦場でも暴力しか存在していない。オトゥールからすれば流石に無理はさせたくない、しかし現状はソレを許してくれない。

 

「……大、丈夫……行こ」

 

 ウィキッドは首元に下がる歯車のネックレスを掴むと同時にそのネックレスが粒子状へと変化した後、収束されて巨大な鋸状の大剣へと変化する。ウィキッドのその反応を見て心配しつつもオトゥールも首元に下げていた小さな本の形をしたネックレスを掴み同じ様に変化した粒子から再結集して形作られた鉄塊に棘が付いたモーニングスターの柄を手に取る。

 

「出来るだけ、無茶はしないでね」

 

「ん……」

 

 2人共、牢獄内で暴行を受けており少なくとも体調は万全とは言い難い。今回の任務は未確認ISの複数体の討伐。並びにエインヘリヤルの掃討。相手は完全にUnknownであり、事前情報も殆ど無い(元々、宛には出来ないが)。正直に言えば自分達のこの状態でISを相手取るのは厳しい局面だった。相手はシールドエネルギーと言う防御バリアがあるので生半可な攻撃では削り切る前に此方が根負けする可能性が高い。

 対して自分達にはそんな防御バリアなぞ持っている訳でも無い。ISが不敗神話を確立させた理由はシールドエネルギーと絶対防御の存在が余りにも大きかった。女尊男卑の風潮が崩壊し時代が流れた今でもISのその機能は未だに健在であり脅威となっている事は変わらない。

 

『コード:O13。コード:U31。分かっては居ると思うが確認された未確認ISの連中は貴様らの現在地点から東に居る。東へ迎え』

 

——初耳なんだけど。頭がガンガンしていたから仕事内容、全然聞けて無い。牢獄内の時に思いっきり頭、叩かれたから……えーと?ISが相手?

 

 無線機から聞こえて来る高圧的な声に関してウィキッドは初耳だと言わんばかりの疑問符が頭に浮かぶ。朧げながらも覚えている事は頭を何度も叩かれた事と冷水をぶっ掛けられた後に仕事だと言われた事くらいしか覚えていない。当然、仕事内容に関しては今、此処で初めて聞いた。そんな状態で『分かっている』事前提で話されても理解出来ない。

 最も、此方の意思はガン無視なので反論した所で帰って来るのは何時も通りの暴行による私刑でしか無い。兵器は兵器らしく従順に従うモノであれば良い。AISには戦う他に意思など必要ない。それが彼らの言葉である。再起不能になれば廃棄処分……他に抱く感情などありはしない。

 

「……オト姉。どう言う事?」

 

「ウィキ姫ちゃんは聞けて居ないのね。ISが複数体現れたから、破壊しろ。と言う事よ」

 

「……ん、そう」

 

——IS、かぁ。何回か相対した事があるけど……何とか撃退出来たのは1回程度。それ以外は色々な事情が重なって退却に追い込まれた……役目だと分かっているけど、余り会いたくないなぁ。

 

「東へ迎えって……」

 

 此処から東へ迎えば過去に発生したISの来襲によって倒壊した街並が広がっている。ビルは倒れマンションは粉々に砕けて公園は陥没している。そして、エインヘリヤルが湧く様になったゴーストタウンが広がっている。

 

「……ウィキ姫ちゃん。やっぱり、体調が良くない?我慢しなくて良いわ。無線機は此方からは自発的に繋げられないから」

 

 自分達から向こう側に無線を開けないと言う事は緊急時の救援要請自体を拒否すると言う事であった。無理ならば死んでしまえと言う非情さの現れ、だが逆に言えば密談には向いている。向こうから横槍が無ければの話ではあるが。オトゥールは自分達を取り巻く環境が環境の為にウィキッドが引っ込み思案になっている事を理解していた。AIS達は自分達の意思を示す事は認められない。言えば殴られ蹴られるのは日常茶飯事であるのだから。

 

「お腹、すいた……」

 

 オトゥールに促されウィキッドは俯きながらそう呟いた。その言葉にオトゥールは当然かと理解を示した。AIS達に与えられる配給の食糧はそれはそれはヒモじいモノであった。自我を持ったISの襲撃により生産ラインが多数、潰えて人々は繋がりが断絶される。故にコミュニティを作った。元々、日本の食糧自給率は低い上に海路や空路もISの存在で危険極まり無い為に国外との繋がりが絶たれたに等しい。

 そう言う経緯もありコミュニティ内で生産出来る食糧の大半はコミュニティの人間達に回されAIS達に回される食糧はかなり少ない。1週間に1回配給される名前も分からない怪しい薬のカプセル錠、1人1錠のみ。当然、牢獄内で真面な食事を取れた事がない。そもそも、腕が使えない状態でどうやって食べれば良いのかとも言える。

 

「そう……なら、取りに行きましょう。大丈夫、まだ……時間はあるから」

 

 ならば如何するか?答えは戦場で直に食糧になるモノを探して食べるしか無い。コミュニティ内で食にあり付けないのなら、自力で食べられそうなモノを探すしか無い。ウィキッドとオトゥールはそうやって命を食い繋いで来た。それはきっと自分達がこの様な奴隷とも呼べる過酷な環境が続く限り、死ぬまで続く事だろう。

 

「……うん」

 

 AISは殆ど信用されていない。それはISに対する対抗策ではあるが能力は認められていないと言う事にも直結している。故に迅速さは初めからアテにされて居ない、故に多少寄り道しても問題が無いとオトゥールは判断していた。

 

「……何か、食べれるモノ。見つかれば良いのだけど……」

 

 東に向かう道すがら廃墟街にある寂れた飲食店が建ち並ぶ大通りを選んで歩いて行く。ISの脅威性を再認識してかこの街に住んでいた人間達は皆、逃げていったかISに殺されたかの2択。殺された場合は持ち帰られてエインヘリヤルとして改造されているだろう。

 

「……かつてはこの街も活気があったんでしょうね」

 

「うに……」

 

 そして見つけたのは黒光りする光沢のある虫。どんな環境でも相変わらずしぶとく生き残っている。ある意味生命力だけで言えば凄まじい執念だ。見た目は兎も角、自分達に置かれているこの環境では貴重なタンパク源である事には変わりは無い。捕まえると2人は躊躇いも無く生きたまま咀嚼して食べた。この虫の味は期待しない方が良い……いや、考えない方が良いかも知れない。時にはゴミを漁って腐敗したモノも食べなきゃ生きていけない様な状況。今更、虫に抵抗なんて持っていたらとっくの昔に死んでいる。

 

「もぎゅ、もぎゅ……」

 

「……」

 

 オトゥールはコレが最後の食事になるかも知れないとも考えていた。何せ今回の任務はISが複数、出現している。エインヘリヤル相手ならば兎も角、相手はIS。それが1機相手でも、苦戦する様な状態なのに複数体同時ともなれば、最悪命を落とす可能性もあった。そうでなくても任務失敗した暁には銃殺刑が待っている。何方にせよ、死ぬ未来は変わりそうにない。

 

「ウィキ姫ちゃん」

 

「んに……?」

 

「最期まで、生きましょうね?」

 

「……うん」

 

 自分達が生き残るにはISを全て倒すしか無い。死に物狂いで戦って生き延びる。戦う以外に道は無い。少ない食事と言えど食べれるモノが見つかっただけマシ。見つからない時の方が多い……出来る事ならば逃げ出したい、でも逃げればナノマシンによる爆殺が待っている為に逃げられない。

 

「……行きましょう。離れないでね」

 

「うん」

 

 食事を終えた2人は再び歩き出す。東へ迎えば戦闘している様な光景が見えて来る。その光景は、2人からすれば有り得ない光景が広がっていた。

 

 

 

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