※この作品はR-18です。

ジェノサイド・ストラトス   作:夢現図書館

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雑兵、吹き憑く塵の様に

 

 

「ぐっ……‼︎」

 

——敵の攻勢が収まらない……‼︎ どんだけ湧いてくるって言うのよ……‼︎

 

 前線。その中でR18は疲労混じりの痰を吐きながら割れた装甲腕で殴り掛かってくるエインヘリヤルの一体を身を捻って躱して、すれ違い様に腐食が進む肉体を斬り伏せた。

 

 大規模作戦。決死隊。被害甚大。

 その言葉らが示す答えは今、目の前に広がっている光景であった。AIS、エインヘリヤル問わず多数の死骸が乾いた大地に横たわり、見上げる先には巨大な鯨の姿をした超巨大IS、メナスが悠然と浮遊している。

 

 悲鳴が響き渡る。

 嗚咽が掻き消される。

 怒号が劈いて逝く。

 

 R18を始めとしたAIS達は東京コミュニティに移送されてきて初めて事の重大さを知った。

 

 『ラグナロク』種に分類される超巨大IS『メナス』の討伐作戦。作戦名『コード:メナス』。

 メナスは巨大輸送船の役目を担い、大多数のエインヘリヤルやISを一度に輸送可能と言う拠点強襲に特化して進化したISである、と。

 自分達はその作戦に投入されるのだと……そして、大軍を相手取る為に甚大な被害が予想される事も、知った。

 しかし、凡ゆる権利が認められないAISには拒否権なぞある筈も無く、全滅必至の作戦に臨まなくてはならなかった。

 

「ま、また来る……‼︎」

 

「嘘でしょ……⁉︎ 今でも手一杯だって言うのに……⁉︎」

 

 AISの誰かが絶望に瀕した声をあげた。見上げれば、メナスが新たなエインヘリヤルを詰めたコンテナを量子展開で展開して投下して来たのである。

 

——あのデカい鯨も進化したIS……‼︎ ISには拡張領域がある……‼︎ その容量はどれだけ多いのか分からないけれど、あんなの格納しているとしたら後、どれだけのコンテナを搭載してんのよ‼︎

 

 軽く絶望したくなった。際限無く、投下されては前線が持たない。そうなれば自分達は全滅だ。しかし、退路は何処にも無いのだ。敵前逃亡となれば、コミュニティの人間達は逃げ出した者を殺処分する事だろうから。

 

『防壁防護部隊、AIS弾を発砲を許可する‼︎ 目標はコンテナ投下地点‼︎ エインヘリヤルが出る前に破壊して前線との合流を防げ‼︎』

 

 その時、公開通信で総司令官だと言う男性の声が戦場に響き渡る。その直後、コンテナが大地に落下すると同時に爆轟が響き渡る。

 東京コミュニティの防護壁からの支援砲撃により増援の氾濫は阻止された様である。

 

——AIS弾ってネーミング、凄く不穏な気配がするけれど、増援阻止は普通にありがたいわ‼︎ 埼玉コミュニティもコレぐらいの支援はして頂戴よ⁉︎ 毎日酷使されて皆、疲弊してんのよ……‼︎

 

 エインヘリヤルを斬り倒して、直ぐに別のエインヘリヤルの頭に斬り掛かる。ゾンビみたいなエインヘリヤルを斬り倒して続けていた為に、もはや抵抗が無くなって来た。

 

『オォォ……オォォオォォ‼︎』

 

 メナスは再び咆哮を上げると同時にその大口から複数機の鮫の姿をした下位種のISが飛び出して来た。

 

「な、何アレ……⁉︎」

 

「あ、ISよ‼︎ ISまで、出て来た……‼︎」

 

 鼻先が鋭利かつノコギリ状の突起物を備えた、言うなればノコギリザメの姿をした鋸鮫型ISが前線部隊へ目掛けて襲い掛かる。

 

——鯨と来て今度はノコギリザメ……‼︎ 動物の姿へ進化したISも居るって事……‼︎ 然も量産されて数も増えて行くだなんて、無人機の時の比じゃないわね‼︎

 

『前線部隊はエインヘリヤルを掃討しつつISを惹き付けろ。シールドバリアがある故に撃滅は困難であるが時間稼ぎ及び足止めに徹しろ』

 

「本当に無茶、言ってくれるわね……⁉︎」

 

 正直な所、数が減る気配が無い多数のエインヘリヤルを相手しながらISを惹き付けて足止めしろと言う無理難題。コミュニティは本当にAISに配慮はしてくれない。此処で全滅させても構わないと言う姿勢であった……‼︎

 

『キシャァァァ‼︎‼︎』

 

『サンマァァァァァァァ‼︎‼︎』

 

 鋸鮫型ISが前線を支えるAIS達へ目掛けて襲い掛かる。ノコギリの部位は良く見ればチェーンソーの様な構造であり、危険な駆動音を響かせながら迫ってくる。

 ネームドが付かない下位のISと言えど、ISは IS。シールドバリアや『絶対防御』は標準装備だ。故に……前線部隊のAISに抗える手段は無いに等しい。

 

「が、ごぽぼぼぉああ‼︎⁉︎」

 

 鋸鮫型ISのチェーンソーはAISスーツを最も容易く斬り刻み、スーツの内側の痩せ細った肉体の皮膚や体毛、そしてその中の血肉をグチャグチャに飛び散らせて惨殺死体へと作り替えて行く。

 

——あんなの、ISがあったとしても……耐え切れないわ‼︎

 

 R18は歪な武器を振り上げるエインヘリヤルの脚を斬り話して体勢を崩させて無力化しながら、飛び回る鋸鮫型ISを見やる。

 今の自分ではあのISに対抗する術は無い。出来る事と言えば、目を付けられない様に生き残るしか無い。味方と言えど……正直に言えば自分の事で精一杯だからだ。

 

「ぐっ、がぁ……い、嫌ァァァ‼︎⁉︎ 誰か、誰か助けてェェェ‼︎⁉︎」

 

 AISの1人が悲鳴を上げながら助けを求める。鋸鮫型ISの1匹が、そのAISの尻穴にノコギリを深々と突き刺す様に挿入し、そのまま上空へと連れ去って行く。

 

「い、いぎゃあァァァァがぁぁ、ばぁぁらぁがいがぃぃあ‼︎⁉︎」

 

 そして、ノコギリが駆動。肛門、身体の内側から乱雑に切り開くかの様に歪な駆動音、血飛沫、内臓物を上空から撒き散らして彼女、AISを乱暴に乱雑に真っ二つに抉り、開いて行く。

 

「あびゃばらばぁさがァァぎぃにぃ、がぁぁぁぁらがあさりぁあがあまわッッ‼︎⁉︎」

 

 身体を内側から削り剃り開いて行き、涙と鼻水と痰と血を穴と言う穴や切断面から撒き散らすが、その途中で鋸鮫型は頭を思いっきり振るい、投げ捨てた。下から切り裂かれ歪な形で開かれたAISは地面に叩き付けられ、2度と動かなくなった。

 

——明らかに惨く殺そうしている……‼︎ 楽には死なせないって言うの⁉︎

 

 ISには自我があると言われていた

 そんなの眉唾物の話だと思っていた。だが、もしISに自我があり、自分達を見て来た。彼らは女尊男卑と言う社会光景を誰よりも間近に見て来た。

 その結果が、この現実だとしたら?と考えると身が凍る思いであった。

 

 

『オォォオォオォオォ‼︎‼︎』

 

 

 メナスの咆哮。その時、メナスの目先にハニカム構造の薄い膜が展開されて行く。その直後、軽快な音と共にハニカム構造の膜がバラバラに砕かれてその残骸が、地上へと降り注いで行くのが見えた。

 

——な、何⁉︎ さっきのエネルギーの壁は恐らく、シールドバリア⁉︎ それが砕けた⁉︎ もしかして、一夏⁉︎

 

 その矢先に二層目のバリアが展開されるも直ぐ様に砕け散って行った。業を煮やしたのかメナスは口内に膨大なエネルギーを収束させて行き、

 

 

 

『ゴオォォオォオ‼︎‼︎』

 

 

 

 曇天の空が割れんばかりの轟音と共に膨大な光の奔流が放たれる。その直後、メナスの眼下にいた全ての存在に対して咆哮の時以上の衝撃波が無差別に襲い掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

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