新しい話です。
てか、まじでこんな環境に置かれたらタヒねる。
中城 茉莉華の命令でメディカルセンターに戻る事になった大雅達一行。
その先頭を箕輪が、後方を荷物を持った大雅が歩き、真ん中を女生徒達と上條が歩いていた。
そんな中、手で顔を扇ぎながら桃崎香住が疲れた様子で口を開いた。
「箕輪~、おぶりなさい。疲れたわ。」
「自分の足で歩け。」
「ったく、こんな馬鹿お嬢、そこらに捨ててこうぜ?邪魔で仕方ないしな。」
美鈴の言葉にカチンと来たのか、桃崎はため息を吐いて言った。
「……美鈴さんでしたっけ?あなた、帰ったらお父様に頼んで、退学にしてもらいますわ。」
「やってみろよ。無事に帰れたらな?ボンクラお姫様。」
「なんですって!?」
「何だやんのか?」
「(はぁ……。)」
大雅はそんな2人の口論を見ながらため息を吐くと、間に入った。
「2人とも、喧嘩すんなって。無駄な体力を消耗するだけだ。」
「大雅は黙ってろ!」
「あなたは引っ込んでなさい!」
「お前らなぁ……ん?」
「鷹村くん、どうしましたか?」
大雅が何かを見つけると、箕輪達の前に立ちふさがった。
「何のつもりだ鷹村、そこをどけ。」
「この先は行かない方が良い。嫌な感じがするんだ。」
「おいおい!お得意の勘ってやつか?ここはさっき通っただろうが。」
「あんたは少し黙ってろ。箕輪さん、聞いてもらっても?この先は危険だ、後ろの人達も連れて下がった方がいい。」
大雅の必死の眼差し、それは危険を知らせるモノであり、仲間を守るためのモノだった。
しかし、箕輪はため息を吐く。
「時間の無駄だ。先を急ぐぞ。」
「っ!馬鹿!止まれって言ってんだ!?それ以上進むな!!」
大雅が全員に向かって警告したが、時既に遅し、箕輪達の目の前の地面から巨大な影が現れた。
「「「っ!?」」」
「しまった!?皆、下がってください!?ここは、斑猫の巣です!!」
全員の目の前から現れたのは、大きな顎を持った芋虫"斑猫"の幼虫だった。
~~~。
斑猫(ハンミョウ)。
オサムシ科に属するであり、成虫はとても美しく"玉虫"に似ている。頭部は金属光沢のある緑色、前翅はビロード状の黒紫色に白い斑点があり、前胸部と前翅の中央部に赤い横帯が入る。
体の下面は金属光沢のある青緑色をしている。体には独特の香りがあり、果物のような芳香と感じる者もいる。
大きな複眼と鋭い大顎を持ち、敏捷な動作で小型昆虫などを捕えて食べる。
一方、幼虫は細長い体と大きく鋭い大顎を持ち、固い裸地に垂直に円筒形の巣穴を掘り、平らな頭部で穴に蓋をするようにして潜んでいる。
昆虫などが穴の近傍を通りかかると、穴から前半身を乗り出して大顎で捕え、穴の中に引きずり込んで補食するのである。
~~~。
「き、キャアァァァァ!!?」
「う、うわあぁぁぁぁ!!?」
襲い掛かってくる斑猫の幼虫を見て、全員が逃げようとする。
しかし、宮園が突き飛ばされてしまい、斑猫の幼虫は彼女に向かって迫っていき、それを見て彼女は必死に逃げようとするが、足を捕まれてしまい、後ろに引っ張られていく。
「っ!?い、いやあぁぁぁぁぁぁ!?助けてぇぇぇ!!?」
「嘘だろ!?あんな小さな手で!?」
「上條!?宮園を助けろ!!」
「助けられるわけねぇだろ!?逃げるんだよ!?」
「動いちゃダメです!!この子達は振動で獲物を認識するんです!!」
「仲間を放っておけるか!」
全員が逃げ惑う中、宮園は箕輪に向かって必死に手を伸ばした。
しかし、誰もその手は届かず、巣に迫ってしまっており、誰もが諦めてしまっていた。
彼を除いては……
「はぁ!」
全力の剃を使って斑猫に近付いていた大雅は、斑猫を蹴り飛ばすとその身体をバラバラに切り裂き、宮園を救出して全員の元に下がる。
「「「!?」」」
「はぁ……はぁ……!」
「生きてるか?宮園さん。」
「う……うわあぁぁぁぁん!!?」
「怖かったな。今は泣いてていいからな。箕輪さん、彼女たちを頼みます。荷物の中に施設から持ってきた治療用の道具があるので治療を。」
大雅を見て安心したのか、大声で泣き出す彼女の背中を叩きながら、彼女を箕輪に預ける。
「あ、あぁ。分かったが、お前はどうするんだ!?」
「こいつらは、俺が片付ける。さっきの事で少しイラついてるんでな。」
「よ、よし!鷹村、やっちまえ!!」
「アンタは黙ってな!!」
大雅はそう言うと、真上から迫ってくる斑猫を避けるとそのまま力一杯に蹴り飛ばすと、睦美に向かって質問をした。
「織部さん、こいつら特徴は?大雑把で良いから教えてくれ。」
「は、はい!斑猫は純粋な肉食虫です!あの大きさで捕まったら、恐らく人間は逃げられません!振動や音に敏感で、動いたらすぐに襲い掛かってきます!!」
「分かった。皆はあそこの竹林に逃げ込め。」
「動いたら襲われるのに、どうしろってのさ!?」
「俺が襲ってくる奴等を何とか食い止める。皆は竹林から施設に行くことに集中しろ。あと、出来るだけ転んだりした者も助けろ。」
大雅はそう言うと、月歩を使って空から斑猫の出る位置を探す。そんな中、全員が竹林に向かうが桃崎が転倒し、彼女に斑猫が迫っていた。
「いやあぁぁぁぁぁぁ!!……っ!?」
「掴まってろ。」
大雅は彼女を横抱きにすると、睦美の方に彼女を任せる。そんな中、背後に斑猫の幼虫が迫っていたが、それを軽く避けると胴体に向かってナイフを振り下ろした。
すると、斑猫の幼虫はいとも簡単に切断されて息絶えた。
「?(簡単に切断できた?頭と違って身体は柔らかいのか)。」
「お、おい鷹村!?頼むから死なないでくれよ!?お前が死んだら、俺達はおしまいなんだからな!?!?」
「後ろで喚かないでくれ、言われなくても分かってる。箕輪さん、織部さん。2人は皆を連れて竹林伝いに進んでくれ。織部さんはみんなを先導してくれ。」
「はい!」
「箕輪さん、あんたはみんなの壁になるようにしてくれ。あと。」
大雅は手刀で竹を何本か伐ると、それを槍状に持たせた。
「これを使ってくれ。何も無いよりはマシだ。」
「わ、分かった!」
「神野さん、あんたは箕輪さんと同じようにみんなを守りながら進んでくれ。」
「ったく!仕方ないな!?良いよ、やってやるさ!」
「他の皆は織部さんの言うことを聞いてくれ。」
「は、はい!」「分かりました!」「っくそ!」
「んじゃ、施設で会うぞ。」
大雅はそう言うと、それぞれが動き始めた……。
~~~。
織部睦美Side
私たちは鷹村くんの言葉通りに進んでいく。
彼が幼虫達と戦ってくれている隙に、皆で走って施設へと向かっていた。
そんな中、箕輪さんが声をかけてきた。
「おい、織部とか言ったな。鷹村は、大丈夫なのか!?あの数を相手にするなんて、自殺行為だ!」
「……確かに普通では出来ません。でも、鷹村くんなら大丈夫です!」
「根拠はなんだ?」
「……何故かは分かりませんが、彼なら大丈夫だと思うんです。短い時間しか一緒に居ませんが、鷹村くんは信頼できます!」
「分からんな。そこまで何故信じる事ができる?」
答えることが出来なかった。
何故かは分からないけど、彼を見ているととても安心すると言っても、恐らく分かって貰えない。
どう答えるか迷っていると、目の前に施設が見えてきた。
けれど、その前には別の虫がおり、私達はその場で立ち止まり、身を屈める。
「どうした?」
「もうすぐ病院だぞ?とっとと」
「待ってください。門の前に虫がいます。」
全員が病院の方を見ると、そこにはガザミの死骸を食い漁っている虫がいた。
「何だあれは?」
「死体食ってるとか、キモッ……虫女、あれなんなの?」
「あれは"シデムシ"。死骸を餌にしている甲虫です。今は食事に夢中ですので、今の内に進みましょう。」
シデムシ。 甲虫目に属する虫である。
動物の死体に集まり、それを餌とすることで有名な甲虫である。名前の由来は、死体があると出てくるため、「死出虫」と名づけられたことにより、そう呼ばれている。
そのほとんどがその名の通り死肉食、あるいは死体で繁殖するハエの幼虫を捕食するなど動物の死体に依存した生活を送ったり、中には動物の糞で繁殖するハエの幼虫をもっぱら捕食している種類もいる。
シデムシ達の横を通り過ぎた私達は何とか食料や薬品を調達すると、すぐに施設を出ていく。
そして、千歳ちゃん達の待つ集落へと向かった。
「みんな!?睦美達が帰ってきたよ!」
「お!マジで!」
「千歳ちゃん!みんな~!」
集落に着いた私達はその場に座り込んでしまった。
「はぁはぁ!や、やった!やったぜ!俺は生き残ったぜ!?」
「た、助かりましたわ……!」
「はぁはぁ……!あ~~~!し、死ぬかと思った……!」
「恵美子!」
「香代!香代ぉぉぉぉ!!?」
「先生、ただいま戻りました。」
「ご苦労様でした。皆さんが戻られて良かったです。それに、収穫も有ったようですし。」
皆さん……?
あれ、でも……
「ね、ねぇ睦美。鷹村くんは?彼はどうしたの?」
「っ!?そうだ!鷹村くんは今、斑猫の幼虫と戦ってるんです!すぐに行かないと!」
「織部さん、勝手なことはしないで下さい。今は休みなさい。」
「そんな!?でも鷹村くんは私たちを助けてくれたんですよ!?それを!」
「それがどうしました?彼は自ら楯になってくれたんです。むしろそれならば我々は生きるべきなのでは?」
「先生の言うとおりです。」
「お、俺も御免だぜ!?もう二度と行くかよ!?」
こ、この人達は……!?
鷹村くんが居なかったら、施設まで行けたかも分からないのに、何人死んだかも分からないのに!
それを"楯"の一言で片付けるなんて……!
「……何ですかその目は?」
「分かりました。なら私一人でもいきます。」
「待って睦美!私もいくわ!誰か付いてきて!?」
「分かった!」
「しゃあない、行きますか。」
千歳ちゃんの言葉に松岡さんと甲斐くんが返事をするが、他の人はそっぽを向いてしまう。
「3人以外、誰も手をあげないわね?」
「分かったでしょ?先生がこう言ってるんだから、無駄なことは止めなさい!それに貴女達が行って何が出来るというの?」
「っ!?分かりました!勝手にしてください!」
「睦美!?」
みんなに背を向けて、走り出そうとした時だった。
遠くから人影が見え、こちらに歩いてきていた。
「よ。皆無事か?」
「た、鷹村くん!!」
「「「鷹村/大雅!?」」」
歩いてきていたのは鷹村くんだった。
その手には斑猫の頭が握られていて、所々怪我をしていた。
「鷹村くん!大丈夫ですか!?」
「全然平気だ。まぁ少し疲れたがな。」
「良かった……!本当に良かったです!」
「泣く奴がいるか。」
そう言って鷹村くんは私の頭を撫でてきました。
「っ!」
「あ、嫌だったよな。ごめん。」
「あ、い、いえ。大丈夫、です。」
鷹村くんは首を傾げると、そのまま離れていくと先生と青山さんが近付いてきた。
「鷹村くん、無事だったようですね。」
「えぇ、何とか生きてましたよ。数が多くて全部捌くのに時間が掛かったけど。」
「そうですか。」
先生が離れていくと、甲斐くんと千歳ちゃんが近付いて行きました。
「大雅~、よく生きてたなぁ?スゲェじゃん。」
「いや、実際死ぬかと思った。何回か咬まれそうになったがな。」
「あまり無茶はしないで。本当に心臓が止まるかと思ったんだから!」
「悪い……ん?」
そんな中、宮園さんと鈴木さん、箕輪くんが鷹村くんに近付いてきました。すると箕輪くんが突然頭を下げたんです。
「?何か?」
「鷹村……その、お前のおかげで九死に一生を得た。感謝する。」
「本当に、ありがとうございました!!」
「恵美子を助けてくれて、本当にありがとう!!」
「……仲間なんだから、助け合うのは普通だ。礼とかはいらない。悪いが、そろそろ休ませてくれ。正直、疲れた。」
そう言うと鷹村くんは部屋に行き、私たちも部屋に向かうことにしました。
夜も深まり、全員が久々に深く眠っている中、私はトイレに起きてしまい、千歳ちゃんに教えられた通りに道に進んでいき、その帰り道、何処からか女の人の声が聞こえてきました。
「誰だろ?こんな時間に。」
「あぁっ♡♡最っ高!全身でイキまくっちゃう♡♡」
開いている部屋を見ると、そこでは裸になってエッチをしている神野さんと鷹村くんがいました……。