遅くなって、申し訳ない!!
巡視船に辿り着いた一同、そこには怪我人が多くいたがある程度処置がされており、今では皆が忙しく船内を駆け回っていた。
そんな中、島からやっと出ることが出来ると安心したのか大半が宛がわれた船室で横になっていた。
しかし、その横では傷付き、眠りに着いている大雅を千歳が看病をしていた。
「酷い怪我ね。こんなになるまで……でも、生きていて良かった。」
安堵のため息を吐く千歳、すると、睦美と甲斐が近付いてきた。
「千歳ちゃん、鷹村くんの容態は?」
「かなり落ち着いてる。けど、まだ目が覚めないみたい。睦美、出港はあとどれくらい?」
「他の怪我してる人たちいるし、出来るだけ早く出港するって。」
「まぁ、今は怪我人多いし、荷物やら何やらの詰め込みで遅くなってるみたいっスよ?まぁ、この分なら後5~10分で出港出来るって海保の人が言ってたし。」
「うん、今は神野さんや箕輪くん達も手伝ってくれてるし、これでみんなで脱出できるね。」
睦美の言葉に安堵のため息を吐く千歳と甲斐。
この島に落ちてから、何人も犠牲になったが今ようやく島から脱出出来るという気持ちからか、乗り込んだ数名が眠ってしまっていた。
そんな中、甲斐が外を見ると遠くで"何か"が動くのが見えた。
「?」
「?どうかしたの?」
「いや、何か今……遠くの方で動いたように見えて。」
「そんな、だってオオムカデは鷹村くんが倒したのに……まさか別の個体!?」
そう言って睦美達が外を見ると、確かに森の奥に"何か"がいるのが見えた。
遠くから聞こえてきた物音に、船内にいた全員が息を殺しながら、じっと身を潜める。
そしてしばらくして音が止み、全員が安堵の息を漏らした。
「お、収まった……ね。」
「な、なんだったの、今の?」
「分からん……ん?あれは?」
箕輪が外を見ると、服がボロボロになりフラフラの状態で、森から青山が出てきて、何かを言ってきているが、その表情は鬼気迫る様子であった。
「あいつ、どうかしたのか?」
「何かボロボロだけど……ん?何か言ってる。」
宮園が窓を開けると、青山の言葉が聞こえてきた。
「お、お願い!?助けてください!!」
「はぁ?あいつ、何言ってんだ?そもそもあいつらがやったこと忘れたのか?」
「お願い!?助けてください!!みんな、お願い!!」
「……ふざけんな!!あんた達、あたし達に何したか忘れたの!?あたし達を見捨てた挙げ句、鷹村くん達まで傷付けて、今更助けて?ふざけんな!!」
真美の言葉に怯む青山、そんな中美鈴が続けた。
「そうだぜ?大体、お前のだ~い好きな先生や上條はどうしたんだよ?あいつらに頼れば良いんじゃないの?」
「上條くんも、中條先生も……あの化け物を見て逃げ出した。それに、先生は私に"餌"になれって……!」
震えながらそう言う青山、そんな彼女を見て全員が何があったのか、分からないまま彼女を見る。
そんな中、鈴木佳代が意を決した様に言った。
「ね、ねぇ……望の事、助けてあげない?」
「はぁ?!てめぇ何言ってんだよ?!あいつらが何したか忘れたのか?」
「そ、そうだけど……彼女も仲間なんだし……。」
「はぁ、お前は馬鹿か?あんな奴助けて、いったいどうするんだよ?」
「そうよ!あんな平気で人を裏切るような人、信用できない!!」
美鈴と真美の言葉に、佳代は怯んでしまうが箕輪が割って入った。
「お前達の気持ちは分かる。だが、今は1人でも多く助かることが重要だ。」
「そうね……すみません、涼子さん。彼女も乗せてください。」
「分かったわ。」
千歳がそう言うと、涼子は機器を操作して扉を開けると青山はその扉に向かって、進んでいく。
しかし、その瞬間、森の中から木々が倒れる音が聞こえてきた。
それは徐々に船に迫っていき、青山が振り返った瞬間、空から"黒い何か"が落ちてきた。
それは肉のようだったが、それを見た全員が言葉を失った。
「あ、あれって……」
「上條!?」
「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!」
青山と船の間に落ちてきたモノ、それは絶命し喋らぬ肉塊と成り果てた上條であった。
そんな中、稲生が上を見上げると顔を青ざめさせた。
「み、みみ、みんな……!あ、あれ……!!?」
「……!?!?」
全員が上を見上げると、そこにはムカデがいた。
しかし、それはただのオオムカデではなく、別のムカデであったが、その大きさは大雅が倒したオオムカデを軽く凌駕していた。
「睦美、あれは……なん、なの?」
「あ、あれは……日本のムカデじゃあない!!あれは、"ペルビアンジャイアントオオムカデ"……!世界最大のムカデです!!」
~~~。
ペルビアンジャイアントオオムカデ(PGオオムカデ)。
本来はブラジルなどといった南米の熱帯雨林帯に生息している個体であり、世界最大のムカデである。
本来は夜行性だが、場合によっては昼間も活動し、獲物を求めて木に登ることもある。
最大のムカデだけあって小さな毒蛇を思わせる程の大きさであり、首を持ち上げて威嚇する。さらにその牙の威力も強力で、プラスチックの網などは砕いてしまうほどの威力を誇っている。
肉食性で、獲物は昆虫類やクモやサソリ、タランチュラ、トカゲやカエルに、マウスや小鳥、時には小型のヘビまでも襲う程の獰猛さを持つ。
~~~。
睦美の言葉に全員が戦慄する中、そのムカデ……PGオオムカデは、巡視船の方を見るとその船体に即座に巻き付く。
ギリギリ、メキメキと音を経てながらジワジワと巡視船を潰していくPGオオムカデ、そんな中無事だった者達が、猟銃でその身体を射つが効果は薄かった。
そして、通常の大きさのこのムカデはプラスチックの等も噛み砕く顎をしており、この巨体で巻き付かれたら……答えは簡単である。
「おいおい、これって不味いんじゃないの!?大雅!起きろ!いつまで寝てるんだ!?起きろってんだこの野郎!?」
「鷹村くん!本当に起きて!!今は本当に不味いの!?お願いだから、起きて!!?」
甲斐と真美が必死に呼び掛けるが、大雅は一向に目覚めない。
そんな中、彼らを嘲笑うようにギリギリと巡視船を締め付けていくPGオオムカデ。
その中で美鈴は余っていた猟銃を手にすると、PGオオムカデに向ける。
「このくそ虫野郎、嘗めんじゃねぇぞ!あたしらは、家に帰るんだ!邪魔すんじゃねぇ!!」
そう叫び、美鈴は猟銃を放つ。
すると、その弾丸はPGオオムカデの顎に当たり、その一撃に怒ったのか、身体を船から放しまるで蛇のように身体を上げて威嚇してきた。
それを見て美鈴は鼻で笑う。
「はっ!人間様の道具で攻撃されて怒ったのか?案外、タマの小さいことだな!?」
「美鈴さん!ダメ、本当に殺されるわ!!」
「……委員長、悪いんだけどここにいる奴らを頼むわ。じゃあな、大雅……。(多分、初めてだったよ好きになったのは)」
そう言うと、美鈴は手近にあった斧を手に取ると扉を開けて、外に飛び出した。
「「美鈴/さん!?」」
「おらぁ!かかってこいよ!!良い女が誘ってんだぞ!?無視すんじゃねぇよ!!」
美鈴が猟銃を放つと、PGオオムカデは彼女の方を向いた。
そして、歯を鳴らしながら彼女に向かって身体を伸ばして、迫っていった。
「美鈴!!」
「神野!!?」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
全員が美鈴が殺される瞬間の光景を想像して目を閉じ、美鈴も痛みに備えて目を閉じる。
しかしその瞬間、ズガッという重い音が響き、美鈴達が目を開くと、そこには……。
「待たせたな。こいつは……俺がやる。」
目を覚ました大雅が立っており、PGオオムカデを片手で抑えていた。
手直ししました。
ごめんなさい、死んだのは中條ではなく、上條でした。
あと、青山さんも書き直ししました。