※この作品はR-18です。

ジェノサイド・ストラトス   作:夢現図書館

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入場手続

 

 

 

 東京コミュニティへと到着した。

 メサルティムの話によるとこのエストレヤのオーナーが東京コミュニティの担当部署に話を付けてくれていたらしく、案内係を宛てがってくれたとの事。

 

 東京と言えばIS学園からモノレールでの発着駅。休日や夏休みの期間であれば出入りする事が出来た。しかし、未来の東京はどう言う構造になっているか分からない。自分達の知っている東京の構図では無いのかも知れない為、この対応は素直に嬉しかった。

 

「織斑先生ややまぴーが居てくれれば、何とかなる筈……」

 

「彼方此方、壊れているもんね。集まるとしたら、人が居る場所でしょ」

 

「きっと皆、東京コミュニティに集まっているよ。そうしたら、希望はある‼︎」

 

 遭難等したら目立つランドマークの所に集まる……。遠くからでも目立つ場所があれば其処に人々が集まると考えるのが自然だからだ。専用機持ちや教員もそうだとしたら、きっと東京コミュニティに集まっていると彼女達は考えていた。

 

「……問題は東京コミュニティの何処に集まっているのか、だよね」

 

「案内してくれるって言うから大丈夫でしょ」

 

「東京なんだから、お腹いっぱい食べたいよ〜」

 

 荒廃した未来に愕然としたものの、織斑先生達が居ると断定の判断した結果、何処か楽観的だった。何故なら今までの経験から『何だかんだ』で何とかなると考えているからだ。

 クラス代表対抗トーナメントの時も織斑 一夏が解決した。タッグマッチの時も織斑 一夏が解決した。臨海学校の時は何が起きたか知らないのだが、多分、専用機持ちが解決したのだろう。つまり、近くに専用機持ちが居てくれれば万事解決すると言う方程式が彼女達の中に存在していたのだ。

 取り敢えず、後の事は東京コミュニティに滞在する他の生徒達や教員達と合流してから考えようと清香達はエストレヤから昇降機を伝って東京コミュニティの大型駐車場へと降り立った。

 

 近未来的な大型のビルが複数、聳え立っており周囲には大型車両や型落ちの戦車らしきモノも停車しているのが見えた。駐車場内を歩く者は男性ばかり、女性はほぼ居ないと言う点が少し不安であった。

 

「えっと、案内してくれる人って誰かな?」

 

「降りたら直ぐに迎えが来るってメサルティムさんが言っていたよ?」

 

「話を聞いてくれる人が良いなぁ」

 

「織斑先生なら尚嬉しいよね? やまぴーも可‼︎」

 

 降り立った清香達。遠目からの視線に晒されるが、白い制服故に目立つ自覚はある。街中を歩けば同年代の他校の生徒達の羨望の視線を向けられるのは常だったからだ。IS学園はエリート校、3桁を上回る高倍率の中で通過したのだから尚更だった。

 

「ね、ねぇ……誰か来るよ?」

 

 東京コミュニティの人が迎えに来るとの事で降りた先で待機していると生徒の1人が此方に向かって来る一団を見つけた。当初、案内してくれる係員かと思ったが……。

 

——な、何か……物騒な雰囲気が……‼︎

 

 男性達の集団。物々しい雰囲気を纏っており、全員が銃火器等で武装している。

 如何に女尊男卑全盛期の世代の彼女達でも、あの手の集団相手には臆する。一昔前の軍人と言った様相であり、生娘では態度では敵わないと言う事を嫌でも分からされる。彼女達が威張る事が出来たのは近くにISが存在していたからだ。だが、この時代はISは人類へ叛旗を翻した……頼みの綱は、無い。

 その者達が此方へ向けて歩いて来る様子を見て内心、慄いた。

 

「ね、ねぇ……アレ、ワンチャン……偶々、通過するだけって線は無い……?」

 

 生徒の1人が震えながらそう口にする。だが、現実と言うモノは非情でありそして残酷だ。

 

「対象の群を確認。これより、制圧及び捕獲作業に移る‼︎ 反抗するならば多少、破壊しても構わん。AISは耐久性が高いからな。直ぐに自動修復される」

 

 男性軍人の1人がそう宣言すると同時に一斉に生徒達に殺到して行く。

 

「え⁉︎ ちょっ、な、何っ、待⁉︎ あごばッ⁉︎」

 

 挨拶代わり顔面を殴られる。或いは硬い靴底で腹を蹴られ、情けない声を上げて行く。

 

「AISの分際で悲鳴をあげるか。実に忌々しい限りだ。貴様らには悲鳴をあげる権利も言葉を発する権利は無い」

 

——そんな、理不尽な……ッ⁉︎

 

 誰も彼もが寄って集って暴行を加えて行く。文句も抵抗の暇も無くただ、嬲られて行くだけであった。

 女尊男卑の世界ではあり得ない光景、いいや真逆の光景を今、正に彼女達は味わっていた。女性と言うだけで不利益を被る世界。

 

「い、痛い‼︎ 痛いッ⁉︎ どうして、私達が、何をした、って⁉︎ い゛ぅ゛の゛ぉ⁉︎」

 

 遂には喀血しながら痛みを訴える。しかし、その声を上げた生徒から更なる暴行が加えられる。

 

「何も分からないか? ならば特別に教えてやろう。その記憶する能力すらなく貴様らには勿体無い脳に刻むが良い。貴様らがこの世界を創ったのだ。女尊男卑を信奉しISを蔓延させ、夥しい数の人間が死に絶えた。壊したのならば治すのが当然の責務だ」

 

 理解出来なかった。ISが人類に叛旗を翻したのは聞いていたが自分達がこの世界を創ったとはどう言う意味なのか。だが、その前に腹を蹴られて転がされる。慢性的に痛みが生じており、血も流れて行く。

 

「おい、遊びは此処までだ。AIS共は無能で無知、家畜にも劣る存在だ。先方を待たせている為に速やかに終わらせろ」

 

——お、終わった……? それにAISって、何……?

 

 その声で暴行は一先ず止まった。しかし、立て続けに殴られ蹴られた為に皆、満身創痍と言った風体であった。ISが無ければ生身の生娘。暴力に晒されれば、痛みに耐え切れない。

 男性達が取り出したのは如何にもな拘束具の数々だった。

 

「ッ⁉︎」

 

 それを見た数人の生徒は傷付いた身体を引き摺って逃亡を図るが足蹴にされて押さえられ、その他の者達も同様に拘束具で身体を拘束されて行く。

 

「立て‼︎ 貴様ら、AISが地面に横になる事すら認められていない‼︎ 立てないならば射殺する」

 

——これ、かなりキツイんだけど⁉︎ ちょ、立つ、立つから‼︎

 

 全員、仲良く上半身を拘束され鎖で繋がれた状態で立たされる。だが、1人だけ立ち上がる気力も体力も無いのか立ち上がれない。

 

「……言葉も理解出来ないAISは不要だ。殺せ」

 

 その言葉と共に銃火器を構えた男性達が倒れた生徒に向けて銃口を向けた直後、蜂の巣にした。

 

「ッ……‼︎」

 

 赤ん坊が泣き叫ぶような悲鳴が響いた後、その生徒は死んだ。

 中にISスーツを着ている事は知られていたのか腕や脚と言った致命傷以外を撃たれて苦痛が長引かされた後、頭を一斉に撃ち抜かれて死んだ。このメンバー最初の死者だった。

 

「後で家畜型AISの餌にしておけ。AIS共はAISの他のパーツで修理出来る。何も問題は無い」

 

 死んだ生徒を別の男性が持って来た折り畳み式コンテナの中に無造作に放り込んだ後、運ばれて行く光景をむざむざと見せ付けられた。

 

——ひ、人がモノみたいに……⁉︎ 何これ、狂ってる……‼︎

 

 荒廃した世界と言えど、ある程度のモラルはあると楽観視していた。人々が集まっても秩序は存在している、と。だが、蓋を開ければこのザマだ。少なくとも東京コミュニティは自分達を歓迎していない……まるで捕虜や罪人みたいな扱いだと、今更ながら理解した。

 

「連行しろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◯

 

 

 

 

 

 

 

「以上、リムドロップ8名の売却手続は滞りなく完了。……1名は梱包作業中に死亡しました」

 

 その後、管制塔から『AISの捕獲完了』との通信が届いた後に売却金と発注品の受け取りをする為に紫本人がエストレヤを降りた先で担当職員と面会していた。

 

「そうか。件の発注した備品の代金はそのまま、リムドロップ売却金から天引きして頂けただろうか」

 

「はい。問題ありません。差し引き金額と製品を譲渡致します」

 

 職員はそう言い、足元に置かれている備品入りのコンテナを紫へと受け渡した。

 

「確かに。エストレヤが受領した」

 

「はい、此方も売却されたAISを確かに受け取りました。不備があれば現物と共にご連絡下さい」

 

「ああ。……早々、不備が無いと思うがね」

 

「話は変わりますが、この後の予定はお有りでしょうか?」

 

「む。ああ、我々エストレヤも漸く使い物になるAISを確保したからな……。新たな業務を立ち上げようと考えている。

 東京コミュニティは各所のコミュニティから多数の情報が集まるからな……情報収集も兼ねて暫し滞在する予定だ」

 

「成程……。中央政府としても戦力は多いに越した事はありません。……後、少々耳に入れて置きたい事が1つ」

 

「ん? 何かあるのか?」

 

「東京コミュニティでは近々、大規模作戦が行われる兆しがあります。ですので有事に備えて東京コミュニティへ入場されるオーナー以上の者は肉盾としてAISを2名、随伴させるように通達されています」

 

「……初耳なんだが?」

 

「大規模作戦に関しては正式に発表された訳ではありません。ですが、随伴の件は昨日発表されています」

 

 何が起こるか分からないからこそ、保険は必要と言う訳である。

 

「……その、大規模作戦はまだ確信を持てていないと言う事か」

 

——エストレヤの名を上げれば情報を得る機会も増える。そうすれば、オトゥール嬢の求める情報も、俺の計画も前進する。

 

「はい。空振りに終わるかも知れませんが、一応……気に留めておいてください」

 

「分かった、情報提供に感謝する」

 

 職員と別れた後、備品を受け取り紫はエストレヤへと帰投した。本音を言えば1人で行動する予定だったのだが、仕方ない……。

 

 

 

 

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