「黄金の魔王なんて知らないなぁ…勘違いだよね?」
「この殺気は間違いな…」
「勘違いだよ…ねぇ?そうだよね?…」
「あ…ハイ…カンチガイデシタスミマセン…」
相変わらず喉元に刀の先をを突きつけながら、抑揚のない声で脅すように話す幼女に、脅されて涙目になる少女というかなりおかしな構図となっており、悪魔の目からハイトーンが消え諦めの色がにじみ出ていた。
「さて、まずはその子の身体を返してもらおうかな」
「あの~わたくしも出ていきたいのはヤマヤマなのですが…」
「魔力不足で出れないとか言わないよね?」
「あの…えっと…魔方陣の呪いと言いますか…魔力不足と言いますか…だから…こ…殺さないで…」
どうやら魔方陣の効果で無理やり悪魔を少女の身体に定着させていたようで悪魔は自力で出られないと言うと、涙ながらに土下座をして命乞いを始める。
「うーん、ふむふむ…てい!」
「ふぎゃ!?」
魔方陣を少し眺めてあごに右手を添え何かを考えていたかと思うと、土下座している少女の頭に ズビシ!! と効果音が聞こえてきそうな勢いでチョップを振り下ろした。
代わりに悪魔の悲痛な叫びと共に ガシャン とガラスが割れるような音が聞こえて土下座している少女の傍らに頭を押さえうずくまっている赤い髪に黒いローブの15歳くらいの少女が現れ、レイチェルに指先でツンツンされていた。
「成功?」
「出れた!けど…せめてもう少し優しくしてほしかったです。」
「ねぇ、痛みを感じなくなる方法もあるけど試してみる?」
「ひぇ!?な…何でもするから許してください…」
「ん?今何でもって言ったよね?」
キラキラとした目で見つめる幼女を見て悪魔の少女は確信した。
これ、ろくなことにならんやつや…
「よし!今からアスモデウスは私の下僕ね!」
「え?!げ…下僕!?」
「何でもって言ったよね??嘘じゃないよね?」
「ア、ハイ、ワタクシハアナタノゲボクデス」
「よろしい!!」
悪魔の少女からなにかが崩れ去る音がして、悪魔の目からはハイトーンがなくなり、ロボットのような片言で返事を返すと、幼女は満面の笑みを浮かべ、少女に手をかざすと何やら少女が発光し始める。
そしてしばらくすると少女の発光はおさまり、特になにも起きなかった。
「あの~…わたくしに何をされたのでしょうか?」
「ん?隷属魔法をかけただけだよ?」
「え?!なんて?!」
「隷属魔法をかけただけだよ?だってアスモデウス逃げちゃうでしょ?」
平然ととんでもない発言を可愛らしく言い放つ幼女に悪魔は
ラスボスからは逃げられない
と言われたどこかの世界の勇者の心境を痛感した。