脅威の吸収冒険者 ~ラルゴの這い上がり珍道中~ 作:ターキン
――リベルタス南東部、マルレーン領。
ケルゲー・マルレーン伯爵の屋敷を中心に広がるこの領地は、リベルタス南部では最大の土地と言っても過言ではない。
畜産や野菜等の食料生産地として各国の需要に応えるこの地域は現在、不定期に発生する魔物達による被害に苛まれていた。
――ノトスを東に出て1時間、馬車を駆って街道沿いに進んできた俺達はようやく領内で最初の集落に到着した。
しかし、そこには人っ子一人見当たらない、陰鬱な廃墟が広がっている。
「酷い有様だな……領主の私兵は何やってんだ?」
「言っただろう、人手が足りないって。 領地の端まで手が回らない状況なのさ」
シーマが小さく吐き捨てると同時に、廃墟となった木造の家から小さな影がゾロゾロと現れ始める。
その手には血痕の付いた短剣や槍など、大小様々な武器が握られていた。
「ゴブリンか」
――ゴブリン……冒険者の間では比較的ポピュラーなモンスター。
主に緑の肌をした人間の子供のような容姿をしており、尖った耳と、黄色い瞳が特徴的。
武器を使ったり、中には魔法を使う個体もいるなど、ある程度の知能があるとされている。
単体での脅威度は高くないが、この魔物の最も厄介な点は、集団で行動する性質があるということだ。
その被害は家畜の被害から酷い物では町単位での死亡、失踪事件に繋がる事も珍しくない。
それによりギルドの討伐依頼の大半を占めている。
「お出ましだ、全員準備してくれ」
グローリオが警戒を促すと同時に、俺とシーマは幌車を降りて武器を構える。
俺の右手には年季の入った銀の長剣、愛剣トリリオン、左手には使い勝手の良い鉄のバックラーがある。
横に立つシーマの手の中では、装飾の入った金色の弓が陽の光を受けて輝いていた。
「お馬さんの面倒は私が見ていましてよ、案ずる事はありませんわ」
幌車の上で胸を張るエアに怪訝な顔をしながらも、グローリオは馬を降りて腰に挿した二振りの銀の小剣を抜いた。
「ラルゴ、本当に大丈夫なのか?」
「……大丈夫だ」
(エアを信じよう。 俺はただ、目の前の魔物に集中するだけだ)
臨戦態勢に入ったこちらに触発されたのか、耳鳴りのするような甲高い咆哮を上げ、廃墟の中から大小様々なゴブリン達が飛び出してくる。
「キッシャー!」
馬車と最寄の廃墟の距離はおよそ30m、ゴブリン達は躊躇うことなくその小さな体躯で大地を蹴っている。
「シーマ、頼む!」
グローリオの指示とほぼ同時に、シーマは手にした弓に魔力を込めて放つ。
「見てなよ
ゴブリンの群れの間に射られた矢は、シーマの掛け声と共に青白い光を放った。
そのまま円状に広がった光は、周囲にいたゴブリンを10体程巻き込み、まとめて吹き飛ばしていく。
「グギャッ!?」
(矢に爆発属性をエンチャントしたのか……そこそこの威力だが、得意気に言う割りにはなんつーか……物足りねぇな)
――ドシュッ!
被害を免れたゴブリンがカエルのような瞳を瞬きした瞬間、俺はその喉元に剣を突き立てた。
同時、またも飛来した矢が俺の真横で爆ぜる。
(危ねぇっ! あの女、俺ごと消し飛ばすつもりか?)
「ちょっ、坊や!そこにいられたら困るよ!」
(文句言いたいのはこっちだが、そんな暇はないな)
俺は敵陣のど真ん中で攻撃をいなしながら、1体、また1体と雑魚を屠っていく。
ふと、廃墟の2階に蠢く気配を察知した。
せっかく遠距離から範囲焼きできるなら、あれを潰してほしいところだ。
「下は大丈夫だ! 高台の奴を頼む!」
焦ったシーマが俺の指先を見やる。
そこには、今にも矢を射ようとするゴブリン達の姿があった。
「グローリオ!」
「任せな!」
すぐさまグローリオがシーマの前に入ると、飛来する矢を両手の小剣で弾き落とした。
(おいおい、全然処理が間に合ってねぇじゃねぇか!)
続いて、別の廃墟の窓から放たれた矢が、幌車を引く馬の眉間目掛けて放たれる。
「ギャギャッ!」
「エア!」
俺はエアに視線を移す。
しかし、いつの間にか馬の前に立っていたエアが手を泳がせると、矢は馬の足元に刺さった。
(なんだエア? 一体何をしたんだ?)
「アタシの見間違いか? 矢がそれたような」
「何してるシーマ! 早く上の奴を……」
俺が遠目にシーマ達を見るも、二人は距離を詰めてきたゴブリンの応戦に気を取られていた。
(駄目だ、てんでコンビーネーションがなっちゃいない。 ラスターにいた頃がいかにぬるま湯だったか思い知らされるぜ)
俺はバックラーを背中に背負うと、空いた左手に魔力を込めて額に押し当てた。
余り目立ちたくないんだが……仕方ねぇ。
俺のとっておきを出してやる。
「ファイアーレイ!」
俺の頭部から放たれた光の帯が、2階で弓を構えていたゴブリンを捉える。
「ギャアアアアア!!!」
すると、瞬く間に火達磨となったゴブリンが、けたたましい断末魔の叫びを上げながら窓から転げ落ちた。
「シーマ、あそこもだ!」
続けて俺が、敵のど真ん中から次の標的を指図する。
敵との距離を稼いだシーマは、再び矢を構えた。
「やればいいんだろ、爆裂矢!」
別の廃墟の2階に射られた矢は青白い光を放ち、家屋の屋根ごとゴブリン達を吹き飛ばした。
最初からそれをやってくれたら、大分楽だったんだが……
「飛び道具はなんとかなったが……まだ大物が控えてるな」
積み上がったゴブリン達の屍の中、俺は手に持った
不意に廃墟の入り口から、一番近くにいた俺に向かって大きな影が飛び込んできた。
――ブンッ!
俺はそれを寸前でかわすと、すれ違い様にその脇を切り裂いた。
「ウオオオオアアアア!!!」
2mはゆうにある豚鼻の魔物は、野太い怒りの声を上げる。
同時に、廃墟の影から多数のゴブリンを伴って4体のオークが姿を現した。
――オーク
冒険者の間ではゴブリンに次ぎ有名なモンスター。
主に、ゴブリンよりも更に色の濃い緑の肌に成人男性を悠に上回る巨大な体躯、こちらも武器や魔法を使う等ある程度の知能があるとされている。
その特徴は、なんと言ってもその生殖形態にある。
オークには雄しかおらず、その凶悪な男性器はあらゆる種族を孕ませ、その遺伝子の強さから産まれる子供は決まってオークになるという。
ゴブリンに比べて単体でも危険度が高く、こちらもギルドの討伐依頼の大半を担っており、特に女性にとっては脅威以外の何ものでもない。
「ヴオオオ! ッ!?」
――ブンッ!
怒りと共に振りあげられた拳が空を切った。
そんなモーションばればれの攻撃なんて、当たるはずがない。
懐にもぐった俺は、がら空きのオークの首を即座に切り落とした。
「女は下がれ!」
「このっ、馬鹿にするんじゃないよ」
俺の忠告を無視して、シーマは弓を構える。
それを見たオーク達の目の色が変わり、一斉にシーマ目掛けて駆け出した。
「爆裂矢!!!」
一番距離の近いオークに魔法の矢が打ち込まれる。
反応したオークは、咄嗟に左腕を出した。
――キュイイン
矢が爆ぜ、土煙が巻き上がる――
「ヴオオオオ!!!」
「チィッ!」
青白い光の中から隻腕のオークが飛び出し、残った腕を目の前の獲物目掛けて伸ばす。
「なめるんじゃないよ!
目前でこれをかわしたシーマは、矢筒から次々に矢を抜きながら、オークの急所に打ち込んでいく。
やがて片腕のオークは大きな音を立てながら地面へと沈んだ。
「ふぅ……どうだい……」
「シーマ、後ろだ!!!」
1体のオークの攻撃を避けながら、グローリオが叫ぶ。
シーマが振り向くと、目の色を変えたオークが自身目掛けて距離を詰めていた。
慌てて矢筒に手を伸ばすも、次に放つべき矢がそこには無い。
「しまっ……」
「ファイアーレイ!」
――ボウッ!
醜悪な豚面がシーマの眼前で燃え上がった。
すぐさま飛び込んで無防備になったオークを両断する。
「た、助かったよ……」
(金級冒険者たってこの程度か、いや……このくらいが平均なのかもしれないな)
俺はシーマの言葉に耳も貸さずに反転すると、向かってくるゴブリンを蹴散らしながら最後のオークの脳天に剣を突き立てた。
それを最後に辺りの魔物の気配は鳴りを潜め、俺はようやく鞘に剣を収めた。
そのまま幌車に向かって歩き出すと、馬の横で赤いマフラーを靡かせていたエアに語りかける。
「無事か?」
「大事ありませんわ、ワタクシもお馬さんも」
そういって横にいる馬の頬を撫でると、馬も喜んだようにぶるると鼻を鳴らした。
遅れてシーマとグローリオが俺たちの前に汗を拭いながら駆け寄ってくる。
「あんた、どういうつもりだい?」
(それは俺の台詞だ)
「セオリー通り行動しただけだ。 あのレベルのゴブリンの群れなら飛び込んでいっても俺なら問題ない。 それより問題なのは高台から狙撃される事だ。 だが、群れの中なら奴らの狙いも定まらないだろ?」
「アンタ、そんなリスクが高い方法で戦う奴そうそういないよ?」
「そうなのか? 他の面子とPTを組むのは久々だったから……そうか、俺が足並みを崩しちまったか」
俺はそう言って、鼻の下を掻いた。
ちょっと嫌味っぽくなっちまったか、苛立つシーマを気にしてグローリオが口を挟んでくる。
「まぁラルゴ、あんたのおかげで無事切り抜けられた気がするよ、助かった」
「あとはできるだけオークの気を引かないようにしてくれ、女を見ると強くなって厄介なんだ」
「あぁ……その通りだったよ、悪かったねぇ」
終始苛立ちを露わにするシーマを横目に、俺は倒した魔物の一部を懐から取り出したナイフで切り取っていく。
その様子を見たエアが、不思議そうに訪ねてきた。
「それは、なにをしていますの?」
「何ってこいつが納品対象だ。 依頼人に直接確認してもらえない時はこうやって特定の部位を左右セットで納品するんだ」
そう言って切り取ったゴブリンの両耳を見せる。
「丸ごと持っていくのではありませんの?」
「この数だ、全部持ってったらすぐ幌車が一杯になるだろ。 耳だけだとゴブリンと区別がつかないから、オークの分は首で持ってくぐらいだな」
「そうですのね……なんというか、あまりいい気分のするものではありませんわね」
「そうだな、これを楽しんでやってる冒険者がいたらそれこそ問題だが」
そう言って黙々と死体の耳を切り取る俺を、エアはただ黙って見守っていた。
そこにシーマが苛立った様子で声をかける。
「アンタ、アタシ達に任せて自分は高見の見物なんていい身分ね」
「ワタクシは終始お馬さんを守っていたでしょう?」
「あれはたまたま矢が外れただけだろう? いい気になるんじゃないよ!」
「本当にそう思いますの?」
意味深に笑うエアに、シーマは呆れてため息を吐いた。
「チッ……魔鉱石を探すよ。 汚れ仕事が嫌なら、せめてそれくらいは役に立ってもらわなきゃね」
「ご教授願いますわ」
そう言って二人は廃墟の中へと入っていった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
――元は住居だったと思わしき木造の廃墟の中身は、凄惨な景色が広がっている。
「ウッ……今まで見た中で最悪の部類ね」
「酷い有様ですわね」
リビングには血溜まりが広がり、そこかしこに食い散らかされた生物の骨や肉片が転がっている。
腐臭を放つそれはどこからか湧き出た虫がたかっており、見るものに凄まじい嫌悪感を与えた。
エアはなるべくそれらに近寄らないよう、廃墟の中をゆっくり進んでいくと、奥に大事そうに保管されている大きな麻袋を見つけた。
それは日の光を受けて、うっすらと紫色に輝いている。
「これですわね」
エアがそれを開くと、中には紫色に光る鉱石が幾つも詰められていた。
「これは……」
エアがそれに手を伸ばすと、鉱石は一際大きな光を放ち、やがて何事もなかったかのように黒ずんだ石へと変わる。
「うん、悪くないですわね」
そこに遅れてやってきたシーマが、エアに声をかけた。
「お嬢ちゃん、目的の物はあったのかい?」
「いえ、ただの炭しかありませんでしたの」
エアはそう言って、袋の中から黒い塊となった鉱石をボトボトと落とす。
「大抵こう言ったところにはあるはずなんだけどねぇ、この建物は外れか。 次行くよ」
「は~い」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
――それから30分ほど経って、俺たちは納品材料を幌車に積み終えた。
その内訳はゴブリン30体分の両耳に、オークの首が5つ、魔鉱石が3kgほど。
換算すれば約50万ガルドであり、それは銅級冒険者の平均月収の約3倍であった。
「うおー、大量だなー」
袋に積めた納品物を見てグローリオが喜びの声を上げる。
「これこそ冒険者冥利に尽きるってもんだねぇ」
シーマは幌車に腰を下ろすと、ホッと胸をなでおろした。
「ラルゴ、ワタクシ小腹が空きましてよ?」
こいつら、すっかり休憩ムードだが、これからの蓄えを考えるともっと稼ぎたい。
「まだ日は高いな、このまま屋敷を目指しながら討伐を続けよう」
「おいおい、まだやるのか?」
「幌車はまだまだ空きがあるだろ。 いや、……体力が限界なら、回復を優先しようか」
(普通の奴らのペースに合わせるってのも、もどかしいもんだな))
若干諦めた俺に、グローリオとシーマは首を横に振ってきた。
「冗談じゃない! まだまだいけるよアタシは」
「ああ、俺もこの通りピンピンしてる」
(なんだ、やれるなら最初からやれると言ってくれ、余計な気を使った気がする)
「良かった! じゃあ次の村に向かおう。 御者は俺がやるよ」
そう言って俺は御者台に乗り、馬車を走らせる。
エアはその横で、俺の荷物から干し肉を取り出して齧りついていた。
食料、いつまで保つかな……
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
――街道沿いに丘を越えると、そこには大きな石の塀に囲まれた、城と見紛うような屋敷がある。
陽が完全に沈む頃になって、俺たちはようやく屋敷の門の前へと辿り着いた。
あれから更に2つの魔物の群れを潰した俺たちの報酬は、当初の3倍程に膨れ上がり、納品材料が所狭しと幌車の中に敷き詰められている。
乗るスペースの無くなった俺たちは徒歩……唯一エアだけが、フードを目深に被って馬を操っていた。
最初は不安だったが、意外にも馬を操る事には長けているようだ。
一朝一夕で覚えられるようなものか?
ふと、俺たちを見た門番の兵士の二人が、手にした槍を構える。
「ご用件を」
「ノトスのギルドから来た、見ての通り依頼の納品だ」
「そうですか、では荷物を確認させていただきます」
どこか気力の無い兵士達は、一通り荷物に目を通していく。
(伯爵の私兵は精強と名高かった気がするが、なんていうか覇気が無いな。 昔からこんなだったか?)
「問題ありません、それではどうぞ、中で伯爵がお待ちです」
言葉と共に、まるで城門のように大きい塀の入り口が開いていく。
「ご案内いたします、どうぞこちらへ」
塀の中で待機していた兵士がエアの操る馬車を誘導する。
中央に大きな噴水のある中庭を経て、屋敷の入り口へ。
俺達は目の前の屋敷を見上げながら、改めてそのスケールに度肝を抜かれた。
(しかしいつ見てもでけー屋敷だ。 こんなん普通なら持て余すだろ)
それから俺達は広間を抜け、階段を上り、領主の間へと辿り着いた。
謁見の間のような大部屋の奥に置かれた豪奢な椅子の上に、貴族の装いをした恰幅の良いサークル髭の男……ケルゲー・マルレーン伯爵がワイングラスを片手に頬杖をついている。
甲冑に身を包んだ多くの兵士達が壁の前に並んで見守る中、伯爵は立ち上がり、大層機嫌良さそうに両手を打ち鳴らした。
「お~~~、よくぞおいでなさった。 この屋敷に冒険者が来るのは久しぶりでねぇ、今か今かと待ちわびていたんだよぉ。 まあ立ち話もなんだ、座りたまえ」
「失礼します」
用意された椅子に、俺達は行儀良く腰を下ろす。
「いや~部下から聞いたよぉ、たくさんの魔物を狩ってくれた挙句、魔鉱石を集めてくれたんだってねぇ、いやぁ~嬉しいよぉ」
「残念ながら民達は既に手遅れでした……」
正直ああいう場面は何度も見てきたが、暮らしていた人達の事を思うと複雑な心境だ。
そんな事を考えていたら、伯爵が心配そうに俺を覗き込んできた。
「こう領地が広いと、中々隅々までは手が回らなくてねぇ……私も心苦しいよぉ。 今報酬を用意させるからちょ~っと待ってねぇ」
そう言って伯爵が指を鳴らすと、奥からケースを持った兵士が現れる。
兵士がケースを開くと、中にはガルドがギッシリと詰まっていた。
「200万ガルド入ってる。仲良く分けてくれたら幸いだよぉ」
「過分なる心遣い、痛み入ります」
額を聞いて驚いたグローリオが頭を下げる。
「ところで伯爵、依頼とは別に1つお聞きしたい事があるのですが」
頃合を見て、俺は口を挟んだ。
「ん~~~? なんだね?」、
「失礼します、現在自分はある人物を探しているのですが」
「人物? ふむふむ、言ってみなさい」
「燃え盛るような頭をした、インフェルノという名の男です」
「イ、インフェルノ!?」
伯爵は一瞬、驚愕の表情を浮かべた。
(お、当たりか?!)
のも束の間、暫らく考えた仕草をした後、やがて口を開いた。
「いや、わからないねぇ……部下達にも聞いてみよぉ」
(なんだったんだ? あの思わせぶりな反応は)
「そうですか……では」
俺はケースを受け取って席を立つ。
すると、伯爵は落ち着いた様子で引き止めてきた。
「あ~みんな今日はお疲れだろぉ? 日も暮れてしまったし、今日はゆっくりしていくと良い。 その為の部屋は普段から用意してあるからねぇ」
それは有難い。
正直ここまで移動と戦闘の連続で結構疲れていた……わざわざノトスまで戻らなくて済むと思うと気が楽だ。
「本当ですか! お気遣い痛みいります」
「はっはっは、まあ食事でもしながらゆっくり冒険の話でも聞かせておくれよぉ」
――それから暫くして、俺たちは屋敷の1階にある宴会席へと案内された。
手間のかかった調度品の数々に、白いクロスのかかった長テーブル、その上には高級そうな料理の数々がズラリと並べられている。
「まぁ、おいしそうなお料理!」
(まずいぞ……エアがこの料理の味をスタンダードにしてしまうのは困る)
「流石にここまでさせてしまうと、気が滅入ってしまいます」
(いや高級だから美味いとは限らない。 頼む、エアの口に合わないでくれ……)
「なぁに、私がしたくてやってるだけだからねぇ、遠慮なく食べたまえ」
その言葉と同時に、俺たちは料理へと手を伸ばした。
不味いな……美味すぎる。
ふとエアを見る。
エアの料理を取る手は一際早く、目の前に並べられた料理を瞬く間に平らげてしまう。
「おいエア、行儀悪いぞ」
滅茶苦茶美味いステーキを食い終わる頃には、エアの前には空になった皿がいくつも積みあがっていた。
「こんな美味しい物、ワタクシ初めてですわ」
(確かに、確かに美味いが! そうか……美味いか、そうか)
美味しく食べてくれるのは結構なんだが……非常に複雑な心境だ。
「ほっほっほ、気が済むまで食べると良い」
「お心遣い、痛み入りますわ。 にしても本当に美味しいですわね」
そう言ってエアは、心底美味しそうに料理を頬張っていく。
(ああもう駄目だ、エアが干し肉を食べなくなったらどうしてくれるんだ)
――それからも俺の心配を余所に食事会は続いた。
腹いっぱいに料理を詰め込んだ俺たちが話に花を咲かせていると、不意にエアが席を立つ。
「おや、どうかしたかね?」
「……察してくださると嬉しいのですけれど?」
「ああこれは失礼、私としたことがデリカシーがなかったかな、はっはっは」
エアはわかりやすそうに、ぷんぷんと言った表情を見せながら部屋を出て行く。
(あんな美女でもウ○○はするんだよな……)
「そういえばラルゴ君、君は、酒は好きかね?」
「酒……ですか?」
脳裏によぎるのはラスターの皆と初めて酒を飲んだあの夜の記憶。
早々に潰れるケヴィン……一切酔わないカーラ……頭のおかしくなったネリー……
俺は……どうだったっけな?
「まあ、飲めなくもないですがね」
「そうかそうか、実は眠らせていたとっておきのワインがあってねぇ~、そろそろ飲み頃かなと思っていたんだよぉ」
そう言って伯爵は高そうな瓶を開け、グラスに紫色のワインを注ぐと、それをメイドに持ってこさせた。
俺は正直ワインよりこのメイドに興味があるな……クール系も良いよな。
「では、改めて乾杯といこうじゃないか」
「で、では……いただきます」
宙に向かって乾杯をした後、俺はワインを飲んだ。
(これがとっておき? 正直酒の良さは微塵もわからん……これの何がそんなに良いんだろう、ん?)
妙だな、周りの視線が妙に俺に集中している。
伯爵も、兵士もメイドも、シーマもグローリオも……
酒を飲む俺がそんなに面白いか?
(っとあれ……何か急に眠くなってきたぞ)
「は、伯爵……なんか想像以上に疲れてるみたいだ……今日はもう、休ませてもらい」
そう言って席を立とうとした瞬間、突然意識が途切れた。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
――ドタッ!
ラルゴは地面に音を立てて倒れた。
それを見た伯爵は、目を細めながらゆっくりと倒れるラルゴに告げる。
「ふふふ、ゆっくり休むと良いよぉ」
その横で、席を立ったシーマとグローリオが伯爵に問いかけた。
「伯爵、もう1人はどうします?」
「ん~? それじゃせっかくだし、君達に任せようかなぁ」
「ハッ、仰せのままに」
グローリオとシーマはゆっくりと伯爵に頭を下げると、音も無く宴席を後にした。
会話(特にHシーン)の♡マークについて
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絶対いる。 今後も続けて欲しい。
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あったほうがいい。
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ないほうがいい。
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絶対いらない。 今までのも修正しろ。
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どっちでもいい