残り僅かだけど、頑張ります。
上條達の裏切りによって負傷した鷹村くんを連れ、私達は建物の近くにある林の中に身を隠す事にした。
幸いにも荷物の入ったリュックの1つは箕輪くんが持っており、その中には少しの食料と治療道具も入っていて、鷹村くんの治療ができた。
周囲は箕輪くん、宮園さん、松岡さんが警戒しており、蟲が寄ってくる気配もなく、安全だったのだが……。
そんな中、甲斐くんが呟いた。
「はぁ……まさかアイツらが裏切るとはねぇ。」
「完全にやられたなわ。そう言えば、アイツは大雅の事嫌ってたねぇ……全くふざけた事しやがって。」
美鈴さんが苦虫を噛み潰したような顔になりながら、建物の方を見る。
彼女も変わった。初めは自分勝手であったけど、鷹村くんが来てから、刺々しさが失くなった。
「桃崎さん、伊能さん。鷹村くんの様子は?」
私は彼の様子を見てくれている桃崎さんと伊能さんに近付いた。
桃崎さんが鷹村くんの頭を膝に乗せ、伊能さんが彼の脈を計っている。
「大丈夫。脈拍は落ち着いてるし、しばらくしたら目を覚ますと思うよ。頭の傷も幸い深くなかったみたいだし。」
伊能さんの言葉に私は安心し、ため息を漏らす。
上條達が建物に籠った後、甲虫(睦美が言うには、ドウガネブイブイと言うらしい)が数匹飛んできたが、それは睦美の指示を聞いた松岡さん、箕輪くん、甲斐くんが追い払った。
けれど、状況は好転しない。
「何でこんな……!酷すぎます!」
「望や先生、こんなの……流石に許せないよ。」
「酷すぎる……皆で生き残ろうって言ったばかりなのに。」
「許せない……!アイツら、絶対に許さない!!」
三浦さんが上條達のいる建物の方に殺さんばかりに恨み辛みの籠った視線を送る。
すると、建物の方から争うような声と激しい物音が聞こえたが、その後に扉が開き、そこからアキラくんが投げ出された。
よく見ると、彼は血を流しており、瀕死の状態だった。
「なっ!?」
「おいおい、仲間割れか?」
「アイツも助けないと!」
「出来るだけ急いでください!蟲が血の臭いで来るかもしれません!」
睦美の指示を聞いて、松岡さんと白川さん、小田くんが助けに行く。
アキラくんを林の中に連れ込んで様子を見ると、頭から血を流しており、意識を失いかけていた。
「大丈夫か!?何があったんだ!?」
「み……みん、な……悪い……アツシ、達を……止め、られなか……った……。」
「喋らないで!出血してるんだから、無理に話さなくて良いから!」
「アイツ、を……説得しようと、したけど……後ろから、殴られ、て……油断、しちまった……。」
薄れていく意識の中、アキラくんが鷹村くんの方を見る。
その中で何度も謝るように、呟きながら涙を流しながら話す。
彼は上條達を必死に説得しようとしてくれたけど、青山さん達によって、争いになり、そこで大怪我をさせられた……。
「あの3人は狂ってる……もともと粗暴だった上條は鷹村くんが抑えていたけど、彼を傷つけて歯止めが聞かなくなった……それに中城先生も。」
「んで、どうすんの?このまま救助隊が来るまで待つ?それとも……「う……」ん?おい!」
「「「!?」」」
甲斐くんが指を指すと、鷹村くんがゆっくりと目を開けた。
「ここ、は……みんな?」
「鷹村くん!」
「良かった!目が覚めたのね!」
「俺は、痛っ……!そうだ、上條に頭を殴られて、そこから気絶して……他のみんなは!?」
「みんな無事だよ。上條達はあの中、状況は好転してないし、最悪だけど。」
甲斐くんの説明に鷹村くんが俯く。
彼は、恐らく人一倍優しい。
この島に来た時から、彼はみんなを守るようにして戦っていた。
私達は……彼に甘えていたんだ。
「みんな、ごめん。取りあえず現状を何とかしないと。あと、桃崎さん。」
「?何ですの?」
「膝枕してくれてありがとう。」
「っ!べ、別にそんなの構いません!大体貴方に死なれたら、困るのは私たちですし。」
「そうか……さてと。」
鷹村くんはゆっくりと立ち上がると、頭から血を流しているアキラくんを見て、膝をつく。
「大丈夫か?」
「た……かむら……頼む……アツシ達を……止めて、くれ……!」
「分かった……みんな、ここで待っててくれ。」
「どうする気なの?」
鷹村くんはそう言うと、意識を失ったアキラくんを寝かせると上條達の籠る建物を見ながら呟いた。
「アイツら……絶対に許さねぇ。」
鷹村くんはそう言うと、建物の方に向かおうとしたが、箕輪くんがそれを止めた。
「どけ。」
「断る。今外に出ればそれこそ狙われる。」
「奴等はやっちゃいけないことをした。それに、俺自身が甘かったからこうなったんだ。けじめをつけなきゃならない……どけ。」
鷹村くんがそう言うと、彼から凄まじい威圧感が放たれた。
それがとてつもなく怖かったし、身体が震えるけど、それ以上にこのままだと、彼が何処かに行ってしまう気がした。
「た、例えなんと言われようと……ここはどかん!」
「そうか……じゃあ。」
鷹村くんが手を動かそうとした瞬間、美鈴さんと三浦さんがそれを止めた。
「2人とも、何してるんだ。離せ。」
「お前こそ何するつもりだ!?箕輪を殺す気か!?」
「ダメだよ鷹村くん!?そんな事したら、アイツらと同じになっちゃうよ!!」
「離せ。アイツら、始末しないと気がすま」
鷹村くんがそう言って2人を振払おうした時、睦美が彼に近付き、ビンタをした。
「……織部さん。何のつもりだ?」
「鷹村くんが怒るのも分かります。でも今は怒らないで下さい!それに、そんな顔の貴方は、見たくないです。」
睦美の言葉に鷹村くんが俯いて、脱力する。
そんな中、三浦さんが優しく話し掛けた。
「鷹村くん、私は優しい貴方で居て欲しいの。だから、そんな顔しないで。今は我慢して……ね?」
「……分かった。」
鷹村くんは深呼吸をすると、気持ちを切り替えた。
「悪かった……もう少しでヤバい事をしそうになった……それより、これからどうする?」
「実は、先程地図を見たんですけど、ここから少し行った先にもう1つの安全地帯を見付けたんです。そこに移動しましょう。」
「おい、虫女……本当に安全なんだろうな?」
「はい。ここよりは安全です。」
「何故だ?ここは高台だ、煙を炊けば救助隊が気付くだろう?」
「その為のライターとかは俺が持ってる。奴等に火をたく道具はない。今はそこに行くしかないな。あと……みんなに伝えたいことがある。」
鷹村くんはその場に座ると、私たちに向かって有ることを話し始めた。
~~~。
「「「巨大な何か?!」」」
「あぁ、この島には巨大な何かがいる。俺は斑猫と戦ってた時にその気配を感じたんだ。」
鷹村くんの話を聞いて、私達は言葉を無くしました。
あの斑猫達よりも、ヘビトンボよりも巨大な何かがこの島にいる!?
「ね、ねぇ鷹村くん、それって冗談、だよね?」
「いや、マジだ。それにこの島について気になる事があるんだ。この島には、生き物が少なすぎる。」
「っ!鷹村くんも感じてたんですか!?」
「あぁ、まぁな。それに妙だと思わないか?元々は鳥やら居た筈なのに、それがいないのは何故だ?そもそも、アイツらは何であんな馬鹿デカいんだ?」
それは私も気になっていました。
実際、普通の生物はあんなに大きくはならない。
いいえ、なる事は出来ない筈。
それが何故、こんなに大きくなり攻撃的になったのか……それが分からなかった。
「つまり大雅、アンタはこの島で何かがあってこんな状況になったのかを言いたいわけだ。」
「そう言うこと。取りあえず今は、ここを離れよう。」
「こいつは俺が背負っていく。」
「な、なら僕が荷物を持つよ。」
「そうか。頼む……俺はやることがある。」
鷹村くんはそう言うと、一度上條くん達のいる建物に近付くと、何かをすると、すぐに戻ってきました。
私達もその後に続いて歩き始めると、目の前に先程のジグモが現れました。
「そうか、そう言えばこいつは逃げたんだったな。お前がいると道が進めないんだ。退いてくれ。」
鷹村くんはそう言いながらジグモに近づくと、ジグモは威嚇しながらお尻から糸を出して鷹村くんを縛ろうとしたけど、彼はそこにおらず、ジグモの前上にいました。
「……仕方無い、指銃"ノッキング"。」
鷹村くんはジグモを指で指すと、その動きは止まり、まるで電気でも浴びたように動かなくなりました。
「た、鷹村くん。今のは?」
「……殺してはいない。少し痺れさせただけだ。今は構ってる時間はない。先を急ごう。」
私達は社から離れて舗装路を歩いていました。
「鷹村、どこに向かっているんだ?この辺りには他にも建物なんか無いぞ。」
「……。」
「鷹村、どうした?聞いているのか?」
「え……あ、悪い。考え事してた……この先に今居た場所より小さいが高台がある。そこには建物が有ったし、そこに向かおう。」
鷹村くんの様子がおかしい。
どこか元気がなく、気持ちが沈んでいるようで、やっぱり上條くん達に裏切られた事がショックだったように見えた。
そんな中、私達は鷹村くんの案内で高台に着き、そこには少し小さいけれど、小屋がありました。
すると、その先の海に船が1隻見えました。
「っ!見ろ、船だ!」
「少し待っててくれ、枯れ枝を取ってくる。甲斐、小田、手伝ってくれ。」
鷹村くんは甲斐くん達を連れて、木材に拾いに行き、それを集めて火をくべると煙がモクモクと上がっていく。
しかし、船までは遠く気づいてもらえるか分からない。
けれど、やるしかない。
「これで助かったな。」
「そうですね。鷹村くん。」
「何だ?」
「その、上條くん達の事は、気にしないで下さい!今は生き残って島を出ることを考えましょう!」
「織部さん……そうだな、ありがとう。」
鷹村くんはそう言うと、困ったように笑いながらそう言ってくれた。
良かった……。
その後、私達は明日に備えて早く寝ることにしたのですが、鷹村くんと神野さんは外に向かって出ていきました。
いくら虫が出ないと言っても、やはり危険だと思い、後を付いていくと、小屋から少し離れた場所でいきなり、神野さんが鷹村くんにキスをしたのを見て、言葉を失いました。
「(え?え、えぇ!?な、何をして……!?)」
私は数日前の2人の行為を思い出し、顔が熱くなるのを感じた。
汗まみれになりながら、エッチをしていた2人を思い出して、その場から離れようとしたけど、何でか今度はそれを見入ってしまっていました。
「はぁ、はぁ……大雅、しよ?アタシもう我慢できないんだよ。」
「けど、明日は早く寝ないと。」
「良いじゃん、明日の事は明日考えれば。そ・れ・よ・り……」
神野さんはそう言うと、ホットパンツを下ろして大きなお尻を鷹村くんに向けると、小刻みに揺らしました。
というか、まさか……外で!?