それと以前頂いたアンケートでの生き物や他の生き物も出します。
睦美Side
巨大なタコに巡視船を襲われた私達は、巡視船から救命艇を使って近くにあった島(名前は辰野神島というらしい)に上陸しました。
その島は私達が不時着した島、東ノ小島よりも大きく栄えている漁村らしいのですけど……。
「(何だろう……この島、何で人の気配がしないの?)」
「……。」
「鷹村くん、どうかしたんですか?」
「……いや、なんでもない。」
どこか遠くを睨むように見ていた鷹村くんは振り返ると、みんなと一緒に近くのフェリー乗り場と書かれた建物に入って休む事にしました。
「はぁ……。」
「んで、これからどうするわけ?」
「どうするって……そんなの分かんねぇよ。船はボロボロ、海の現状は分からない。こんなのどうすりゃあ良いんだよ?」
「そうね……確かに"あんな"の見たら、海の上を進むのは……。」
甲斐くん、神野さん、千歳ちゃんがそう言う中、建物の中の雰囲気が暗く重くなっていくのを感じ、皆が俯き始めてしまいました。
私も虫なら兎も角、海の生き物については全く……。
「貴方のせいよ……。」
みんなが落ち込む中、青山さんがそう言いながら鷹村くんにそう言う。全員が彼女の方を向いた。
「青山ちゃん?それ、どういう意味っすか?何で大雅のせいってなるんすか?」
「彼が転校して来たばっかりに悪い事が繋がったのよ!」
「そんな無茶苦茶な!?鷹村くんは私達を庇って「それだってこの男の自作自演かもしれないじゃない!」そんな……!」
「大体、あんな化け物を見ても怖がったりしない自体おかしいわ!!動じない所か平然と戦えるなんて、絶対に変よ!!」
「……。」
「なんとか言いなさいよ!!この化け物!!?」
鷹村くんは静かに青山さんを見据えるばかりで、何も言葉を発しない。すると、神野さんが腕をポキポキと鳴らしながら近付き、青山さんの胸ぐらを掴みました。
「テメェ、さっきから黙って聞いてれば……!本当にいい加減にしろよ!今まであたし達が無事だったのは、虫女と大雅がいたからだろうが。それをなんだ?根拠のない事で1人に当たって楽しいか?」
「私も不愉快、そもそもアンタ。あの先生と一緒にあたしと松岡さんを見捨てようとした癖に。それ棚に上げて何様よ。」
「青山、少し頭を冷やせ!こんな状況でそんな事を言うのはおかしいぞ。」
「望、鷹村くんに謝って!」
神野さん、三浦さん、箕輪くん、鈴木さんが青山さんと一触即発の空気になり、私や小田くん達はアワアワとしてしまい、動けずにいました。
「お前らいい加減にしろって!?今はこんな事してる場合じゃないだろ!?青山も根拠もなしに鷹村を責めるな!」
「喧嘩はやめましょうや?ここで今言い合ったって疲れるだけっすから。」
松岡さんと甲斐くんが間に入って、全員を止める。
それを見て千歳ちゃん達は渋々と行った様子で離れたけど、青山さんは舌打ちをして離れて行ってしまいました。
「なんだよアイツ、ムカつく女。」
「本当イヤな奴。」
「……鷹村、気を悪くしないでくれ。アイツも本当は良いやつなんだ。」
「ごめんね、鷹村くん。」
「いや、気にはしてない。けど、ありがとう。」
「……さぁ!みんな、これからどうするか考えましょう!この島は前の島よりも賑わっているから何かしらの連絡手段がある筈!それを探しましょう!」
千歳ちゃんがみんなにそう言うと、みんなの顔に笑顔が戻り始めました。
これなら何とかなる筈!
そんな時、鷹村くんが扉の方を見ました。
「ん?」
「んぁ?大雅、どうした?」
「……何かいる。みんな、ここにいてくれ。」
鷹村くんはそう言うと、扉を少し開けながら空の方を見ると、ゆっくりと扉を締めました。
「ど、どうだったの鷹村くん?」
「……デカい虫がいる。しかも、トンボ……種類としてはヤンマだ。」
「!?トンボって、そんな……それは本当ですか!?しかも、ヤンマだなんて……!」
私も鷹村くんに続いて扉から外を見ると、確かに空には大きなトンボが飛んでおり、遠くからだったので、よく分からなかったけどその模様は確かにヤンマだった。
そして、私の頭にはある事が浮かび上がった。
「(私達が乗ってた飛行機が落ちたのも、あのヤンマのせい!?)」
「そ、そんな……また虫なんて、もう、いやだ……!今すぐ船に戻ってここから!」
「建物にいれば、虫は入ってこない。それに、船なんて出したら奴らのいい的だ。」
「ど、どう言うこと?」
「俺らはすでにトンボの縄張りに入ってる。しかもトンボの飛ぶ速度は昆虫界でも随一だろうし、船なんて出して動いたら、どうぞ食べてくださいと言ってるものだ。」
鷹村くんの言葉に全員が言葉を失い、黙り込んでしまいました。
そう……ヤンマはトンボの中でも最大・最速を誇る空の王者。最速で80キロ以上の速度で水平に飛ぶ事も滞空することも出来る。
さらに言えば、危険とされるオオスズメバチですらヤンマに喧嘩を売る事はありません。何故ならヤンマの力はスズメバチを軽く超えているから。
「お嬢ちゃん、この状況はどう考える?」
「分かりません……でも、上空を飛翔している個体は、恐らくオオギンヤンマの仲間だと思います。」
ーーー。
オオギンヤンマ。蜻蛉目、ヤンマ科に分類する。
南西諸島など南方に広く分布し時折本土にも飛来する。ギンヤンマに似ているが、胸部側面の黒状がほとんどない。
オスは青色部がより鮮やかで、後翅に薄い橙色の丸い斑がある。本種はギンヤンマよりもずっと大きい。
ーー。
「ヤンマ、それってもしかして、あの島で見たヤゴの成虫ってことなの?」
「多分、そうだろうな。」
鷹村くんが冷静に話している中、私もヤンマを見て気付いた事を話そうか迷っていると、涼子さんが話しかけて来ました。
「織部さん。まだ何かあるのなら、隠さずに話して下さい。」
「あのヤンマの仲間が、前にいた島で私が恐れていた"本当に島を支配する虫達"の一種ではないかと思います。ですが、少し気になる事が有るんです。」
「き、気になる事って?」
「はい。あのヤンマの仲間が……前の島で私が恐れていた"本当に島を支配する虫達"の一種ではないかと思います。そしてこれは推測ですが、私達が脱出してきた島には彼らを支える捕食しやすいエサがなくなったので、この島に来たのではないかと。」
私の言葉にみんなが黙ってしまいました。
「ですが、幸いにもこの島の方が前の島よりも遥かに大きくコンクリートで出来た頑丈な建物もあります。それに島が大きいということは豊富なエサがあり、私達人間を狙う必要がありません。」
「デカい危険はあるが、前よりも危険は少ないって事か。確かにそれなら昼間はここにいた方が良さそうだな。」
「だな。幸いこっちには食料や医療品もある。まぁ数週間は持つだろ。」
「そ、そうだよね!それにこっちには織部さんや鷹村くんがいるんだし!僕達どうにかなるよね!」
「まぁ鷹村達にばかり頼ってはいられない。俺達も頑張ろう。」
「だな?まぁそん時はお前ら、頼んだぜ?」
「頑張るよ/はい!」
みんながそれぞれ笑顔になり、互いに笑い合う。
けれども、私達は知らなかった。
この島では既に、私の考えよりも恐ろしい生き物たちが住んでいるという事を、そして、私達を見ている人達がいるという事を……。
やっと大巨蟲列島に入りました。
これから彼等はどうなるのか。
ご意見、ご感想……あればよろしくお願いします。