あなたはクラスメートたちと共に異世界トータスへと召喚された。
クラスのリーダー的存在の一言によって敵を殺す為の訓練をし、オルクス迷宮で実践を積むはずだった。
とある少年がクラスメートの悪意の籠もった魔法によって吹き飛ばされあなたに当たり二人して奈落へと落ちていった。あなたは其処で運命と出会いを果たした。
一つ誤算だったのは同じ様に吹き飛ばされた少年とは出会えず一人っきりで奈落を彷徨ったあなたの精神は病み、助けた金の少女と互いに依存関係になった事だった。
金の少女と依存しながらもあなたはトータス中を旅した。その中で離れてしまったクラスメートたちと再会を果たしたが、最早あなたにとってはどうでも良かった。
肉体的な接触が増えていく日常を過ごしている間に同じ様に奈落へと落ちた少年によってあなたは異世界から生還を果たした。金の少女――ユエを伴って。
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「……朝、起きよ?」
現代へと生還したあなただったが、あまり異世界トータスでの生活と変化はなかった。大人しかったクラスメイトの変化に驚いたが、所詮は他人事だった。
幼い頃に両親を亡くし、祖父母が亡くなるまで祖父母の家で暮らしていたあなただったが、今は亡き祖父母の知り合いが大家をしているアパートで一人暮らしをしていた。
だから、誰も反対する事もなくあなたはユエとの同棲生活を始められた。
狭いアパートの寝室に敷いた一つの布団で寝ていた所をあなたはユエに起こされた。
見た目こそ幼いが、その正体は何百年もの月日を生きた吸血鬼……否、吸血姫だ。朝に起きるという現代の吸血鬼の生態を嘲笑うかのように早起きをし、あなたの為に朝ご飯までも用意した。
微睡みを堪能していたかったが、恋人が作ってくれた朝ご飯を食べなきゃと身体を起こした。
「……どう? 似合う?」
身体を起こし、重い瞼を開いたあなたの瞳に映るのは裸エプロンのユエだった。
毎朝のようにユエが起こし、その度に彼女はあなたへ感想を尋ねる。最早それはルーチンと言っても良いもので、朝から良いものが見れたではなく、それがユエの朝の正装となっている。だからあなたは素直に似合っててエロいと頷いた。
毎朝のように繰り返されているのにユエはあなたの言葉に舞い上がったかのように頬を紅潮させた。
見た目だけなら小学生なユエが裸エプロンの様相をしていると背徳感が押し寄せる。
枕元にいるユエをそのまま抱き寄せ、彼女を布団に押し倒した。なお、やはりこれも日常というモノでユエはこの時間も含めてあなたを起こしている。
「きゃっ! ふふっ、押し倒されちゃった♡」
目にハートマークが浮かんでいそうな程に蕩けた瞳であなたの顔を見つめてくる。西洋人形のように美しく、それでいながらあなただけに感情を見せてくれるユエ。
押し倒したユエをあなたは優しく抱き締めた。
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学校中から腫れ物扱いを受けているあなたたちのクラスはそれでも賑やかだ。
生還できなかった生徒もいるが、それでも皆明日への希望を胸に宿している。死が隣り合わせだった世界を経験したからか、現代に帰って来たクラスメイトたちは様々な物事へ挑戦している。
あなたもその一人なのだが、あなたのそれは最終的にはユエと怠惰に満ちた日常を送るための挑戦だ。資格やら何やらを在学中にとる為に賑やかな教室でもあなたは教材に向き合っている。
そんなあなたと席を隣にしながらユエは教室の机の上に料理の本を広げて唸っている。
「むむむっ……」
吸血姫と呼ばれる彼女はその名に相応しく吸血鬼たちの中での王族の生まれだ。
当然、料理をした経験はなかったが、異世界であなたと依存した生活を送る中でゆっくりとだが腕を磨いた。今では家庭料理で出すにはあまりにも上手過ぎるほどにもなったが、それでもまだユエは上を目指している。
さしあたって本日の夕食は何にしようかとレシピ本を見ているのだ。肉を好むあなたの為に夕食では比較的多く肉が食卓に出てくる。だが、毎晩のように肉料理だと飽きも来るし、あなたの身体にも悪いと頭を悩ませているのだ。
そんな彼女の事をクラスメイトたちは既にあなたのお嫁さんと呼んでいる。
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共依存なあなたとユエだが、それでもクラスメイトたちとは交流を持っている。
今日はクラスメイトの女友達と買い物をしてくると言ったユエに手を振ったあなたはバイト先へと足を運んだ。
そこはクラスメイトの親が経営しているお店であり、あなたはある程度だが愛想を良くしてアルバイトをしていた。
昼に買い物に来る客が多い店の中はガランとしている。肝心の店長も今は店を留守にしており、あなたは暇だからと掃除をしていた。
掃除をしながらもあなたの頭の中はユエとの未来へ思いを馳せる。既にカップルというよりかは夫婦の生活をしているあなたたち。同じ布団で眠り、同じ部屋で生活をする。言葉を交わさなくとも相手が何をしたいのか分かる程度には互いの事を知った。
本当の偶にやって来る客の相手をし、気が付けば就業の時間だった。
ユエの好きなケーキでも買おうと家とは反対の方向へあなたの足は向かった。
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「ん、後は寝るだけ」
いつものように獣とかしたあなたは布団の上でこれでもかとユエの瑞々しい肉体を貪った。
もしもこれがベッドであればギシギシと大きな音を立てながらでの情事だった。ユエの真っ白な肌にはあなたの残したキスの痕が多くあり、ひと目で彼女が誰のモノかを第三者は理解するだろう。
荒く呼吸を繰り返したあなたとユエは情事で汗ばんだ身体を気にせず、布団の中で密着する。互いの吐息が間近で聞こえ、心音が身体を通して伝わってくる。
「おやすみ……」
あなたの額にキスをするとユエはそのまま目を瞑る。あなたもまたユエの額にキスを一つ落として瞼を閉じた。
そんな二人の姿を窓から差し込む月明かりだけが照らしていた。
原作のハジメ君以上に精神を病んだ主人公です。
孤独な中でユエという存在と出会い、力を手にしたけどそれを振るいはせずただただユエと欲に溺れるだけの生活を送っています。
本当はエロも挟みたかったけど、これはこれで良かったのでこのまま投稿です。