ネオ・ミトコンドリアの覚醒 第二話です。
よろしくお願い致します。
Mitchondrion Investigation and Suppression Team Center
ミトコンドリア調査・鎮圧チームセンター(通称:M.I.S.T Center)の地下1階の射撃練習場に一人の女性がいた。髪の色は金、服は黒のポロシャツに皮のホルスターを着用、下には青のジーンズというラフな服装を着こなしながら一人射撃練習をしていた。
「なんだろう・・・体が熱い・・」
愛用の
私はこの現象・・いや・・
忘れもしない三年前の出来事。
私の中の
突然に発火した者がいた
人体が液状化した者がいた
人が死にゆく中で私はこの事件の生還者となり、あの日から私の人生は大きく変わった。
街中に出れば、ある者は私に石を投げた
メディアは私を挙って化物と罵った
周りは人間や
味方と思っていた周りはいつしか巨大な
「あっ・・」
罠である人間の的を撃ちぬいてしまったため、射撃練習場に警告音が木霊した。
いくら射撃練習とはいえ、考え事をしながら練習など言語道断。これが本番なら私は始末書を提出し、更には懲戒解雇すらあり得たのだ。私は首を振りながら息を一つ吐いた。
「どうしたんだいアヤ?・・君らしくないミスだね」
「調子が出ないだけよ、ピアース」
男の名前は
とはいえ私も事務所の中で奇異な目線を投げられるので基本的には射撃練習場に席を置いている身であり、同じ穴の狢とも言える。
「今日はもう終わるわ、シャワーを浴びてくるから後はお願い」
「了解っと・・あまり無理しないで」
「ありがとう」
そう言って私はシャワー室へと入る。洗面所にある鏡を前にして改めて自分の顔を見た。私の歳は現在27歳だが肉体年齢はとある博士曰く20代前半であり、この先も老化して行くことはないと言われた。私の中のネオ・ミトコンドリアが『共存』していく事を選び、常に最適解な肉体年齢を維持し続けるのだとのこと。昔、周りの婦警に何の気なしに聞かれたことがあり、答えた時は羨ましがられた。だけど私は
「・・・やっぱり体が熱い、いや
さっきまでは熱さを感じていたが体が今は心地よさを感じるようになっていた。いくら考えても原因が分からず早々にシャワーを浴び終わり、身支度を整えて射撃練習場に戻るとピアースが渋い顔をしながら内線の電話を取っていた。
「はい・・分かりました・・それでは」
内線を切ったピアースはため息一つして、渋い顔から普段の顔へと変えた。
「ピアース・・その内線、HALからでしょ?」
「・・・まいったなぁ・・なんで分かったの?」
「あなたは顔に出すぎなのよ、如何にも嫌そうな顔をするし・・でも気持ちは分かるわ、あの機械、淡々と言うだけなんですもの。嫌になるわ」
「ちょ、ちょっとアヤ・・ここにはカメラもあるんだから抑えて・・また怒られるよ」
嫌味を言いあったHALとはMIST所属の
「で、話は何だったの?」
「なんでもダウンタウンにあるアクロポリス・タワーで事件があったらしいよ。避難住民曰く
「ほんとに事件なんでしょうね・・?この前通報があった現地に行ったら着ぐるみ姿のお爺さんがウォッカ飲みながら通行人の女性を視姦して寝てただけなのよ?」
本当にひどい通報だった。危うく私も襲われそうになり、少し叩いたのは秘密である。
「それも一応事件じゃないかなぁ・・?・・とはいえ今回は本当に事件だと思うよ。何せSWATに死人が出てるみたい」
「なんですって?」
特殊武装攻撃班<<Special Weapons Attack Team>>(通称S.W.A.T)
ありとあらゆる訓練を施されたアメリカが誇る最大最高の制圧部隊。そのSWATに死人が出る事はただ事ではない事を意味している。
「・・分かったわ。すぐに出る。HALには現場に向かうと伝えて」
「アヤ・・私情で申し訳ないんだけど、この事件・・アヤは降りられないかい?」
「どうしたの急に」
「どうも嫌な予感がするんだ・・変な意味での嫌な予感ではないんだけど・・言葉にするならアヤが
一瞬彼が何を言ってるのか分からなくなった。恐らく心配しているって言葉を遠まわしに言いたいだけなんだろうけど・・これは事件であり、それこそSWATに死人が出ているレベルなのだ。動ける捜査官の中で一番実力あるのは私であり、降りる事は許されない。
「気にしすぎよ、ピアース。ちゃんと帰ってくるわよ」
「そ、そうだよね、ごめんよ、引き留めちゃって」
そう言って私はガレージへと足を運んだ。
だがその時は私はまだ気づいていなかった。これから始まる新たなる戦いは想像を絶する物になること。そして私を見送ったピアースの顔が
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「・・いっつっ・・何処だここは」
何処に飛ばされるのか心配だったが、周りを見渡すとどうやら公園らしい場所に出た。一先ず起き上がり、体の砂を落として近くのトイレへと足を運んだ。洗面所の前に立ち、自分の顔を覗いて改めて私は息をのんだ。
「転生するまでは信じていなかったけど本当に神様なんだな」
自分の容姿は記入した通りに変化していた。髪の色は黒、それでいて瞳の色は青色、身長は当時と同じで比較的高め、鍛えこまれた体躯をしている奥様ウットリの体型である。服装は薄型の防弾チョッキに上から加圧シャツを着て、その上から黒のミリタリージャケットを羽織り、下には黒のレンジャー
「さてと・・武装はっと・・よし」
武装を確認するとジャケットの中には少量のお金と多少の回復剤。腰には
その瞬間私は悟った。人の理の外、人を超越したる力が私自身に眠っている事。たしかに特典として
(でも少し使いたいよなぁ・・注意しながら使えば大丈夫だよね・・??ね??)
そうして水飲み場まで行き、人通りに人がいないことを確認し、心の内より唱えた。
(・・
最小出力で唱えたはずなのに結果として起きたのは水飲み場が一瞬にして
えっ・・やばいじゃんこれ。限界まで出力抑えてこれとか・・出力全開にしたら何が起きるの?氷山でも出来るの?四季おかしくできちゃうの?。
「・・とりあえず武装については問題はないな」
自分の戦闘能力がどれぐらいあるのかは多少知る事は出来た。後は自分の技術・体術が何処まで相手に通用するのか少し知っておきたい。幸いにも此処はアメリカだ。
目的地に到着し、裏路地を一人意味もなく歩いていると遠くから悲鳴が聞こえてきたので近づいていくと次第に声が聞こえてきた。
「嫌ぁぁ!もうやめてぇぇ!!」
「うるせぇなコイツ・・おい、口に詰め込む物持ってこい、このままヤっちまうぞ」
「おう、へへへ・・しかし久しぶりの上玉じゃねえか?、なぁ早くヤラせろよ・・もう辛抱たまらねえぜ、さっきからギンギンで亀頭から
聞こえてくる声から察するにどうやら女の子がレイプされているらしい。少々急ぎ足で向かい、曲がり角越しに現場を確認した。女の子一人を男が二人がかりで押さえつけていた。女の子は整えられた髪型に顔は化粧を施されているようだが、涙で化粧が落ちてきていた。服は全身真っ赤なスリットの入ったドレスだが男の手によって引き裂かれて、豊満な胸と
「私が何したっていうのよ!嫌ぁぁ!!誰かぁぁぁぁ!!!」
「黙れっつってんだろうが!そんな大声出してもここはスラムだぜぇ?俺たちの仲間が次から次へと現れて、お前のカラダしゃぶり尽くして二度と日の目を浴びれねぇようになっちまうなぁ??大体そんな恰好でBarで一人飲んでるってことは男誘ってんだろ??それに嫌って言ってる割には物欲しそうに濡れてんじゃねぇか・・!こうして襲ってほしかったんだろ?」
「それじゃいただくとするぜぇ!安心しな、俺様の
「もう嫌ぁぁ・・嫌ぁぁぁ!!!」
正直マジな話、興奮してました、はい。どうも私の性癖はイチャラブ物よりレイプ物に興奮するらしい。正直一緒になってあの女の子襲いたいまであるのだが、悲しいかな・・主人公ムーブをすると決めているので助けてやるとしよう。これを気に少し口調を変えるように頑張ってみるか。
「おい」
「・・・・・あ?なんだお前?」
「三人が合意の上での行為なら見逃すがどうなんだ?」
「合意の上に決まってんだろが」
「ち、違うに決まってるでしょ!、助けて・・助けてよぉっ!」
「と言ってるようだが?」
「このアマァ・・少し黙ってろ!!」
女の子は抵抗しようと暴れながら言ったが男は女を引っ叩いて黙らせていた。ちょっと興奮して勃ちかけたのは秘密である。
「いい気分が台無しじゃねぇか・・どうしてくれんだ??あぁ??」
「さっさとその男ボコボコにして終わらせてやれよ。その間にこの女は俺のテクで
「秒殺で終わらせてやるから待っとけ。あまりヤリすぎんなよ?・・お前がヤった後はガバガバになっちまって、女が壊れてしまうから後からヤるとつまらねぇからよぉ」
「分かった分かった」
そう言って一人の男が対峙した。身長は私より少し高いくらいか・・?明らかに見下していた。そして両腕を振り上げて軽やかにステップをし始めた。素人でも分かる典型的なボクシングスタイルのようだ。所謂ゲームの冒頭で言うチュートリアル的なイベントなので、さっさと終わらせるに越したことはない。俺(私)は手を前に出して指を手前に引き挑発した。
「
「
挑発を行うと、男は左右ワンツーにフック、アッパーを絡めたコンビネーションを展開してきた。フットワークの軽さもあり、それなりに鍛えられている感じではあるが、明らかにボクシングを齧っている動きではない。スラム街で鍛えられた
(想像以上だなこれは・・。肉体の筋密度は素人から見ても普通とはかけ離れている上に視力・聴力といった五感も
「
攻撃が当たらないことに痺れを切らしたのかコンビネーションに合わせて胴蹴りや足蹴り等のキックも絡める様になってきた。タイミングを見計らい、相手の右ストレートを左の手の平で掴み、そのまま握力の
メキッ・・・・ピシッ・・・・ペキッ・・・・・
周囲一帯に骨の軋む音が響いていく。男は痛さのあまり悲鳴を上げ、俺に止めろと顔で訴えかけてくるがそんな事はお構いなしに更に握力を解放する。
ピシッ・・・・バキィィッ!!ボキィィッ!!!
「
気付く頃には相手は膝を着き、見下されていたはずの顔を俺は見下していた。その顔はあまりに酷く、涙と鼻水と涎に塗れていた。呆れながらも俺はそんな事はお構いなしに顔に向かって右の手の平を勢いよく押しつけた。体術でいう
(かなり手加減したつもりが・・面白いようにぶっ飛んでいったな)
まさか負けるとは思っていなかったのだろう。その光景を見た、もうひとりの男は完全にノビてしまっている片割れに意識を持っていかれていた。その隙を女の子は見逃さなかった。目の前にいる男を蹴り上げて体勢を崩した後、こちらに駆け出して、俺の後ろに隠れたがよほど怖かったのだろう、その身体は震えていた。
「
「今逃げるなら見逃してやるが?」
「ふざけんな!!・・ぶっ殺してやる!!」
よほど頭にキているのか、眼は充血し血走っていた。ズボンも穿かずに本人が言う極太逸物をぶら下げながら近くにあったナイフを拾い装着した。
(このまま襲ってくるようなら、少しやりたかった事やってみるか)
男はナイフを持った右手を差し出して、愚直にも突っ込んできたので勢いを利用し、足払いをすると地面に転がる形となり俺は勢いよく足を掲げ、
・・・・グシャッッ!!!!!
「~~~~~~ッッッッ!!!!!!」
声にならない声が辺りに響いた。男は地面にのたうち回り、苦悶や憤怒や哀愁が入り交じる形容しがたい顔になっていた。それを見た俺は、
「・・?」
「許せるのか?」
「・・えっ?」
「襲われた挙句、大事な服も破り捨てられ、女としての
「・・・」
震えながらも彼女の眼は一切逸らさず俺の眼を見ていた。どれだけ時間が経っただろうか、永い時間は彼女に安心を与え、気付けば身体の震えは止まり、瞳には力強い意志が宿り、体の震えは恐怖から怒りへと変貌を遂げた。そんな姿に満足し、俺は再度彼女に聞いた。
「そんな奴を・・許せるのか?」
「私は・・!」
(やっぱり女の子ってすげえよ・・逆の立場なら俺なら泣き止まない自信すらあるな)
男に近づいていく彼女の足に迷いはなかった。男の今の心境はさぞ死刑台に昇る死刑囚って所か・・。同情したい気持ちは無いわけではない。俺がいなければ今頃気持ちよく果てていたただろうが運がなかったな、諦めてくれ。
彼女が足を振り上げると男の顔が絶望に染まる。
「
断末魔のように男が叫び、そして
「・・・
彼女は
・・・・ボゴッシャッッ!!!!!
「~~~~~~ッッッッァァァァァァァアァァァァ!!!!!!」
スラム街全体に狂気の叫びが轟いた。彼女が足を離すと男の生涯最後の
(・・・うわぁ、なんだか凄いことになっちゃったゾ)
あれは二度と男として生きていけないだろう。ご愁傷様です。
靴の裏を男が着ていた衣類にねじる様にして拭いて、綺麗になったのを確認すると右手で乳房を、左手で性器を隠して、こちらへと振り向いた。頬は少し熱を帯びているような様子で身体は少しモジモジとしていて、とても可愛らしい。(語彙力損失)
「・・ありがとう」
「ん?」
「助けてくれて・・ありが・・と・・ぅ・・」
恥ずかしさを感じているのか、一つ言葉を発する度に顔はさらに赤くなり、彼女の体と声はどんどん小さくなっていった。何だこの可愛い生き物、お持ち帰りしたい、したくない??。(語彙力損失)
「俺は力を貸しただけだ」
「・・それでもお礼は言うわ。貴方が居なかったら私は今頃、犯し尽くされて二度と
「・・気持ちは受け取っておく」
そんな話をしていると後ろから大勢の気配が近づいてくるのを感じた。やはりさっきの男の
「話は後だ、逃げるぞ」
「え?・・でもどうやって・・?此処は行き止まりよ」
彼女が言う通り、左右は塀に囲まれていて、前方は既に行き止まりの袋小路・・だが
「
そう言って俺は彼女に自分のコートを着せた。彼女の頬に微かに朱に染まると間髪入れずに首の裏に右腕を、両膝の裏に左腕を潜らせる。もう読者もお気づきだろう、お姫様抱っこである。
「きゃっ・・ちょ、ちょっと・・」
「口を閉じろ、舌を噛むぞ」
「きゃぁっ!!」
俺は一回の跳躍で塀を上り、向こう側へと着地した。彼女は何が起きたのか分かっていないようでキョトンとしていたが今は気にしている暇はない。塀越しに耳を傾けるとさっきまでいた場所に荒くれ共が集まってきていて、声を探った。
「・・・あ、兄貴ィィ!!」
「なんて姿になっちまってんですか・・兄貴ィィ!!」
えっ、あいつ兄貴分だったの!?(驚愕)
「畜生・・!!おい、お前ら!!まだ遠くは行ってねえはずだ。探せ!!モタモタすんな!!!」
「へ、へいっ!」
さっさとここから脱出する予定だったが、どうやら完全に包囲網を敷かれてしまったらしい。俺一人脱出はワケもないが、彼女もいるとなると少し荷が重い。強行突破は出来ないことはないが、彼女の顔を奴らに見られるのは今後の事を考えても避けたい。
「・・この後、予定はあるか?」
「えっ?・・いや・・ないですけど・・」
「恐らく男の仲間達が暫くの間、スラム街に包囲網を張る。すぐにここからの脱出は不可能のはずだ。だから使われていなさそうな家屋や廃ビルの一角で包囲網が解けるまで篭城しようと思う。もちろんこれは提案だから断ってくれてもかまわない」
「一緒に行かせてください」
素でビックリしたよ・・。昨今の女の子のメンタル強すぎない?、まさか即答するとは思わなかったよ。
「分かった。移動しながら篭城出来る場所を探すから、その間は口と眼を閉じていてくれ」
「分かりました」
「行くぞ」
移動しながら探すとは言ったがやることは簡単、地上に包囲網が敷かれているなら
「ここで待っていてくれ」
「何をするの?」
「外の様子を見てくる」
と言って一画から離れようとするも身体が動かなかった。後ろを振り向くと彼女が俺の服を引っ張っていた。
「お願い・・置いていかないで・・!」
「少し様子を見に行くだけだ」
「それでも・・!お願い・・!」
服を引っ張っている指は震えていて、顔も涙顔になっていた。だが改めて考えてみると、
(うっわ、主人公ムーブ難しくねえ??一つ
一つ息を吐いて、彼女の頬に右手を当てて言った。
「
そう言うと彼女は自分の手を俺の手に重ね、安心したように表情を変えた。一先ず窓際へと移動して下を覗くと
「数時間は此処から動けないはずだ。その間に少し寝るといい」
「でも・・貴方は?」
「俺も下の警戒をしながら休む。こんな荒事には
「・・ありがとう、お言葉に甘えるわ」
(とりあえず嘘だが、こんな風に言っておけば素直に休んでくれるだろう。彼女を
太腿でも貸すぞって意味で叩いたのだが、彼女がとった行動は
「・・何の真似だ」
「私って寝る時は本当に安全に囲まれてる場所じゃないと寝れないの。だからこの空間で一番安全な場所は貴方の腕の中。ダメかしら?」
「好きにしろ」
(・・この女とんだ悪女じゃねえか!!でもすげえいい匂いがするし・・何より胸がでけえ・・!!揉みしだきてぇ・・!!いやもういっその事ここで犯してもいいんじゃねぇか・・!?)
そんな悶々とした妄想を考えている間にも時間は経っていき、警戒網の人数はみるみると減少していった。今のタイミングなら安心して脱出できるだろう。それにしても・・
(・・なんだこの安心しきって寝てる顔。なんか悔しいぞ。ここに置いて帰ってやろうか・・・??)
もとより置いていくつもりは毛頭ないが立ち上がろうとすると、気配を感じたのか彼女も起き始めた。
「そろそろ脱出する。ここからお前の家は近いのか?」
「近いわよ。スラム街の入口からなら歩いて10分ほどで着けるわ」
そのあとは特に障害も無く、スラム街を脱出し、彼女の家であるアパートの部屋前まで来ることが出来た。後はコートを回収したら長かった
「俺は此処で待っているから、着替えてこい」
「うん」
そう言って俺は壁を背にして待つことにしたが、10分・・20分・・30分と待てども待てども出てくる気配が全く感じられない。さすがに遅すぎるとインターホンを鳴らそうと呼鈴に手をかけようとしたらドアが開いて、彼女が顔を出した。
「遅かったな」
「別れの挨拶をするのにメイクが崩れた顔で出来るわけないでしょ。シャワーを浴びてたのよ」
尤もな話である。女の子としての矜持も少し感じたが気にせず、コートを返してもらうように右手を差し出したが、彼女はコートを抱きしめたまま離す気配がない。
「どうした?」
「あのさ・・助けられてお礼も碌に言えてないのに、このままコート返して「はい、終わり」ってさすがに私の気がすまないって言うか・・・ちゃんと面と向かって貴方にはお礼を言いたいの。ダメ・・かしら?」
(・・・なるほど、そうきたか。俺が彼女の立場でも恐らく同じことを言っただろうし、特に差し迫った予定もない。何より断っても良い事は一つもないのでここは素直に好意を受け取るか)
「・・分かった、
そう言うと彼女は途端に上機嫌になって、部屋へと入っていった。ずっと視界が悪いところで彼女を見ていたので分からなかったが、改めて彼女を見てみる。
(身長は俺より小さい175cmぐらい・・か?。腰ぐらいまである長い金髪に、顔は眼が三白眼、鼻が高く、シュッとした小顔の世間でいう
そんな下心満載な事を考えているとは露知らず、彼女がコーヒーを入れて俺の所に戻ってきた。ソファーに案内され、俺が座ると彼女も俺の横に腰かけた。
「・・本当にありがとう。言葉だけじゃ言い尽くせないけど・・」
「さっきも言ってくれただろう、十分だ。それよりも何故あんなことになっていた?」
あんなとこに彼女が足を運ぶとは到底思えない。至極当然の疑問を投げかけた。
「あのスラム街の近くにBarがあるんだけど、そこで彼氏とデートの待ち合わせしてたんだよね。そしたら約束した時間の5分前に電話かかってきて「今日は急用が出来たから行けなくなった」って言われて、そこから店内で
「・・・」
「電話を切った後、カウンターでしこたま
「同情したい気持ちもあるが・・自業自得だな」
「返す言葉もないわ」
大まかな顛末は分かったが、遠回しに言えば彼女の安易な行動が今回の結果を招いたということだ。それも彼女は分かっているのだろう、今でも額に手を当てて項垂れるように下を向いていた。
「今日の件を抜きにしても彼とは別れるつもりでいたし、キッカケが出来て良かったわ。それに・・」
「なんだ?」
「あなたにも会えたし・・ね」
そう言うと彼女は俺の方へと顔を向けた。その表情は俺でも分かる、頬と耳が真っ赤に染まった完全にホの字の顔をしていた。
(・・・アヤとのフラグを立てる前にこっちで立ってしまったよ。正直アヤより良い女の可能性もあるが二つ返事で答えるのはさすがに避けるべきだな)
「・・冗談はよせ、出会って半日と経ってないぞ」
「あら?相手を好きになるのに時間なんて
至極真っ当な事を言われ、押し黙ってしまう私(俺)。返答に困っているとそんな心境を見透かしたのか、彼女は俺を押し倒して馬乗りするように座り、マウントポジションを取り始めた。
「貴方に助けられた時、カラダに電気が走ったのよ・・。
「とんだ痴女だな」
「痴女は嫌いかしら?」
(・・・やべぇよ・・やべぇよ・・・。素材は一級品なのに中身が台無しじゃねえか!!)
そんな事を考えてると彼女の唇が俺の顔へと近づいてくる、これは覚悟を決めるべきか・・・。
(・・・南無三・・!)
気合を入れて、そして
「きゃっ・・な、何・・!?」
俺は彼女を押しのけて、音が聞こえた方向の窓へと近づいて開放した。そこには少し遠いが
「おい」
「な、何・・?」
「
「え?・・えっと・・たしか
その瞬間、俺の中の細胞・・いや、
「さっきの返事だけどな」
「うん」
「悪い、俺には
「・・そっか」
そう言って俺はコートを羽織って出ていこうとするが
「待って!」
彼女に呼び止められて後ろを振り向くと、
「負けるつもりはないから・・!」
「・・そうか」
「絶対・・絶対貴方を振り向かせてみせるから!!」
それは人間なら誰しもが持っている権利。好きな人は誰にも渡したくない、私が手に入れたいという
「さっきお前の事を痴女と俺は言った」
「知ってる」
「訂正するよ、
そう言って俺は彼女の部屋を後にした。一人残された彼女の顔に陰りはなかった。言いたい事は言った。フラれはしたけど、それと諦めるかは別問題。彼以上の男なんて現れるわけがない。絶対に振り向かせて見せると彼女は心に誓うのだった。
「あっ・・名前を聞くの忘れてた・・・」
あそこに
結構文字調整をしていたら、こんな文字数になってしまってしまいました。
二人称の会話は基本的には色は黒色で書いていこうと思いますが、三人称以上の会話はこういった形で色分けをして書いていこうと思っています。
アヤとのR-18の文面は何時頃書けるかなぁ・・。早く書きたいです。その時が来たらドエロく書いてやります、はい。
それではまた次話で!