神野の魔の手?が大雅に迫ります。
"マダニ"こと"ダニ"はとても小さな虫であるが、その見た目以上に危険な虫である。
マダニにはハーラー器官と呼ばれる感覚器を持ち、これらによって哺乳類から発せられる体温、体臭、振動に反応し、生物の上に飛び降り吸血行為を行う。その吸血行為によって、体は倍の大きさに膨れあがる。
さらに噛まれる事によって、噛まれた生き物はライム病や回帰熱などの様々な病気を引き起こすのだ。
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目の前にいるマダニの群れに、全員が息を呑み口元を抑えて怯えた表情を浮かべる。
「お、おい。どうする……?!」
「ど、どうするって……どうしようも!」
「はい、静かにな。小田、柘植。今騒いだらダニが襲いかかってくるぞ。」
「「っ!?」」
大雅は泣き出しそうになる小田と騒ぎそうになる柘植の口を塞ぎ、人差し指を立てて静かにするように伝える。
「良いか、落ち着け。ゆっくり深呼吸しろ。出来るな?」
2人はコクコクと首を動かして、ゆっくりと深呼吸すると落ち着きを取り戻す。そんな中、上條が大雅に掴み掛かる。
「お、おい!鷹村、お前あいつら潰してこい!?お前なら」
「無理です!幾ら鷹村くんでも、この数に噛まれたらそれこそ!」
「じゃあどうしたら良いんだよ!!!」パキッ!!
上條が足元にあった小枝を踏んでしまい、その音にダニ達が反応し、飛び掛かる体勢になる。
「ひっ!?」
「止まれ……!みんな、その場から動くな……!」
大雅が全員に静止の合図を出すと、皆がその場で固まる中、睦美が大雅にそっと近付いた。
「……鷹村くん。さっきハッカの匂いがするって言ってた瓶、ありますか?」
「有るぜ。」
大雅はゆっくりと荷物を下ろすと、中からその液体が入った瓶を取り出して、睦美に手渡す。
彼女はその匂いを嗅いで、すぐに頷いた。
「これは……ハッカ油ですね。これは使えます。」
「睦美、それは?」
「ハッカ油だよ千歳ちゃん……これで、助かる確率が上がりました。皆さん、これを肌に塗ってください。」
「ハッカ?あの飴とかになってるハッカ?」
「はい。鷹村くん、これ使っても良いですか?」
「あぁ、あんたに任せる。んじゃとりあえず……!」
その大雅の頭に新しいメッセージが届いた。
"新しいスキルを追加します。"
追加スキル
・ゼブラの音の能力。
・トリコのスキル。
「(こんな時にかよ……けど、トリコとゼブラのスキルか。こいつは使える!)」
「た、鷹村くん?どうしたんですか?!」
「いや、大丈夫。それより先を急ぐぜ。」
「け、けどよぉ、ハッカとか言うのだけで、何とかなるのか?!」
甲斐の言葉に全員が頷くが、大雅はゆっくりと立ち上がる。
「ハッカは昔から虫除けに使われてるんだ……あと、俺が先頭を歩く。けど、皆は出来るだけゆっくりと歩くんだ。心臓の鼓動よりもゆっくりと動くんだ。」
「てめぇ……!いい加減にしろよ。リーダーはこの俺だ!俺に命令……!」
大雅は上條の頭を掴むと、ほんの少しばかり覇気を込めて睨みつける。
「……"少し黙ってろ"。」
「っ!!?」
顔を青ざめさせる上條に目もくれず、大雅は先に進もうとすると、その後に続くように、全員が周囲に気を配りながら歩き始める。
その際に睦美が手で温めた小石を投げるように伝えながら、全員で進むことにした。全員が周囲に気を配りながらゆっくりと足を踏みしめていく。
そんな中、アイドルの三浦真実が恐怖し涙を流しながら呟く。
「もういや……まだなの……まだ抜けられないの……!?」
「黙れっ……」
「ひっ!?」
後ろから神野に囁かれ、身体をビクつかせる。
そんな中、大雅が全員に聞こえるように話した。
「潮の匂い……。もうすぐだから頑張……!?止まれ。」
大雅は全員に止まるように伝えると、その視線の先に居る人影に視線を送る。
「鷹村くん、どうしましたか?」
「あそこ……。」
「?あれ、美術の野沢じゃね?」
「良かった。先生も無事だったんだ。」
歩美が同じく飛行機に乗っていた野沢という教師に松岡が駆け寄って近付こうとした時……何かを察した大雅が手を掴んで止める。
「た、鷹村?どうかしたのか?」
「もう、手遅れだ……!」
「「「えっ……?」」」
全員が固まり、首を傾げていると野沢という教師が立ち上がり顔を自分達の方に向ける。すると、そこにはおぞましい光景が拡がっていた。
「「「「っ!!!?!?」」」」
そこには顔全体をマダニに刺され、びっしりと隙間なく埋め尽くされた肉があった。
ウゾウゾと蠢き合うダニ、さらにマダニは普通の小さいサイズも耳に入っており、既に手遅れの状態だった。
「い……!いやあぁぁぁぁぁぁぁ!!死にたくない!死にたくないよぉぉ!!!?」
「こら!暴れんじゃねぇ!!」
三浦がけたたましく泣き叫んだ瞬間、マダニ達が飛び掛かってきた。
その瞬間、大雅は新しい力を試した。
「皆、目と耳、口を閉じろ!("音壁+ボイスドーム")!」
大雅達の周囲を囲むようにして、ドーム状の分厚い透明な壁が拡がる。マダニ達は何が起こったのか分からず、蠢いていたが、大雅はさらに続けた。
「(さらに、ウィークポイントボイス+覇気!)」
大雅はマダニにのみ聞こえる奇声を放ち、さらに覇気をぶつける。その瞬間、マダニ達は本能的に嫌悪感をを感じて、その場から離れていき、倒れた野沢に飛び掛かった。
「("ボイススライダー"!!)」
その瞬間に大雅は全員を、音壁で作った板に乗せて海岸に向けて走った。
「皆、目を開けな。海岸に着いたぜ。」
「え……ほ、本当だ!海岸だ!!」
「た、助かった……のか!?」
「あぁ、とりあえずはな。あと、ダニはいないから大丈夫だ。」
「そうですか……でも、今は取りあえず身体や服にダニが残っているかも知れませんので、服を脱いで海水に10分間は浸かってください。」
その後、大雅が男衆を。睦美が女衆を見ることにした。
その後、休憩の為に少しの仮眠をとることにしたが、大雅は辺りを警戒するために、エコーロケーションを使い、周囲を見張ることにした。
「(辺り一帯に虫はいない。だが、やはり遠くには何かいるな。)……何か用か?神野さん。」
「なんだ気付いてたの?それよりも、鷹村ぁ。さっきのあんた、凄くかっこ良かったよ。」
岩場に腰掛けている大雅に、神野が下着姿で近付いてきた。
「良く分からんがありがとうな。」
「と・こ・ろ・で……鷹村って、女を抱いたことはある?」
神野の質問に大雅は首を傾げる。
セレヌスではセレスティン達を抱いた為か、この世界の女を見ても、さほど驚く事もなかった。
「いやどうだろうな?」
「そう……それよりも、アタシはあんたに興味があるんだ♪」
「興味?」
「そう。それだけの力があれば皆を引っ張っていけると思うんだけど……。」
「(なるほど、つまりは盾とかになれって事ね?)……そんな事はどうでも良いから、少しでも寝と……んむっ。」
大雅が振り返った瞬間、神野は大雅にキスをした。
「ちゅ……ちゅぶ……ぷはっ!初めてのキス貰ったよ。ねぇ……シヨ。」
「あのさ。何でそんな事をしなくちゃいけないんだ?」
「そんなの決まってるじゃない……アタシが女で、あんたが男だからさ。」
そう言うと神野は下着を脱ぎ去り、その裸体を晒す。ハリのある胸と引き締まったウエスト、程よい大きさの尻と、普通の男なら襲いかかるだろうスタイルの良さである。
神野は四つん這いになって大雅にすり寄っていくと、その様子に大雅に内心ため息を吐くと、彼女を近付けた。
「……後から後悔とかするなよ?」
「しないっての。今を楽しまなきゃ。」