※この作品はR-18です。

ジェノサイド・ストラトス   作:夢現図書館

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醜悪なる人類 Ⅰ

 

 

 

「此方が許可証となります。AISを持ち込む際には視認出来る部位に着用する事が義務となっています」

 

 エストレヤから降りて東京コミュニティの外部玄関口の検査場。其処で係員から許可証なるモノをオトゥールとウィキッドの2人に身に着けさせた。……許可証のタグには小さなリング、即ちニップルリングがあり、着ける場所は勿論、AISの乳首であった。

 

「ん、んんっ……」

 

「んぅ⁉︎ んんぅ‼︎」

 

 AISスーツ越しでも乳首は勃つと浮き上がるらしく其処に容赦なく嵌められる。敏感な部位への刺激も甘んじて受けなくてはならないのがAISと言う存在であった。

 

——……やはり見ていられないな。極力、手短に済ませたいモノだ。

 

 検査場を抜ければ漸く東京コミュニティ内へと入る事が出来た。

 東京コミュニティは基本的に地上階は万が一、ISやエインヘリヤルの襲撃を受け壊滅した際は『身代わり』にする為、一般市民が住む居住区がありその地下に『AIS』の収監施設がある(コミュニティに居住する一般市民から見ても『AIS』は低俗の存在であるからだ)。

 上流階級、富裕層や『中央政府』の人間は安全で緊急時離脱が容易になるように避難経路を確保した更に地下が主な居住区となっている。つまり地下に潜る程、権力が強い人間が住むと言うヒエラルキー構造となっていた。

 東京コミュニティが壊滅したら別のコミュニティへと速やかに避難出来る様な仕組みが既に確立されている。その場合、不要な人間は置き去りとなるのだが。

 

——……俺達以外にも他のコミュニティの人間と思われる連中が多いな。件の大規模作戦の発令は濃厚なのか?

 

 視線を見渡せば、軍服を思わせる服装の一団がチラホラ見受けられる。その者達に追従する形でAISスーツに身を包み拘束された女性達が連れ回されている事から、やはりその線が濃厚である事を如実に示している。それは外部から招集されたと見るべきだろうか。

 

「……むぅ」

 

「あの中に『家族』が居るかも知れないが手は出せない」

 

 オトゥールの言葉にならない言葉を察してそう告げる。今の自分にこの場で引き抜き等の行為が罷り通る程の権力は有してはいない。仮にこの場で見つけても直ぐに取り返せる訳では無いからだ。

 

「……この場に留まっても仕方ない。2人とも行くぞ」

 

 手に持っていた鎖を軽く引き、歩く様に促す。転ばない様に歩幅は小さくして移動を開始し先ずは地下区画へと向かう。一般市民の区画では大した情報は無い……と言うよりも見ていられない光景が多々あるからだ(結局は何処も一緒ではあるのだが)。

 

「……ん、ん……‼︎」

 

「アレは余り耳に入れない方が良いな……」

 

 一般市民が集まっている光景が見える。その人集りの向こう側には少女の悲鳴か嗚咽の様なモノが聞こえて来る。AISは言葉の自由は奪われてはいるが視覚は封じられていない。

 

「おい、今日の民間へ支給される肉便器型AISはかなり顔が良いらしいぞ」

「未だに女尊男卑が忘れられない連中の忘形見みたいな奴らしい」

「そう言う奴を分からせるのが1番の楽しみだよな」

「今の時代、やはりSEXしか勝たんからな」

「全く、いつになったらISの脅威は無くなるんだ」

 

 人集りに集まるこのコミュニティに住む市民達の声が聞こえて来る。あの人集りは恐らく肉便器型AISが配置された公衆便所なのだろう。娯楽の選択肢が狭まったこの時代、AISを好き放題に出来ると言うのは他に勝る娯楽は無い。性欲と言うのは切っても切れない生命の欲求であるからだ。

 

「……ん、んんむ」

 

「場合によってはあり得るな……」

 

 東京コミュニティだけでは無い。他のコミュニティでも一部、いや全員が平時では肉便器として扱われている可能性も捨て切れない。自分達は運が良かったのだろう。特にオトゥールに至っては胸が大きく、そう言う需要が高かったが本当に運が良かったと言わざるを得ない。

 

「見聞きしても気分は良くならない。……行くぞ」

 

 東京コミュニティは中心部に地下へと続く通路があり外周に行く程、治安が悪くなる。重要なモノは中央に寄せると言う思想はいつの時代も変わらないモノであった。

 

——まぁ、エインヘリヤルは地上兵力だし外周から襲撃を受けるのは当然だ。IS以上の場合は航空戦力だし関係なく襲撃を受けるがな。

 

「『エストレヤ』オーナーの崩宮様でお間違いないでしょうか?」

 

 東京コミュニティの地上階層の中心部にある元々は都庁であった建物。過去の何度かのISの襲撃により上層部は完全に倒壊しており、修理はされず其の儘放置されている。今の人類は地上を諦め地下へ潜っている為にその方が最善だと判断された為であった。その建物のエントランスに入るや否や紫はフロア担当と思わしき係員に声を掛けられた。この手の場合は案内役を仰せつかっているのが相場であるからだ。

 

「……道案内を頼んだ覚えは無いのだが?」

 

「織斑(・・)総督の御命令です」

 

「…………総督閣下の目に留まる程の実績を残した記憶は無い。何かの間違いでは無かろうか?」

 

——正直な所、『エストレヤ』は現行の公共、私営問わずコミュニティの中では最も戦力が低いと言わざるを得ない。珍しい移動式コミュニティと言う事を加味しても、件の大規模作戦が真実だとしても端役が精々……。東京コミュニティ、ひいては中央政府の総司令の目に留まるような存在では無い筈だが……?

 

 コミュニティ群の最頂点に君臨する人間からお声が掛かると言うのは千載一遇の大チャンスとも呼べるが、その過程が不審だ。だからこそ警戒感が拭えないのだ。……安請負は非常に危険だ。

 

「私は指示に従ったまでです」

 

 だろうな。と言う感想が心の中で漏れた。組織が大きくなると末端にまでは情報は伝わらない。指示された事を熟すだけで良いからだ。訊ねても明確な答えは返って来ない事だろう。

 

「分かった……。案内を頼んでも良いだろうか?」

 

「此方へどうぞ」

 

 案内役の係員が先導しその後を紫とオトゥール達が続く形で目の前のエレベーターへと乗り込む。地下へと続くエレベーターは複数台建造されており、日夜稼働している。万が一の場合もかねて階段等も造られてはいるが其方は非常階段と言う面があった。

 

「……風の噂で耳にした大規模作戦は本当に行われるのだろうか?」

 

「はい。詳しい事は私の口からお答え出来ませんが、大型のラグナロク種の移動経路がこの東京コミュニティ近辺に抵触すると情報部から通達されました」

 

「……成程。それは警戒して然るべきだな」

 

「「……」」

 

 ラグナロク種。然も大型と来た。

 ISは総じて破壊活動の権化とも呼べる。エインヘリヤルならば兎も角、その移動経路による影響範囲にこのコミュニティが重なっているいと嫌でも警戒したくはなるだろう。

 先程、見かけた他コミュニティの面々は元々知っていて招集されたのに対して自分達は偶然居合わせた形となるのだろう。つまり、情報の齟齬やこの件を認知していない可能性を考慮して案内役を用意した、と言った所だろうか。

 

——其方の方が可能性が高いな。……一応、ウィキ嬢とオトゥール嬢の2人に関しては公表はしているし、戦力は少しでも多い方が良いと言う事か。

 

 考察を固めている矢先にエレベーターが停止し扉が開かれて地下区画へと到着した。この区画に住む人間となれば私的な理由でAISを所持出来る上流階級の人間達が住まう環境となっている。……つまり、地上階層よりも醜悪な光景が広がっているのである。

 

「では、ご案内致します」

 

 

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