一同が葵の治療を行っている中、大雅は夜の森を駆けながら無雲が教えてくれた病院に向かって"剃"を使って駆けており、その際にも見聞色と聴力を使って辺りを警戒していた。
「(辺りには生物の気配はしないな。けど周囲から血の匂いがするな、何かあったんだろう。)ん?あれか。」
大雅は目的の場所に着くと、ドアを抉じ開けて中に入り電気を点ける目的の物である輸血パックを探していた。
そして輸血パックを見つけた大雅は、それを手近にあった袋に全て入れる。ついでに必要な薬品や道具も入れていく。
「よし、それじゃあ帰るとするか。」
大雅は輸血パックなど道具を持ち、一同の待つ社の方へと戻る事にし、再び夜の森を駆け出した。
そんな中、先程の道の途中に"何かの影"が動いているのが見えた。
「あれは……人間じゃなさそうだな。」
大雅が足を止めて視線の先にある影を見ていると、その影は身体を伸ばして自分に向かってくるではないか。
その影は目も鼻もない。原始的な姿をしたその生き物は……ヤマビルだった。
「ヒルの仲間か。結構デカいな、けどなんでここに?ん?」
大雅は林の草を見ると、そこには血がべっとりと着いていた。
「こいつに引き寄せられてたのか。まぁ関係ないけど……嵐脚!」
ズパンッと大雅の放った嵐脚がヤマビルを両断する。しかし、ヤマビルは悶ながらも動いており、それを見た大雅は少し強めのノッキングを掛けた。
ノッキングを掛けられたヤマビルは動かなくなり、大雅は先を急ぐ事にしたが、途中の木にライムがなっているのが見えたので幾つかもぎ採っていく事にした。
そんな時だった。
森の奥に巨大なカブトムシの抜け殻があった。
「これは……って、こんなことしてる場合じゃねぇや!急がねぇと!」
大雅は剃を使って森を駆けて行くと、無事に社に辿り着いた。
「ふぅ、何とか着いた……おーい、甲斐、箕輪!」
「お!大雅、無事みたいだな?」
「よく戻ったな、鷹村。」
「あぁ、取り敢えず輸血パックのパックと薬とかは持ってきた。無雲さんの妹は?」
「今は女の子達が着替えやらをし終えたみたいだし、そろそろ入っても良いと思うぜ。」
「そっか、ありがとうな2人とも。」
大雅は見張りをしていた甲斐、箕輪と共に社の中に入るとすぐに大雅と白川、涼子の3人が輸血の用意を始め、しばらくすると葵がゆっくりと目を開けた。
「あ、葵!」
「お兄……」
「葵!?どうした!?」
目を覚まして、すぐに目を閉じてしまった妹に駆け寄る無雲。
すると、涼子が脈を測った。
「大丈夫、眠っただけです。」
「そうか……おんしら、ありがとう!!」
「ほんにありがとう。」
無雲は大雅の方を見ると、側により手を伸ばしてきた。
「?」
「おんしのおかげじゃ、ありがとう。」
「俺は何もしてない。それに俺はお礼言われる立場じゃないと思うが?」
「いや、おんしが輸血パックを持ってきてくれたからや。ありがとう。」
無雲が頭を下げると、恥ずかしそうに大雅はそっぽを向いてしまう。
「ん~?何だよ大雅、照れてるんすか?」
「照れてない。」
「顔、赤いぞ?」
「ち、違うし!それよりも、船!俺達は急いでこの島を出ないとだろ?このままだとその人、保たないし。」
「確かに、そろそろ夜が明けます。今の内に行動しましょう!昼間はヤンマ、夕方にカブトが行動する前に葵さんを脱出させましょう!」
「大雅様、睦美様。私達は?」
「今はその人、優先だ。無雲さん、時計あるか?」
大雅の言葉に無雲は懐中時計を懐から取り出すと、時間は午前4時55分を差していた。
「っ!!日が昇るまで後90分もなぁぞ!船に燃料入れるんなら急がんとアカン!!」
「急ぐぞ!半分は燃料入れ、半分はこっちの見張りで行動しよう!燃料は!?」
「こっちや!」
大雅は無雲から燃料の場所を案内され、そこで荷物を持つと睦美、千歳、松岡、甲斐、箕輪、青山、アキラ、無雲、鏡が船の燃料入れへと向かった。
残りの面々の、伊能、桃崎、美鈴、真美、白川、小田、鈴木、宮園、巫女見習いの刻と婆婆は、大雅と共に葵の看病と社の見張りをしていた。
「皆さん、大丈夫かしら。」
「大丈夫だよ。何かあれば知らせるって言ってたろ?」
桃崎の言葉に美鈴が呆気カランとした様子で返し、真美と刻の2人が葵の看病をしていた。
「あれ?小田くんは?」
「トイレだって。しばらくしたら帰ってくると思うよ。」
白川の質問に伊能が返すと、美鈴がため息をついた。
「ったく、緊張感ねぇな。あのオタク。」
「ま、まぁまぁ。」
「あ、あははっ。」
一方その頃、小田は林の中で用を足していた。
「ふぅ……間に合ったぁ。それじゃあ帰……?」
用を済ませた小田は立ち上がって戻ろうとした時であった。
林の奥から何か音が聞こえてきて、その場所を覗いてみるとそこには巨大な"何か"が、"人間"を食べている光景が広がっており、それを見てしまった。
「〜っ!?うわあぁぁぁぁぁ!!?」
小田は全力で走って社に戻ってきた。
「た、たたたっ!?鷹村くん!?」
「うおっ!ど、どうしたっていうか、手洗ったか?」
「そ、そそそそ、それどころじゃないんだよ!?お、おお、大きな、か、かかかか!?」
「落ち着けオタク!どうしたんだよ?」
「小田くん、落ち着いて!どうしたの?」
美鈴と伊能が落ち着くように言うと、小田は深呼吸をしながら何があったのかを話し始めた。
「さ、さっき林の中で、か、怪獣が、ひ、人を食べてたんだ!!」
「「「怪獣〜?」」」
「小田くん、それは流石にちょっと。」
「怪獣って、お前特撮の見過ぎじゃねぇの?なんだよ怪獣って。」
「ほ、本当なんだよ!?大きな怪獣がこうやって人を啄んで食べてたんだよ!」
小田の言葉に一同が首を傾げる中、大雅は小田に質問した。
「小田、その怪獣ってどんな身体してた?」
「え……あぁ、何かこう、鳥みたいだったよ?口が尖ってて、とても大きかった。」
「鳥……?お婆さん、この島に変わった鳥とかいますか?」
「?あぁ、この島には大きな鳥がおったと思うが。近付いたもんにつつくから危なくてなぁ。」
そんな婆々の言葉に大雅は思考を巡らせる。
すると、ある考えに至り大雅はすぐに小田に質問する。
そんな中、社の入り口が突き破られそこから巨大な鳥が入ってきたのである。
「な、なんだよこいつは!?」
「こいつは、ヒクイドリだ!世界1危険な鳥だよ!!」
新たな危機が迫っていたのであった……。
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