※この作品はR-18です。

R18短編置き場   作:みっくん

57 / 135
エロはないです。


ようこそポイント至上主義の学園へ ボツ 堀北鈴音

 

ポイントがあれば何でも買える。

 

 それは本人たちさえ了承すれば人ですらこの学園では取引出来てしまう。だからポイントを一番持っている彼の所に彼女がやってきたのは必然だったのかもしれない。

 

                    ☆

 

「ふーん……君が会長の妹、ねぇ……」

 

 男の部屋には三人の男女がいた。

 

 ニマニマと笑いつつも彼女の身体を見定めするような視線を送り続けている男に、彼の前で顔を赤らめつつも自分を売りつけている女。男の後ろでまるで従者のように佇んでいるのは正式に彼のモノになった坂柳有栖だ。

 

「君がAクラスに上がりたいから、俺に自分を売りに来たのは分かった。でも何故Aクラスに? 卒業までにポイントを貯めて卒業時にでも移籍しても問題はないと思うけど」

 

「そうね。一年生の私が行動に移すには早いとは思うわ。でも私は早く動かなきゃいけないのよ。有能だろうけど、やる気のない男が動かない以上、私自身が動くの」

 

「ふーん……俺は基本的には来る物拒まずだけど、有栖はどう思う?」

 

 男は後ろを振り返ると、杖を付きながらも微笑みを浮かべたまま立っていた有栖に声を掛ける。

 

 彼女は天才だが、身体的ハンデとして先天的心疾患を患っている。男との情事でも息が絶え絶えになるが、満たされているので苦だと思ったことは一度としてない。

 

「そうですね。確認をしますが、堀北さんは彼からクラス移籍に使用するポイント2000万を融資してもらう代わりにあなたの身体を売る……でしたよね?」

 

「えぇ、そうよ。これでも自分の身体に自信は持ってるの。まぁ、一ノ瀬さんや櫛田さんよりは胸が小さいけれど、同学年のサイズで言えば普通な筈だわ」

 

「良いのですか? あなたが彼に身体を売ったとなると、会長の耳に入りそうなものですが」

 

「構わないわ。私は軽蔑されても兄さんに認められればいいの。この世は結果が全てよ。どれだけ汚く、非人道的であったとしても、結果が良ければ良しなの。あの人は私の身体よりも実績を見ているから」

 

「そうですか……多分、大丈夫かと。彼女は自己の安全よりも、自己の立場を気にする人間のようです。あなたが楽しむには良いかと」

 

「オッケー。ありがと有栖」

 

「いえ、これが私の仕事ですから」

 

 彼のモノと首輪を付けて貰ったあの日以降、彼女は積極的に彼の為になる行動を取り始めた。

 

 彼に流れている事実の噂を塗り替える事は不可能だが、彼のモノになった有栖が側にいることで、女を捨てたという噂を軽減出来るのではと思ったのだ。合法的に彼の側にいつでもいられるし、有栖にとっても良いことだった。

 

 女であれば誰でも食うような男だが、有栖が苦言を呈し、相手を食った場合のリスクをせめて有栖が考えることになった。

 

 彼が飽きたのか、相手が逃げ出したのかまでは分からないが、彼が女を食った後を放置してたが故に噂は流れた。有栖が相手の女の事情を知り、彼が食った後のリスクを考える。

 

 彼と有栖の前に立っている少女は彼に与えられるような影響の持ち主でもなかったので幸いだ。

 

 彼女たちのいる学園はABCDと4つのクラスに分けられ、成績や人柄で区分けされている。どんなに頭が良くても内面が悪ければ廃棄物の烙印を押される。

 

 ただ、この学園にはポイントというシステムがあるので、成り上がることは可能だ。現状を維持するのか、成り上がるのかは自由だ。

 

「それで、あなたは私を買ってくれるってことで良いのよね」

 

「あぁ。まずは移籍分の2000万ポイントで買ってやるよ。これ以降の融資が欲しかったら、俺に気に入られないといけないけどな」

 

「それだけ貰えれば問題ないわ。自分の実力は分かっているもの。Aクラスに移籍した後は堅実に過ごすわ」

 

「ふーん……会長に似て生意気だねぇ……ますます気に入ったよ」

 

 彼と有栖の前にいる少女の名前は堀北鈴音。

 

 この学園の生徒会長を勤める男の妹だそうだ。纏う雰囲気は酷似しているが、どうも彼女からは強者特有の雰囲気はない。そこが落とし所だと、有栖は睨む。

 

 彼は女が去れば追わないように執着心は薄い。独占欲が発揮されるのも彼のモノである間だけだ。堀北が逃げたとしても彼は再びモノにしようとは思わないだろう。有栖ほどではないが、彼女の頭の出来はまずまずだ。

 

 何かと迂闊な面のある彼の周りを固めるメンバーとしては悪くない。彼が彼女の身体を堕とすのであれば、有栖が心をボロボロになるまで砕き、彼だけにしか縋れないようにするまでだ。全ては彼の為に。

 

 ・

 ・

 ・

 

「おぉ……綺麗な身体だな。適度に筋肉が付いてるのに、出る所は出ている。うん、鈴音、君はいい女だな」

 

「そう、褒められるのは悪い気分ではないわ」

 

 有栖がいることに不満はあるが、現状彼に頼んでいるのは鈴音の方だ。彼からポイントを貰えれば良いので、有栖の存在は妥協するしかない。

 

 初めて異性の前で裸になった彼女だが、あまり羞恥心は湧いて来なかった。ポイントを得る為に身体を売っている状況だからなのか、色恋には興味がないからか。

 

 早くこの場を終わらせようと彼女は雰囲気でそう言っているかのようだ。

 

「じゃ契約の証拠として今からビデオを回すから。このビデオを買い取りたければ100万ポイントね。俺からネットに流したり、脅しの材料としては使わないので安心してくれ」

 

「……分かったわ。ビデオを回すのは構わないけど、私に何を求めるのかしら」

 

「んー……せっかくビデオを回すんだ。どうして君が裸なのかをビデオに向かって説明して貰おうかな」

 

 二人の情事を近くで見ている有栖の手には高いポイントで手に入れたビデオが握られている。

 

 口約束でも男は良かったのだが、有栖が彼に吹き込んだのだ。

 

「説明……ね。じゃあ言うわ。私、堀北鈴音は彼にポイントを融資して貰うためにこの身を捧げるの。証拠としてちゃんと映してなさい」

 

 自信に満ち溢れた声色。

 

 この情事が終われば、彼女が目標としているAクラスに行けるのだ。気持ちが急いでしまうのも無理はない。

 

 彼女の宣言に素直に喜ぶ男を後目に、有栖は頭脳を回転させる。どうすればこの女が精神的に追い詰められ、男に縋るだろうか。

 

 自分以外の女が彼のモノになってしまうが、彼は一番は有栖だと言ってくれた。彼の信頼に応えようと必死に考えた。

 

 ・

 ・

 ・

 

 男から融資を受けた鈴音は翌日、クラスの担任を介して念願のAクラスへの移籍を果たした。

 

 ポイントを多く所持していないDクラスの女がどうしてと様々な推測が飛び回ったが、誰もが正解には辿り着かない。それも仕方がないだろう。

 

 堀北鈴音という少女はプライドが高く、他者との群れを好まない。良く言えば孤高。悪く言えば孤立する少女だ。Aクラスではそつなく過ごしているのもポイントだ。

 

 彼のモノである証拠を首に付けている有栖の側で親しくする事を是とせず、Aクラスでも変わらず孤高を貫いていた。

 

「それで坂柳さん。私に何かようかしら」

 

「あら、久しぶりに話し掛けたと言うのにつれないですね」

 

「面倒は嫌いなの。用件だけを言ってちょうだい」

 

「あなたが証拠として残したビデオですが、買い取りは如何しますか?」

 

「確か100万ポイントだったわね。ごめんなさい。まだ、クラスに移籍したばかりだからポイントは少ないのよ。月末のポイント振り込みの時に支払うわ」

 

「あら、流石のAクラスでも100万は振り込まれませんよ? どうするつもりですか?」

 

「それは簡単よ。この学園にはポイントを賭ける部活が幾らかあるわ。そこで稼いでくるの」

 

「……もっと早い方法がありますよ?」

 

 そこで有栖はワザと悪い顔をする。彼女に悪いことだと思わせつつも、聞かずにはいられないようにするのだ。

 

 普通の顔であれば、あなたの助けは要らないわ、と鈴音は一蹴するだろうが、こうすれば興味を持ってしまうだろう。

 

「……何かしら」

 

「こちらも簡単です。彼から借りれば良いんですよ。彼は知っての通り、ポイントを大量に持つこの学園限定の富豪です。彼から借りた100万でビデオを買い取り、後日に100万を返せば良いんです」

 

「……それは盲点だったわね」

 

 上手い話には裏がある。この話の裏には有栖が仕掛ける罠があるのだが、罠の前まで足を運んだ彼女には気付いた様子はない。

 

 有栖は彼女に利子をふっかけるつもりなのだ。トイチも真っ青な法外的な値段をふっかけ、彼女の行動を制限する。

 

 人間、誰もが幸せを願うものだ。有栖の罠でどん底に落ちた彼女を彼に拾わせるのだ。彼はポイントに執着はなく、困っている彼女に親切にするだろう。一度は抱いた女だ。見知らぬ仲ではないのだから。

 

 親切にしてくれた彼からポイントを借りている罪悪感を利用し、彼女の心を彼だけにする。それが有栖の仕掛けた罠の正体だった。

 

 ・

 ・

 ・

 

 罠は上手くいき、彼女は自分からまたも身体を売るようになった。

 

 彼との情事で刻み込まれた快楽が忘れられず、また同時に言い訳があるから足繁く通える。彼とセックスをするのは快楽が目的ではなく、彼へのポイントの支払いだと。

 

 鈴音は知らない事だが、もう既に彼女の利子を含めた借金はほぼ無いに等しい。毎日抱かれていれば自然と減っていく。

 

 では最後のネタばらしの時間だ。

 

 彼女の言い訳を消してしまえばどうなるのか。答えは一つ。

 

 堀北鈴音は彼のモノに堕ちた。

 

「これを付けたら俺はもう二度と、お前を手放さないけど、いいのか?」

 

「えぇ、構わないわ♪ もうダメなの。あんなに追い詰められた所に優しくされたら誰だって落ちるわよ」

 

「オッケー。そう言われたら男としては悪い気はしない。有栖と同じなのじゃなくて……ほれ、首輪の代わりのチョーカーだ」

 

 カチッと音が鈴音の首もとで鳴る。

 

 お洒落にも気を使ったような真っ赤なチョーカーだが、どちらかといえばペットの意味合いが強い。

 

「自分の全てを捨てて、人に委ねるのってこんなに気分が良くなるものだったのね。悪くはないわ♡」

 

 以前のような自信たっぷりの笑みではなく、少し虚ろで儚さを感じさせる笑み。

 

 かつての目的を持っていた鈴音ではなく、全てを捨てた少女が彼の前で笑っていた。

 

「じゃあ記念のセックスだな。今日は寝かさないから覚悟しろよ?」

 

「えぇ♡ 私を溺れさせてちょうだい♡」

 

 

 




おかしいな。こんな筈じゃなかったのに。という訳で投稿はせずに肥やしになってたので供養です。

そもそも堀北鈴音ってキャラが今一私は掴んでないですし、こんな事をしないと思うのですけどね。そこは二次創作って事で。

私は最終的に女の子が幸せであればハッピーエンドだと思う人間です。流石に機械に繋がれたり、苗床になって幸せってのはハッピーエンドではないと思いますが。

今回の鈴音のようにどうしようもなくなって彼に堕ちたってのも好きですね。依存、というのでしょうか。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。