次回は黒獣の方も投稿したいと思います!
皆さん、体調に気をつけてお過ごし下さい。
大雅が巨大オオムカデとの戦闘を始めたと同時に、睦美達一同は、海上保安官である涼子の指示の下、彼女が見つけたと言う漁港へと向かっていた。
全員がムカデや虫達が襲ってこないように周囲を警戒しながら歩いていき、目的の漁港まで辿り着いたのだが……その光景を見た瞬間、全員が愕然とした。
「なっ!?」
「どうなってるんスか……?」
「何で……何で船が、沈んでるの!?」
彼らの眼前には十数隻の漁船があったのだが、その全てが沈んでおり、その全ての船体には何やら貝のような物がビッシリと張り付いていた。
「これは……フジツボ!?私が数日前に食べたものよりも大きい……育ってるの?」
「あらら……海水に浸かっちまってる。これはフジツボ剥がしても電気系統が動かないっスね……全員でオールで漕ぎます?」
「何でこんなことに……いくらなんでもおかしいわ。」
全員が困惑する中、睦美が涼子に質問をした。
「あの、この島は前までは普通だったんですか?」
「……はい、その様に聞いています。」
涼子の言葉を聞いて、睦美は海の方を眺めながらこの島での出来事を思い返していると、ある考えに至り、身体を震わせる。
「睦美、顔色が悪いよ?どうしたの?」
「……もうこれ以上この島にいては駄目!一刻も早く脱出しましょう!!」
「そんな事言われなくたって、こんな島一秒だっていたくねぇよ!!」
「違います。そう言う事じゃない……!」
鳴海に戦々恐々とした様子でそう言う彼女に、鈴美がそう言うが睦美は否定した。
「ねぇ睦美、どうしたの!?少し落ち着いて。」
「う、上手く説明できないけど私達がこうしている間にも……今より巨大で強力な補食者達が生まれてきているっ……多分、鷹村くんでも……」
「「「!?」」」
「た、大雅でも?いやいや、睦美ちゃん。大雅の強さは知ってるでしょ?アイツはどんな虫が来ても、勝ってるんだぜ?蝶に蜂、果ては蟹や化け物みたいな虫にだって勝ってるんだぜ?」
「あぁ、織部。お前も奴の強さは知っているだろう?そんなあいつが、負けるなんて。」
「分かってます……でも、それでも無理なんです!」
「落ち着いて睦美、いったいどうしたの?この島の虫達と何か関係があるの?」
怯えたようにそう言う睦美、鳴瀬は肩を擦りながらそう訪ねると、彼女は答えた。
「なんで虫達が巨大化したのかは分からない……でも、虫達を見てきた私には分かる……!まだ何処かで羽化を待ってる虫達が眠っている……!」
「つまり、どう言うことですの?」
「この島はまだ途中……今ならまだ逃げられる……!島を脱出しなきゃ……この島を本当に支配する虫達が現れる前に!」
この島で彼女達が見てきた虫、その中には"ホタル"、"斑猫"、さらにトンボの幼虫"ヤゴ"もいた。
それらが成虫になれば、それこそ手が付けられなくなるかもしれない。さらに言えば例え大雅が如何に強くとも、そんな虫が一斉に現れれば……最悪どうなるかは分からない。
「おいおい、今でもキツいってのにどうしろって言うんだよ!?」
「織部、だったか?あのムカデを食う奴とかもいるのか?」
「はい、ムカデを補食する虫は数多くいます。」
「多少あった余裕が、全く無くなったのネ。」
「だ、だったら今から鷹村くんを呼んで戻ってきてもらえば。」
「馬鹿オタク!アイツはムカデの足止めで忙しいんだろうが!?」
皆が慌てる中、涼子の父が睦美に訪ねる。
「嬢ちゃん、そのおっかねぇ虫とやらが目覚めるまでにどんくらい掛かるんだ?」
「……正確なことは。本来羽化に8ヶ月以上かかるヘビトンボが確認できた以上、時間に余裕は全くありません。」
「そうか……いつ出てきてもおかしくはないってことか。」
「……状況が変わりました。本部との連絡が取れない今、私自らの判断で民間人の救護の任につきます。現状、漁船が使えない以上、リスクを冒してでも巡視船に戻ります。」
涼子の言葉に鳴瀬が唾を飲み込んで、質問した。
「で、でも戻っていったいどうするんですか?」
「巡視船のオート機能を使い、海に出してみようと思います。それがダメでも船には救命艇が搭載されています。」
「それ、俺も手伝いますよ~。機械弄り得意なんで。」
「お、織部さん。その、ムカデっていなくならないの?」
「恐らく空腹が満たされればその場を離れるとは思います。実際はなんとも……」
「そうだな……だが、そのムカデは今、鷹村が止めている。今はそれに賭けるしかない。」
「「「ムカデは居ませんように、ムカデは居ませんように……!」」」
祈るように真実、桃崎、白川達が手を合わせる。
すると、それを見ていた鳴瀬がみんなの方を見る。
「みんな……覚悟を決めましょう!」
「「あぁ/はい!」」
全員が気合いの籠った返事をすると、一同は巡視船に向かって歩みを進めた。
鳴瀬達は皆で巡視船に向かって進んでいく。
途中、オオムカデのお陰なのか生き物には遭遇せず皆で、無事に進んでいく事が出来た。
そして、巡視船の停泊する場所まで辿り着いた。
そこにはムカデに襲われていない巡視船があったが、その近くにはオオムカデの亡骸と、ボロボロになって倒れている大雅がいた。
「鷹村!?」
「大雅!?おい、大雅!しっかりしろっての!」
「う……うぅ……み、みんな……良かった。」
「鷹村くん、何があったの!?」
「いやそれが……オオムカデとやりあってたんだが、コイツが突然この船に方向転換したんだ……。」
大雅は美鈴、伊能に支えられながら立ち上がる。
「坊主、ところで他の奴らは?俺の仲間はどうなった?」
「……生き残りの人たちなら、あの船の中にいる。怪我人が多くて、今は休ませてる。」
「そうか……助かった。みんなを助けてくれた事、礼を言う。ありがとうな。」
「礼は良いから、取り敢えず早く船に……。」
「よし、大雅も来たことだし。すぐに出航しましょうや!」
「分かりました!では皆さん、船に乗ってください!」
涼子の指示で全員が巡視船に向かった。
しかし、そんな中……大雅は背後の方をじっと見ていた。まるで、何かを警戒するように……。
一方、虫に怯えながらも遠くの方に巡視船を見つけた上條は森の中を走っていた。
正確には中城と青山を置き去りにして逃げたのである。
しかし、彼は後悔していた。
こんなことならば、誰か1人でも取り込んでおけば良かったと。
「はぁ、はぁ!も、もう少しだ!もう少しで助かる!!」
しかし、そう言う上條だったが何かの足音のようなモノが聞こえ、足を止めた。
そして、怯えながらも背後も見るとそこには……
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?!?」