「……どうして僕がクエストに出なきゃいけないんだ」
「まぁまぁ、そんなこと言わずに一緒に行こ?」
「ちぇっ……」
少年のあんまりな態度と言葉に苦笑いを浮かべる少女――ユイ。
彼女はランドソルにて少年とパーティーを組んでクエストに出ている。出ているのだが、毎度こうして少年を宥めなければいけないのだ。
彼はユイとパーティーを組んでいる現状に納得しておらず、あの手この手でユイを罵倒しては解散しようとしている。
支援魔法を得意とするユイと魔物と正面切って戦う少年のコンビはランドソルでもそれなりに評判だった。最近一番の話題としてはペコリーヌなる少女たちのパーティーだが、それでもユイたちも負けてはいなかった。
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「ちっ……一匹そっちに行った! 急いでコイツを片付けるから何とかしてろ!」
クエストの依頼書に書いてあった以上の魔物をいくら実力があるとはいえ少年一人では相手するのは難しく、後方にて魔法を扱っていたユイの方へと武器を振り上げて行ってしまった。
目の前にいる二匹を鮮やかと言える切り口で敵を一刀両断にし、そのまま返す刀で少年の周囲にいた魔物を蹴散らした。
ユイの方へと目を向けると、逃げて距離を開けながら時折魔法を飛ばしているのが見える。今は無事だが、魔物も魔法を避けては距離を徐々に詰めているのでユイへと凶器が振られるのも時間の問題だ。
少年――カズキの数少ない扱える魔法で自身を強化し、一瞬でユイを追いかけている魔物へと肉薄する。いきなりカズキが目の前に現れた事で一瞬の隙を魔物が生み出し、それを見逃さずカズキは一刀にて伏せた。
「ふぅ……これで終わり?」
「ありがとうカズキくん。えーっと……うん、終わりだね。お疲れ様でした」
「……うん、お疲れ」
剣を振るって付着していた血液や肉片を払うと、背中に背負っていた鞘へと納めた。
疲れたがそれで終わりではなく、今回のクエストは近くの村からによるモノだったので、村に報告をしなければならない。討伐証明である魔物の部位を適当に切り取り、腰にぶら下げている袋へと放り込む。
「こっちは終わった」
「うん、こっちも大丈夫だよ」
非常に面倒くさそうにユイへ声掛けるカズキ。
魔物と相対していた時よりも怠そうなその様子にユイは苦笑いをするしかない。クエストに出るときのようにカズキを宥めながら二人は村へと歩を進めた。
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カズキとユイの出会いは簡単だ。
クエストで魔物に囲まれていたユイを近くを通りかかっていたカズキが助けた、それだけだ。
その時からユイへの態度は悪く、助けられた恩がなければユイも積極的にコミュニケーションを取るような相手ではなかった。だが、それからも何度か会うことがあり、彼の言葉の中に優しさがある事に気が付いた。
そもそも出会ったときの帰り道も鈍臭い、鈍い奴と言いながらも歩幅をユイに合わせていた。気が付けばユイの方から彼へと接近してはクエストに連れていきパーティー組むまでに至った。
クエストに出るときも、クエストに出ている時もめんどくさそうにしているカズキだが、魔物が現れるか感知すると顔が変わる。思わずユイがドキッとしてしまう位に見惚れてしまう横顔だ。
そんなユイとカズキの拠点はランドソルの中心から離れた場所にある。
多くの人が行き交うランドソルは中心に行けば行くほど宿のグレードが上がるが、それに比例して値段も上がってしまう。最低限の施設があれば良いと考えているユイとカズキは偶然にも同じ宿に泊まっていたのだ。
「晩ごはん一緒に行きませんか?」
そう声を掛け、やはり面倒くさそうにしている彼を引っ張るように連れて行くユイ。
宿でも料理は提供してくれるが、お世辞にも味は良くない。自炊も出来るが、偶にはとこうして外で摂ることがある。
「カズキくんは辛いものが苦手でしたし……」
彼の手を引きながらキョロキョロと辺りを見渡す。
ランドソルは宿もさることながら飯屋も数多く、網羅するには莫大な時間が必要だ。また、昨日はなかったのに今日はお店を始めているという新規参入も多く、ついつい辺りをキョロキョロとしてしまう。
少しだけ時間を掛け、二人の好みにあったお店を見つけた。店内には人が多くいるが、幸いにも直ぐに座れた。
「カズキくんは何を食べますか?」
「……んー……これで良いや」
二人のやり取りは良くて夫婦、悪く言えば親子にも見えるそれである。
色々と適当過ぎる彼の世話を焼くのは一度や二度ではなく、もはやユイの日常と化している。人の世話を焼くのが好きであり、カズキを好ましく思っているユイは面倒には思ってはいない。
カズキからすれば助かっているのだか、面倒くさがりな上に拗らせている彼は素直にお礼を口にはしない。運ばれてきた料理を適当に口に運びモグモグと咀嚼する。口にあったのか目を輝かせている彼を見てユイも笑みを浮かべた。
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「じゃあ、おやすみなさい」
「ん、おやすみ」
宿へと戻ってきた二人は部屋の前で別れた。クエストは早朝に貼られるので、ユイはいつも早起きをしている。カズキは言わずもがなだが。
明日も良いクエストがあれば良いなと部屋のベッドで横になりながらユイは思う。
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「えぇ、今の所は順調に信頼を稼げているようです」
「……」
「はい、このまま任務を続けます」
部屋の中を不気味な灯りが照らす。ユイが見たこともない冷たい表情でカズキは誰かと連絡を取っていた。
こんな男でエロにいくなんて無理だ!
リクエスト通りのキャラにさせようと思ったら誰得な男のツンデレになり、次に選んだ気だるげなキャラだとエロに持っていけない……!難しすぎる……。