「メリル! そなたは、わたくしに、しばらく近づくでない!!」
レイチェルは涙目でそう叫ぶと走り去ってしまった。
「セシリアさん、レイチェルちゃんに嫌われちゃいましたぁ~」
しょんぼりとした様子で、走り去るレイチェルの後ろ姿を目で追いかけ、セシリアに泣きつくと。
「それはね仕方ないわね、あれだけジタバタしてるのを押さえつけて、撫でまわしたりしたらねぇ~」
うらやましそうにメリルを見つめながらそう言うと、少し離れた物陰にレイチェルの姿を見つけ、微笑みながら
「案外大丈夫なのかもしれないわね。ところでメリルちゃんが、これから使っていいいい部屋を案内するわね。」
とメリルに微笑みかけながらそう言うと歩き出す。
そのあとをついて歩くと、館の中はどこも誇り一つなく、貴族の屋敷そのものであった、窓が一つもないことを除いては...
少し歩くと大きな扉の前についた。
二人が扉の前に立つと、扉は音もなく勝手に開き、中には大きな食堂が広がっていた。
「なに...これ...」
メリルが見ならない光景に唖然としていると
「見ての通り食堂よ? 朝は6時から8時まで、お昼は12時から1時まで、夜は5時から8時までに食事は済ませるようにしてね。後はお残しは禁止だから、もしスキキライなんてしたら、キッツーいお仕置きがあるから気を付けてね?」
笑顔で説明してるセシリアを見て、先ほどのレイチェルに行われていた光景を思い出し、メリルは青ざめ、凍り付いた表情のままこくこくと縦に首を振り続けていた。
「それじゃつぎの部屋に行くわよ」
そうして、青ざめ首振り人形のごとく首を振っているメリルをよそに食堂を後にしたセシリアを追いかけ、あわてて食堂を後にしたメリルが、大きな扉の物陰でもう一人恐怖で震えている小さな人影には気づくはずもなかった。
階段を上がり、少し歩くとずらりと、扉の並んだ廊下が伸びていた。
「メリルちゃんはこの部屋を使って」
階段に一番近い部屋の扉を開けると、先ほど目が覚めたのと同じような部屋があり、部屋の調度品はやはり高級なものであった。
「セシリアさん、私がこんな豪華なお部屋使ってもいいんですか?」
豪華な部屋に圧倒されおずおずと尋ねると
「いいのよ、荷物も運びこんでおいたから好きに使ってね」
言われて中に入ると、確かに私物が部屋の片隅に置かれていた。
次に案内されたのは地下室だった。
ひんやりと冷えた空気が不気味さを感じさせるが、それ以上に異常なほどの魔力が充満していた。
重厚な扉があり、その扉を開けると可愛らしい、女の子が住んでいそうな部屋の真ん中に棺桶が置かれていた。
「わたくしの部屋に何か用か?」
振り返るとそこには、レイチェルの姿があった。