駒王学園には二大お姉さまと呼ばれる程に人気を持つ女生徒がいる。
その片割れである姫島朱乃という少女に最近、一つの噂が教師たちの間に流れた。
生活指導部の担当であり、体育の教師を勤めている男が噂の真相を確かめる為に姫島朱乃の家へと赴いた。
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男は教師になる前は陸上選手をしていたので体格は大変宜しい。
高い身長に、服を着ていてもクッキリとする筋肉。あまりにもムキムキとしているので生徒たちからはゴリラと呼ばれているが、そこに悪感情はない。
親しみを込めてゴリラと呼んでいるのが男にも伝わっているので、男も生徒を咎めはしない。俺はこれでも人間だからなと快活に笑うだけだ。
さて、件の少女である姫島朱乃の家は聞いてはいたが、大層立派な門構えのある昔ながらの日本家屋だ。
少し昔であればこういう家に住んでいた人間は裏のある人間だと近所で噂になっていたが、男が聞いた限りは姫島家にはなかった。
呼び鈴を鳴らし、家の人間が応対するのを待つ。
「はい、どちら様でしょうか」
「そちら様の娘である朱乃さんの通っている高校の教師を勤めている者です」
噂を確かめに来ただけなので、特に自身の事を隠す必要はない。
「あ、先生ですか? 少々お待ち下さい」
「あ、ああ」
応対に出たのは件の少女であり、思わず面食らった男は思考を停止させ、固まってしまう。
待つこと一分。
ガラガラと音を立て、姫島の扉が開かれた。
出てきた朱乃の案内で居間へと通され、お茶を持ってくるという彼女を見送った。
「……」
部屋を見ても特に変わったモノはない。
更に言うのであればこの大きな家の中から他の人間の雰囲気がしない。姫島朱乃のプロフィールに個人情報だからと目を通さなかったが、目を通しておくべきだっただろうか。
そんな風に思案している内に御盆の上に冷たい麦茶が入っているであろう湯呑みを朱乃が持って来た。
「はい、どーぞ。外は暑いですからね、冷たい麦茶で涼んで下さい」
「ありがとう。……っはぁ……冷たさが染みるよ」
一息で湯呑みの中の麦茶を呷ると、これからが本番だと男は意識を切り替える。
目の前にいる姫島朱乃は教師である男が突然やってきても普段と変わった様子を見せない。学園で見掛けるのと同じで優雅に柔らかく微笑んでいる。
大和撫子だと教師の間では噂されている彼女らしくない薄い服は部屋着なのだろうか。高校生らしかぬ肉体を持つ彼女の身体のラインがこれでもかと浮かんでいるが、男は敢えて其処には視線をやらない。
今は男ではなく、教師としてやってきたのだ。それに、生徒にそのような邪な感情を向けるのは男の好みではない。
「突然やってきてすまんな」
「いいえ。驚きはしましたが、先生ですから問題はありませんわ」
「そうか。そう言って貰えると助かるよ。……さて、俺が今日やってきたのは少し気になった事があるからだ」
「気になる事……ですか?」
「あぁ。姫島が聞いた事があるかは知らないが、最近俺たち教師の間で姫島の噂をよく耳にするんだ」
「噂……どのようなものでしょうか」
「お前を乏しめる意味もあるかもしれんから心して聞いてくれ。単刀直入に言う。姫島、お前最近、援助交際というモノに手を出してはいないか?」
「……」
男の言葉にショックを受けたのだろうか、朱乃からの返答はない。
男もまた後悔をしていた。やはり噂は噂でしかなかったと。
そもそも、彼女が援助交際をしていたとしても援助交際の目的は金銭だ。このような立派な家に住んでいる彼女が金に困っているようには見えない。
彼女に直接尋ねるのではなく、周りから聞いていくべきだったと。
「すまん。気を悪くさせたな」
「いえ……申し訳ありません。その噂、本当ですわ」
「何!? あ、いや、すまん。いきなり大声を出してしまって。……その、どうしてしてるんだ? 見た感じ、金に困っているようには見えないのだが」
「……」
男の言葉に俯いたまま朱乃は言葉を発しない。
後悔から一転、噂が事実であると彼女から告げられ男の内心は大いに荒れた。
別に援助交際をしていたとしても彼女をそういう目で見るつもりはない。
しかし、金に困っているのだとしたら教師である俺たちに相談は出来なかったのかとか、もっと早く彼女に気を払うべきだったと荒れる。
「先生は私の家族について知っていますか?」
「……いや。個人情報だと思って見てはいないし、調べてもいない」
「私の家族はもういません。いえ、血の繋がりのある父親はいますが、私はあの人を父親だとは認めていません」
彼女はその言葉を皮切りにポツポツとこれまでの人生を話してくれた。
幼い頃にとある出来事で母親を失った彼女は肝心な時に仕事で間に合わなかった父親を酷く嫌悪した。
父親を拒絶し身寄りを無くした彼女は親戚からも爪弾きにあい、今の家で一人で暮らしてきた。
それだからか、人の繋がり温もりに飢えており、それから過ちを犯してしまい、未だに犯してしまっているとの事だ。
とある出来事には触れては欲しくなさそうなので男も触れず、彼女の話を聞いて俯く彼女に聞こえないように小さく溜め息を漏らした。
想像以上に彼女の境遇が大変なものとは知らず、ある程度の下調べをするべきだった。
怪我で選手を引退し、恩師からの勧めで教師になった男の人生は彼女と比べると順風満帆だ。最も側にいる家族も男を応援し、家族や仲間からの応援で選手として頑張ってきただけに彼女にどういう風に声を掛けたら良いのか分からない。
だが、教師だからかそれ以前に彼女を救いたい、幸せにしてあげたいと男は思った。
「……姫島」
「……はい」
「援助交際は今日限りで止めるんだ。代わりに人恋しくなったら俺を呼べ。なに、心配するな。教師をクビになったとしてもツテはある。体力だけはあるからな。知り合いの工事にでも厄介になれば良い」
「……はい……っ!」
その日から姫島朱乃に流れていた噂は止み、彼女は以前よりも明るい笑顔を学園で見せるようになった。
なお、男は学園長や同僚である教師たちには噂は所詮噂で、彼女も苦しい思いをしていたのだと説明した。
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「好きに呼べと言ったが、流石にこれは不味いだろ……」
「先生はお嫌ですか? 私はここまで親身になって下さっている先生であれば……いえ、もう先生としか考えたくもありませんわ」
朱乃に携帯の番号を教えて以来、週に一回は彼女の家に立ち寄る事になった男。
彼女と夕飯を一緒に食べ、腹ごなしをした後に帰っていたのだが、今日は何故かこのまま泊まる事になった。
明日が休みであるからか、朱乃は大胆にも男を誘い、男は断れず結局折れた。だが、それでもとまだ口だけの抵抗を続けているが、彼女はいつものように微笑むだけだ。
「しかしなぁ……俺は教師で姫島は生徒だぞ? 家に泊まるだけでなく、同じ布団で眠るのは流石に……」
「先生。今は私の事は名字ではなく、名前で呼んで下さいな」
「うぐっ……はぁ。分かったよ朱乃」
「うふふ、はい♪」
朱乃の部屋に敷かれた一組の布団の中に二人で入ると当然の事ながら狭苦しい。それでも彼女はそれが嬉しいのか笑い声ばかりが聞こえてくる。
朱乃の男よりも高い体温や、風呂上がりの良い匂い。更にやはり寝間着も部屋着同様に生地が薄く、布団の中で密着していると彼女のワガママボディがぴったりとくっ付いてしまっている。
「やっぱり先生も男の人ですね。こんなにおっきくて固くて……それにこ・こ・も♡」
「止めろ朱乃っ! 俺とお前はそう言う事をするような仲じゃないんだ!」
「暴れてはいけませんわ♡ ほら、暴れるなら手は私のおっぱいをお触り下さい♡」
むにゅりと柔らかな乳房を男は触らされ、余計に朱乃が触れた股間がピクリと反応してしまう。
振り解こうにも彼女に怪我をさせたらと男の良心が邪魔をして出来ない。
「先生の前で援助交際の時の話を出すのは嫌なのですけど、私のおっぱい、結構人気だったんですわよ? 大人の女性よりもおっきくて形も崩れていない正真正銘女子高生おっぱい♡ 先生はお嫌いですか?」
「い、いやだが俺は……」
青春時代を運動に捧げ、選手として活動していた時も色事には意識を避けなかった。
自身の体格の事もあり、女性からアプローチを仕掛けられるような人間ではないと割り切っていたのだ。
おかげでこの年まで童貞という情けないものではあるが、却ってそれが朱乃の母性を擽る。
自身の処女は会ったばかりの男にあげてしまったが、そんな過去を持っている自身を嫌悪せず受け入れてくれた大事な人。
肌を重ねれば人恋しさが幾分か和らいでも消えはしなかった。だが、男を呼べるようになってからは週に一度は共に食卓を囲み学園での生活に花を咲かせた。
父親はこういうような人なのだろうと本当の父親との記憶が薄らいでいる朱乃は思い、しかしそれと同時に男を父親ではなく、一人の男性として意識してしまった。
生徒である朱乃の前では情けない姿を見せないとプライベートである時も男は教師然としている。一度だけ男が愚痴を口にしたのを朱乃は忘れてはおらず、男を癒やしてあげたいと思った結果がこれだ。
「それとも先生は私のように汚れてしまった女はお嫌いですか? 私、先生の言う事であれば何でも聞きますわ♡ 下着を履かないで学校生活を送れと言われたらそうしますし、抱きたいと言われればいつでも股を開きます♡」
「朱乃……」
男は朱乃の覚悟にも似た宣告を聞き、覚悟を決める。
生徒だからとこれまでは必死に自分に言い聞かせて来たが、それも今日までだ。
男の思っていた以上に姫島朱乃という少女は人に依存しなければ生きられない少女だと知り、母を失い実の父親を嫌う彼女に残った最後の寄る辺となったのだ。
年の差は一回り程あるが、彼女がそれで幸せになれるのであればと、乳房を掴まれた腕とは別の腕を彼女の背に回し、自身の身体に密着させる。
「あ……っ♡ せん、せい……♡」
「朱乃……俺のモノになれ。幸せにしてやる」
「……はいっ♡ 私、先生のモノになりますわ♡」
いつものとは違う、年頃の少女の笑顔で姫島朱乃は笑った。
何かエロを書くよりも導入ばかりみたいなので力尽きてしまう……。
本当は体格の良い男に強姦されるみたいなストーリーを考えていたのですが、気が付けばラブラブに。やっぱり私にはその手のものは書けないようですね(笑)