今回は後半、千歳ちゃんsideになります。
ガザミ。甲殻類カニ科の仲間で攻撃的で雑食。
小魚や貝類、他には同じカニですら襲って食べる上に、かなりの多食らいである。
さらにそのハサミの力は強く、挟まれれば人間の大人ですら大ケガをする為、捕獲するのが危険である。
ヘビトンボ。ヘビトンボ科に属する蟲であり、こちらも攻撃的である。サナギの状態でも攻撃してくる。
こちらは食用にはならない。
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「相手にするって……!お前は馬鹿か!?こんなのに勝てるわけ無いだろうが!?勝てたとしても、後ろには蟲がいるんだぞ!?逃げきれっこねぇ!!」
「誰が逃げるって言ったよ?あと……あまり見くびらないでくれよ?」
「っ!?」
大雅の気迫に圧され、半歩後退る上條。
「皆、なるべく一塊になって行動してくれ。コイツら俺が殺るから。」
「む、無理です鷹村くん!?相手は虫とは違う甲殻類です!普通の人間では手出しすら!」
「あのな、織部さん。世の中、あり得ない事は有り得ないんだぜ?」
「え?」
「人間やれば出来るかもよ。まぁ皆は出来る限り逃げ切れる様にしておいた方がいい。あと、薬や武器、食料を各自で集めた方がいい。行け!!」
「「「!?」」」
大雅の言葉に頷き、全員が一斉に走り出す。
ガザミ達も動いた者達に向かってハサミを向けるが、大雅が即座に近づき、足で撥ね飛ばす。
部屋を出る際に睦美が大雅に声を掛けた。
「鷹村くん!?すぐに戻ります!だから、待っててください!!」
「分かった!」
全員と今だ眠っているアキラを外に出して、構えをとる。
「さぁ来いよ。お前ら全員、俺が食ってやるからよぉ。」
大雅の言葉に釣られてか、ガザミ達は一斉に攻撃を仕掛ける。ガザミのハサミを軽く避けると、その脇腹に流水岩砕拳を打ち込む。
その甲羅は硬かったが、打撃による衝撃によりその甲羅にはヒビが入り、受けた一匹はよろめきだすと追撃を放ち、甲羅を粉砕していく。
「そうだ。新しい力を試してやる……ナイフ!!」
ズガァァッ!というけたたましい音共にガザミはメキメキと音を経てながら砕け、動かなくなった。
「こいつはいい!身体が硬くても使える……ん?」
そんな中、残ったガザミ達が仲間の死体を食べ始め、それを見て大雅は苦笑する。
「良いぜ、そうやって食べ進めてな!んじゃその間に……ナイフ!!ナイフ!!ナイフ!!ナイフ!!」
大雅は全てのガザミを全てのバラバラに砕くと、外にいるヘビトンボに目を向けた。
「よし。んじゃ次はアイツだ!」
大雅はそう言うと、窓を開けて外に出た……。
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鳴瀬千歳Side
鷹村くんがガザミ達と戦っている間に、私たちは必要な物を持って睦美達と合流すると、全員でパソコンが置かれている部屋に集まった。
「皆いるわね。そろそろ行きましょう!」
「おい待てよ委員長!?鷹村の奴が片付けてくれるまで待とうぜ!?」
「馬鹿言わないで!?鷹村くん一人に任せるわけには行かないわ!彼だって人間なのよ!?」
「それはまぁそうだわな?」
「だ、だけど今外に出て、あの化けガニが居たらどうするの?私たち、殺されて食べられるんだよ!?」
「真美ちゃんの言うとおりだよ!?ここは鷹村くんが来るまで待った方が良いよ!」
皆が不安げにそう言ってくる。
そんな事、私にだって分かってる!
けど、鷹村くんは何で分からないが大丈夫だと思う。
初めて会ったけど、彼は信用できるし、大丈夫だって信じられる!
「……分かった。なら私が様子を見てくる!皆はここにいて!」
「そんな危ないよ千歳ちゃん!?なら私も行くよ!」
「睦美…ありがとう!」
「皆、私がもしこのブザーを鳴らしたら、大丈夫って事だから!それで出て来て!」
私と睦美がブザーを見せて出口に行こうとすると、上條が出入り口を阻むように立ち塞がる。
「おい勝手に決めんなよ!?んなこと信用できるのか!?そんな事は許さねぇぞ!?」
「……ったく。いつまでリーダーぶってんだか。」
「んだとてめぇ!もう一辺言ってみやがれ!?」
「止めな、みっともない!」
私と睦美は向かい合って頷くと、扉を出て外に向かった。
そして、鷹村くんがガザミと戦っていた部屋を覗くとそこには砕かれて粉々になったガザミ達がいた。
「こ、これは!?彼が、やったの!?」
「っ!千歳ちゃんあれ!」
睦美の声に反応して外を見ると、そこにはヘビトンボと戦っている鷹村くんがいた。
「良かった!何とか無事だったんだ!!」
「えぇ!そうね、それじゃあ私たちもブザーを鳴らし……っ!?」
ガサガサと物音がして後ろを振り返ってみると、そこには隠れていたガザミが一匹おり、こちらを見ていた。
「そ、そんな!まだいたなんて!?」
「ち、千歳ちゃん!」
外にいる鷹村くんを見る。
彼は今、ヘビトンボに掛かりっきりで手が離せない。
助けを呼ぼうにも、動くことは出来ない。
だったら、自分でやるしかない!
「……睦美、出来るだけ机の上に居て。私が何とかするから。」
「で、でも千歳ちゃん!」
「大丈夫。確かに怖いけど、何だかよく見たら勝てる気がしてきたの。」
私はそう言うと、手近に有ったブラシを竹刀を持つように持って、ガザミと睨み合う。
ガザミはハサミを伸ばしてきたけど、身体を後ろに引いて、目に向かって突きを打ち込む。
目を潰された事で、ガザミはもがき始めるが直ぐにブラシをハサミで捕まれてしまう。引っ張ろうとしたけど、力が強く動かせなかった。
「っ!?ち、力強すぎる!?動かせない!?」
「千歳ちゃん!ブラシを離して!?そのままだと食べられちゃう!」
「っ!分かっきゃ!?」
ガザミはブラシをハサミで潰すと、倒れた私に近付いてくる。そのハサミが私に向かって伸びてくる。
いやだ、怖い、逃げたい、死にたくない、助けて、誰か助けて!やだやだやだやだやだやだやだ……!
「っ!?いやあぁぁぁぁぁ!!?」
「だめぇぇぇぇ!千歳ちゃん!?」
ガザミのハサミが私の服に触れてバラバラにされ、さらにそのハサミが頭に迫った瞬間、恐怖で目を閉じた。
でも痛みは来なかった。
ゆっくりと目を開けてみると、そこにはガザミの身体を貫いている鷹村くんがいた。
「てめぇ、甲殻類風情がなにしてんだよ。調子に乗るなよ?」
「た、鷹村……くん……!」
「遅れて悪かったな。鳴瀬さん、少し待ってろ……オラァァァ!!」
鷹村くんは突き刺していたガザミを外に投げ飛ばすと、そのまま私に上着を掛けてくれた。
「あ……。」
「それ着てろ。あと、直ぐに片付けてくる。」
鷹村くんはそう言うと、ガザミとヘビトンボがいる外へと出ていった。
睦美が私の心配をして抱き付いてきたけど、それ以上に鷹村くんから目が離せなかった。
その後ろ姿に、何だか胸が熱くなったのを感じた。
外を見ると、ヘビトンボがガザミを襲い始め、その甲羅を砕いて、中身を啜り始めたがそれを見た鷹村くんは、ヘビトンボに向かって駆け出した。
「ウオラァァァァァ!!サウンドナックル!」
鷹村くんの気迫を込めたパンチがヘビトンボに直撃し、吹き飛ばされたヘビトンボは森の中に消えていった。
鷹村くん……あなたはいったい、何なの?
その後、鷹村くんがこちらに戻ってきて、直ぐに頭を下げてきた。
「え、えぇ!?た、鷹村くん何を!?」
「すまない。残りがいるのに気付かず、あんた達を危険に晒した。本当に悪かった!」
「そ、そんなこと無いよ!あなたのおかげで千歳ちゃんは無事だったんですから、本当にありがとうございます!」
「そう言ってくれると有り難い。あと、ついでで悪いんだが、ここに死んでるカニの身を集めるのを手伝ってくれ。何かに使えるかもしれない。」
「う、うん/は、はい!」
私達3人は死んだガザミの身を袋に詰めると、それを集めた。
その後、皆に合図としてのブザーを鳴らし、皆で施設を出る。その際に眠っていたアキラくんも目を覚ました。
「助けてくれてありがとうな。本当に死ぬかと思ったぜ。」
「無事で良かった。早速で悪いんだが、お前以外に生き残りは?」
「……それが、分からねぇんだ。途中誰とも会わなかったし、あのデカいハチに捕まったしよ。」
「そうか。まぁでも取りあえず無事で良かった。」
「おいおい、今はそれよりも早くここを離れようぜ!」
「そうだな。んじゃま取りあえず出発するか。」
こうして私たちは、施設を足早に去り、他の生存者を探す必要があった。その際に睦美から寄生虫が着いているかもしれないとの事で、駆虫剤を渡されて飲み込んでから出発した……。