脅威の吸収冒険者 ~ラルゴの這い上がり珍道中~ 作:ターキン
――蒼月が照らし出す霊峰エルプルの山頂
エアは倒れた俺を引っ張り起こすと、静かに微笑んだ。
「ラルゴ……驚きましたわ、まさかこんなに早く来てくれるなんて」
「ほんと、急いで来て良かったぜ。 あと少し遅かったら、お前あの聖騎士とやりあってただろ?」
「それは……まぁそうかもしれませんわね。 それにしても……」
そう言うとエアは、マーシア、ウル、リリーの顔を順番に見直していく。
「随分と、賑やかになりましたわね」
「驚いただろ? 俺もまさか、こんな良い仲間に恵まれるとは思わなかったよ」
「まあ、ラルゴさんったら……♡」
すると、リリーが静かに口を開いた。
「ラルゴ、この方は……?」
「ああ、そういえば説明してなかったな。 彼女はエア。 例の上級悪魔は、厳密には俺じゃなくて、彼女が倒したんだ」
「……っ!」
「でも、最後の最後で逃げられてしまいましたわ……それで、貴方は?」
すると、リリーは突然畏まった態度で答えた。
「失礼しました! ワタクシはリリー・マルレーン。 マルレーン伯爵の1人娘です」
「マルレーン? ということは、あの伯爵の……」
そう言ってエアは、困ったように視線を落とした。
「どうかお気になさらないでください、エア様」
「で、でも……ワタクシは貴方の父を手に掛けようと……」
「ラルゴからその話は聞いています。 悪魔に取り憑かれた父を止めてくれたんですわよね?」
「ええ……まあ……」
「ありがとうございます……ただそれだけ、伝えたかっただけですわ」
「そう……貴方の気持ち、受け取っておきますわね……」
何だか微妙な雰囲気だが、やっぱリリーの奴、踏ん切りが付いていなかったんだな。
まあ、一朝一夕で拭い去れるものでもないしな……後は時間が解決してくれることを祈ろう。
「エア、ちょっと良いか?」
「な、何ですの?」
「なんだってわざわざ、こんな面倒臭いところに呼び出したんだ?」
「ああ……ごめんなさいラルゴ。 あの場所から一番近くて魔素の濃い場所と言ったら、ここしか思い浮かばなかったんですの」
「やっぱそんな理由か。 さっきの奴らが言ってた、この世界の封印ってのと関係があるのか?」
「ラルゴさん、それについては私が説明します」
そう言って、マーシアが俺の前に立った。
「貴方……マーシアと言ったかしら? 大事ないようでなによりですわ」
「はい、エアさん。 おかげさまで……」
マーシアはそう言って、静かにエアに礼をする。
「それは、皮肉で言っているのかしら?」
「いえ、そんなつもりじゃ……貴方に敗れてから私は、目を覚ますことができたのです。 偶然とはいえ、このような機会を与えてもらって……貴方には感謝しかありません」
そう告げられたエアは、何ともいえない表情を浮かべた。
「ワタクシがした事は、貴方の仲間達にとって看過出来ない事の様に感じたけれど……」
「それは彼らの都合です、今の私には関係ありません」
「でもそれじゃ……」
「いいんです、貴方が気に病む必要はありませんので」
「そう……ならいいのですけれど……」
正直、この二人を会わせるのは心配だったが……どうやら杞憂だったみたいだな。
「ところでマーシア、封印ってのは?」
「そうでした。 長い話になりますのでよく聞いてくださいね」
そう言って、マーシアはゆっくりと言葉を紡ぎだした。
「かつてこの大陸……ミドラシアで大きな戦争がありました。 それは、人類に対して魔族が侵略を始めたのが発端だと言われています。 そして、魔族の圧倒的な力を前に、人類は為す術も無く蹂躙されました。 多くの国は滅び、たくさんの血が流され、人類はここまま絶滅させられるかのように思われました」
「うー……魔族こわい……」
「ただ、そこで人類は終わりませんでした。 絶滅の危機に瀕した人類の前に、救世主が現れたのです」
マーシアの口調が、段々と流暢になっていく。
「それこそが、勇者と12人の使徒と言われる存在です。 彼らの活躍によって、人類は絶望的な戦況を覆しました」
「すごい!」
話を聞くウルは1人興奮している。
「そして長い戦いの果て、遂に戦争の元凶たる魔神を討ち、魔族達を異世界へ追放する事に成功したのです」
「魔族丸ごと追放か……すげぇスケールの話だ」
「そして、魔族との戦争に勝利した際、勇者の一行がこの世界に施したのが封印です。 異世界に追放した魔族達が、またこちらの世界へ戻ってこれないよう、世界各地に魔素を分解する領域を形成したと言われています」
「しかし、勇者達の封印も完璧ではありませんでした。 この霊峰エルプルのような魔素の濃い場所は封印の影響が薄く、パラレリアと繋がる
「なるほど……」
「それだけではありません。 月に1度起こる
「だからあの時、エアは全力を出せたのか……」
「そういうことですわね」
「そして私達聖女は、
「なるほどな……その祭具を失った事に対して、エアは聖騎士達に責任を問われていたってわけか」
「あなた、一体どこから話を聞いていましたの? まあ、その通りなのですけれど……その祭具の行方はワタクシにはもうわからないですわ……」
「過ぎた事は仕方ない、問題はこれからどうするかだ」
「ええ……そうですわね……」
「ありがとうマーシア、封印について良くわかったよ」
「いえ、ご清聴頂きありがとうございました。 それで、エアさん……」
「何ですの?」
「よろしければ、パラレリアについて、聞かせてもらえませんか?」
「……わかりましたわ。 ワタクシの知ってる範囲で、お話しますの」
そう言うと、エアはゆっくりと言葉を紡ぎだした。
「パラレリアには、大きく分けて3つの階層がありますの」
「階層?」
「ええ。 その1つが
「魔物っていうと、ゴブリンとかオークとかか? あいつらがパラレリアの出身だと言うのなら、封印のせいで活動できないんじゃないか?」
「いいえラルゴさん、封印の力が作用するのは一定以上の強い魔力を持つ魔族だけ……オークなどはそれに該当しない可能性が高いです。 それに、今ではミドラシアで生まれた魔物の数も少なくはありません」
「人間を使って繁殖する魔物も少なからずいるからな……あまり考えたくはないが」
そう俺が呟くと、エアが静かに喉を鳴らした。
「話を戻しますわね。 2つ目は、強い魂を持つ者達が住まう
「デーモン……お父様の仇……」
「彼らは狡猾で、個々の力も強い者が多い……しかし、先程の話にもあったように、殆どが封印の影響を受けてこの世界では活動できませんの」
「あの
「そうですの。 だからこそ、器を得る為にあれだけの事をやってのけたのでしょう」
「疑問なんだが、奴らがそこまでしてミドラシアに拘る理由はなんだ? わざわざ封印で消滅するリスクを冒してまですることなのか?」
「それについては、次に説明する最後の層が関係してきますわ」
エアは一度息を整えると、再び言葉を紡ぎだした。
「魔神と、それに連なる妖魔達の統治する上層……イセリアル。 これこそが、デーモン達がミドラシアを目指す理由ですわ」
「魔神……そもそも魔神ってなんだ?」
「魔神というのは、魔族の大元……
「ええと……そいつらがいると、何か問題があるのか?」
「勿論ですわ。 彼らはパラレリアの領土と資源を巡って、日夜争っていますもの。 そして、悪魔達は強大な力を持つ魔神達には逆らえず、駒として扱われるばかり……」
「難儀な話だな……それで、その魔神ってのは一体どんだけいるんだ?」
「現時点で力を持っている魔神は5人。 インフェルノも、その内の1人の幹部ですわよ」
「おいおい、かなりの大物じゃねぇか……そんな奴相手に勝てるのか?」
「勝てる勝てないではなく、勝つんですわ」
「ここに来て根性論かよ……だが、少しわかったぞ。 俺たちが倒そうとしてるのはそのレベルの相手ってことだな」
「そうですわね。 ただ、住んでいる層によって魔族の強さが決まるかと言えばそうではありませんの。 下層にも上級悪魔を上回る程の実力を持つ物もおりますし、逆に上層におりながら、強さがからっきしな魔族もおりますわ」
すると、マーシアが静かに尋ねた。
「それでエアさん、貴方はどちらからいらしたんですか?」
「ワタクシは……イセリアルから参りましたわ。 といっても、界門を通れたのは本当に偶然でしたの……そのせいで、こちらから向こうに戻る手立ては何もありませんわ」
「まじか……無鉄砲すぎるだろ、マーシアが来なかったらどうするつもりだったんだ?」
「ここから動けなかったと思いますわ……それについてはとても、反省してますの」
「ほんと、運が良かったんだな……」
「それで、エアさん。 貴方は何者なんですか?」
「べ、別に……そんな大した者ではありませんわよ?」
「それはありえません。 加護と聖鎧を纏った万全の私を、あんなにも完膚なきまでに叩きのめせる魔族なんて……それこそパラレリアでも、かなり上位の実力者ではないかと思うんですけれど」
「どうなんだ、エア? そろそろ教えてくれてもいいんじゃないか? 今更お前を怖がる奴なんていないと思うぞ……」
そう言って周りを見渡す。
表情のわからないリリーはともかく、マーシアとウルは別段気にしている様子は無い。
「わかりましたわ……そこまで言うなら、お話しますわね……」
そう言うと、エアはゆっくりと口を開いた。
「ワタクシは、白の魔神……シオンの末子ですわ」
辺りが一瞬、静寂に包まれる。
そして、沈黙を破ったのはマーシアだった。
「やはり……そうでしたか。 只者ではないと思ってはいましたが……」
「か、勘違いしないで! 白の一派は……比較的人類に対して友好的な派閥ですの!」
「落ち着いてください。 その白の一派はともかく、エアさんがそういうスタンスなのは理解できましたから」
そのマーシアの言葉に、エアは徐々に落ち着きを取り戻していく。
「ありがとうマーシア……他にも、ワタクシのように平和を好む魔族が少なからずいる筈ですわ……だから、魔族全体を目の敵にするのだけは、やめてほしいですの」
「……留意しておきます。 それで、そのインフェルノという魔族が、ミドラシアの侵略を企ててると考えて間違いないんですか?」
「ええ。 パラレリアでも、ワタクシ達平和主義者とインフェルノ達侵略主義者の間で派閥が割れてますから」
「そうか……それで、そのインフェルノってのは結局何が目的なんだ?」
「そういえば、まだ話していなかったですわね。 インフェルノの目的、それはパラレリアの封印を解き、かつての戦争を再現すること……それこそが、彼ら侵略主義者達の悲願でもありますわ」
「迷惑な話だぜ……それで、その侵略主義者共は今も何処かで準備を進めてるってわけか」
「その認識で間違いありませんわね。 ラルゴ……いえ、あなた達。 改めてワタクシの力になってはいただけませんか?」
そう言って、エアは畏まった様子で静かに礼をした。
「うん! わたし、おねえちゃんの力になるよ」
「ワタクシも、断る理由はございません」
ウルとリリーがはっきりとエアに告げる。
「マーシアは……どうなんだ?」
「無論、あなたに従います。 ラルゴさん」
「わかった。 なら満場一致だな。 エア、共にインフェルノの野望を阻止しよう」
「あなた達……恩にきります。 諦めなくて本当に良かった……」
そう言ってエアは、静かに涙を零した。
「おい、どうした急に……」
「ごめんなさい……あなた達のような人間がいた事が、とても嬉しくて……」
「なんだそういうことか……案外、人間も捨てたもんじゃないだろ?」
「ええ、そうですわね」
そう呟くと、エアは静かに涙を拭いた。
「それにしても驚きましたわ。 まさかマミーシアが聖女様だったなんて……どこか怪しいとは思ってましたけど」
「ああ……すまないなリリー。 どうしてもマーシアをここに連れてこなきゃならなかったんだ」
「それは私をエアさんの器にする為ですか、ラルゴさん?」
「ああ……お前にしか頼めない事なんだ」
「嫌ですよ?」
「……え?」
予想もしなかった言葉がマーシアの口から放たれる。
「私はもう二度と、誰かにこの身を使わせたりはしません。 嫌なんです」
「マーシア……せめてエアの器が見つかるまででいいんだ。 エアも別に、お前の意識を乗っ取るつもりはないと思うし……」
「いいえ……認めません。 それだけは」
マーシアは断固として拒否の姿勢を示してきた。
確かに、今のマーシアの気持ちを考えればそれが自然ではあるが……
「ラルゴ、そのような事、無理強いしてはいけませんわ」
「ならエア、お前はこれからずっとここに留まるのか?」
「……そうなってしまいますわね」
「あっ! なら俺を器にすればいい、それならどうだ! 我ながら名案だ!」
「いいえラルゴ……それは無理ですわ。 器が抱えられる魂は2つまでですもの。 あなたの中には既に別の魂が入っていてよ? それに、そもそも男の身体に女の魂は入れませんの」
「くっ……魂にも性別があるのか……」
すると、ウルが名乗り出た。
「おねえちゃん、わたしは?」
「ウル……気持ちは嬉しいけれど、あなたとワタクシでは魂の波長が合わないようですわ……」
「なんだそりゃ……器を用意するだけじゃ駄目なのか?」
「急ごしらえならそれで十分かもしれませんわ。 ただ、いずれ魂同士が反発し合って、身体に良くない影響を与えてしまいますの」
「じゃあどうすりゃいいんだ……その波長って言うのはどうやって見分ければいい?」
「そうですわね……大まかに言えば性格と性別ですわ……例えば、ワタクシのように高貴で使命感の強い、そんな女性なら或いは……」
「自分で高貴とか使命感強いとか言って恥ずかしくないのか……ん、待てよ?」
俺は黙ってリリーを見やる。
すると、何かを察したのかリリーは静かに喋り始めた。
「エア様、ワタクシの身体で良ければ、どうぞお使いください」
そう言ってリリーは山羊の兜を脱ぐ。
「おお……」
兜に隠されていたリリーの顔……それは、絶世の美女とも言わんばかりの美貌だった。
白い肌に長い睫毛、形の整った鼻と程よく大きい唇、肩まで伸びた薄緑色のウェーブヘアーに、緑の瞳……何がゴリラだ、とんでもねぇ美人じゃねぇか……
「リリーと言いましたわね。 ワタクシの為に無理をする必要はありませんわよ?」
「いいえ、貴方には父を救ってもらった恩があります。 それにワタクシはもっと強くなりたい……貴方の器になれば、今よりもっと上に行ける気がするのです」
「リリー、本当に良いのか?」
「構いません、さあ、エア様」
「魂の相性は問題ないみたいですわね。 リリー、本当にいいんですの?」
「お願いします」
「覚悟は固いようですわね……わかりましたわ、それでは――」
エアがリリーにそっと近づき……
「きゃぁ……!?」
そっと唇を重ねた。
「静かに……」
そのまま、エアの身体が凄まじい魔力を放つ。
「――
そして、二人が激しく輝いたかと思うと、エアの姿がリリーの中へと吸い込まれていく。
やがて、その場には大きな魔力を纏ったリリーだけが残った。
「できたのか……?」
「す、すごい……まるで身体の芯から力が湧き出てくるような!」
リリーが驚いたように身体を動かす。
外見的には何も変わりは無いが、本人からすると目覚しい変化のようだ。
「無事、できましたわね」
突然、リリーの中からエアとおぼしき生命体が出現した。
「きゃっ!」
「うおっ、なんだこのエア!」
それは、2頭身の小さいエアといった様相をしており、妖精のように宙を舞っている。
「もう、驚きすぎですわ二人とも。 これが今のわたくち、エアの魂ですわよ?」
「へぇ……そんな事もできんのか。 にしてもエア、身体に比例してか、声も大分幼くなっているように感じるぞ」
「気にすることはありませんわ」
と言われても、気になるものは気になる。
「リリー、身体の主導権はあなたに任せます。 わたくちはこの姿でサポートに徹することに致しますわ」
「わかりました、エア様!」
リリーがちびエアと言葉を交わしている。
なんともいえない光景だ。
「それとリリー、あまり自分の力を過信しすぎないように。 あなたの器ではまだまだ、わたくちの力を扱えきれないのですから」
「肝に銘じます。 ときにエア様、器を強くするにはどうしたら良いのでしょうか?」
「そうですわね……ラルゴのように、他者から魔力を吸い取るのが最も手っ取り早いですわ」
「ラルゴのように、魔力を吸い取る?」
「ああ、俺の右手は他者から魔力を吸い取れるんだ。 ケライノー達の洗脳だって、そうやって解いたんだぞ?」
「なるほど……そのような事が出来るのでしょうか?」
「それはわたくちの力を使えば可能ですわ。 リリー、共に精進いたしましょう!」
「はい、エア様!」
とりあえず、エアの器も見つかったことだし、一件落着か……この後はどうするべきか。
そう考えていると、リリーが俺に語りかけてきた。
「ラルゴ、一度マーシアの事はギルドに報告するべきだと思います。 ギルドとしても、かなり大事の様子でしたし」
「うーん、あの聖騎士が後処理してくれるんじゃないのか?」
「ラルゴさん、彼らにあまり期待しないでください。 あまりその……政治的に長けた人達ではありませんので」
「そうか……じゃあ、ヴァリスに行くしかないか……」
まるで自首しに行く犯罪者の気分だ。
「大丈夫ですよラルゴさん、私が説明しますから……♡」
いや、とても大丈夫には思えない。
「ラルゴ、ワタクシもささやかながら助力いたします」
「わたしも!」
ウルはともかく、リリーは俺がマーシアを犯した事実を知らないからそんな事が言えるのだ。
とはいえ、気にしていては先に進めない。
本当に自首する気持ちで、ギルド本部に出頭するしかなさそうだ。
「みんな……ありがとな。 それじゃ、ハーピー達を呼ぶとするか」
俺はケライノーから預かった笛を吹いた。
――ピーッ!
間もなくして、どこからか大きな羽音が聞こえだした。
そして、大きく風が吹き荒れたかと思うと、目の前にケライノーが現れる。
「ラルゴ!」
「おお、ケライノー! 速かったな」
「うん、実は……」
すると、またしても羽音が聞こえてくる。
見上げれば、2人のハーピーの姿があった。
「おお……アエロ! オキュペテー!」
二人は笑顔で応える。
「実は、ずっと近くで待機してましたー」
「どうせ帰りも使うんだろうなーって!」
「なるほど、お前らにしては妙に鋭いじゃないか」
すると、ケライノーが突然俺に抱きついてくる。
見れば、その目には涙を浮かべていた。
「うおっ! どうした!?」
「ラルゴ、大丈夫?」
「もしかしてお前達、ずっと見てたのか?」
「うん……別れた後もずっと気になって……そしたらラルゴ、あんな事してるんだもん……」
「まあ、俺は大丈夫だ。 心配かけたな」
俺はケライノーを抱きしめ、頭を軽くぽんぽんする。
すると、ちびエアが俺の肩まで飛んできて、呟いた。
「ラルゴ……あなたいつからそんな女たらしになったんですの?」
「女たらし? 馬鹿言え、俺がそんな風に見えるっていうのか?」
すると、マーシア達が一斉に口を揃えた。
「はい……どう見ても……」
「ふくざつ……」
「やれやれですわ……」
むう、女達の感性では今の俺はそういう奴に映るということか……
まあ、そう見えてるってだけで別段困る事もないだろう。
「ではわたくちは、戻りますの」
そう言って、ちびエアはリリーの中に入っていった。
改めて思うが、奇妙な光景だ……
「とりあえず……ケライノー達、俺たちを麓まで運んでもらえるか?」
「うん、わかった」
「じゃあ私、一番軽そうな包帯ちゃんにしちゃお!」
そう言ってアエロは、大荷物を背負ったマーシアの両肩を掴んだ。
「ぎっ!? 重……」
「よろしくお願いしますね」
アエロは引き攣った笑みを浮かべている。
それを横目に、オキュペテーは嬉しそうにリリーを掴む。
「じゃあわたし鎧のひとー、ラッキー!」
そして、リリーを持ち上げようと思いきり羽ばたく。
「ふんんん!! 駄目だ……重い……でも、負けない! ふんんん!!」
「待って、今軽くしますから……――
「うわあああ!!」
すると、突然飛び上がったオキュペテーと共に、リリーは宙へと舞い上がっていく。
「あーちょっと! 急すぎますわ! あー……」
そして、突然加速したオキュペテーと共に、リリーの姿は見えなくなった。
「うおー……大丈夫かあれ?」
「お姉ちゃんの事だから、大丈夫だと思う……多分」
「そうか……ならいいんだが」
ふと横を見ると、1人余ったウルが寂しそうに俺を見つめている。
「おにいちゃん……」
「ウル、おいで!」
「ゎふっ!」
ウルは嬉しそうに、俺の胸元へ飛び込んできた。
そして嬉しそうに尻尾を振っている。
やっぱりこう、感情が目に見えるのはわかりやすくていいな……
「ケライノー、今度は二人だが……いけるよな?」
「うん、大丈夫だと思う!」
そして、ウルを抱えた俺をゆっくりと持ち上げていく。
「うん、全然平気!」
「そうか! じゃあ頼んだぜ」
「任せて!」
そう言って、徐々に大空目掛けて羽ばたいていく。
すると、マーシアを抱えたアエロが、苦し紛れにケライノーに併走した。
「まってぇ……お姉ちゃんを置いていかないでぇ……」
行きの時に引き離されたのが余程ショックだったのだろうか、かなり切実に聞こえる。
「ごめんねお姉ちゃん……今度は一緒に行くから」
「うう……ケライノー……ありがどぉ……」
こうして、俺たちはハーピーに運ばれながら、夜空をゆっくりと駆けていく。
「ラルゴさん!」
「なんだ、マーシア?
「見てください、この景色」
視線の先には、満点の星空に照らし出されたミドラシアの景色が広がっている。
「綺麗……ですね」
「そうだな……」
不意に強風が吹き、ケライノーがよろめいた。
「……が……のに……」
「なんだマーシア? 何て言った?」
「ふふふ、なんでもないですよ」
そう言って、マーシアは静かに笑う。
――蒼い月に照らし出されたその笑顔が、今の俺には何故だか、とても儚く感じた。
会話(特にHシーン)の♡マークについて
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絶対いる。 今後も続けて欲しい。
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あったほうがいい。
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ないほうがいい。
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絶対いらない。 今までのも修正しろ。
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どっちでもいい