「えへへ、隆さんとのデート楽しいです」
御手洗の前をたたっと歩き、振り返り笑うアーシア。
今日のコーデは彼女の持つ純粋や清潔さを形にしたような白いワンピース。教会育ちで流行を知らない彼女が、仲間を頼って今日の為に用意したモノ。
日差しを浴びて日焼けしたくないからと被る麦わら帽子もまた彼女の魅力を引き立てるアクセントになっている。
「それにしてもデートと言っても只見て回るだけでいいのか?今からでも場所を変えて何処かに行っても良いんだけどな」
「いいんです。今の私は悪魔ですけど、学生です。雑誌手で見た学生らしいデートの一つにウインドウショッピングがあったんです。それに私は隆さんと一緒に居られるだけで幸せです♪ だから今日は一緒に楽しみましょうね」
輝く笑顔を見せられたら従うしかない。陽だまりのような彼女の隣を歩く。
彼女に誘われたのは夏休みに入る前、ちょうど今から一週間前だ。
☆
終業式の三日前。
学期末の試験も終わり、図書室に通って勉強をする必要がなくなった御手洗は足早に学園の廊下を歩いていた。
特段何か用事があるわけではないのだが、ここの所勉強ばかりで偶には家で休もうと思っていたのだ。だから一直線に寄り道をせずに帰ろうと急ぐ。
廊下を歩く彼を止めたのは同じクラスメイトで彼を囲う女の一人であるアーシア・アルジェントだった。
「隆さん、今少しいいですか?」
「別に良いけど、どうかしたのか?」
彼女と御手洗が話すことは多い。同じ教室でクラスメイトだからというのが一番の理由だが、彼からしても彼女は特別な人に一人だし、話をしていても楽しいのだ。
シスター時代の賜物なのか話も上手く聞いているだけで楽しいし、また聞くのも上手で気付けば相談事をしている時がある。なので断る理由がない御手洗は足を止める。
「もう少しで夏休みに入るじゃないですか。だから……その私と一緒にデートしてくれませんか」
「デート?勿論、オッケーだよ」
両手の人差し指をツンツンとしながら喋るアーシアは大変可愛らしい。顔を真っ赤にし、第三者から見ればデートのお誘いというより告白の現場ではと思うほど甘い雰囲気。
☆
ということがあって二人はこうして夏休みに入った今、デートをしている。
アーシアと一緒に道を歩き、目的地である大型モールに着いた。最近になって駒王に出来たショッピングモールで、有名な企業がこぞって出店している人気のスポットだ。
だからこそ彼ら以外にも仲睦まじく歩くカップルが多い。
「アーシアは何か見たいものでもある?」
「そうですね……あ、最近お料理をイッセーさんのお母様から習っているんです。隆さんに食べてもらいたくて。だからお料理本を見たいですね」
大型モールだけあって本屋は一つだけではない。三つほどの本屋があることが案内板を見て判明したので、取り合えず近い所に行くかと二人は足を運んだ。
「いやぁ……結構疲れるもんだなぁ」
「はい。人が多くて迷子になりそうで大変です」
「迷子にはならんだろう。こうして手を繋いでいる限りはさ」
「あぅぅ……隆さんは何時も急でビックリしちゃいます……」
人ごみの中を歩く機会がなかった二人は、離れて迷子にならない様にと手を繋いで歩いていた。
「さて、目的の本も買えたし、時間的に見てもお昼だな」
「そうですね。でも、今の時間だと何処もいっぱいですね」
元々人気な施設な上、御手洗たちのように夏休みに入ったからとデートで訪れているカップルが多い。
人ごみを掻き分けるように進み、偶然にも空いていた店を見つけ、そこで昼食を摂ることにした。
「色々なメニューがありますね」
「んー、そうだな。お、これなんてどうだ。結構な量のあるパスタみたいだけど、二人で分ければちょうどいい感じだし、これにピザを合わせたら腹も膨れそうだし」
「いいですね。ふふっ、何だかデートっぽい食事です」
「そうか?デートなんて俺も初めてでよく分からんけどな。まぁ楽しそうにしてくれて何よりだよ」
「隆さんと一緒ですもの。何処へ行っても私は楽しめる自信がありますよ」
「相変わらず元気な事で」
その細い体の何処に力があるのかとばかりに何時もフルパワーに明るい彼女。
リアスから聞いて、本人からも聞いた過去を置いておいても彼女の元気には助けられる。無理した笑顔ではなく、素の笑顔を見せてくれる異性がいるってのは結構男心に余裕を持たせてくれると改めて実感する。
昼食を終えた二人が次に向かったのは店ではなく、モールの端にある手洗い場だった。
ただのトイレではなく、多目的トイレに二人で入り、鍵をしっかりと掛ける。
二人がトイレに足を運んだのはアーシアからの誘いだった。アーシアは御手洗を見ているだけでドキドキする恋心と、見ているだけでムラムラしてくるエッチな気分を彼から身体に教え込まれている。初めて触れあった時の抱き合いが切っ掛けで、兵藤一誠への淡い恋心を塗りつぶした強烈な思い出。
エッチをするときは必ずと言ってもいいほど匂いを嗅ぐほどには彼の匂いを好きになったし、デートで歩いている最中でさえも時折香る彼の匂いで人知れずに発情してしまった。
このままだとデートどころじゃない上に、周りも目があるからと彼をトイレに誘い込んだのだ。
御手洗からしてみれば驚きものだ。彼女にエッチな事を仕込んだのは他でもない彼だが、ここまで淫らになるとは思いもしなかった。
施錠を確認すると、アーシアはすぐ様に唇を押し付けてきた。
ぷにっとした柔らかな唇。愛情を真正面からぶつけてくる深い大人のキス。唾液に濡れた舌を自在に操り彼の舌を絡め取る。
キスの合間に漏れる彼女の甘い声が口内に響くのもまた心地が良い。アーシアのような一途な少女が一心に男である自身を求めている、男冥利に尽きないはずがなかった。
「んっ♡ ちゅっ♡ 隆さん♡ 隆さん♡ ちゅっ♡」
力が抜てけて行くアーシアの身体を支え、トイレの壁に押し付ける形でそのままキスを続行する。
蜂蜜のように甘い彼女の唾液を啜り、お返しとばかりにドロドロに煮詰めたような唾液を彼女の口に流し込む。
コクリコクリと細く白い喉が動き、彼の唾液を躊躇なく飲み込む。
アーシアにとってかつての信仰の対象であり、現在も偶像として信仰を向けている神に御手洗は等しい。自分という短小な人間を受け入れてくれて、今では女としての幸せを与えてくれる存在。だからこそ、彼から与えられるものであれば何でも受け入れてしまう。
喉を大きく鳴らし飲み込むのも彼に仕込まれた芸の一つで、御手洗曰く自身の唾液を飲む女ってエロいとの事。
純粋で真っ白だっただけに、スポンジが水を吸収するかのように彼女も彼好みの偏った性知識を着実に覚えていっている。
「ちゅぅぅぅぅ♡ れろ……れろ……っ♡ はむ、はむ♡ ぢゅぅぅぅぅぅぅ……ぷはぁ♡」
濃厚なキスを終え、失った酸素を取り戻そうと二人荒い呼吸をする。
アーシアと御手洗の口元にはどちらのモノとも判別のつかない唾液がベタベタと付いてしまっている。
「アーシアはこんな所に俺を連れてきて何がしたいんだ? 口で言ってくれないと何も伝わらないぞ」
「あぅぅ……わ、私とエッチしてください。もう我慢できないんです。隆さんを見ているとムラムラ~ってエッチな気分が抑えられなくてぇ♡」
「おいおい、それだと俺が悪いみたいな言い方だなぁ。アーシアがエッチになったのがいけないんだろ?これじゃあ前みたいに聖女だなんて呼べないよなぁ」
「はいぃぃぃ♡ 隆さんにエッチな娘にされちゃいましたぁ♡」
愛液が伝う太腿をモジモジとすり合わせる彼女。
彼に仕込まれたエッチな知識や仕草は、アーシアが意識しなくても無意識に雄を誘惑してしまう。
ワンピースを着ているというのに漂ってくる発情した雌の濃厚なフェロモン。番と決めた雄にだけ嗅がせる特別なフェロモン。それを嗅いだ御手洗の股間は急速に熱を帯びる。
ズボンの中で窮屈に収められている巨大な逸物がムクムクと頭を持ち上げる。まるで蛇が威嚇するようなゆったりとした仕草。
アーシアを優遇し過ぎた結果、生まれたデート編でした。
記憶にはないんですけど、何故これをボツにしたのでしょうね。ボツフォルダを見てもよく分かりません。
推測するに多分、エロが面倒だったのかなぁ。
でも多分、これがあったおかげで、修学旅行編でアーシアと多目的トイレでエッチしたんだと思います。結構似てるもん。