脅威の吸収冒険者 ~ラルゴの這い上がり珍道中~ 作:ターキン
――山頂に向かって加速するケライノー、その眼前に先立ったオキュペテーの姿を捉えた。
「お姉ちゃん、お先!」
「あっ、ちょ! ケライノー! 待ってー!!」
マーシアに持たせた荷物の影響か、オキュペテーの飛ぶ速度はあまり芳しくない。
「ラルゴさーん!」
「先に行って待ってるぞ!」
「もー!」
そして、マーシア達が見えなくなったかと思うと、今度はアエロ達の姿が見えてきた。
ケライノーは懸命に羽ばたくアエロに併走する。
「追いついちゃった」
「えっ、ケライノー!? いくらなんでも速すぎない!?」
すると、アエロに捕まれているリリーがぶーたれてきた。
「ちょっとラルゴ! 貴方ばっかりずるいですわよ!」
「ずるい?」
「貴方、先に聖女を見つけて報酬を独り占めにするつもりですわね?」
「あぁ……」
今のリリーには俺がそういう奴に映っているのか……
目的の人物なら下でオキュペテーが運んでいるぞ、とは口が滑っても言えないが、
「ぅぅぅ……高いの怖い……」
「ウル、寒くはないけど……スースーする」
「そうか……それじゃお三方、先に行って待ってるぞ。 ケライノー!」
「はい!」
そうしてケライノーが加速すると、アエロ達の影が小さくなっていく。
「こらー! 足並みを揃えなさーい!」
遠くでリリーが叫ぶ声が聞こえるが、そうもいかない。
こうしてる間にも、エアは俺の事を待っているのだから……多分。
――そうしてケライノーに運ばれる事数十分、ついに山頂が見えてきた。
しかしもう頂上付近だと言うのに、えらい広いな……これじゃエアを探すのも一苦労だ。
「ケライノー、もう少し高度を上げてくれるか」
「わかった」
そう言ってケライノーは山頂を見下ろせる程の高度まで舞い上がった。
「うっひゃー壮観だなー」
眼下にはエルプルの山肌どころか、遥か遠くに広がる地平線が夜空に照らし出されている。
「綺麗でしょ、この景色」
「ああ……素晴らしいな……」
景観にうっとりしていると、視線の先に影を見つけた。
三日月角に薄緑の髪、エアで間違いない。
だが、傍に見知らぬ人物が2人も立っている。
「誰かいるね。 なんか、只者じゃない雰囲気……」
いきなりエアの前に姿を現してやろうと思ったが、あの2人が気になるな……
「ケライノー! あの付近の山肌に下ろしてくれ」
「うん、わかった」
そう言ってケライノーは、ゆっくりと山肌の陰に着地した。
「ありがとな、ここから先は1人で大丈夫だ」
「でも……」
ケライノーは心配そうに俺を見つめてくる。
「困ったら使わせてもらうさ、この笛をな!」
「うん……わかった!」
そう言うと、ケライノーは夜空の彼方へ飛び立っていった。
さーて、リリー達はいつ到着するのやら……
俺はゆっくりと山を登り、岩肌の陰からそっと顔を覗かせた。
先程の見立てどおり、開けた山肌の上には3つの影……。
エアの前には、謎の人物が二人……両方とも白地に金の鎧と法衣を纏っている。
片方は赤い髪の女で……もう片方は、頭に牛角の生えた、縦スリットの入った兜を被っている。
そして、かなりデカい……俺よりも二周りくらいデカい。
その両手には馬鹿でかい白金色の大槌と大盾を持っている。
「くどいですわね!」
陰から観察を続けていると、エアの怒鳴り声が耳に響いてきた。
「ワタクシ達に侵略する意思は無いと、何度言ったらわかりますの!?」
あんなに声を荒げるエアは初めて見たな。
あの二人、一体何をしたんだ?
「ならば問おう。 聖女が身につけていた筈の聖鎧の破片が、何故こんなところで見つかるのだ」
あいつら、マーシアの関係者か?
どうする? 遅かれ早かれ、鉢合うのは時間の問題だが……
「仕掛けてきたのはそちらでしてよ?! ワタクシはただ、自己防衛の権利を行使したに過ぎませんわ」
「そうか。 では
「存じませんわね。 ワタクシがここに戻った時には既に無かったですの。 貴方達が回収したのではなくて?」
「そんな報告は受けていない。 貴殿が仲間に横流ししたのだろう?」
「言いがかりも甚だしいですわね。 ワタクシは単独でこちらに来ましたのよ? 仲間なんて……」
エアはそう言って、視線を落とした。
「何故そこで口篭もる。 何かやましい事があるのではないか?」
「いえ……仲間と呼べるのは、この地で出会った冒険者が1人だけ……ただそれだけですわ」
「魔族に心を開く冒険者か……そんな恐れ知らずな者がいるとは、考え難いが」
「ワタクシもそう思っておりましたわ……でも、本当にいましたの」
「なるほどな。 で、その冒険者とやらは何処にいる?」
「わかりませんわ……でも、いつかはここに来てくれる筈ですの」
「ほう、ならばその者に話を聞くとしよう」
そう言って牛兜はその場にあぐらをかいた。
「ちょっとバラン、あんた何考えてんの?」
「
「仮にそうだとしてもよ? その冒険者とやらが来るのは何時になるわけ? まさかそれまでずっとここにいるつもり?」
「そうだが」
「はぁ……馬鹿じゃないの? 付き合ってらんないわ」
そう言って赤髪の女は、ずかずかとエアへ詰め寄っていく。
「やい! エアとか言ったわね? ごちゃごちゃ言ってないで、証拠を見せなさいよ!」
「証拠も何も……ワタクシがここから動かないのが証拠じゃいけませんこと?」
「いいわけないでしょ! たまたまここが封印の影響が薄いだけで、制約さえなければすぐに人里まで降りて悪さするに決まってるわ!」
「だから……この世界への侵略が魔族の総意ではないと、何度も言っているでしょう?」
「そんなデマカセ、頭ごなしに信じるお人好しなんてこいつくらいよ。 アンタ達が過去に何をしたのか、忘れたわけじゃないわよね?」
「それは一部の魔族が勝手にやったことですわ」
「呆れた…… そうやって他人のせいにしてれば気が楽でしょうね」
「だってその通りですもの。 現にワタクシは、この世界で悪さをする
「証拠は? 口だけならいくらでも言えるわよ!」
「それは先程言った冒険者が、証人になってくれますわ」
「クーラ、その冒険者とやらの到着を待とうではないか」
「アンタは黙ってなさい!」
「ぬぅ……」
そうクーラと呼ばれた赤髪の女が叫ぶと、牛兜は押し黙った。
「わかったわ、そうやって時間稼ぎして、アタシ達をこの場に押し留めるのが狙いね? 悪いけど、そうはいかないんだから」
赤髪の女は、腰に挿していた2本の双剣を手にした。
「よせクーラ! そのような手段をとっては奴らと同じ……穏便に解決する策を模索しないことには」
「じゃあどうしろっていうのよ? 悪いけど、何時来るかもわからない冒険者の為に何日もこんな所に留まるつもりはないわよ?」
「なら某だけでいい」
「そういう問題じゃないわよ。 アンタ聖騎士の自覚あるわけ? こうしてる間にも、魔族に苦しめられてる人達がたくさんいるんだから! アタシ達が動かないでどうするのよ!」
「だからこそ、その騒乱の種を産む魔族を誅する為にワタクシは……」
「それでやったことが聖女の抹殺と封印の妨害? とんだお笑い草だわ」
「ですから! それは正当防衛だと……それに、ワタクシは聖女を殺めてなどおりませんわ!」
「はぁ……もーいいわよね? 話すだけ無駄よ、さっさと消しちゃいましょこんな奴」
「クーラ、それはよくない」
「アンタがそんな甘い事ばっかり言ってるからつけ上がるのよ! さあ、決着をつけましょう」
「クーラ!」
「アンタがやらないなら、アタシ1人でやる! そこで黙って見てなさい!」
「ぬぅ……」
不味いぞ、赤髪の女は完全にやる気だ。
「所詮は人間……魔族と人類の共存など、夢のまた夢ですのね……」
ああ……エアも完全にやる気だ。
「お姉様……結局ワタクシには何も成し遂げられないのでしょうか……」
「さあ、いくわよ魔族エア! 覚悟しなさい!!」
「ちょっと待ったー!」
たまらず名乗り出てしまった。
「ラルゴ!?」
「な、なによこのハゲ」
「もしや、この者が!?」
3人の視線が俺に集まる。
「待たせたな、エア!」
「ああ、ラルゴ……本当に来てくれるなんて……」
――シュンッ!
エアの姿が一瞬眩んだかと思うと、突然目の前に現れた。
「うおっ、速」
「ああラルゴ……こんなに早く来てくれるなんて……」
そう言ってエアは俺の胸に飛び込んでくる。
そして、すんすんと鼻を鳴らした。
「なんですの……この臭い……」
「おい待て、今はそれどころじゃないだろ?!」
ふと目の前に、牛兜の巨躯が立ち塞がった。
「この者が……貴殿の言っていた冒険者か」
「へぇー、本当にいたなんてね」
「ああそうだ! 俺はラルゴ、話は聞かせてもらったぞ!」
「何? アンタ盗み聞きしてたわけ?」
「……」
……とりあえず赤髪の女は無視だ。
「……エアが上級悪魔を倒したという話は本当だ! 目の前で見たからな!」
「アンタ何誤魔化して――」
「ほう……詳しく聞かせてもらおうか?」
牛兜が興味深そうに耳を傾けてきた。
「良いだろう、俺がエアの潔白を証明してやる」
――そうして、俺はマルレーン領で起きた一連の事件の話を仔細に伝えた。
「ほう……まさかリベルタスでそんな事があったとは……」
「確かにね。 そんなチマチマやられたらアタシ達の情報網に引っかからない筈だわ。 でも、そういう事件を摘発する為にアンタ達冒険者ギルドがあるのよ、わかってる?」
その為に冒険者ギルドがあるのか……違くないか?
「現に、事件は収束しましたわ。 これでワタクシの言い分も少しは信じていただけたら嬉しいのですけれど」
「ふん、少しは信じてあげるわよ。 それにしても……ラルゴとか言ったわね?」
「ああ……?」
「微かだったから今まで気づかなかったけど、どうしてアンタから聖女の気配がするのかしら?」
「???」
こいつら、マーシアの臭いでも覚えているのか?
「惚けたって無駄よ、答えなさい!」
「なんでって言われても……保護したの俺だし」
エアがマーシアの身体を使ってたって話は……しないほうが良さそうだな。
「どういうこと? 詳しく聞かせなさ――」
――ビュウウ!!
上空から羽音が響いたかと思うと、ウルを抱えたリリーがふわふわと降下してきた。
「何……騎士と……狼の亜人……?」
「おねえちゃん!」
ウルがすかさずエアに抱きつく。
「ウル!? 少し見ぬ間に、随分立派になりましたわね!」
「えへへ」
その様子を見ていると、リリーが俺にずかずかと詰め寄ってきた。
「ラルゴ! やっと追いつきましたわよ! 貴方達こんな所で何を……」
ふとリリーが赤髪の女と牛兜に目をやった瞬間、言葉を失った。
「アスピラの……聖騎士!?」
「そうよ、何か文句あるわけ?」
「な、無いですわ……」
あのリリーが萎縮している。
こいつら、そんな凄い存在なのか?
ふと赤髪の女も俺に詰め寄ってきた。
「何なのこいつら? アンタの仲間?」
「ああ、そうだが……」
「ふーん、賑やかそうね。 で、聖女は何処? 保護したのなら知ってるでしょ?」
「おい、バカ――」
さっきまで萎縮してた筈のリリーの視線が俺に突き刺さった。
「ラルゴ? どういうことですの?」
「ええとだなぁ……それは……」
不味いな、この分だと……
「アンタ! 聞いてるの?!」
「ラルゴ! 聞いていますの!?」
ふと視線の先に危なげに空を駆けるハーピーの姿が映った。
「すまんリリー。 実は……ずっと一緒にいたんだ」
「どういう……ことですの?」
「む! この気配は!」
ふと牛兜が何かを感じて視線を移す。
そして、上に浮かぶハーピーの足先から、ゆっくりと1つの影が落ちてきた。
「あの馬鹿鳥! なんてところで離してやがる!」
慌てて俺はマーシアの着地点まで急行し……
――ドスンッ!
「ぐおおっ……」
大荷物を背負ったマーシアをギリギリで受け止めた。
「きゃあっ……ラルゴさん♡ どうしたんですか、そんな汗びっしょりで」
俺はゆっくりと振り返る。
視線の先には、2人の聖騎士と山羊頭の騎士(?)が立ち塞がっている。
「バランに……クーラ!」
マーシアはゆっくりと地面に降り立つと、2人の聖騎士を見て驚愕の表情を浮かべた。
「よもや……冒険者と一緒にいたとは……」
「無事みたいね、マーシア。 探したわよ」
すると、マーシアは俺の背中に隠れて叫んだ。
「嫌です! 私は帰りませんよ!」
「マーシア、何を言って……っ!?」
「アンタ、加護はどうしたの!?」
「……」
二人の聖騎士の視線が、こちらに移る。
「なるほど、そういうことね……」
「詳しく聞かせてもらおうか、冒険者ラルゴ」
「言い訳はしない……察しの通りだ」
「アンタ……」
すると、牛兜が俺の目の前に乗り出してきた。
「ラルゴ、貴殿が犯した罪……わからないとは言うまいな?」
「ああ……」
「よかろう。 ならばその覚悟、某に示してみせよ」
「ラルゴさん! 駄目! 敵うわけない!」
「アンタは黙ってなさい」
そう言って牛兜は手にした大槌と大盾を地面に投げ捨てた。
「何の真似だ?」
「安心しろ、武器は使わぬ。 貴殿の身体に、直接聞かせてもらいたいからな」
「そういうことなら、俺だって」
俺は背中に背負った
「その意気や良し……皆の者、離れておれ。 巻き込んでしまうやもしれぬ」
そう言って、牛兜の言われるままエア達は距離を離した。
「ラルゴさん!」
「安心しろマーシア! 俺だって強くなってる筈だ! 簡単にやられはしない!」
「某はバラン。 アスピラの聖騎士が1人、いざ、推して参る!」
――ダッ!
言葉と同時に、牛兜……バランが駆け出した。
まるで岩山が押し寄せてくるような、とてつもない威圧感だ。
そして目を見張るのはその速さ……全身甲冑だというのに、まるで山の上を滑るような速さでこちらに近づいてくる。
「――エンチャントファイア!」
身体能力向上……迎え撃つ準備は万全……
「ぬあああ!!」
間合いに入った!
「ウオオォオ!
――ズンッ!
奴のどてっぱらに俺の炎を纏った拳が突き刺さる。
「なっ……!?」
なんつー頑丈さだ……効いていないのか――
「――うっ!?」
突然、凄まじい眩暈が押し寄せてきた。
底知れない魔力を前にして、あいつが反応しているのか?
「どうした? 某はまだ何もしとらぬぞ?」
「まだまだぁ!!」
俺は燃えるような意識を振り払いながら、連続で拳を叩き込む。
――ガン! ガン! ガン!
「ウォォオオ!!」
野朗……渾身の力を叩き込んでるはずなのに……ノーガードで直立したまま受け止めてやがる。
「……この程度か? ではこちらもいかせてもらおう……」
バランの右の拳に、白い魔力が宿っていく。
「……!」
そして、バランの手が一瞬ぶれたかと思うと――
「
腹が捻じ切れるような衝撃と共に、俺は宙に放り出された。
「ラ、ラルゴッッッ」
俺はそのまま崖っぷちに叩き付けられた。
「ぐっはぁ……」
なんて馬鹿力だ……あまりの激痛に呼吸すらままならない。
そんな中、遠くからゆっくりと近づいてくるバランが見える。
「この程度では、聖女を預けるわけにはいかんな」
それは、マーシアを連れ帰るということか?
あいつがせっかく自由を掴んだというのに……俺が不甲斐ないせいで?
――ガシッ!
バランの巨腕が俺の頭を掴んだかと思うと、そのまま身体ごと持ち上げられた。
「ぐああ……」
「どうした? これで終わりなのか?」
嫌だ……
俺はあいつを……離したくない……
力が欲しい……こいつを認めさせるだけの力を……
――こんなところで、終わらせたくない!
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
――バランが掴んだラルゴの頭が、突然大きく燃え上がった。
「ウォォオオオアアア!!」
「な、何だっ!?」
突然ラルゴに生じた変化に、バランはたまらずその手を離す。
「何だこの魔力は? 何が起こったというのだ!?」
そして、地面に降り立ったラルゴがすかさずバランの腹に右腕を突きたてた。
「ぬぅぅ!?」
あまりの衝撃に、バランの身体が立ったまま山肌をスライドしていく。
「何なのアイツ……あんなの……人間じゃない!」
クーラ達の視線の先には、頭部から激しい炎を立ち上らせるラルゴの姿がある。
その全身は黒化し、凄まじい魔力を放っていた。
――シュン!
そして、一瞬ラルゴの姿が消えたかと思うと……
「ぬぅ!!」
バランの胸にラルゴの鋭い蹴りが叩き込まれている。
「中々やるではないか……だが!」
そう言ってバランが姿勢を整えると、再びラルゴ目掛けて走り出した。
対するラルゴも、目の前の標的目掛けて大きく加速を付けていく。
「ふぅううぅん!!」
「ウォォオオア!!」
――ガンッ!!
凄まじい勢いでぶつかり合う二人。
しかし、宙に放り出されたのはラルゴの方であった。
「グアァッ!」
再び地面へと叩きつけられる。
「マダ……」
しかし、またも立ち上がる。
「終ワラセタクナイ……」
そして、再びバラン目掛けて駆け出していく。
「ぬぅ……
――ドガッ!
そして、またも地面へと叩きつけられる。
「マダダ……」
だが、ラルゴは何度でも立ち上がる。
「終ワラセナイ……」
「駄目だ……貴殿ではマーシアを守れぬ」
――ドッ!
何度叩き伏せようとも、その度にラルゴは立ち上がる。
「マダダ……」
「ぬぅ……どこにそんな余力が……」
――ゴッ!
再びバランの腹にラルゴの腕が突きたてられる。
「ぬぅ……」
しかし、最早バランが揺らぐ事はなかった。
「見苦しいぞ……冒険者!」
「オレハ……マダ……」
その様子を皆が見守りながら立ち尽くす中、不意にマーシアが両手に魔力を込めた。
「ちょっ、マーシア!」
「――
――ガキィン!
不意に空間から現れた輝く鎖が、バランの身体に絡みついた。
「ぬぅ!? なんの真似だマーシア」
「もう……やめてください……私は……この人と一緒にいたいんです!」
そう涙を流しながら嘆願するマーシアを、クーラは止めようとはしなかった。
「マーシア……何故だ!」
「ラルゴさんは私に自由をくれた……私を認めてくれた、初めての人なんです!」
「だが! この男では貴殿を守ることはできぬ!」
「それでも! こんなになるまで私の為に戦ってくれています! 使命を押し付けるだけの貴方達とは違う!」
「ぬぅ……そんなつもりでは!」
「何も違いません! 貴方達に、心を殺された私の何がわかるというのですか!」
マーシアは、目の前のバランにはっきりと告げた。
「そうか……すまなかったな……」
バランはそう静かに呟くと、ゆっくりと身を翻した。
「帰るぞ……クーラ」
そして、そのまま静かに山を下りていく。
「えっ? ちょ、ちょっとバラン! 待ちなさーい!」
やがて、二人の聖騎士は一行の前から完全に姿を消した。
「ウゥ……ォァア!」
だが、ラルゴは未だ戦い続けようと歩を進め続けている。
「終わりましたよ……もういいんです……ラルゴさん……」
そう言って、マーシアはラルゴの背中にそっと抱きついた。
「オ……ワッ……タ?」
言葉と共に、ラルゴを覆っていた魔力の渦が収まり、そのまま静かに倒れる。
「ラルゴ!」
「おにいちゃん!」
――そして、マーシアに抱えられながら、ラルゴはゆっくりと目を覚ました。
「マーシア……」
「ありがとうございます……ラルゴさん……」
「すまないマーシア……俺だけじゃ、あいつを認めさせることができなかった……」
「いいんです……」
そう言って、マーシアは静かに涙を零す。
「俺、もっと強くなりたいよ……」
「なれますよ……あなたなら」
「ああ……ありがとう」
ふとラルゴが視線を上げると、そこにはウルとリリー、そしてエアの姿があった。
「ラルゴ、立派になりましたわね……」
「エア……」
「待っていましたわよ、ラルゴ」
エアは倒れたラルゴに、静かに手を差し伸べる。
「ああ……遅くなったな……迎えにきたよ」
――ラルゴは静かに微笑むと、差し出されたその手を取った。
会話(特にHシーン)の♡マークについて
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絶対いる。 今後も続けて欲しい。
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あったほうがいい。
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ないほうがいい。
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絶対いらない。 今までのも修正しろ。
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どっちでもいい