「つまり?真美を攫ったのはこの島の連中で、しかもそいつらはあたしらに敵意剥き出しってわけ?」
美鈴が千歳から詳しい事情を聞き、それを自分の頭で噛み砕いて整理していた。松岡や一部のメンバーは助けに行こうと案を出したが、夜の知らない島で捜索に出るのは危険だと千歳や睦美が言うと、一同は大雅達を待つことにしたのである。
「た、鷹村くんだけで大丈夫なのかな?だって相手は武器を持ってたんだよね?真美ちゃんも怪我してないと良いんだけど。」
「まぁ鷹村ならなんとかなるだろうが、確かに三浦の方は心配だな。」
小田と箕輪が大雅と真美の事を心配する。
いかに大雅が強いといっても相手が武器を持っていたりすれば、どうなるか分からないと言っている。
周囲の者たちも不安げに周りを見る中、一部の者達は違っていた。
「大丈夫っしょ、大雅が一緒なら。」
「甲斐くん、なんでそう言えるの?」
「だって、大雅はここまで多少怪我はしても、俺達を助けてくれたんすよ。今回も必ず真美ちゃんを連れて帰ってくるって。」
「そうだな?何せ巨大なタコすら倒しちまうんだ。そこらの不良なんて軽く伸しちまうって。」
甲斐と美鈴だけは大雅の無事を疑っておらず、そんな彼らに千歳は軽くため息を吐いた。
「みんな、今からでも少し寝ておきましょう。何かあったときの為に交代で見張りをしながらね。」
「それなら俺らが見張りをする。坊主と嬢ちゃんたちは休んでな。」
そうして千歳達は大雅達が来るまでの間、シャワーを浴びたり各自で休むことにしたのだった。
「あ~、気持ちいい。」
「本当、現代社会って感じがしますわ。」
「皆さん、洗剤は流してくださいね。匂いで虫が寄ってくる可能性もありますから。」
「わ〜ったよ。」
皆がそれぞれシャワーを浴びる中、シャワーを浴び終えた睦美は、椅子に座り込んでいる人影を見つけた。
「青山さん?どうしたんですか、シャワーを浴び……んむ!?」
青山は立ち上がると睦美に近づくと、彼女にキスをした。
「あ、青山、さん……?」
「織部さん、あたし、胸に穴が空いちゃったみたいなの……お願い、あなたが穴を埋めて。」
そう言うと青山は睦美を壁に押し付け、胸に吸い付く。乳首を舌で転がされ、その刺激に睦美は身体を震わせる。
「あ、青山さん、だめ……」
「ふふっ、虫のことには詳しくても、こっちの方はお子様なのね?」
「あっ、あぁ……」
胸と尻をじっくりと愛撫しながら睦美を刺激していく中で、青山がゆっくりと睦美の股間に手を伸ばそうとした時、その手は上がってきていた美鈴に掴まれた。
「てめぇ、止めろや。」
「っ!」
「じ、神野さん……。」
「お前、ソッチの気があったのか?なるほど、お前の大好きな先生ともそういう関係だったわけね。」
「っ!離しなさいよ!」
力任せに美鈴の手を振りほどくと、青山は彼女を見ながら舌打ちをすると、苦笑して嫌味を返す。
「あなたには分からないでしょうね?男だったら誰にでも腰を振る淫売には。あの化け物の鷹村とだって、どうせヤッてるのでしょ?全く汚らわしい。」
「んだと?テメェ調子乗ってると殺すぞ!」
そう言って青山に掴みかかると、拳を振り上げる美鈴に睦美が腰を掴んで止めた。
「神野さん止めてください!喧嘩してる場合じゃ!」
「お前は黙ってろ虫女!」
「どうかしたの?」
騒ぎを聞きつけた千歳と松岡、宮園と鈴木達が現れると、青山はそれを見て俯くと、零すように呟いた。
「……みんな、そっち側って訳ね。さようなら。」
青山はそう言うと、シャワー室を出ていった。
「望!」
「放っておけよ、あんな奴。いたって役に立たねぇし、いい子ちゃんぶっててムカつくしよ。」
「何か嫌な奴だよなぁ。」
松岡と美鈴がそういう中、鈴木だけは彼女を放っておけず服を着ると青山の後を追ったのであった……。
〜〜〜。
青山Side
何なの、あいつらは……!
なんであんな奴らと一緒に行動しないといけないの!?
淫売の神野美鈴にあんな事を言われるなんて……!
大体ソッチの気があったのかですって、あなたには関係ない事なのに、あんな奴に言われるだなんて。
「まぁでも、わたしにはもう関係ないもの!みんな勝手にすれば良い。あたしは、あたしで……。」
そんな事を考えていると、足が止まり星が輝く空を見上げる。
「(あたしには今何があると言うの?中條先生も……野沢先生もいない。あたしの側には誰も……。)」
わたしの側には誰もいない。
「望〜!!」
そんな事を考えていると、鈴木さんが後ろから走ってきていた。
「何か用、鈴木さん?」
「何って望の事が心配だったから来たの!」
鈴木佳代さん、私達と一緒の組で助かった子で宮園さんと親友でもあり、一緒に生きて帰ろうとか言っていた。
この子も、どうせあっち側だ。
「望、みんなのところに帰ろ?今謝ればみんな許してくれるよ。だから帰ろ?」
「……放っておいてよ。誰もわたしのことなんて、なんとも思ってない!このまま消えたほうが良いのよ……。」
「望……?」
鈴木さんから離れようとした時、みんなが集まっている建物の方で騒ぎが起きていた。銃声が鳴り響き、鈴木さんは不安げに後ろを見る。
「あんな所で呑気にシャワーなんて浴びてるからよ。あ~ぁ離れて清々した!」
「望、なんでそんなこと言うの!?みんな必死になってるのに、なんでそんな!」
「あなたには関係ないことでしょ!?誰にもあたしの気持ちなんて分からない!分かるわけ無い!」
そう叫んだ時、後ろからガシャガシャと音がして振り返ると、そこには小型車並みの大きさになっているカブトムシがいた。
「ひぃぃぃっ!?」
「な、何よ。どきなさいよ!どっか行きなさいよ!」
カブトムシにそう言うが、やはり虫なのか人間の言葉が分からずにこちらに向かって来ている。
「そ、そっちが退かないなら、あたしが避けるだけよ。」
そう言ってカブトムシから離れようとすると、カブトムシはあたしの前に立ち塞がるように動く。その動きに明らかにあたしが狙われている事が分かった。
「〜〜っ!」
「の、望!」
「!?」
鈴木さんが叫んでいたので後ろを向くと、そこには別のカブトムシがおり、こちらを囲んでいた。空いている道に行こうとしたら、そこからカブトムシが現れ、3匹に囲まれていた。
「こ、これって……あたし達、狙われて……い、いや……助けて……!!茉莉花先生!野沢先生!」
ここにいない先生達に助けを求めるも、答えなんて帰ってくるわけもなく、私の叫び声に反応した3匹が私と鈴木さんに向かってきて、それを見たあたしと鈴木さんは小さくなった。
そんな時、あたし達は何かに掴まれたのかと思ったら、いつの間にかカブトムシ達から離れていた。あたしはゆっくりと目を開けると、そこには攫われたと言われていた三浦真美と知らない男の人、そして、あたしたち4人の前に立っている鷹村大雅がいた。
「た、鷹村くん!」
「あ、あなた、なんで……!?」
「お2人さん、とりあえず無事みたいだな?まぁ後でみんなの所に行くとして……まずは、このカブト共だな?」
「おーい!」
後ろから声が聞こえて振り返ると、そこには織部睦美達が向かってきていた。
再会を喜んでいると、鷹村大雅はカブトムシに向かって構えを取るが、織部睦美が彼に歩み寄った。
「鷹村くん!これを使って、私と同じようにして下さい!」
「これは、釣り竿?何に使うかは分からねぇが、織部さんやってみてくれ。」
鷹村大雅の言葉に頷く、織部睦美は釣り竿を大きく振り、それを見て鷹村大雅も同じように釣り竿を振る。
すると、カブトムシ2匹が2人の言う通りに動き始めたのだ。
「行きますよ、鷹村くん!」
「おう!」
2人はカブトムシを2匹を自在に操ると、一匹は飛び去っていき、その2匹目は2人に操られて飛んで行った。
「ふぅ……おもしれぇなこれ、こんな事ができるとは思わなかったぞ?」
「私の憧れている先生が教えてくれたんです。それにしても鷹村くんも上手でしたね!」
織部睦美と和気あいあいと話す中、鷹村大雅はあたしの方に歩み寄ってくる。
「大丈夫か?」
「……なんで?なんで助けたの?あたしは、あなたに散々ひどい事を言ったのに……それなのに、なんで助けたりしたの!?」
あたしは大声を上げて彼に噛みつくように言う。すると彼は、頭を掻き困ったような表情になる。
すると、彼は何気なく返してきた。
「なんでって、仲間を助けるのに理由がいるか?」
「え……」
「俺は別に罵られようが、馬鹿にされようが別になんとも思わねぇし、気にもしてねぇ。確かに多少はムカついたが、もう切り替えてるし。何よりみんなで全員ってのはあんたも入ってるんだぜ、青山さん。」
「みんなで生きて帰りましょう、青山さん!」
「鷹村、くん……。織部、さん……!」
そう言われ、あたしは衝撃を受けた。
あたしは、なんて視野の狭く愚かな人間なんだ……あたしをこんなにも認めてくれている人がいるのに、気付かないなんて、あたしはなんて馬鹿なのだろう。
この2人は、あたしを導いてくれる存在なのだと、あたしはこの瞬間に理解した。
「はい……♡大雅様、睦美様♡」
「「え!?」」
この2人に、あたしは着いていこう。
それがあたしの運命……♡♡
書き上げました!
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