脅威の吸収冒険者 ~ラルゴの這い上がり珍道中~ 作:ターキン
――霊峰エルプルの山道を登ること数刻、ようやく俺たちは山の中腹へと差し掛かった。
徐々に傾斜はきつくなり、山肌は凍りついてきている。
俺は重いバックパックを背負いながら、二人が滑り落ちないようにその後ろを歩いた。
「まだ半分だというのに……この傾斜はかなり……しんどいな」
「わたしは、へいき」
そう言ってウルはすいすいと登っていく。
流石は、亜人の身体能力だ。
一方のマーシアは……
「私は……駄目です……♡」
「いやいや、一度山頂まで登っているだろう」
「駄目です! いやんいやん!」
「超元気じゃねぇか……もしかして、この中で一番体力無いの俺?」
駄々をこねるマーシアを引っ張りながら山道を登っていくと、不意に甲高い咆哮が轟いた。
「おにいちゃん! 誰かいる!」
「なんだと!?」
慌ててウルの下まで駆けつける。
すると、開けた山肌の上で、飛行する3匹の魔物と交戦する影を見つけた。
「何かあったんですか?」
後から軽々と追いついてきたマーシアが、俺の視線の先に目を移す。
「あれは……ハーピーですね。 少し様子がおかしいですけど」
――ハーピー
主に森林や山岳部で生活する鳥の亜人の一種。
上半身は人の形だが、腕は翼、腰から下は鳥の形をしているのが特徴。
雄が存在せず、他種族との雄と交配することによって繁殖するという。
「エルプルには、霊峰の守護者として誉れ高い有名なハーピーがいるんですよ」
「おお、詳しく話せるか?」
「はい、私も何度か会った事あるんですけど、黄色い羽の長女アエロ、白い羽の次女オキュペテー、青い羽の三女ケライノー、そして3人を統べるハーピークイーン、4枚羽のシムルグの計4人です」
「なるほどな……あそこで戦ってるの、そいつらか?」
「はい、少々羽の色が淀んでいますけど……紛れも無くアエロ達ですね」
俺たちは岩場の影から戦いの過程を見守った。
ハーピー達と相対する人影をよく見ると、白金のフルプレートに身を包んだ騎士のような身なりをしていた。
右手には紐のついた大きな
そして特徴的なのが、山羊を象ったフルフェイスの兜だ。
あの鎧、何処かで見覚えがあるような気がする。
「あんな鎧姿でここまで登ってくるなんて、一体何者なんでしょう?」
「お前を探しに来た冒険者かもしれないぞ、油断するな」
――キュィイ!!
ふと、ハーピー達の甲高い声が耳を突いた。
「うあぁあ、耳がおかしくなる!」
ハーピー達は俺たちに気づく様子もなく、目の前の山羊頭の騎士(仮)を威嚇している。
「滅びろ! ここはお前達の来るところじゃない!」
「やめなさい! 貴方達を傷つけるつもりはありませんわ!」
女の声……?
「山を汚す者……許さない!」
ハーピー達は山羊頭の言葉に耳を傾ける事なく、総攻撃を開始した。
「キュィイ!!」
「――エアロダーツ!」
1人のハーピーが甲高い鳴き声をあげると同時に、他の2人が魔力を纏わせた羽から風の弾を放った。
「くっ、やるしかないんですのね!」
山羊頭はその見た目からは想像できないほどの軽快な動きで、攻撃を躱しながら山肌を駆けていく。
そして、左手に持った小さい杖を突き出して叫んだ。
「――
そのままハーピーに向かって大きく跳躍し、馬上槍を振りかざす
――ブンッ!
「キュイィ!」
しかし槍の一撃は宙を切り、そのまま山羊頭は崖の下へと落ちていく……
「なっ、あいつ落ちるぞ!」
山羊頭は落ちながらも、右手に持った馬上槍を投擲する。
そして、それが壁に刺さったかと思うと、槍に付けられた長い紐を手繰って再び山肌へと着地した。
「肝が冷えたぜ、見かけによらずトリッキーな動きをする奴だ」
「おにいちゃん……」
不意にウルが声をかけてくる。
「どうした、ウル?」
「わたし、あの人助けたい」
「奇遇だな、俺もだ。 マーシア、荷物を頼む」
俺は背負っていたバックパックをマーシアに預ける。
「わかりまし……って重……」
そして、ウルと共に岩場の影から乗り出した。
「おい、大丈夫か!?」
「な、こんなところに人?!」
「援護するぞ!」
「あ、有難いですわ!」
そうして、走りながらハーピー達を観察する。
すると、白に黒が混じった羽色のハーピーがこちらに飛び掛ってきた。
「キュィイ!」
「うっせぇ!」
俺は怪音波に溜まらず耳を塞ぎながら、ハーピーの捨て身の体当たりを紙一重でかわした。
あの身体を覆う黒い靄……これはもしや、
「ならば!」
俺は右手に魔力を込める。
それに反応したのか、さっきのハーピーが再び俺の元に飛び込んできた。
「キュィイ!!」
「甘い!」
俺は鋭い爪の奇襲をかわすと、すれ違いざまにハーピーの首根っこを掴んだ。
「――
「クアァーッ!」
ハーピーを覆っていた黒い魔力が、俺の右腕へと吸い込まれていく。
同時に、俺の身体に更なる力が漲った。
「きゅぅ……」
そうして気を失ったハーピーを山肌に寝かすと、再び駆け出した。
「貴方! 今何をしましたの?!」
「話は後だ! 残りの奴の動きを止めれるか?」
すると、残りの2人のハーピーもこちらに飛び掛ってきた。
「よくもオキュペテーを! 許さない……――エアロダーツ!」
俺は左手のバックラーで、風の弾丸を受け止める。
「おにいちゃん、まかせて!」
ウルが山肌を駆け上がりながら、手にした鎖分銅を空中に投げかけた。
「キュ!?」
すると、それは見事に飛んでいた青羽のハーピーの足に巻きついた。
「すごいぞウル!」
「まだ! 見てて!」
そう言うと、ウルは鎖を引っ張りながら魔力を流していく。
「――パラライザー!」
――バチバチバチ!!
「クアぁあ!!」
鎖から伝った青い電流が、凄まじい音を立てながらハーピーを包み込む。
「えいっ!」
そのままウルは思い切り鎖を引っ張ると、青羽のハーピーを地面に落とした。
「ぐあっ!!」
俺はすかさず墜落したハーピーに駆け寄り、右手を叩き込む。
「
「くああぁあ……」
そして黒い魔力を吸い取り、沈黙させる事に成功した。
残るは、黄羽のハーピーのみ。
「ケライノー! ……許さない!!」
激昂した黄羽のハーピーは、翼に魔力を纏い、大きく羽ばたきながら叫んだ。
「――トルネード!!」
――フオォン……
「な、なんだ!?」
突然、俺の足元に風が巻き起こったかと思うと……
――ビュォオオ!!
「うおおああ!」
いきなり宙に放り出された。
慌てて視線を前に正すと、そこには巨大な竜巻が渦巻いている。
「まずい……落ちる!」
俺は空中でもがくも、身体は徐々に足下に広がるパノラマの中へと吸い込まれていく。
「ラルゴさん! 掴まって! ――
咄嗟にマーシアが投げ出した魔力の縄を掴み、墜落を免れる。
下を見れば、山肌から滑り落ちた岩や小石が徐々に小さくなって、見えなくなった。
金玉が縮みあがりそうだ……
「引き上げます! ……それ!」
マーシアが力を込めると同時に、俺が掴んだ縄が勢い良く引き上げられる。
「うおおっ……!」
そのまま俺は、再び山肌へと復帰した。
「ラルゴさん、おかえりなさい」
「ああ……助かった!」
やはり聖女なだけあって、力も魔力も俺の想像を遥かに超えている。
「問題は……こいつだ」
厄介な竜巻は未だ弱まらず、ハーピーは俺の射程外……
ウルも山羊頭も、吹き飛ばされないよう踏ん張るのに精一杯といった様子だ。
「ラルゴさん、任せてください」
「いけるのか、マーシア?」
マーシアは黙って頷くと、手にした魔法槍を地面に突き刺し、魔力を込めた。
「――
そして、槍の先から生成された巨大な魔力の鎖が、竜巻を突き抜けてハーピーを掴んだ。
「キュィイ!?」
そして、そのまま鎖は俺の目の前まで黄羽のハーピーを引き寄せる。
「さあ、ラルゴさん!」
「ああ! ……
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
――戦いが終わり、気を失ったハーピーを並べ終わった俺たちは山肌に腰を下ろした。
「皆、怪我はないか?」
「わふっ!」
「平気です、このとおり!」
マーシアは元気そうに力瘤を見せ付けてきた。
こんな女性的な腕なのに、俺を引き上げる程の膂力を誇るとは……
「それにしても……」
俺は山肌に並べられたハーピー達を見比べた。
よく見れば、それぞれが非常に可愛らしい顔立ちをしている。
そして上半身は裸……胸も豊満で、乳首の色も綺麗な桜色、肌も白くて肉付きもいい。
大きさの順で言えば黄、白、青……かな?
――ふぅっ……
「うおっ!」
不意にマーシアが俺の耳に息を吹きかけた。
「ラルゴさーん、何考えてたんですか?」
「い、いやなんでもない。 それにしてもお前……やっぱ強いんだな」
「そ、そこまでじゃないですよ?」
あれでそこまでじゃないと言われたら、俺はどうなるんだ。
「それにウルもだ。 いつの間にあんなに戦えるようになった?」
「わふ?」
「ラルゴさんが馬車で寝ている間、馬車の中で戦い方のシミュレーションをしただけですよ」
「それであれだけ動けるなんてな、素晴らしい戦闘センスだ」
「えへへ」
そう言うと、ウルは得意げに笑った。
「あの……ちょっといいかしら?」
ふと、困惑した様子で、山羊頭がこちらに話しかけてきた。
やはりこの声音、どう考えても女だ。
正直このゴツい見た目では男と勘違いしてしまう。
一体どんな顔をしているのだろう、やはり筋肉ムキムキのゴリラのような女なのだろうか。
「貴方、ラスターのラルゴ・アシュクラフトで、あってるかしら?」
「お、おお……俺を知っているのか?」
「ええ、貴方達ラスターが昇格試験を受ける時、ワタクシも一緒にいましたもの」
「そ、そうなのか!?」
正直あの時は周りを見る余裕が無かった。
こんなインパクトのある見た目なら普通は忘れないだろう。
「記憶にない? それは残念ですわね」
このお嬢様口調、なんとなくエアを連想させるな……
「すまんな……名前を聞けば思い出すかもしれない」
「あっ、申し遅れてしまいましたわね。私は白金級冒険者、リリー。 リリー・マルレーンよ」
「リリー? 白金級ッ?!」
「きゃっ!? どうしましたの?! 突然大声を出して」
「なるほど……どうも既視感があると思った。 それはマルレーン家の鎧だったのか」
「なっ! この鎧を知っていますの? 私は既に家を捨てた身ではあるのだけれど……」
「知っている。 というか君宛に言伝を頼まれてたんだが……まさかこんなところで会うとはな」
「言伝? それはなんですの?」
いきなり、君の親父は死んだなどといって大丈夫なものだろうか?
「ど、どうしましたの?」
「いや、言い辛い話なんだが……聞くならそれなりの覚悟をしてくれ」
「ええ……なんなんですの……」
当然こういう反応になるが。
「冒険者狩りって、知ってるか?」
「ええ、主にリベルタスで依頼を受けた冒険者が行方不明になるって事件……ま、まさか……ワタクシの家が絡んでいたとか……?」
「鋭いな……厳密には君の父親、ケルゲー伯爵に取り憑いていた
「グレーターデーモン!? それじゃあ父はもう……」
「俺も奴らに襲われてな……あと1歩の所まで巻き返したんだが……逃げられてしまった」
「そう……それは災難でしたわね……ワタクシが家出なんてしなければ、こんなことには……」
そう言ってリリーは声を震わせながら、両膝をついて胸の前で指を組んだ。
「うぅ……申し訳……ありませんでした……」
「よせよせよせ! そういうつもりで言ったんじゃない!」
リリーは俺の言葉など耳に入っていないのか、1人独白を始める。
「思えば、ワタクシは自分を認めさせる事しか考えてなかった……お父様の気持ちなど、何も考えずに家をほっぽり出して……きっとお父様は、その心の隙を悪魔に付け込まれたのでしょう」
「真偽はわからん。 だが起こってしまった事は仕方ない……問題はこれからどうするか、だろう?」
そう言うと、リリーは少し気を持ち直したように見えた。
如何せん、鎧を纏っているせいで心情を声音だけで判断せざるを得ない。
「その通りですわね……ありがとう、ラルゴ」
「無理するな、泣きたきゃ泣けばいい」
「もう大丈夫……それで、言伝って?」
「ああ、あんたに戻ってきてもらいたいんだとよ。 執事のジルバさんからの言伝だ」
「爺から!? 爺は無事ですの?!」
「幸いな、今は屋敷で捕虜達の面倒を見てもらってる」
「そうですか……でも、今の私に家に戻る資格なんて」
「むしろ白金級になったんだ、胸を張っていいと思うぞ」
「そう……ですわね……。 言伝の件、承知いたしましたわ」
「ああ、しっかり伝えたぞ」
後は、リリーが自分の気持ちに折り合いを付けるだけだな。
執事の頼みは無事に達成したと言っていいだろう。
「おねえちゃん、わたしもこれくらい欲しいな」
「そうですか? わたしはウルさんのも魅力的だと思いますけど……」
「お前たち、何の話をしているんだ?」
ふと横を見ると、ウルとマーシアは羨ましそうにハーピーの胸を揉んで遊んでいる。
「……」
ここまでのシリアスな雰囲気がぶっ壊された気分だ。
「ウルさんにはウルさんの良さがあるんです。 ウルさんのその胸は、他の誰にも真似できないものなんですから」
「おねえちゃん、あんまり嬉しくない」
「マーシア、人が真面目に話してる横でお乳談義するのはやめてくれないか?」
「ごめんなさいラルゴさん。 でも、あなたが意地悪するのが悪いんですよ?」
意地悪……?
宿で俺何かしたのかな……
「ねぇ、ちょっといいかしら?」
「なんだリリー」
「今、マーシアって言いましたわよね?」
「いや……」
リリーがそう口走った瞬間、マーシアはこちらを見て笑みを零した。
どういう意味だ?
俺の失態を笑っているのか!?
「気のせいだリリー。 この娘はマ……マミーシアだ。 でこっちの子はウル……」
精精誤魔化してこれが精一杯……我ながら苦しいが。
「ウルです」
「マミーシアです♡」
二人はリリーにぺこりと頭を下げた。
「え、ええ……失礼しましたわね。 ワタクシはリリー、よろしくお願いしますの」
リリーはそう言って立ち尽くしている。
兜のせいで表情がわからないので、なんというか圧が凄い。
「それで、貴方達はこんなところで何をしているのかしら?」
(え? 今ので誤魔化せたのか? ……それでいいの?)
「あ、ああ……聖女を探しに……」
「なるほど、貴方もここに目をつけましたのね」
本当はすぐ横にいるんだが……
「それなら、しばらく同行しても構わないかしら?」
「えぇ……他のメンバーはどうすんだ?」
「他のメンバー? ワタクシはソロPTですわよ」
「え……ソロ?」
まさかこのお嬢様、白金までソロで上がったというのか?
昇格試験で白金級4人を相手に認めさせるだけの実力ってこと?
というかあの試験、ソロで受ける奴とかいたのかよ……どんな化け物だよ……
「あ、ああ~……」
「ラルゴ、ワタクシが一緒だと何か都合が悪くて?」
「いや、そんなことはない! そんなことはないぞ!」
ウルとマーシアは既に歓迎ムードだった。
俺としても、ソロ白金冒険者の生態を傍で観察したいという興味はある。
ただ、マーシアの事を隠しきれるかどうか、それだけが心配だ。
「よろしく!」
「よろしくお願いしますね♡」
ええい、ままよ。
その時はその時考えればいいだろう。
「よろしくな、リリー!」
「ええ、よろしく。 ラルゴ」
そう言って俺とリリーは握手を交わす。
その瞬間……
「う、ぅ~ん……」
不意にハーピー達が目を覚ました。
「あれぇ、私達、何してたんだっけ?」
「くらくらする~」
「うわ、人がいっぱいいる!」
ハーピー達は起き上がった瞬間、目を丸くして臨戦態勢を取った。
「待て待て待て! 俺は操られてたお前達を元に戻しただけだ」
「操られた? 何言ってるの?」
「いやでも、そんなことがあったような、なかったような……」
「う~ん、そうだったっけ?」
鳥頭っぽいな……とりあえず自己紹介だけでも済ましておくか。
「俺はラルゴ、エルプルの山頂を目指してる金級冒険者だ」
すると、ハーピー達は示し合わせたように陣形を組んで、名乗りを上げ始めた。
「長女、黄羽のアエロ!」
「次女、白羽のオキュペテー!」
「三女、青羽のケライノー……」
「3人揃って、エルプルハーピーズ!!」
きっと何度も練習したのであろう、妙に息の合った自己紹介だ。
「ご丁寧にどうも……」
そう言うと、黄羽のハーピー、アエロが叫んだ。
「あれ、あんたよく見たら雄じゃない!」
「え……ほんとだ!」
「わーーーい!」
そのまま勢い良く飛び込んできたハーピー達が、俺に丸出しの胸を押し当ててくる。
「ねぇねぇ、しよーよしよーよ♡」
「誰が一番好み~? 私? 私だよね!?」
「末っ子も……いいものかもよ」
「はぁ? いきなり何言ってるんだお前ら?」
見かねたリリーがハーピー達を追い払う。
「ラルゴ! はしたないですわよ!」
「いや……俺?」
ハーピー達は、割って入ってきたリリーにご立腹だった。
「もう、何よあんた! 女は引っ込んでなさいよ!」
「バーカバーカ!」
「彼氏が取られて……悔しいの?」
――ゴチン!
リリーの拳骨が炸裂し、ハーピー達がへたりこむ。
「きゅぅう……」
「まだ、やるかしら?」
リリーはふんぞり返りながらハーピー達を見下している。
「うう……でも……したい!」
「こんなの横暴よ、亜人差別よ!」
「本気出せばあんたなんかねぇ!」
「おいおい物騒だぞ、元に戻ったんだからこれ以上争いごとを増やすんじゃない」
――グルルゥ!!
ふと、ウルが唸り声をあげたかと思うと、ハーピー達は借りてきた猫のように大人しくなった。
「な、何をしましたの?」
「わかりあった」
「いや、全然わからん……」
俺たちが困惑していると、マーシアが得意げに口を開いた。
「亜人には時折、
「なるほど、だからラグナレクとも会話が成り立つのか……そうだ、エアについて何か情報を引き出せないか?」
「聞いてみる。 うー……」
すると、ハーピー達は一斉に口を開いた。
「そのエアって人の事はよくわからないけど~、山頂の方からすっごい魔力感じるー」
「ちょっと怖くて近づけないかな……」
「貴方達、まさか上に登る気?」
山頂に魔力を感じるということは、エアがいると見て間違いないだろう。
「あ、そうだ。 シムルグ様見なかった?」
「マ……ミーシアが言ってた、ハーピークィーンか。 生憎、見かけたハーピーはお前たちだけだ」
白羽のハーピーは俺の言葉など構わず畳み掛けてくる。
「シムルグ様は私達のボスだよ! すっごいおっきくて、翼が4枚もあるんだよ!」
「いや話聞けよ、いなかったって言ってんだろ!」
語尾を強める事でやっと大人しくなった。
恐らく白いのが一番アホの子の可能性が高い。
「なんだー、変なのー」
「何処行っちゃったんだろねー」
「恐らく、そのシムルグってのも操られてる可能性が高いな……姿が見えないからどうしょうもないが」
「困りましたね……何処へ行ってしまったのでしょう……」
そんな話をしていると、リリーがまたも割り込んできた。
「まあ、話はこのへんにして、そろそろ先を急ぎませんこと?」
「そうだな。 だが……」
先を進もうにも、ここから先の傾斜は更に激しく、まともに登るのは骨が折れそうだ。
すると、そんな俺の胸中を察したのか、黄羽のハーピー、アエロが俺に話しかけてくる。
「ねぇねぇ、上まで運んでいってあげよっか?」
「本当か!? 助かる!」
「でもー、条件があるのー♡」
この流れ……大体察した。
「ラルゴ……あなたもしや……」
「正直、安全面とか苦労だとか考えたら運んでもらうのが一番いいと思うんだ……」
「貴方、そんな事言ってるけど本当は……」
「違う! これは皆の為だ! 誰も損しない!」
山羊兜は黙って俺を見つめているが、きっとその中は呆れ顔なんだろう。
俺はマーシアとウルを見た。
「私は、あなたを縛るつもりはありませんよ」
「すきにすれば」
反応が冷たい、そりゃそうか。
「わかった、条件を聞こうか」
青羽のハーピー、ケライノーが答える。
「私達3人を、満足させること……」
「はい」
鳥頭の考えなんて読めている。
それなら精々、気持ちよくさせてもらおうじゃないか。
「やったー! 交渉成立!」
「ああ……まさか、ここでやるわけじゃないよな?」
「勿論、お家まで連れ帰るよー。 もしかして、今すぐしたかった!?」
リリー達が俺を睨んでいる気がした。
「ここじゃ嫌です……」
「そっか! それじゃいこっか!」
突然アエロの鷲のような両足が俺の肩を掴み、身体が宙に持ち上げられる。
「うおっ……」
「それじゃ出発ー!」
そして、みるみるうちに3人の姿が小さくなっていく。
俺は見上げる3人に手を振りながら叫んだ。
「待ってろ皆! すぐ戻るからな!!」
そして、アエロは二人の姉妹を伴って、夜闇を斬りながら羽ばたいていく。
「今夜は寝かさないよー!」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
残されたマーシア達は、静かにへたりこんだ。
「おいてかれちゃった……」
「私も行きたかったです……」
「貴方達、なんでそんなに残念そうな顔をしているの?!」
リリーの問いかけに、マーシアは静かに答える。
「いえ、こちらの話です……」
「おにいちゃんが戻ってくるまで、わたしたちどうすればいいの?」
「とりあえず、今は休むしかありませんわね……貴方達、そんな格好で寒くは無いの?」
「魔法であったまってるからだいじょうぶ……」
「そう……」
そう言って、3人は何も無い山肌に横になった。
――「星が……綺麗ですね……」
会話(特にHシーン)の♡マークについて
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絶対いる。 今後も続けて欲しい。
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あったほうがいい。
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ないほうがいい。
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絶対いらない。 今までのも修正しろ。
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どっちでもいい