古ぼけた屋敷の前に、わらわらと女性が集まって中を覗こうとするものや花束を持って誰かをそわそわと待っているものが押し寄せていた。
「桜花~、 陽炎やっぱり女の子に変えちゃダメ?」
カーテンの隙間から外を見て、うんざりした様子の幼女が黒髪のイケメンを指さして白髪の少女に、まるで髪型でも変えるがごとくとんでもない質問を投げ掛ける。
「お嬢様、どうかご容赦を…」
桜花はビクッと怯えたように反応し深々と頭を下げて懇願する。
「ダメかー、さてあれどうするかな…」
「そうね、このままにしておくわけにもいかないし…」
「…よし、やってみるか…」
少し考えて、なにやら決意したようにレイチェルは玄関へと向かい、勢いよく大きな音をたてて扉を開け外に出ると大きく息を吸い
「うーるーさーい!!人の家の前に集まって何のつもり?!常識考えろ~!!!」
全力で大きな声で叫ぶと水を打ったかのように静けさが訪れる、がしかし次の瞬間レイチェルは人ごみの中に吸い込まれて行き「あーれー」と情けない声を最後に姿が見えなくなり、「何この子!かわいいー!」などという女子にもみくちゃにされて数十分後、何とか屋敷の中に這うようにして帰って来た頃にはハイライトが仕事を放棄してヨレヨレにくたびれたゴスロリの洋服を着たただの幼女と化したレイチェルが何やら小さく呟きながら自室へと消えていった。
「主様に…一体何が…」
「レイチェルもともと人が苦手だから…」
「兄様…主様のためにあの者達に解散するように言ってはどうかな?」
「桜花…ダメだったんだ…」
ふらふらと自室に消え行くレイチェルの後ろ姿を見送りながら絶句する陽炎に桜花は、素直な疑問を投げ掛けるとげっそりした様子で既に試してダメだったと首を横にふりながら答えた。
「俺が女になりさえすれば…」
「兄様…それは…」
「解決はするけど陽炎はそれでいいの?」
覚悟を決めた様子の陽炎に桜花とセシリアに心配そうに見つめられ覚悟が少し揺らいだ時に、いつの間にか桜花の背後に現れた小さな悪魔は桜花にしか聞こえない、小さな声で
「桜花は陽炎を知らない女にとられても良いの?」
と囁く、そしてこう続ける
「陽炎が女の子になれば外に居るような女達は寄ってこなくなるよ?わたくしが居ればいつでも元に戻せるよ?そうすれば陽炎は桜花が一人占めできるよ?」
と
「兄様、身体は女の人になっても兄様は私の兄様だよ…」
「お…おぅ…」
上目遣いで甘えるように言うと、陽炎も少し照れたように目をそむけた。
セシリアは