※この作品はR-18です。

ジェノサイド・ストラトス   作:夢現図書館

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儚い希望、即ち人の夢

 

 

 

 

「成程。成果としては上々と言えるだろうな」

 

 紫はエストレヤ内にある製造場にて回収された物品を見ながらその場でオトゥールとウィキッドの口頭による成果報告(オトゥールとウィキッドはまだまだ字が拙い状況なので)を受けて居た。因みにソフィアはこの場には居らず、知識欲に従うままに艦橋で色々なモノを見物しているとの事。

 目の前には学園跡地の整備室で回収されたガラクタと、オトゥール達が奇襲して破壊した蜘蛛型ISの残骸(その内、1つはほぼ原型を留めている)が置かれていた。

 

「まさか、下位種のISの残骸を回収して来たとはな。しかもほぼ原型を留める形で」

 

 『ASE』の改良するにはIS技術を掘り起こす必要があったが、一層の事。進化した現行ISの内部構造をバラした方が効率的であるとソフィアが告げた。

 やはり思考が違うと別の観点から意見してくれるのは実にありがたい。

 

「……上手く形になりそうかしら?」

 

「其処は構成物を検品しなきゃな。解明出来る部分が増えればそれだけ有利に事を運ぶ事が出来るさ」

 

「ほんとー?」

 

「ああ、コレだけありゃあ何かしらの装備の拡充は出来る筈だ。必要なモンは確保した後に、残りは東京コミュニティに売っ払っちまおう。ガラクタであろうとも資源不足が嘆かれる以上、買い手は付くしな。少しでも資金は獲得しておきたい」

 

 装備が充実すれば、生存率の向上が図れるからだ。

 

「ええ、お願いするわ。話は変わるけれど、あの4人組はやはり売却方針?」

 

 残骸回収の傍で自称IS学園の生徒(その内、1人は教師と名乗った)を4名、収容した。蜘蛛糸に巻かれた程度なので目立った外傷は無かったが、教師であり山田 真耶と名乗った女性は処置が必要だった為に医療室に放り込んでいる。

 

「ああ、その方針で進める。俺が欲しいのはISに対抗出来るAISであり穀潰しなぞに要件なぞ無い。コレまで見た事のある自称IS学園の生徒と名乗る連中はどいつもこいつも役に立ちそうに無い。ならばせめて、有益になって貰うしか無い」

 

 この世には善人も居なければ悪人も居ない。居るのはただ現実を前に必死に足掻いている者だけだ。

 

「だから、当事者には知られない様に頼むぞ?」

 

「ええ、勿論よ」

 

「うにっ‼︎」

 

 当初の予定通り回収された彼女達は、次に向かうであろうコミュニティで、オトゥール達の『家族』を買い取る際に取引材料として使うつもりである。金による取引よりもAISの物々交換的な取引の方がエストレヤとしては安上がりだからだ。

 

「さて……今回の任務はこれで終了だ。今日はもうゆっくり休んでくれ。

 今後の予定としてはこの件を織斑総督閣下に報告した後に、オトゥール嬢達の『家族』の所在に関しての情報を受け取り、最も近いコミュニティへ向かい……売買手続の交渉を行う。と言う予定だ」

 

「いよいよ、ね」

 

 漸く軌道に乗り始めたオトゥールの念願の奪還計画。そして、同時に紫としても戦力拡充の目論見も見えて来たのだ。心が踊らない筈が無かった。自然と表情が明るくなった。

 

「さて、後の事は俺の仕事だ。また作戦があれば呼ぶからそれまでは自由にしててくれ」

 

 オトゥールとウィキッドを自室へと帰らせる。後は基本的に自分の仕事の分野であるからだ。

 

「さてと……。研究は後に回して報告内容を纏める方が先にした方が良さげかね」

 

 回収された残骸は一先ず、後回しにして先に重蔵総督へと上げる報告書を作成する事を優先する事にした。

 

——解体、改修、研究の草案組みは移動中でも出来るしな。先に総督閣下に提出する報告書を纏める方が優先だ。向こうも此方の求める情報を纏めている頃だろう。

 

 製造場を出て艦内廊下へと出る。

 

——それにあの回収した4人娘を長時間、置いておく訳には行かないな。飼育料には金が掛かるって言うのはマジで本当の話だったな。

 

 回収した自称IS学園の生徒達は売却する方針で固めている。戦力云々は自称IS学園の生徒を名乗っている以上は期待値は低いと言わざるを得ないからだ。

 予算問題は幾許かは改善は出来たが、物資面を考慮すると出来るならば切り詰めたい所である。食糧案件はやはりオトゥール達に割く方が良い。

 

「ご主人様、此処におられましたか」

 

「メサルか。件の連中はどうだ?」

 

「はい。山田真耶と名乗ったAIS以外は、空き部屋に滞在する様に通達しています」

 

 その部屋はかつて鈴音達や相川清香達を放り込んでいた部屋でもある。その為かメサルやスピカはその部屋を暗に『売却置き場』と認識していた。

 

「……そうか。極力早めに売却手続を締結せねばな。余り長居されても困るしな」

 

——オトゥールの『契約』で定員を埋めているからな。部外者に割く枠は無い。

 

「はい。オトゥール様達は愚か……並のAISよりも性能が低いと断言可能です。なまじ知能がある分、扱い難いかと」

 

「その癖、真偽は不明だが女尊男卑全盛期だとなぁ」

 

 理由は専ら鈴音達の事である。喧しい上に文句が多かったからだ。幾らAISに寛容と言えど責務を放棄する輩には要件は無い。

 

「……ご主人様の計画に支障が出ない様に計らっておきます」

 

「ああ。費用分は売却額で賄える様に切り詰めないとな……。それまで頼んでも良いか?」

 

「仰せのままに」

 

 

 

 エストレヤは下位種に属する蜘蛛型ISの3機と野良のAISを4名回収に成功し、IS学園跡地を後にし東京コミュニティへと寄港する為に転進した。

 その過程にて紫は依頼人でもある織斑 重蔵総督へ直接提出する報告書を纏めておいた。かの真耶達が此方の思惑に気付く前に売却手続きを済ませたい為に、即日で渡せる様にである。

 

『オーナー紫。お帰りなさい、良くご無事でした‼︎』

 

 地下トンネルの先、東京コミュニティ地下トンネル警備室前にて一時停止。すると警備員からの通信が入って来た。

 

「わざわざ出迎えて頂き感謝する」

 

『……どうでした?』

 

「不穏な影の正体は、下位種のISであると判明し、我がエストレヤのAISの活躍により全て撃破に成功した」

 

『おお、本当ですか⁉︎ 安心しました……。東京コミュニティの中で此処が1番、IS学園跡地に近い場所ですから、不安でしたよ』

 

「あー……ついでと言うには申し訳無いのだが、今回の調査報告を織斑総督閣下に直接提出したい。今回の件、総督閣下直々の依頼である為に私自身、責任を持って直接報告したい。連絡の一報を入れて貰えないだろうか?」

 

『分かりました。少々、お待ちください』

 

 警備員との通信が切れてから数分後に再び通信が繋がった。

 

『お待たせしました。総督閣下は可能ならばすぐに来る様に仰せです。如何でしょうか?』

 

「勿論、今日中に報告したいと考えていた。エストレヤを駐留場に停車次第、直ぐに司令官執務室へ向かうと総督閣下に連絡して頂きたい」

 

『分かりました。総督閣下にそうご連絡します』

 

 

 

 

 

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