※この作品はR-18です。

気が付けばハイリア湖畔   作:白霧島

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 ルト姫視点。
 エロはない。

※業務連絡
・ゾーラの里編はここらで一端終了。次回からハイラル探索編に入ります。


生活、というのじゃ!

 妾はルト姫である。

 最近、妾にフィアンセが出来た。

 名前をタナカと名乗ったその者はライクライクであり、ゾーラであり、妾の先生である。

 今回は、ゾーラの里で先生の生活について語る事とするゾラ。

 

◇

 

「おはようございます、ルト姫」

「おはようなのじゃ、んんっ」

 

 早朝。

 先生は妾の隣で、いつも妾よりも早く起床し頭を撫でてくる。優しく撫でてくる暖かい手の感触は心地良く、そのまま二度寝してしまいそうなほどじゃ。

 しかし妾は二度寝等せぬ。

 何故ならば、二度寝せずに起きると先生が妾に目覚めの口付けをしてくれるからじゃ。

 唇と唇をむにむにとしながら、先生は妾の頭を抱いて撫でる。ほんの短い時間じゃが、とても気分の良い目覚めじゃ。

 

「ぷはっ。先生、今日の予定は如何に?」

「今日はジャブジャブ様への顔合わせを行った後、ゾーラの泉を探索してみようと思います」

「さようか。妾は、今日は武術の訓練をするので共に行けぬ」

 

 先日の先生が納めた親子喧嘩の際に、妾は腕のヒレを刃物の如く鋭いモノへと変容させた。父上曰く【フィンブレイド】というモノらしく、本来ならば才能あるゾーラの戦士が厳しい修行の末に体得する物なのだとか。何でもこれ、下手な剣や鎧ならば魚を捌くよりも簡単に切り裂いてしまうのだとか。

 刃状に変形したヒレを皮膜状の圧縮魔力が覆い云々と言っていたが、頭がこんがらがりそうなので神秘的圧力が云々の辺りで聞くのを止めた。

 そんなこんなで、妾はこのフィンブレイドを使い熟さなければならぬのじゃ。

 威力が高くて危険じゃというのは既に妾も知る所じゃしの。

 かと言うて、先生と共に行動できないと言うのは些かさみしいのぅ……。

 

「ルト姫」

「何じゃ先生? おぉっ?」

 

 妾に声を掛けた先生は、そのまま妾を抱き上げ顔を近付ける。

 

「帰ってきたら沢山の言葉を交わしましょう。ですから、どうか悲しそうな顔をしないで」

「…………」

 

 眉を八の字に曲げた苦笑。

 どこまでも優しい視線が妾を射抜く。

 頭が熱い。思考が纏まらぬ。

 

「ん」

「んむ」

 

 そんな混乱する妾をよそに、先生は唇に口付けを落とした。

 短く触れるだけの、挨拶か何かの様な口付け。

 しかし妾には熱い夜の前金を渡すかの様に感じられた。

 

「少しは、元気になりましたか?」

「戯けた事を言うでないわ。少しどころかバリバリじゃい!」

「それは良かった」

 

 朗らかに笑う先生の笑顔に、妾の心は温かくなる。

 ……今日も一日、がんばれそうじゃ。

 

 お互いに準備を済ませ、妾と先生は部屋の前で別れた。

 

 

 その後何が有ったのか、帰ってきた先生はとても疲れた顔をしていた。

 そしてその夜は妾に縋り付きこれまでに類を見ぬ程に甘えんぼさんじゃった。

 何が有ったかは知らぬが、まあ、役得じゃ。

 

◇

 

「先生、何をしておるのじゃ」

 

 次の日。

 先生の御目覚めこんぼが発動せず、最近の起床時間で言えば遅めの希少をした妾は、部屋に備え付けられた作業台で何やら作業をする先生の後ろ姿を見つけた。

 

「ああ、ルト姫。お早うございます。今は、これを少々改良していました」

「……ゾーラの、服?」

 

 先生が弄っていたモノはゾーラの服じゃった。

 ゾーラの服は、本来ゾーラ族が陸上で長時間行動を取る為に必要なものじゃった。

 極端な高温や低温に弱いゾーラ族は、水辺では強力だがそれ以外の環境では途端に非力な存在に成り下がる。中でも、長時間の陸上活動は身体の保有水分が汗の様な形で直ぐに流れだし、やがて干からびてしまうそうな。陸上活動を行う際に消費される水分は、ゾーラ族の場合ハイリア人の約四倍にもなるそうな。

 故に、その水分を保持するという観点からゾーラの服の原型が作られた。

 体内の水分が体表から逃げ出さないようにするための保護魔法を基軸に、極低温の環境下でも活動するための温度保持魔法、それらをゾーラの魔力で編み合わせた物が現在店頭で売られているゾーラの服である(極高温の場所に水なんてあるわきゃねぇだろ、という観点からそもそもゾーラ族は温度の高い場所に近寄らない為、火山とか砂漠とかは考慮されていない)。

 完成したゾーラの服は、ゾーラの魔力で編まれたためか、ゾーラ族以外の種族(主にハイリア人)に対し水中活動に必須な対水圧、水中呼吸等の魔法が発動する様になったのだとか。

 

 そのゾーラの服だが、先生が使うには小さい様に見える。

 

「ええ、ルト姫用にサイズを調節し、且つ編まれた魔法に私の魔力を浸透させてみました。水と火の力が潰し合わない様にするのは些か骨が折れますね。……はい、どうぞ」

「むっ」

 

 先生は手の中にあったゾーラの服をばさりと広げて妾に見せた。

 

「帽子はそのままに下は短パン、上はブレーザーみたいな感じにしてみました。とんがった部分を丸く加工してみたら中々可愛らしく仕上がりましたね。後は中に着るシャツやタイツ何かも作ってみました。どちらも白から若干桃色な色合いに仕上がりましたね。それで、如何でしょうか?」

「…………」

 

 腰巻やマント、ワンピース等の簡単な服は今までに何度か着た事がある。その時は煩わしいなどと考えていたが、それも先生の作った服を見てその印象が変わった。

 服の色である青は明るい水色になり、シャツやタイツの淡い桃色、全体的に丸みを帯びた意匠と合わさり、その、とても可愛らしい事になっている。

 

「……こ、これを、妾が着るのか、の?」

「ええ、きっと似合います」

「……ッ」

 

 言葉も出さずに先生の手から服を受けとり、順々に袖を通していく。

 全て着終わった妾は、恥ずかしいけれど先生が見やすいように腕を広げた姿勢を取る。

 

「ど、どうかの?」

「ええ、とても可愛い。抱きしめて一晩中撫で回したいくらいです」

「~~~~っ」

 

 顔面が火を噴いたかのように熱い。じゃが同時に、妾の胸を幸福が満たしていくのが解った。着飾り褒められる事が、これほど嬉しい事とは思わなんだ。

 その日、妾は先生の要求した様々な姿勢を取って見せた後、先生と睦言を交わした。

 

 

 

「あ、やっべ。パンツ作るの忘れてました」

 

 ぱんつって何ゾラ?

 

◇

 

「それじゃあ、行きますぜ? 先生さん」

「ええ、どうぞ」

 

 ゾーラの里の近くにある広場にて。

 今日は、先生と近衛の阿呆共が格闘の訓練をしておる。

 妾の脱走をきっかけに起きた一連の事件が終わり、妾と父上を除いて最も先生との距離が縮まったのは近衛の者達じゃった。

 なんでも、妾と父上の喧嘩を事もなげに止めて見せた様に何やら感じるものが有ったのだとか。

 

 そして現在、先生は近衛の者達と共に格闘訓練を行っておる。

 近衛の一人が先生に、一緒に身体を動かしませんかと尋ねたのが始まりじゃったかの。

 妾としては、本来ライクライクである先生に格闘など出来るのかと不安な気持ちで見ていたのだが……。

 

「オオっ!!」

「下から上への突き、戻し裏拳、回し蹴り」

 

 涼しい顔で相手の攻撃を口にしその尽くを躱していく。

 うむ、攻撃を流し目に見つめる先生の顔が色っぽいのぅ。

 ……ではなく。

 一体どこで覚えたと言うのか、先生の身の熟しは熟練のソレにしか見えなかった。

 近衛共の格闘術は速さと鋭さに重きを置いた一撃であり、このゾーラ流とも呼べる格闘技能を習得した者は殆どの場合一撃で外敵を仕留める。そのため、里の中では中々に優秀と言われている。じゃが、先生はそれを意図も容易く見切り相手を手玉に取っておった。

 曰く、「素早く鋭い一撃は確かに脅威ですが、予備動作が大きいので見てから回避余裕でした」だとか。

 

「シッ」

「うぐっ!?」

 

 そして先生が攻撃に転じる。

 喉を狙った突きは素早く、吸い込まれる様に直撃した。そして蹈鞴を踏み後退った近衛の者へ回し蹴りを行う。喰らった近衛の者は後方に吹き飛ばされ水の中に没し、水中の中で姿勢を正すと直ぐに浮かび上がってきた。

 

「うーん、速くて鋭いのは良いんですが、やはり見切り易いですね。単純にスピードのある攻撃ではなく、敵への到達が速い攻撃や予備動作の見えにくい攻撃、後は弾かれる前提で次の攻撃を用意するなどと工夫した方が良いのではないでしょうか?」

「これまでは、これでも困った事はないんすけどねぇ……」

「それは多分、今まで相手にしてきて奴らが格闘戦と言う概念を持たない者だったからでしょう。参考として聞きますが、今までどの様な敵と戦ってきました?」

「オクタロックと青テクタイト、それとグエーだな。オクタロックは盾で、青テクタイトは跳び掛かってきた無防備な腹へ突きを一発、グエーも似た様なもんだな」

「攻撃が到達する前に一撃で倒す。故に高威力且つ高速度の攻撃になった、か。合理的ですが、対人戦闘には向いていない。というか、複雑な挙動をする敵と遭遇しなかったのも問題かもしれませんね」

「どうすりゃいいんすかね?」

「んー。……ジャブジャブ様のお腹の中を修練場として使わせて頂く、とか?」

「なんと、それはちょっと罰当たりでは?」

 

 ……よくよく入り込んでいた妾、ちょっと冷や汗を掻く。

 

「それもそうですね。……そう言えば、滝の近場に森へと繋がる水道(水の道という意味で)がありましたね。森にいる魔物と戦ってみるのはどうでしょうか?」

「森、か。たまには遠足も悪くないかもしれないな」

 

 先生と近衛の者共が話していると妾は暇で暇でしょうがない。先生が動き戦っている姿は目の保養になるが、妾以外の者と有意義そうに話して居るの見ると穏やかにはなれぬ様じゃの。

 ……うむ、このまま岸辺で座ったままというのも癪じゃ、一つ訓練とやらに混ざるとしよう。

 

「先生!」

「はい、どうしました?」

「妾も格闘の訓練をしたい、相手を頼む」

「ええ、丁度一段落が付いた所ですので構いませんよ。それで、フィンブレイドを使いますか?」

「応。先生ならば大丈夫であろう?」

「確かに、私ならまあ、危険は少ないか」

 

 妾の言葉に苦笑する先生の後ろで、近衛の者共はいつぞやのハイリア湖で見た時と同じような顔色となっている。

 フィンブレイドの展開には多大な魔力が消費される。刃を形成し維持する内に漏れ出した魔力でも、一般のゾーラにとっては恐るべきものなのか、近衛の者共は一目散に水の中へ飛び込んでしまった。しかし様子が気になるのか、水面から頭だけを出して此方を凝視しておる。

 その様子を尻目に、妾はブレイドを展開した。

 

「では、お相手願おうかの?」

「ええ、喜んで」

 

 準備が完了したと言った妾に対し、先生もフィンブレイドを展開し構えを取る。

 

「ゆくぞッ!!」

「どうぞ?」

 

 その後、炎が水面を舐め尽くしたり、ブレイドが岩壁を削り崩したり、衝撃波で様子を見ていたゾーラが吹き飛んだりした。

 

 

 

 と、まぁ、妾と先生の里暮らしはとても楽しく過ぎて行ったのじゃったとさ。

 

◇おまけ、タナカさんの行動記録

 

・ジャブジャブ様に挨拶。しかし魚なので目をぱちくりさせるだけだった。

 

・単騎で氷の洞窟を制覇。洞窟内の彼方此方が溶けて再結晶し酷い有様になっている。

 

・ついでに大妖精に挨拶。呼び出したはいいが余りにも精神を苛むその容姿と声音にタナカ発狂。フィンブレイドを取り乱しながら振りまくる。戦闘中に炎をより使い熟せる様に成ったり、感覚が鋭くなったりと怪我の功名がちらほら見られる。その後どうにか大妖精を湖の底に沈め、ルトの下へ帰還。傷付いた心を癒す。ちなみに、大妖精はなんでタナカが取り乱したのか解らず不思議そうだった。いや、だから、お前の容姿と声が原因だっつーの。

 

・ルトに癒されたは良いモノの、いまだに「ああぁぁぁほっほっほぉぉぉぁぁぁぁぁぁッッ!!」という声が脳みそにこびり付くタナカ。その声と衝撃映像を濯ぐ為にルト姫に可愛い服を着せた姿を想像。気が付いたらゾーラの服を改造していた。

 

・近衛と訓練してたらルトとガチンコバトルをする事に。里がご覧の有様だよ、状態に。

 

・その後はハイリア湖のフクロウっぽい奴と魔法について話したり、ルトと釣り堀を荒らしまわったりして楽しく過ごすのだった。

 

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